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勝又浩著『短歌・小説・日本語』日本文化論のためのノート

定価:3,190円(税込)

判型:四六判並製カバー装

頁数:414頁

ISBN978-4-86629-392-9

 

月刊誌「短歌往来」で好評を博した連載「歌・小説・日本語」から、発見に満ちた興趣尽きない100編を収録。

 

多彩な論考を収め、日本語と短歌をめぐる思索を縦横に展開します。

 

古典から現代へ、文学から思想へと自在に視野を広げながら、短歌という表現の奥行きと、日本語の豊穣さを再発見させてくれる一冊。

 

【目次より】
「日本語と日本文化」「日本語の一人称」「歌が日本人をつくる」
「日本文学の根幹を作った西行」「戦後の短歌、短歌論管見」
「久保田正文の短歌」「第二芸術論時代」「『万葉の伝統』をめぐって」
「歌の国、日本」「三十一文字の不思議」「平安女性たちの”近代文学”」
「短歌ブーム、その背景」
「問われ続ける短歌、俳句」「吉本隆明の短歌論」
「益田勝実『記紀歌謡』をめぐって」「露伴の日本語論」
「草木虫魚教、日本」「音読、沈黙その他」
「西行と若冲」「富士山その他」

 

 

 

巻末に「人名索引」「引用・参照文献索引」付き!

 

◎著者略歴

勝又浩(かつまたひろし)

文芸評論家・法政大学名誉教授

昭和13(1938)年 7月24日生

昭和49(1974)年 「我を求めて―中島敦による私小説論の試み」にて群像新人文学賞評論部門受賞

平成16(2004)年 『中島敦の遍歴』(筑摩書房)にてやまなし文学賞受賞

平成21(2009)年 法政大学名誉教授就任

平成26(2016)年 『私小説千年史 日記文学から近代文学まで』(勉誠出版)により第28回和辻哲郎文化賞(一般部門)受賞

 

 

 

 

 

 

 


吉村明美歌集『虫めずる』

定価:2,750円(税込)

判型:A5判上製カバー装

頁数:188頁

ISBN978-4-86629-396-7

 

第四歌集

 

思いもよらぬ両親との別れ方に傷つき、不条理と喪失感に苛まれる辛い日々。

保護犬楓太との出逢い、庭の草木や花にも癒されながら、少しずつ取り戻していく穏やかな日常がみずみずしく詠われる。タイルとは「虫めずる」だが、虫のみならずさまざまな命に向けられる眼差しが優しく読者を包み込む。虫の苦手な読者も安心して読める渾身の第四歌集である。

                        ポトナム代表 日高 智 帯文

 

<引用五首>

意識なきままに横たう母のためのパジャマ購(あがな)う花がら美(は)しき

 

残月の浮かぶ有明け死は父を蒼くすっぽり呑み込みくれし

 

引き取りて二年(ふたとせ)たてば「甘える」を身に付けいつしか老犬楓太

 

見つめあうひと時を持ち別れたるハラビロカマキリ恋かもしれぬ

 

母が逝き父が逝きたり家鴨の子もう飛ぶふりはひつようないよ

 

 


梓志乃著『面影いくつ』

定価:2,860円(税込)

判型:B5判変形並製カバー装

頁数:228頁

ISBN978-4-86629-388-2

 

昭和の時代、「芸術と自由」によって、自由律短歌という一行の詩があることを知った。現代詩が抒情から遠くなった思いを抱いていた私は、そこで目にした作品に一行の詩を持つ抒情を見つけた。 (あとがきより)

 

 

 

目次

 

ー「藝術と自由」誌上を彩った人と作品

 

松本昌夫

千賀浩一

中野嘉一

穂曽谷秀雄

小倉三郎

林 民雄

椎名 勇

伊藤清夫

木原 実

井伊 脩

中島国夫

佐藤登里子

大槻三好

河西一郎

薮内春彦

成川はつ子

佐藤 豊

天城南海子

桑島定男

 

あとがき

 

 

 

 

 


梶田順子歌集『翡翠』

定価:2,860円(税込)

判型:四六判上製箱入り

頁数:222頁

ISBN978-86629-388-2

 

第五歌集!

 

今朝もまた翡翠(かはせみ)の青きが飛ぶを見て心足らひ

てこの道を行く

 

 

 

「この島を戦場にするな」に唱和する月桃の種ひと粒握り

 

 

熱高く寝込みし隣の大工言ふ「コンビニのお握り高くて買えない」

 

もも色のぼんぼり並ぶ堀瑞に外人ツアーの異国語聞こゆ

 

運動会練習の声はりあげるこの児らに平和を金木犀匂ふ

 

乾きたる心に春雨うすみどり何もいらない九条大事

 

戦地から土佐への手紙おそらくは十万通か検閲を経て

 

「火の中を走るからよそ見せられん」と言ひたる母の声ありありと

 

 


青木泰子歌集『カリフォルニア便り』

定価:2,200円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:132頁

ISBN978-4-86629-395

早朝の長距離バスを待つ列に隠しようもなくアジアンひとり

 

のっぺりな一日の午後につきささる孫の「ただいま」そこだけ日本語

 

 

アメリカの町での生活、家族、老い、戦争の影

異国の空の下で、それでも日本語は暮らしの中心に圧。

呼びかける声のおなかに、帰る場所がある。それは在米五十年の生活の証しである。

 

帯文 佐佐木幸綱

 

 

<引用五首>

四ツ辻で待てば「ただいま」日本語がはじけるように駆けてくるなり

 

どちらへも帰るといいて目を閉じる機内は多分胎内に似て

 

反戦の抗議文を書き一人娘がいま講壇で説いている平和

 

頑張って頑張って生きたアメリカでそろそろ昼寝をしていいですか

 

いつまでも派兵をしているアメリカで暮らして無力をまた恥じている

 

 

 


佐田公子著『キーワードで読む栗木京子』

定価:3,080円

判型:四六判上製カバー装

頁数:376頁

ISBN978-4-86629-390-5

 

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栗木京子ワールドへようこそ!

 

ー月光の中のわれと他者ー

栗木の月の歌には、月(又は月光)の下の自己と他者の存在を意識した歌がある。月光の下の他者は、詠まれた時点で具体的な人物と解さずともよいだろう。月光に濡れながら、空想のロマンが広がるのだ。(本文より)

 

 

◆キーワード一覧◆

天象 気象

身体 動物

昆虫 植物

食品 服飾雑貨

その他の事物 時間

空間

 

どのページを開いて読んでも、栗木作品の傾向や魅力が味わうことができる一冊。

 

 

 


佐川あけみ歌集『備忘録』

定価:2,640円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:174頁

ISBN978-4-86629-397-4

 

この六年の内に、夫君と長男を亡くした悲しみが歌集の底流としてある。

そこから身を引き上げるように、生地水戸へ居を移しての生活が始まった。

短歌も詠み始める。そして各地の災害と被災者、さらに周囲の人々への思いも強くなる。

短歌への信頼は、作者の抒情を一層深めていくことだろう。

                       中根 誠 帯文

 

 

 

 

 

<引用五首>

歌詠むは備忘録かと思ふなり亡き人達の近くにをりぬ

 

地球儀に浮舟のごと日本国地震(なゐ)といふ名の爆弾抱ふ

 

ひとところ塊となる花筏桃源郷へ辿り着けるか

 

長男は親を見送る責務あり為し遂げたまへ来世に生(あ)れて

 

高層に落としてならぬ布団干す大きく近く今日の太陽

 


松浦直巳歌集『あぶら虫の唄』

定価:2,750円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:236頁

ISBN978-4-86629-394-3

第一歌集。

 

生活と日本を詠えと啄木の「食(くら)うべき詩」はそこにこそある

 

 

歌集名がなんともと思わせてしまう。しかし、と言おうかここにこそ作者の思いが込められていることに、この歌集を読み終えて十分に気がつくことだと思う。

それは「実人生を歌う」「珍味、ご馳走ではない」「『必要』な詩という事」と言った「石川啄木の「食うべき詩」を地でゆくことになっている。

ーー小石雅夫 《歌集『あぶら虫の唄』に寄せて》より

 

 

<引用五首>

 

幸せという字は辛さに蓋をするされど一人で蓋は出来ない

 

洗えども匂いの消えぬ菜っ葉服皮膚に馴染みしあぶら虫かな

 

排熱に意識朦朧研磨室塩を噴きつつ塩を舐めており

 

ガマフヤー捨て石の島沖縄で十八万柱の骨を堀り継ぐ

 

パンプキン模擬爆弾を落とされし「島田空襲」夏めぐり来し

 


浜口美知子歌集『不如帰いづこ』

定価:2,750円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:230頁

ISBN978-4-86629-389-9

鎮魂の第三歌集

 

不如帰となりて飛び来よわが庭にそのこゑ聞かずその影見えず

 

 

その一声、朝空を、そして夕空を渡る。

何処より来て、何処に去ろうとするのか生き変わり死に変わりしながら、なおもこれの世の歌を、清浄の器に盛り続ける。

 

 

 

<引用五首>

縄文の人らも恵みを受けたらむ「森のダム」とも山毛欅(ぶな)の林は

 

やり直し利きても同じちちははの娘に生まれ夫と子とあれ

 

宵はやく雨戸を閉ざすひとり夜(よ)の銀河はるけし君すむ銀河

 

フォークソングを口ずさみつつ風のなか学生時代の恋の幼さ

 

遠やまの嶺うつすらと雪かづき霜のあしたの青空に映ゆ

 

 

 


市原やよひ歌集『海の光』

定価:2,750円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:236頁

ISBN9778-4-86629-393-6

 

待望の第一歌集。

 

市原やよひさんの歌は、不思議と軽やかで明るい。

作家のはじまりは、長野での高校時代。そこでの恩師に導かれて「地中海」に入り、生涯の伴侶となる市原志郎氏と巡りあった。結婚後、二人は藤沢に新居を構え、すぐそばには湘南の海があった。やよひさんが〝人生の中心を過ごした” という場所だ。そして、長い闘病(介護)の末に夫が亡くなった今も、海は静かな光を放っている。    久我田鶴子氏 帯文

 

 

<引用5首>

変声期迎えたる子がはにかみて我に寄り来ぬ夕べの厨

 

視界すべて海はダイヤを散らしおり二月はすでに春と呼ばるる

 

もう履かぬきっと履けない皮の靴みがきて夫の定位置に置く

 

夫抱え診察室に入りゆけば「仲良しですか」医師の声あり

 

車椅子になりてもつくし摘む春を待ち居し夫よ 春になりたり

 

 

 

 


竹柏会「心の花」編集部編『佐佐木幸綱の一首』

定価:3,300円(税込)

判型:四六判並製カバー装

頁数:342頁

ISBN978-4-86629-386-8

 

ご注文はこちら

『佐佐木幸綱の一首』 竹柏会「心の花」編集部・編 | ながらみ書房ネットショップ

 

 2000年1月~2024年8月にかけて「心の花」誌上に連載された「佐佐木幸綱の一首」を「心の花」編集部が纏めた一冊。 佐佐木幸綱の第一歌集『群黎』から第十七歌集『テオが来た日』までを対象として、「心の花」所属の歌人や、他結社の歌人、俳人なども含めた多彩な書き手が、佐佐木幸綱の歌の魅力を解き明かす。

 

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本書が佐佐木幸綱の詩学に新たな角度の光を投げかけ、読者一人ひとりにとっての「一首」と出会う場になれば、これ以上の喜びはない。(佐佐木頼綱「あとがき」より)

 

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群黎』

『直立せよ一行の詩』

『夏の鏡』

『火を運ぶ』

『反歌』

『金色の獅子』

『瀧の時間』

『旅人』

『アニマ』

『呑牛』

『逆旅』

『天馬』

『はじめての雪』

『百年の船』

『ムーンウォーク』

『ほろほろとろとろ』

『テオが来た日』

 

 

 

 

 


伊勢方信歌集『スノームーン』

定価:2,640円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:186頁

ISBN978-4-86629-387-5

 

送料:160円

 

円熟の第十歌集!

 

いくたびも逡巡し、沈黙し、思惟をめぐらす。

こころの空白を埋めるのは一滴の水、かすかな光だ。

それはやがて言葉の海原へ、そして煌々たる星辰のしらべへ。

傘寿を過ぎて、なお白眉の歌を詠み継ぐ。さらなる高みへと。

 

<引用五首>

通院の妻のリハビリ終わるまでカーラジオに聴く政界の闇

 

わが内に咲くまんじゆしやげいもうとにティアラつくりしその曼殊沙華

 

スノームーンを明日にひかへて退院す今日(けふ)から歩幅を下げて歩まう

 

疾病を払ふと伝(つたは)る宮の甃(いし)踏みつつまづしき念ひを捨つる

 

若き日は癒しとなりゐしロシア民謡いまも歌ひつ怒り抑ふと

 


北澤道子歌集『ケツァールの森』

定価:2,860円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:252頁

ISBN978-4-86629-380-6

 

送料:230円(税込)

治安わるきボゴダ空港に両脇の子とポシエットを握りしめたり

 

スタジアムすり鉢型にわれも爆ぜレアル・マドリードのサポーターなり

 

「オリエンタル!」指され気づけりああわれは東洋の人マヨール広場に

 

作者が夫君とともに過ごしたコスタリカ、コロンビア、スペインをはじめとする世界各地の歌を、「朝日歌壇」の投稿歌のなかに見つけたのが北澤さんとの出会いだった。その後「心の花」の仲間として、「東京歌会」「えんの会」などで直接、お会いするようになった。

 作者の近作に「来し方のタイムラプスのわが歌は癒しとなりてわが前にあり」がある。私の短歌は「タイムラプス」だ、そう表現している。人生と歌をどう重ねるか。北澤さんは一つの答えを見つけたようだ。  帯文 佐佐木幸綱

 

 

 

<引用五首>

 

「歯科医までゆきますメリダ」メモ書きのおかれる部屋に旅鞄なし

 

目を閉ぢて貝のごとくに口ひらきわれの知らざる顔さらす

 

魚抱く猫のKATSUOが夢にきて「ぼくにマスクを二まいください」

 

二人子をママチャリに乗せ風を切る豊穣の時われにありにき

 

さみどりの羽化みるどとし朝空にまろにえの葉の開きゆくなり

 

 


片桐宏子歌集『不覚』

定価:2,640円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:192頁

ISBN978-4-86629-381-3

 

老いの輝き 第一歌集。

 

 

ひとり居の気ままなくらし玉虫と遊ぶ贅沢白寿につなぐ

 

おおらかなユーモアを特徴とする歌だと言える。人生とは、そして老いの日々とは、究極、「遊びの贅沢」なのだという哲学が、ここにはある。一人になった暮らしを、それはそれとして肯定し、積極的に楽しもうとする、「老い」の智慧でありユーモアである。 

 

谷岡亜紀 「解説」より

 

 

<引用五首>

十薬を干したる掌にて受話器取る良き伝言の無きにしもあらず

 

桐一葉風に直に曳かれゆく八十路の気概吾れにまだある

 

つかれ目の老眼鏡にゆがむ文字雨まだ止まぬ文月朔日

 

満開の花の甘さをくぐり来し余韻のまずは白湯をのみたり

 

真実は身近にありぬ刻がきて夕すげの花静かにひらく

 

 


若松 颯歌集『在の一本気』

定価:2,310円(税込)

判型:A5判上製カバー装

頁数:144頁

ISBN978-4-86629-377-6

 

送料:160円

第六歌集

 

 

個性的なタイトルを掲げる本書は、若松颯さんの第六歌集である。

十代の頃より短歌に親しみ、リアリズムを根底に捉えたロマンチシズムを追求する若松さんは、時には日常生活をユーモアまじりに描き、また時には社会に鋭い眼差しを向け、他の追随を許さぬ独自な世界で読者の心をひきつける。

                   島崎榮一 帯文

 

 

<引用五首>

マスコミに発表さるる度に増ゆ震災死せるいのちの数が

 

描きすてし雪舟の画(ゑ)か・・・おもおもと積みたる雪に折れし雑木ら

 

ほがほがと白菊たちは目覚めゐてそつと吐息す 我が悩む窓

 

老朽のイメージ捨てよ我が友よ・・・百歳今や十万人かも

 

こんなではなかつた筈と喚けども下手クソな歌、愛すべき短歌(うた)

 

 

 

 

 


濱田千春歌集『三日月のかたち』

定価:2,640円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:180頁

ISBN978-4-86629-354-7

 

第二歌集。

 

 

 日を月を永遠(とわ)と信じる心にてお日さまとお呼びお月様と呼ぶ

 

歌は人なりという。濱田千春さんの歌を詠むとあらためてこの言葉を思う。濱田さんの歌は優しい。温かい。そして深い。それは彼女に会ったときに感じる印象である。こんなに優しいと世の中を生きてゆくのが大変だろうと余計な心配をしてしまうほどだ。でも、だいじょうぶ。濱田さんは心から信じるものをしっかり持っている。だから勁い。

 

  三日月のかたちで眠らん聖餐で今日いただいたイエスとともに

 

           帯文・伊藤一彦氏

 

 

 

<引用五首>

今もなお励まさるる文あの頃の恩師の年齢(とし)をとうにすぎても

 

婚姻の夜に言われき「主人とは言わないように、夫ですから」

 

確信をもちて読みたり「しあわせにくらしました」という結びの語

 

迷いなく神見上げたし嬉々として囀り続ける雲雀のように

 

月光に包まれて知る 安らいで光を送っているお月さま

 

 

 

 


島ゆり歌集『サロベツ原野』

定価:2,750円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:200頁

ISBN978-4-86629-384-4

 

※CD付き

 

送料:230円

 

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物語を紡ぐ第四歌集

 

『サロベツ原野……愛の蜃気楼』『サロベツ原野……地人の天』い続く本集『サロベツ原野』。<サロベツ三部作>の完結編!

 

 

この列島に生きて

サロベツの原野を踏みしめる。

心の飢渇、言葉の喀血。

みんなが幸せでありますように。

 

歌は虚心のままに、冷たく青い時空を翔ける!

 

<引用五首>

ひたすらに炉端の秋刀魚焼きてゐる老婆の釧路挽歌の釧路

 

サロベツの川をくだりて原野ありわがふるさとは愛の蜃気楼

 

コロナ司書恋愛の末逃げられし相手を探す索引検索

 

つれなくも親しすぎてもいけないと中庸探す大和の旅路

 

「さびしさとかなしみ背負い旅立ちぬ」幸せでしたかこの世の生は

 

 


岩井謙一歌集『バベルの時代』

定価:1,870円(税込)

判型:四六判並製カバー装

頁数:132頁

ISBN978-4-86629-383-7

 

待望の第六歌集!

 

 

悲惨、矛盾、怒り、悲しみ。

眼差しは深い韻律となり、言葉となる。

この世界に、この列島にめんざいふはあるか?

 

生の来歴を証しする、

歌という欺瞞の符は。

 

 

 

 

<引用5首>

夏来たり冬を迎えど変わらぬはぬばたまの月にあるとう桂

 

識字率高き日本にありたれど語り部なるを好む国なり

 

太き根が深くをつかみからみあい頭蓋(とうがい)として里山のあり

 

いらぬもの削ぎ落したれば花あらぬ無縁仏の駅にありたり

 

薄けれど新燃岳の降灰を被れる車体焼きたる日射

 


久保とし子歌集『青桐の並木の道を』

定価:2,200円(税込)

判型:四六判並製カバー装

頁数:162頁

ISBN978-4-86629-385-1

 

送料:160円

 

第一歌集。

 

コロナ渦ーーー。

すべてが奪われていった日々。

病と闘う夫にも面会が許されず、隔絶され、

やがてこの世の別れを強いられた悔根と悲しみ。

おごそかな挽歌の響きを伝えたい!

生死を越えて、はるかに!

 

 

 

<引用五首>

わたしひとりのためにストーブ温めてわたしひとりのために茶を淹れ

 

へっちゃらと思っていてもふいにくるさびしさをいかんともしがたくて

 

夫がいて子らは幼く青桐の葉をひからせる秋風を見つ

 

わたくしの夏の体は木に熟れし朝採れとまとの赤をよろこぶ

 

没りつ日が武蔵野線の奥ふかく浸してみんな溺れそうです

 

 

 


平田キミ歌集『フランネル草』

定価:2,530円(税込)

判型:四六判並製カバー装

頁数:188頁

ISBN978-4-86629-379-0

 

送料:160円

第一歌集。

 

 

平田さんのもの思いはただ思い出をはぐくんだり、

思いをめぐらしたりするだけではなく、

未来を考える手立てとしての歌にもなっている。

未来への宿題としてさまざまに心をくだく、

その憂いこそ作者の「詠いたい」という気持ちの

源になっているのだろう。

                 池谷しげみ「解説」より

 

 

 

<引用五首>

ハルジオンの花咲く道を帰りくる早い児遅い児ずっと遅い児

 

売られゆくわが学資なる肉牛の大きな瞳、頬を忘れず

 

熱は出ずただ「しんない」と骨髄異形形成症候群に母はゆきたり

 

午前五時向かいの除雪機唸りだす冷えし静寂引き裂ける音

 

先進国に過労死あるは日本のみ寂しく聞きぬ晩秋の夕

 

 

 


谷岡亜紀歌集『ホテル・パセティック』

定価:2,750円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:152頁

ISBN978-4-8629-382-0

 

送料:160円

第六歌集

 

いつだったか、パシフィック・ホテルがまだ湘南の海に美しい姿を保っていた頃、国道134号線の松並木で正月の箱根駅伝の応援をした帰りに、最上階の展望レストランで、一度だけ家族五人で食事をしたことがあった。まだ息子は幼く、両親も健在だった。眼科に、光る海と烏帽子岩。左手に江の島と三浦半島。正面のはるか沖に伊豆大島。そして右手に富士山と伊豆半島が、はるばると見渡せた。よく晴れた、穏やかな冬の午後だった。

 その両親ともすでにこの世になく、就職した息子は今、家族四人でアメリカのデトロイト郊外に暮らしている。時は夢のように流れ去っていった。

 

 <あとがき>より

 

 

<引用五首>

 

徐々に徐々に父はおかしくなりゆきて描きかけの裸婦スケッチ残る

 

忘れる事は救いであるか貝殻を拾うがごとく歌を拾えり

 

感情を失いてのち老い人の顔は大悲の顔に近づく

 

精神もともに燃え尽きゆきたるか火葬場にいま西日及べり

 

始まりの光は朝の窓に差しやがて静かに目覚める人よ

 

 


苅谷君代歌集『視野が飛ぶ』

定価:2,750円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:202頁

ISBN978-4-86629-376-9

 

第六歌集

 

 右眼0.01という視力だけを頼りに世界と対峙し続けてきた作者である。

しかも「文字を喪ふそれだけを怖れてゐるわれにいつかその日は確実にくる」と作者に言わしめるように、さらに悪くなることはあっても良くなることの期待できない状態である。歌集名『視野が飛ぶ』に込められた作者の思いは深い。

 しかし、白杖を自らの「目」として、作者は世界に積極的に関わっていく。

 

「あきらめず、めげず、気負はず、怯まず」と打ち消しの「ず」がわれを励ます

 

山梔子(くちなし)の実はまだあをきゆふぐれよわれに「これから」とふ時間あり

 

 打ち消しの「ず」がこれほどの肯定的な力を持っている例を私は他に知らない。「視野が飛ぶ」不安のなかで、なお「これから」という時間に己の未来を託そうとする作者の歌は、私たちを励ますだけでなく、私たち一人ひとりが歌を持つことの喜びを再確認させてもくれるのである。     <帯文 永田和宏>

 

 

 

<引用五首>

 

「視野が飛ぶ」すなはち見えなくなることをいまは忘れて買ふサインペン

 

この指は触れて「見る」指われの蒔く種より芽吹く花のいろいろ

 

指先に触れて確認するための凸凹はないタッチパネルに

 

目を閉ぢてをれば狂気のごとき闇 ひらりと文字が虹色に飛ぶ

 

見えてゐたころのわたしが見たモネの睡蓮いまも記憶に咲けり

 

 


服部秀星歌集『天球の音楽』

定価:2,750円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:226頁

ISBN978-4-86629-373-8

第一歌集

 

タイ国の窓から覗く灯り見ゆ異国の地にて仲間働く

 

鋭角に鳥が翔びたつ元日のくらき庭より朝陽のなかへ

 

秋天の東京駅を描きにゆくオフィスに人の仕事する午後

 

大手食品会社の人事部に勤務、監査役までつとめた時代の作から、退職して、家庭人さらには社会人として自由な日々を過ごす時代の作まで、長い期間にわたる幅広い人生の時間をうたった一冊。四季・自然・社会・家族・家庭を、豊かな好奇心、奥深い感性でうたう一首一首に作者のなみなみならぬ才能を読む。新宿の朝日カルチャーセンターで出逢った才能である。   <帯文 佐佐木幸綱>

 

 

<引用五首>

 

気まぐれに角をまがれば突然の空にひろがる満開の桜(はな)

 

静かにも寝息をたてる妻のいて幸福(しあわせ)とはこういうことか

 

うす桃の辛夷の花を写しいてかぜに揺るれば風を描きたし

 

天球の音楽地球(テラ)にふりそそぎ生命(いのち)生ましむ 愛のごとくに

 

陽の移り座れる位置の翳りゆけば筆持つ指が冷たくなりぬ

 

 


時田則雄 著 『十勝から』

定価:2,530円(税込)

判型:四六判並製カバー装

頁数:262頁

ISBN978-4-86629-370-7

 

公益社団法人全国農業共済協会が発行する月刊誌『NOSAI』に、21年間にわたって連載。その252編を収めた、現代を生きるうた物語。

 

 

場所は十勝。

農に汗を流しての半世紀余り。

この大地に一本の屈強な樹となり、無骨な石となり、トラクター、コンバインの響きとともに、日々が土との格闘だ。怒号も咆哮も悲鳴すら、やわらかく強靭な歌となり、青空を翔ける。

 

 

 

 

このあした堆肥の湯気に励まされ拳に力集まりて来ぬ

 

今日は4月1日、長い冬を雪の下で過ごしていた小麦が、やわらかな風に吹かれて碧を輝かせている。ゆっくりと流れる綿のような雲が目に染みる。土はまだ湿り気を帯びて冷たいが、その上に立っていると心が和んでくる。 

(歌と本文より)

 

 

 

 

 


高野恵美子歌集『薔薇』

定価:1,870円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:170頁

ISBN978-4-86629-375-2

 

第一歌集。

 

 

日々の生活の中で自分が見聞し、感じ、考えたことを

言葉にのせてまとめられたらと思っています。

今までの作をまとめていてたくさんの出会いに恵まれ、

繋がりに支えられていることを改めて感じさせられました。

長い歴史のある短歌の流れの末端に

繋がらせていただけたことを感謝しています。

-「後記」よりー

 

 

 

 

<引用5首>

花実まで幾年忍びかたくりにそつと触れたり似たる心地して

 

先生と呼ばれるたびに背筋伸ぶ母は今でも教師なるらし

 

切り替へのできぬ心を持て余し大き音立て茶碗洗ひぬ

 

子を叱り母を注意し夕暮れてふと見れば紅き葡萄の芽あり

 

乾きたる心で歩む薔薇園のピースとふ名の薔薇見つけたり

 

 


大塚健歌集『風樹』

定価:2,640円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:174頁

ISBN978-86629-372-1

ますますの自らの世界を展開した、刮目の第七歌集!

 

<あとがき より>

七冊目の歌集になる。この期間中は丁度、新型コロナウイルス禍の渦中にあたり、今もマスクを手放せないでいる。その影響は、内外ともにあり、作品にもすくなからぬ翳をおとしている。

 

<引用五首>

ぶちまかれたる大量の兵器にてすがた見えねば世界がおびゆ

 

どうみても春はすべてが寂しくて遠い過去から波うち寄せぬ

 

胸の内にも白きもの降りしきりきさらぎはわが生まれ月なり

 

眼のとほり鼻の通りのよき朝の窓をひらきて摂り込めり世を

 

翳のないやさしさなんて信じない日向は避けて生きてきたのだ

 

 

 


滝沢章歌集『夏雲』

定価:2,530円(税込)

判型:A5判上製カバー装

頁数:180頁

ISBN978-4-86629-369-1

 

本書は、滝沢章さんの第二歌集。神奈川の海老名に住み、農業に親しみながら、活動的な日常のなかで見て、聞いたことが、生き生きと、みずみずしく表現されている。滝沢さんはよく聞く人でもある。ときには、じっと音に耳を傾け、鋭い感性で一首にまとめている。そこから詩の世界が広がる。

ー 島崎榮一氏 帯文 ー

 

 

<引用5首>

染み渡る水を合図に春の田に叫びのごときかはづ鳴き初む

 

鳴きゐるは垣の向かうの柿の木か寒さとともにひたきの声す

 

磨り減らし回廊ゆけば足裏を突き上げて鳴く年輪のこゑ

 

朝露の滴る壬生菜ビニールに鮮度とぢこめ旬を手渡す

 

手袋を突き抜く刺もかはしつつ柚子もぐ袖に移り香あふる

 

 


米田伊豆美歌集『くさあそび』

定価:2,640円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:180頁

ISBN978-4-86629-367-7

季節のめぐりや暮らしの息遣いが丁寧に詠まれた歌集である。言葉運びに無理なところがなく自然体で心地よい。良質のエッセイのように、読んでいるうちに心がしんと落ち着いてくる。 ーーー松村正直「跋」より

 

 

《引用5首》

黒猫の耳がまつさかさまになり石垣降りる素早さは見つ

 

蟬のこゑ湧きあがるころ駄菓子屋は狭くなりたり網、籠、帽子

 

しらうめや 来世はあなたの孫として生まれてくるよ女孫撫でつつ

 

一晩中灯されてをり 池の向うひとつの家のふたつのあかり

 

こひしさは父の胡坐の中にゐて陽を浴びてゐたこどものわたし

 

 


戸井田聖子歌集『世界中の桜がぜんぶ咲いたら』

定価:2,750円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:212頁

ISBN978-4-86629-371-4

第一歌集!

 

歌との出会いから三十年。

ひたむきに生き、ひたすらに歌った

戸井田聖子さんの豊かな表情の見える第一歌集である。

          ー 平林静代 帯文 ー

 

 

 

<引用5首>

境内の玉砂利踏みて足裏にひとつひとつの丸さを拾う

 

十二歳の言葉は文句の形して笑ってみたり甘えてみたり

 

ゆったりと過ごすと決めた休日は本とワインと窓からの風

 

母親の仕事は二十二時までと子に言いて鎖す部屋の扉を

 

諍いの少なくなりて殊更に広がるような子との隔たり

 

 

 


村山伀歌集『雪香る』

定価:2,860円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:242頁

ISBN978-4-86629-365-3

 

雪が匂う。雪が香る。

荒海の向こうには佐渡の島山。

単調な日々の照り翳りの中で、心ふるえる事どもを写しとる。

うたという定型にこめる思いの数々!

 

<引用5首>

 

山あひの激しき夕立ちとほり過ぎ谷の流れの濁り増したり

 

夕やけの消えて彼方に横たはる佐渡の鳥山とつぷりと暮る

 

かんじきに行き来して踏む雪のみち踏み跡並び美しかりき

 

ふる里に還りて家なく雲のごとさすらひにける 沙門良寛

 

雪割草小さき花をりんりんと鳴らすがごとくそよ風のゆく

 

 


青戸紫枝 著 『大岡博 評伝 拈華微笑』

定価:2,860円(税込)

判型:四六判並製カバー装

頁数:320頁

ISBN978-4-86629-356-1

歌人大岡博の画期的評伝!!

 

 

この評伝は博を描きながら信をもその射程に入れる意図をもって執筆されているのである。

父としての喜びや不安、教育者としての誇りや悲哀、経済的心労を癒やす師との文学的交流などなど、大岡博という歌人が短歌を通じて「救われていく」ありさまには静かな感動をおぼえる。

                         大岡玲「解説」より

 

 

 

 

 

 


式守操歌集『色えんぴつを』

定価:2,530円(税込)

判型:四六判並製カバー装

頁数:156頁

ISBN978-4-86629-353-0

妻というよりは娘といるように色えんぴつを持たせてレジへ

 

色えんぴつ、あるいはそれはメルヘン。子供も大人も。

メルヘンは現実を塗りつぶしてくれるだろうか。

どこか屈折し、韜晦しながら見つめるこの世界。

光だ。まばゆく輝く光の束だ。極彩色の言葉だ。

 

 

<引用5首>

 

亡き母の肩の高さにやわらかく梅がひらくを見おろしており

 

触れたならたちまち粉になりそうなうすい瞼が病にとじる

 

冬空の遠く頭を下げていた血で鮮やかに信号が赤

 

この店の夜のマネキン首はなくこのごろかるく笑顔をよこす

 

音のない太陽系の遠景にわが肉体が月光に照る

 

 

 


三浦政博歌集『君も唄へよ』

定価:2,640円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:168頁

ISBN978-4-86626-349-3

第一歌集!

 

歌人・三浦政博は、決して器用な作者ではない。

しかしながら、しっかりとした声調でとつとつと歌うその詠み口には信頼感が溢れる。

多くの読者がその信頼感に触れて共感し、ああ、短歌っていいな、自分も作りたいと思ってくれることを願うものである。

 

黒岩剛仁「跋」より

 

 

<引用5首>

晩秋の水を湛ふる朝靄の潟や孤舟の影滑りゆく

 

字足らずの吾が人生の字余りの君補ひて定型保つ

 

それぞれのベクトル持てる生徒達(こら)なれど「解求めむ」の眼差し等し

 

南端に海風を受け立つ墓碑に父と同姓同名のあり

 

ブルースを君も唄へよ夜空には見つめる星があるさこんなに

 

 

 


屋良健一郎歌集『KOZA』

定価:2,750円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:172頁

ISBN978-4-86629-294-6

 

第26回現代短歌新人賞受賞

 

待望の第一歌集!

 

KOZAの街に上がる暴徒の焔見ゆ復帰前後を語る目の奥

 

モノクロの写真の街の白き火よ KOZAの暴力美(は)しかりにけん

 

スカートの脚組み替えて、ああ、君も米兵に抱かれたことを言う

 

 

『KOZA』の語源・意味は諸説あって、正解がない、というのが定説である。

歌集のタイトルに『KOZA』を選んだのは、分からなさこそが沖縄の核心だという作者の思いがあるからにちがいない。父の沖縄、祖父の沖縄、さらには尚文子の沖縄、時代の違うそれぞれの沖縄の手前に、現在を生きる屋良健一郎の沖縄がある。本歌集は、その沖縄を多様な角度で歌い切った作者渾身の第一歌集である。

                        帯文 佐佐木幸綱

 

 

 

<引用5首>

 

放課後の外階段の告白をぬんでぃがぬんでぃが米軍機ゆく

 

君には君の香りがあると分かる距離春雨の降る夜の公園

 

沖縄の心を持てと諭されて半分開ける助手席の窓

 

君の猫が僕らの猫になることの鼻先にねこじゃらしを揺らす

 

血や怒り悲しみでもなくひとを抱く色として咲けハイビスカスよ

 

 

 


渡英子著『メロディアの笛Ⅱ 白秋の昭和』

定価:2,970円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:320頁

ISBN978-4-86629-355-4

稀有なる白秋論!

 

言葉を縦横無地に駆使し、言葉の内なる広大無辺の大地を歩み続けた。詩歌、童謡まで幅広く親しまれているこの詩人を著者は精緻に追い続ける。詩歌の変革、時代との向き合い方など、丹念に資料を読み解きながら、昭和の時代に向かって、白秋像を深く明快に展開した白眉の論考集。

 

今や伝説の国民詩人ーー北原白秋 今年生誕140周年

 

<本文より>

鴎外・敏という孤高の精神を持つ文学者、「真の享楽者」の系譜を継いだ白秋が門弟を育て、詩業の集大成を歌人としてなし遂げた原動力には、昭和という時代への危機感があったのではないか。時代の要請に応えつつ普遍的な美を希求した白秋の選択である。

 

 


大野道夫歌集『冬襤褸』

定価:2,200円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:176頁

ISBN978-4-86629-359-2

 

第六歌集。

 

時として少年のような純粋な眼差しを。

あるいは世の中の理不尽に牙を剥く獰猛さを。

歌という時空に自らの時空を重ね合わせ、

心顫せながら復活の日をここに証しする!

 

 

 

<引用5首>

 

冬襤褸(ふゆらんる) 乱流(らんる)の淵にひそみ寝る紙の襁褓(むつき)の襞(ひだ)白じろく

 

ラッキョウに芯あることを信じいるようにむき剝き続ける 九条

 

「妖艶(ようえん)」が差別語となる国の園孔雀(くじゃく)は去れり羽を広げて

 

濡れ光り伸び深く触れ消えてゆく夏の舌にてふれるすべてが

 

貼らぬまま乾いてゆきし二円切手ウサギは暗く僕を視つめて

 

 


青木陽子歌集『転生』

定価:2,750円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:190頁

ISBN978-4-86629-357-8

 

長年のしがらみを断ち切って、新天地で水を得た青木陽子さんの第六歌集。新しい多くの仲間からの刺激を受けて、作品はますます自在になる。

『転生』はまさしく、まだ見ぬ世界を切り拓く一歩でもある。 外塚喬(帯文)

 

 

 

<引用五首>

 

新春の霜気清しき徳川園こころ新たに天涯仰ぐ

 

秋晴れに木漏れ日揺らぐ並木路に風の遍路のごとしわが身は

 

転生の願ひ久しき立春に風吹き渡る庭の木立を

 

夕茜の藍に変はりて灯を点す帰りこぬ夫いまも待ちゐる

 

ぬばたまの闇は黄泉へのオブリガート広きわが家に独りの睡り

 

 

 


伊藤純歌集『ぎやまん紀行』

定価:2,530円(税込)

判型:四六判並製カバー装

頁数:206頁

ISBN978-4-86629-351-6

 

第二歌集!

 

歌の重層性、固有名詞の活用、過去を含む現在の時間の表し方、写実と造形性等々。さまざまな可能性をもった伊藤さんの歌が今後どのように進展し発展してゆくのか、愉しみに見守りたい。

ーー三枝浩樹 「解説」より

 

 

<引用5首>

そにどりの碧瑠璃坏(へきるのつき)よわがもとへ流沙をはるか飛び越えて来よ

 

花ぐわしさくらの白きひとひらに乗りて飛びゆくちい小(ちい)さ神(がみ)見ゆ

 

往古この碧きグラスを奪いたる記憶還りて われは盗賊

 

使わなくなりて幾歳この里を治むるごとく配水塔立つ

 

バス停に遠く見ておりセキレイの尾にアスファルト叩くしずもり

 

 

 

 

 

 

 


金田秋子歌集『翼広げて』

定価:2,640円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:208頁

ISBN978-4-86629-350-9

一つ減り二つ減りゆく趣味の道続けて行かむ歌詠みの道

 

年を経るに従って出来ない事も増えてゆく。しかし、歌だけは続けてゆきたいと心に誓う金田さんに、心からエールを送りたい。

そして「頂上のない短歌の山」の頂上を目指し、楽しみながらこつこつと歩んで行っていただきたい。

三友さよ子「跋」より

 

 

<引用五首>

 

「跳び箱が六段飛べた」と教へ子は吾に駆け寄る大きなる声

 

朝マラソン渋る児童は手を引かれ見事走れり落ち葉踏みしめ

 

ロシアより電波届きてラジオ聞く北の最果て利尻の地にて

 

土捏ねてろくろ回すを猫見つむ頭を傾げ時をり手を出し

 

鯉幟りぼくのもあると男の孫は玄関に飾るミニチュアを指す

 

 


中井龍彦歌集『國つ神』

定価:2,750円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:216頁

ISBN978-4-86629-352-3

國つ神はどこへ行ってしまったか

権力に抗い、産土の砦を守り続けた神々の血脈

豊かな言霊、屈強な荒魂

吉野の奥深い地から発信される

孤高で清新な、そして純粋な叫びの数々!

 

 

 

<引用5首>

川みづのながれゆく音聴きにつつわれもながれてゆくゆふまぐれ

 

彼岸花咲きてこの世の果てまでも行きつ戻りつあくがれてゆく

 

山びとと呼ばれむために覚えおく蔓竜胆の花むらさき

 

六月は花嫁御寮の月なれば大山蓮華山に咲くころ

 

ゆふぐれの火をみつむればこの世にもあの世にも無きわれかとおもふ

 

 

 

 


清水久子歌集『巡見橋の朝焼け』

定価:2,860円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:248頁

ISBN978-4-86629-345-5

 

 

第一歌集!

 

橋を渡る折にでもただ呆と渡っているのではなく、今日の水の流れや、鳥の羽撃きの変化なども興味を持って眺められる。

清水さんの感性、努力によって生まれた歌集『巡見橋の朝焼け』はその橋の由来と共に多くの人達に愛され読み継がれていくであろう。

 

                鈴木八重「序」より

 

 

 

 

<引用五首>

アンケートの七十代に丸を打つ新しき坂登り始めぬ

 

庭畑の大根刻み干し上ぐる元気印の吾の歳時記

 

屋根裏の長持ち開けざるまま過ぎて我が代に課せられし諸々思ふ

 

明けやらぬ空の残月仰ぎ見て夫は駅舎へ駆け上がりゆく

 

夜の更けて白梅香る庭の辺に光を放ち月影至る

 

 

 

 


楠田立身歌集『益城』

定価:2,750円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:192ページ

ISBN978-4-86629-347-9

 

第六歌集!

 

病のごとく思郷のこころが湧く日。

ふるさと益城。熊本地震に崩れようとも、

たしかに私の故郷だ。

病を得て苦患の中にあろうとも、

不屈のたましいを醸成し続ける。

師・斎藤史への敬虔な祈りと志、継承は今も、なお。

 

<引用五首>

五大明王のいづれの神の憤怒ならむ余震地域の広がりゆくは

 

われの名をわれより美しく書く人に筆を選びて書く返し文

 

この星にわれの名をもて登記せる竹林ありて蛇が谷と称ぶ

 

三好達治に夢で遇ひなば質すべしあぢさゐ色のかの日のこころ

 

斎藤史の重さ軽さの無きさくら残り時間少なきわが辺にも降る


近藤好廣歌集『天空の果て』

定価:2,750円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:198ページ

ISBN978-4-86629-338-7

 

近藤さんの歌には憧憬の対象に出会って精神を開放してゆく傾向がみられる。これは近藤さんに限らず歌人が持つ感受性なのであるが、対象に入り込む素直さとやさしさが近藤さんの歌の持ち味であるといえるだろう。

 

        ーーーーーーーー梅内美華子「解説」より

 

 

<引用五首>

 

海原の涯よりうまるる朝光が伊根の舟屋をこの世に戻す

 

耐洗耐光性の色に染める吾のひと生は布との格闘

 

みち一杯に矢絣模様を描きつつゆつくりすすむ母の田植機

 

まだ生きるもつと生きるを口にして光の雫をじつと見つむる

 

林檎の香残る空箱に今朝摘みし蕗の薹詰め旅つづけゆく

 

 

 

 


藤澤幸男歌集『はる』

定価:2,420円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:152ページ

ISBN978-4-86629-343-1

欲しいのはしずかなちからこの冬の発語としての初雪を待つ

 

<「栞」より >

 

「しずかなちから」とは具体的に何なのか、と読んでゆく時の読者の期待を良い意味で裏切って、この下句には確かな存在感がある

            ーーーーーーー河野美砂子

 

雪を作者は嫌っているわけではない。むしろ心待ちにしているのだ。初雪を「冬の発語」と捉えるところに雪への愛情が滲んでいる。

            ーーーーーーーー松村正直

 

 

 

<引用五首>

ひと筋の蜜のようにも細りつつ濃さを増してゆく真冬のこころ

 

わたしからさびしい馬が立ち上がり吸われるように雪へと消えた

 

どか雪に埋め尽くされた道が開き北國新聞三日分くる

 

墓を終い生家を終い少年のわたしを終いふるさとをしまう

 

鉛筆で<はる、春、悠(はる)>と書いてゆく罫線の畝に種まくように

 

 

 

 


加古陽歌集『夜明けのニュースデスク』

判型:四六判上製カバー装

頁数:216頁

定価:2,750円(税込)

ISBN978-4-86629-344

 

人と人を結ぶのは言葉

             帯文よりー 佐佐木幸綱

 

 

<栞付き>

 

歌に込められた”戦禍の記憶”   大石芳野

硬派の抒情性         栗木京子

事実から歌へ         小池昌代

 

 

<引用10首>

星空を朝日が殺す一点の曇りなき日を始めるために

 

白紙からつくりはじめる新聞は日々完全を追う不完全

 

蜂蜜が頤(おとがい)を垂る逝く日までニュースにまみれ生きてゆくのか

 

湧き上がる。真夏の空の青さから積乱雲の白とめどなく

 

近づいてゆけばゆくほど雲離れ遠い水平線だ、読者は

 

ドローンの眼で見るドリップ珈琲の乾きゆく核燃料プール

 

魚跳ねて傷む水面を縫う針の迅き運びを重力という

 

感情は液体としてここにあり湧く、込み上げる、浸る、溺れる

 

薄曇に白くけぶれる名残りの月 きょう本当を伝えられたか

 

共同通信の修正電文流れてきてひと文字直す「る」から「た」へと

 

 

 

 


原口嘉代子歌集『飛鳥』

定価:2,860円(税込)

判型:A5判上製カバー装

頁数:224頁

ISBN978-4-86629-337-0

 

第一歌集!

 

君よりの長き手紙を読むやうに炉辺(ハース)にひとり炎見つむる

 

曽祖母も祖母母我も張り継ぎて障子よ清し百年の家

 

紀の国を初めて旅し木と水と石より成れる土地と知りたり

 

 

名詞が多く、なかんずく固有名詞が多い歌集だからだろう、めりはりがきいて輪郭のすっきりした歌が多い印象である。歌集には、家族をはじめ多くの人名が歌われ、多くの地名、多くの具体的事象が歌われている。あくまでも具体的な点が特色である。さらに私が注目したのは、作者の好奇心の強さと、行動力である。縄文杉を見るためにわざわざ屋久島まで行った歌、髙橋真梨子の最後のコンサートに行った歌などがあって驚かされた。

 

--------------------------------------------------------------------------------------佐佐木幸綱 帯文

 

 

 

 

<引用五首>

 

屋久島の真青の海を胸張りて直線にとぶ飛魚の群

 

秋植ゑの葱すんすんと伸びあがる春雨降らす空に向かひて

 

ひもすがら古本屋街歩きにき一冊の本とラドリオの珈琲

 

廃線の転轍機ギと動かして幻の汽車来さしめむかな

 

腕組みてかの月見台に立ちをらむ文届けかし雁に託せば

 

 

 


江畑實著『創世神話「塚本邦雄」初期歌集の精神風景』

定価:1,980円(税込)

判型:四六判並製カバー装

頁数:300頁

ISBN978-4-86629-334-9

炎のように青くー

塚本邦雄、前衛歌人の軌跡

冷徹にしてときに青く炎だつ、灼熱の詩的パンセ!

 

 

若き日の葛藤、苦悩、そして情熱…

塚本邦雄の初期歌集誕生の時代背景と内的ドラマを克明に辿り、その作品価値を現在に再創造する。

冷徹な分析と情熱的な論考が織り成す、470枚の圧倒的な詩的思索。文学とは何か、そして前衛とは?

 

<目次より>

「前衛以前」に胚胎するもの

『水葬物語』の生成

死の歌の互換可能性

死という栄光

『往復書簡』-批評の戦場

『透明文法』のメトード

『装飾樂句』-倒立した硝子のオブジェ

『日本人靈歌』-革命か、ニヒリズムか

『水銀傳説』-孤立無援の「前衛派」

『水銀傳説』-「言語フェティシズム」の詩法

『緑色研究』-藝術至上萬華鏡

『感幻樂』-「闘争」の季節に

『星餐圖』-韻律の彼岸へ

 


高山邦男歌集『Mother』

定価:2,530円(税込)

判型:四六判並製カバー装

頁数:214頁

ISBN978-4-86629-340-0

第29回若山牧水賞 受賞!!

 

 

スプーンで口元に運ぶカレーライス二人羽織めく母の食事は

 

生きるとは死ぬまで生きむとする力テーブルの海に母の手泳ぐ

 

「介護と言うと何か負の側面が強調されがちですが、私自身の感覚としては困難とか苦しさより楽しさとか喜びを歌ってきたという思いがあります」(あとがきより)

 

抒情詩の可能性を追い求める作者の優しくも切ない短歌集!

 

<引用五首>

もたもたと着替へて布団の中に入り母は安心満点の顔

 

母と歌ふきらきら星は途中まで買ひ物帰りの冬のゆふぐれ

 

笑つてるやううな寝顔で眠りをる母は無言でわたしを救ふ

 

美味しくて食べたいときは前に出る口へとまぐろの赤身をはこぶ

 

天人に寿命があるといふ話うつくし真夏の夕暮にゐて

 


井野佐登歌集『アボカド号』

定価:2,860円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:242頁

ISBN978-4-86629-339-4

 

第七歌集!

 

 

晴れた日はアブラカダブラ風になりアボカド号で海辺を走る

 

歌という幻想空間に立つ。眩暈のような日常の束。

コロナ、ウクライナ、時代の大きなうねりの中で、なだらかな地平の彼方から美しい言葉を捥ぎ取る。

 

<引用五首>

おだやかなわが三河湾北東へ波は微粒の砂はこびをり

 

いちにちを足したり引きたりせよといふ日付変更線ばかりが平和

 

ウクライナを遠き国とは思はない 三月のあさ空をゆく雁

 

春ひと日街を歩みてボルドーの白アスパラのひかりを食べる

 

まひるまの八百屋に着弾片のどと白いいちぢく赤いいちぢく

 

 

 


斎藤美知子歌集『時空はるかに』

定価:2,750円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:170頁

ISBN978-4-86629-332-5

前歌集の『アレジアは雨』からほぼ十年。

この歌集にはさらにいとおしい家族たちを著者はひたすらに詠い上げている。

作品はいかにもしっとりとした詩情にあふれ、著者ならではの世界をさらに切り開いて行こうとする姿勢が強く窺える。長年つれそってきた一人を偲ぶ作品は、人間としてのかなしみにあふれ、切々として読む人の心を執えてやまないものがある。

 

帯文 林田恒浩

 

 

 

 

<引用 六首>

さゐさゐと葉に降る雨の閑かなり白あぢさゐは誰が魂ならむ

 

疲れ兆す身にはしなくも沁みとほる夏うぐひすの透明の声

 

冥界の姉とわれとをつなぐ路爪木崎さかりの水仙を訪ふ

 

さすらひの想ひはきざす昼の月かくあはあはとわれに晩年

 

連なりて無蓋の貨車が北へゆくながく忘れてゐたる風景

 

はからずも泪こぼれき伏す夫が掌を述べて言ふ「今日もありがたう」

 


太田裕万歌集『二本目の杖』

定価:2,860円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:278頁

ISBN978-4-86629-336-3

 

遍路。

それは祈りのかたち。

祈りは、やがて詩ごころへと昇華される。

身辺日常のものたべて、まばゆい歌のかけら。

悠々と拾い集めながら、この細い透明な小道をゆくのみ。

 

 

<引用 五首>

からからと去年の若葉が風にちる今年の若葉の陽に透ける谷

 

どうぞもう好きにいきてくださいと満作が咲く冬晴れの庭

 

はぐれ雲ふたつ浮かべる山麓のまだ濡れている駅につきたり

 

袈裟、数珠と地図もテッシュも雨に濡る白ビニールの頭陀袋なり

 

光るからまれにみかける百円よ微笑みおびて咲くがごとくに

 

 


石原美智子歌集『心のボタン』

定価:2,750円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:176頁

ISBN978-4-86629-333-2

 

第一歌集

 

許せぬが許すにかはる変換キー心のボタンを少しずらして

 

石原美智子さんに会うと、温かな笑顔にこちらの気持ちまで優しく温かくなる。

私だけでなく他の人もそうである。だから友だちもファンも多い。だが、石原さんが穏やかな表面と別の渾沌とした鋭い内面を当然ながら秘めていることをこの歌集は教えてくれる。「心のボタン」をいつも調節して生きている「心の苦労人」なのだとあらためて思う。彼女が苦楽を味わいながら過ごしてきた長い時間、家族とともに過ごしてきた濃密な時間に想いを致す一冊である。

                                                                                                          伊藤一彦 帯文

 

 

 

<収録歌より>

草かげに野地菊さけりひつそりとうす紫を秋に託され

 

すぎてゆく時を刻み吾亦紅(われもかう)冬には冬の姿に立てり

 

声だせば地球の向かうへ届くやう青空だけの宮崎の冬

 

我が持てる小型船舶操縦士二度しか使はぬ免状あはれ

 

同じむき同じ間隔に飛ぶ雁よ茜にそまる山の端を背に

 

 


鷺沼あかね歌集『天朗』

定価:2,750円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:196頁

ISBN978-4-86629-328-8

 

第二歌集!

 

たとえば空の青の深処へ

そっと言葉を置く。いつか、どこかで

置き去られたはずの言葉が輝きを放ち始める。

平凡な日常であっても、病む日々であっても。

すべてを歌のしらべに委ねて、命の気息を確かめたい。

 

 

 

<引用5首>

冬木の枝いつぱいに咲く雪の花あしたの空へ散りかへるべし

 

しかられて暗くなるまで歌ひたりひとり鞠つき「あんたがたどこさ」

 

オリオンの三つ星さしてありんこの行列きたと麻里ちやん笑ふ

 

反物は茜の光 ひろげれば花輪の山を染める夕焼け

 

天の河かかり星団あまたある肺の宙なるCT画像

 

 

 

 


園部みつ江歌集『命をぢかに』

定価:2,750円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:180頁

ISBN978-4-86629-329-5

第四歌集

 

 

信頼篤い二人が見つめ合う互いの眼差しに

「命をぢかに」と気づいた含羞が眩しい。

 

愛の歌集の

深く尊い味わいと出会えた。

 

御供平佶 帯文

 

 

 

 

<引用5首>

 

光背を炎(ほむら)に凝らす目にやがて七羽の火の鳥の影

 

紅葉の樹々のあはひに奥まれる多宝塔夕べの闇に呑まれぬ

 

ゆかしさの日々に募り来アヴェ・マリア終の別れをわが告げざりき

 

円柱の中ほど太く地震に耐へ大和飛鳥の寺社に伝へ来

 

あたたかき胸にうつぶすわが裡を溢れくるもの零るるままに

 


西崎恭司歌集『けふの青空』

定価:2,200円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:154頁

ISBN978-4-86629-326-4

第一歌集

 

 

世界と暮しをゆったりと短歌に抱きとめて楽しむ西崎恭司がいる。 

三枝昻之

 

人生の機微を衒わず、感情過多にならず短歌という定型詩に預けることが出来るのは同世代歌人の中では出色だろう。

渡 英子

 

たくさんの他者との関わりのなかで意外性のある自在な自己像が照らしだされている。

小島なお

 

 

 

<引用 五首>

 

出来るだけ皿を使はぬやうにして妻の居ぬ間の夕餉を済ます

 

メルケルの席を選びぬ伊勢志摩に首脳ら囲みし丸テーブルの

 

父の日に夏の帽子とささやけり幼かりし娘(こ)のねだりし如く

 

八十年戦後を生きて僕たちは一体なにを学んだのだろう

 

運命とふ配り直しの無きカード活かす他なし けふの青空

 


武田豊歌集『抱える棘』

多彩な作品が収められた歌集である。自らの人生や生活について自省し、世の在りように抗議し、また、移り変わる季節の中に草木や生活を見つめ、亡くなった身近な人達、あるいは戦争や災害で命を失った人々への鎮魂の思いを歌に託している。

 

             ― 上條雅通「解説」より ―

 

 

<引用五首>

 

草野球に鈍き動きを謗られて小さき胸に棘の残りき

 

野にあらば風と揺れ合うコスモスの花生けの中に一輪挿さる

 

旅先のモンサンミッシェルのポストより亡き子を宛名に絵葉書出しぬ

 

禁酒日の眠れぬ夜にラジオかけ零時を待ちつつ厨に立ちぬ

 

原発に使わるる石油納めしこと職退きてなお脳裏に残る

 

 


安斎未紀歌集『掌上動物園』

定価:2,530円(税込)

判型:四六判並製カバー装

頁数:172頁

ISBN978-4-86629-325-7

自ら体験した心身の苦しい状況を短歌で表現するということは、その苦悶を追体験することにほかならない。

それは生半可な精神ではできない。

これを表現せずにいられないという強靭な表現意志が必要なのだ。

その表現意志に短歌型式もまた、応えている。

その意味で安斎未紀は、まぎれもなく短歌に選ばれた人である。

短歌に選ばれた人の命がけの表現を受けとめてほしい。

 

            ー藤原龍一郎「解説」よりー

 

 

 

<引用五首>

 

とめどなく花手折りたり眼底に狂ひ回れる観覧車かな

 

病棟がま水に沈む午前零時 我が鼻犬のごとくつめたし

 

呪ふこと傷抉ることわらふこと 雨一滴の紅かれと思ふ

 

掌に象よ、麒麟よ、獅子よ歩め、ものみな小さく見ゆる星月夜

 

眠れぬを日常として暗がりに水色の蛾の舞ひ狂ふなり

 

 

 

 


佐藤博之歌集『殘照の港』

 

定価:1,870円(税込)

判型:四六判並製カバー装

頁数:130頁

ISBN978-4-86629-312-7

 

第一歌集!

 

観ずにはいられない、

聴かずにはいられない、

触れずにはいられない。

 

どこまでも対象に肉薄していく言葉たち。

著者の世界に対する解像度の高さによって、世界が現実以上の迫力を持って目の前に立ち上がってくる。

過ぎゆく一瞬、今という時を生き、歌うとはこういうことなのだ。

<帯文 佐佐木定綱>

 

 

 

◉引用五首

 

殘照の靜けさ。木ずれ、波の音。三笠が闇を吸ひて膨らむ

 

千年經る藥師如來の掌の生命線の斯くも短し

 

父に教はりしセミウヰンザーノツトにて謝辭を述べつるぬばたまの通夜

 

百億の稻の寢汗のにほひ立つ眞夏の横て盆地の夜明け

 

ベランダに干したるシヤツの影が伸び妻の背中をひらりくすぐる

 

 


蒲ヶ原朱実歌集『未知なるもの』

定価:2,530円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:160頁

ISBN978-4-86629-302-2

 

第一歌集。

 

いまだ見ぬものたち。

いまだに逢えぬものたち。

手探りで、素志のままに、おだやかに。

日常の向こう岸に何かが動く、何者かがささやく。

平成の三十年間を詠み継いできたかけがえのない歌物語。

 

 

<引用五首>

 

産み終へて抜け殻のわれ耳鳴りも秋の夜ふけの闇にゆだねて

 

道端の穴の底ひに幼子は見えざるものを見るにあらぬか

 

未知のもの想ふは楽し例ふれば生まれくる子の性の別など

 

惑星の如く湯舟に浮かぶ柚子自転しながら吾に近づく

 

息ひそめセージの葉陰に動かざる夏の蜥蜴の孤独思ひつ

 

 

 


香川ヒサ歌集『The quiet light on my journey』

定価:2,200円(税込)

判型:四六判並製カバー装

頁数:148頁

ISBN978-4-86629-324-0

待望の第9歌集!!

 

世界や社会を凝視しつつ、

その純粋にして旺盛な批評精神が、

いくばくかの諧謔とユーモアと、

そして深いかなしみを基層として、歌という器にぶつける。

撥ね返ってくるものはどうだっていい。

自分が他者であるために。

 

 

 

 

<引用5首>

人類は「パンツをはいたサル」であり「マスクをつけたサル」ともなつた

 

「ハッピーバースデー」歌ひつつ手を洗ひなさい心までは洗はなくていいから

 

糸瓜咲きロンドン橋は墜ちにけり 三十六歳(さんじふろく)の死九十六歳(きうじふろく)の死

 

軟水で淹れた紅茶にサンキスト・レモン一切れ酸つぱい戦後

 

一本のヒマラヤ杉が人生の記憶に立つが他の樹も立つてる

 

 

 

 


大村誉子歌集『大切なわたし』

定価:2,200円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:148頁

ISBN978-4-86629-322-6

第一歌集。

 

失ったすべての後、短歌が作者に新しい希望を与えた。

悲しみと回復の物語、

一つ一つの歌が彼女の心の声を映し出す。

新たな人生を歩む彼女の勇気を感じて欲しい

 

                   帯文 佐佐木頼綱

 

 

『大切なわたし』より5首

 

障害の身の上のこと秘めたまま生きゆく先の黙秘は難し

 

生きること数多抱える生き辛さ風薫る今皆に伝える

 

勝ち負けを問う大人にはなれなくて作業所通う障りある身の

 

夏めきて過ぎしひととせ清和なる作業所通う吾を労る

 

梅雨晴れにかかりし虹を見る吾の皆の助けに感謝し生きる

 

 


時田則雄歌集『売買川』

定価:2,530円(税込)

判型:四六判並製カバー装

頁数:178頁

ISBN978-4-86629-317-2

 

第13歌集。

 

売買川―ウリカリ、アイヌ語で捕った魚を集める所

 

春が来ればせせらぎのひびき。

白い辛夷の花が咲き、蝶やトンボが群れ飛ぶところ。

この北の大地にどっしりと深く根を張る樹。

歌う樹だ。雄々しく、野太い声で大空に向けて叫ぶ樹だ。

 

 

『売買川』より四首

 

長靴の中なる闇の薄らぎて今日が静かに動きだしたり

 

足の裏から生まれる歌のあることを知つてゐるのはポロシリカムイ

 

日溜りの石のものいふ火の匂ひ水の匂ひを漂はせつつ

 

深呼吸すれば肺腑に春の香の満ちて農魂拳に集ふ

 

 


豊岡裕一郎歌集『ネコぎらいと猫』

定価:2,640円(税込)

判型:四六判並製カバー装

頁数:186頁

ISBN978-4-86629-315-8

 

第二歌集!

 

この世とあの世との境目に、

あるいは現実と幻想の交差点に、

猫がうろついている。ぼくも同じだ。

異界のまどろみに腕を入れて、言葉たちをもぎ取る。

ぼくの世界はどこにあるのか。酩酊し、さ迷い続ける旅人。

 

 

 

<引用5首>

 

わが歩み過ぎりゆくとき猫の耳ほっそりと立つ眠りながらに

 

上を向き夜空を照らしめぐる灯はこの世の側ゆえだれも応えず

 

おんなというほのかな業(わざ)も世にありて ほそやかな肩を夏陽に曝す

 

存在のゆらぎのように陽をあびるマンホール縁の小砂の若草

 

かぎりなく偶然の景であるさびしさよ木々の罅入るよごれた空は


森朝男著『続 古歌に尋ねよ』

定価:2,200円(税込)

判型:四六判並製カバー装

頁数:228頁

ISBN978-4-86629-318-9

前著『古歌に尋ねよ』を継承した、珠玉のエッセー。

 

日本社会と日本人の生は、今、並々でない転換期を迎えている。こういう時にこそ、大きく遠い歴史をふり返ることが必要だ。短く読みやすい古典<和歌>を窓として、我々の<今>を抱えつつ、歴史的世界の人間たちに問を発してみよう。

 

▶▶主な項目

 

第一章 炉心溶融紀の十年

炉心露出の後に

もっと大地の方へ など

 

第二章 王朝 日本文芸の故郷

歌語という技芸

和歌の情感の成立 など

 

第三章 今 熱く学べ 日本中世

良経秋色

鴫立つ沢 など

 

第四章 色好みのモラリティ

色好みと鼻

恋と禁忌 など

 

第五章 和歌の造型と生態

和歌と古代国家

風景の成立 など

 

第六章 訪ね歩き 古歌の里々

香薬師よ、いずこ

桜田へたづ鳴き渡る など

 

 

「炉心溶融期の十年」は、高度技術時代に生きる我々の危うさと伝統的心性との関係を考える。

「王朝 日本文芸の故郷」「今 熱く学べ 日本中世」では、我々の

感性の源流と、その大変革期である中世の様相を、転換期の今日的課題に引き付けて思索する。また「色好みのモラリティ」では、今日なお変わらぬ、日本人の情緒的・美的なモラル感覚の源を究明する。・・・

 

▶▶著者について

1940年生まれ。早稲田大学文学部および大学院文学研究科を卒業・終了。専攻は和歌文学・日本古代文学。博士(文学)。フェリス女学院大学名誉教授。

 

 


鈴木英子歌集『喉元を』

定価:2,640円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:176頁

ISBN978-4-86629-3141

待望の第五歌集!

 

月島、勝どき橋、佃、晴海。

そこは東京の異界、作者の産土の地。

現実をそのままに受容し、あらんかぎりの思いをこめて、娘に、母に、すべての日常の中ですれ違ってきた人々に。

あかあかと血の夕映えを吐き続ける。心が震える。歌が顫える。

 

 

『喉元を』より五首

 

桜さくら戦後をふぶき一本の樹命、寿命を迎えるらしき

 

セルロイドみたいな声だ 本当に愛しているのは他人ではない

 

身の内に積もる憂いをわたくしも春に噴くかな春を噴くかな

 

われの手がはるか武将の太首を刎(は)ねたることのなきとは言えず

 

わたしのなかの鍾乳洞が喉元を過ぎたしずくを湛え続ける

 

 


林三重子歌集『桜桃』

定価:2,640円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:184頁

ISBN978-4-86629-308-0

こころの裡にひろがる街。

さびしい光の街並み。

その光をそっと掬い取るように歌を詠み継ぐ。

 

たとえば単調な日常の風景や人々の暮しなどに、豊かで純粋な詩情を注ぐ。それが歌のかたちと信じつつ。

 

 

 

 

『桜桃』より五首

 

小さなる脇屋根にさへ瓦あり雪積む村の人のゆたけさ

 

ひそやかな恋のごとくに開きゐる茗荷の花のうすき黄の花

 

潮鳴りを聞きたしと日々に思へども今朝は鴉のこゑを聞くのみ

 

きさらぎは優しく生きむ青空の隈なく光りて北の風吹く

 

柿若葉青葉になりて過ぎながら硬くなりゆく思考さびしむ

 

 

 


高野昌明歌集『まはからびんか』

定価:2,640円

判型:四六判並製カバー装

頁数:204頁

ISBN978-4-86629-313-4

 

第三歌集。

 

道のり遠く 

時こそ長けれーーー。

 

 

並々ならぬ歌への執心。古きに学び、定型のしらべを感受していく。

さらば、ともに、おおいなる祝福を送ろう。

前方から聴こえてくる、古典という木霊に。

 

 

 

『まはからびんか』より五首

 

ぬばたまの夜長を鳴けよ秋の虫さらば嫁来む汝れこそ知らね

 

スーパーに一人男のカート押す姿増したるこの十年余り

 

春の雨かすかに降るを傘に聞き花朝市の主を待ちゐつ

 

弁当の投げ捨てられし空箱はしばしばなれば人の形代

 

仰ぐべき梢に花の咲かずんばひかりなき根の思ひや果てむ

 

 


田上嘉尋歌集『夕映えの川面』

定価:2,750円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:184頁

ISBN978-4-86629-300-4

夕映えの川面を滑る赤白のアメンボ二匹はシングルスカル

 

田上嘉尋さんは宮崎市の中心を流れる大淀川の川沿いをしばしば散策するのだろう。そんなある日夕映えのなかに見たおそらく高校生のボート。「アメンボ二匹はシングルスカル」の捉え方が楽しく面白い。日ごろから若者を愛し、自然を賞でる田上さんならではの歌だ。

家族や自然とともにリタイア後の暮しをゆったりと落ち着いた調べで歌う田上作品は読む者の心を豊かにしてくれる。時に怖いような鋭い作もあるが、それでも人間愛から出ている。

人生のより深みを向かおうとしている田上さんのこれからの歌をさらに期待している。

 

山芋の伸びゆく蔓は現世を手探りしつ依り拠捜せり

 

                   伊藤一彦・帯文

 

 

 

『夕映えの川面』より五首

 

左手に歯磨きの技教へをり新しきわれ探さむとして

 

四人(よつたり)も碁の友来たり足らざれば豚も参加の猪(しし)鍋となる

 

不機嫌が充満したる地球より遁れるごとくソユーズが発つ

 

たつぷりと夏のみづゆく大淀の川に流れぬ月を見る朝

 

回らない寿司なら行くと君は言ふ回るもいいと一度も言はぬ

 

 

 

 

 


伊藤一彦著『牧水・啄木・喜志子』

定価:2,860円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:284頁

ISBN978-4-86629-306-6

<近代の青春を読む>

 

郷土宮崎の地から浮遊する強靭な魂。

その空はどこまでも青く澄みきっている。

牧水の歌を、牧水の心を、純粋にして高い文学の志をもって、啄木などとの交友関係、妻・喜志子の歌を丹念に読み解きながら、生き生きと描かれていくロマン的な世界。

孤独な人間の深い影を踏みしめながら。

 

 


*目次より

 

第一部

Ⅰ 若山牧水と石川啄木

Ⅱ 啄木と牧水

Ⅲ 与謝野晶子と若山牧水

Ⅳ 区切れを考えるー信綱『思草』と牧水『別離』

Ⅴ 牧水における「古代的思考」

Ⅵ 牧水のわが愛誦歌

Ⅶ 若山牧水ー近代日本の杜甫・李白

Ⅷ 俵万智著『牧水の恋』を読む

Ⅸ 若山牧水をどう読み、考えるか

 

第二部

Ⅰ 若山喜志子の歌 上

Ⅱ 若山喜志子の歌 下

 

 

 


市川正子歌集『風越』

定価:2,750円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:208頁

ISBN978-4-86629-309-7

 

西に広がる関ヶ原、その彼方に伊吹山の聳える西濃の地。

農村の面影をとどめ、歴史にゆかりある地を拝啓にした日々が、一首一首リアルに刻まれる。きびしくも豊かな自然を見つめ、地域の老齢世代との人間的な交流を詠い、間歇泉の甦る亡き夫の追憶、教職時代の佳き思い出が噛みしめるように歌にとどめられる。とりわけ不穏に傾き始めた時代への恐れや批判の歌には強く訴えるものがあり、戦争で父を失った世代の切実な声として忘れがたい。

       帯文 島田修三

 

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『風越』より5首

 

田起しにめくらるる田が息を吐きむわっむわっと春近づきぬ

 

選られざる厳粛があるスーパーの霜降り飛騨牛まだ値を下げず

 

空缶になって蹴られて転がってそのまま冬陽を浴びつづけたい

 

「あらざらむこの世」と書きて筆を上ぐ紙の余白に伸び来るひかり

 

暴力をかくはればれと流しゆく今朝のテレビは軍事パレード

 

びっしりと蟻が熟柿に群がれり蜜こそちから蜜こそいのち

 

 

 


大塚亜希歌集『くうそくぜしき』

定価:2,400円

判型:四六判並製カバー装

頁数:186頁

ISBN9784866293073

第二歌集。

 

何もない、役にも立たない。

空漠として、ただ寂寥とともに在る。

そんなものに心を震わせ、色を透過させる。

感動の変換、それが歌だ。比類なき魂の戦慄だ。

 

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『くうそくぜしき』より五首

 

夕焼けの赤を怖がり泣いた日があった母さんの手を握りしめ

 

凍る日の雪のさらさら君のこと好きと何度も行ったさらさら

 

雨降れば空とつながる心地して約束のない日は濡れてゆく

 

ひざ抱けば裡から音の響く夜わたしはひとつの心臓である

 

はじまりは針孔に糸通すこと光に向かってゆく糸の先

 

 

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橋田昌晴歌集『虹立つ』

定価:2,200円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:148頁

ISBN978-4-86629-311-0

第二歌集。

 

素材に対する独特の把握力、あたたかみを伴う笑いの要素、作中に生きる五感等々に裏打ちされた諸作は、一段と円熟味を増しており、どの作品においても橋田昌晴が紛れもなく息づいている。

本書において「虹」は大いなる意味を有する存在である。

ウクライナの橋上に、コロナ禍の空に、作者の心に、虹は鮮やかに架かっている。

 

                      ―――――野地安伯「解説」より

 

 

 

『虹立つ』より五首

 

遺言書を書き終えたりと告げたれば生きて欲しいと妻は涙す

 

パソコンのキーボード叩くまでもなく患者の病名が顔に出ており

 

メラノーマの手術終わりぬ南天に赤く明るく火星煌めく

 

向日葵の種子は多くの実を結び「復活」の日は遠からず来ん

 

長引けるコロナ禍の中雨あとの虹を見つけて告げに来る妻

 


谷岡亜紀著『歌人の肖像』

定価:1,650円(税込)

判型:A5判並製カバー装

頁数:224頁

ISBN978-4-86629-310-3

 

第17回歌人クラブ評論賞受賞歌人による、ベスト歌人論!

 

目次

  • 佐佐木信綱の<新しさ>
  • 信綱から佐美雄へ
  • 斎藤茂吉の映像性
  • 短歌における<近代>ー斎藤茂吉を例に
  • 生まれた場所を遠く離れてー牧水の旅、私の旅
  • 山谷のドヤで牧水の旅を考える
  • 酒の歌 牧水・勇・幸綱
  • 吉井勇再発見
  • 劇的釋迢空論
  • 山崎方代の世界
  • 昭和史の巨人・下村海南
  • メトードの後に―塚本邦雄の方法
  • 戦後派・岡井隆
  • <マドモアゼルM>の肖像+築地雅子の30首
  • 野の花の矜持 追悼・石川不二子
  • 帆のごとく過去をぞ張りて 佐佐木幸綱歌集『反歌』
  • 月の言葉、人の言葉 伊藤一彦歌集『月語抄』
  • 永田和宏の風景ー歌集の中の時間
  • 人生に傾く 三枝昻之歌集『遅速あり』
  • 科学と風土 坂井修一歌集『群青層』
  • 俵万智のエッセイー<いま>の横顔
  • 大口玲子論ーわれ、世界、言葉
  • 歌人点描 岩田正 橋本喜典 米川千嘉子 川野里子 小島ゆかり 佐佐木定綱 木ノ下葉子

 

 


岡貴子歌集『火の橋慕情』

定価:2,530円(税込)

判型:A5判上製カバー装

頁数:136頁

ISBN978-4-86629-305-9

 

 

 

 

 

老いの孤独を軽やかに・・・・

 

 

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わが家のすぐ近くにある橋が「火の橋」です。なんの変哲もないちっぽけな橋ですが、駅からの帰途はこの橋をかならず渡らなければなりません。足音が白子川の川面に反響してこつこつと聞こえます。あの世から亡夫が帰って来る足音が、夜ごと夜ごとに聞こえるのです。

 

ーーー「火の橋慕情」本文より

 

 

 

 

 


黒岩剛仁歌集全三冊

定価:2,200円(税込)

判型:四六判並製カバー装

頁数:258頁

ISBN978-4-86629-303-5

若山牧水賞を受賞した歌集『野球小僧』を含む、既刊3歌集を収録。

 

『天機』

『トリアージ』

『野球小僧』

 

 

◆引用6首◆

 

公園で夜の電話をかけおれば今きわやかに一本の恋 

 

 

タッチアップなど分かっているのか神宮で原を観ている君のまばたき

 

      デーモン

<大門>が<悪魔>に聞こえる夏の朝女性車掌のうら若き声

 

 

この先十年わがミッションは如何なるや時計の電池替えつつ思う

 

 

生涯初のカーブを父に投げ込みし野球場には芝生なかりき

 

 

家系図の終点として吾はおり今年も咲けるソメイヨシノは

 

 

 


米山髙仁歌集『令和』

定価:2,750円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:194頁

ISBN978-4-86629-296-0

たましいの歌集。

 

騰々として、この命。

天のまことに委ねる。

憂國、草莽の土として。

会津の地にあって 歌を詠み継ぐ。

歌とは志であった。

 

 

 

 

『令和』より五首

 

我が庭の開きし梅に淡雪の降りつぐ朝や令和二日目

 

現代は政治家よりも政治屋がひしめく乃木精神よみがへれ

 

久々に若きをみなと相合傘初夏の雨の粹なはからひ

 

風もなく觸りし人もなきはずに音立て崩る本の山々

 

散り際を知りて散るのかもみぢ葉は風もなきまま音もなきまま

 

冬枯れし木々の細枝見るにつけ若き細かりし妻思ひ出づ

 

 


松森邦昭歌集『しゃれこうべの歌』

定価:2,350円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:146頁

ISBN978-4-86629-297-7

脳神経外科医師の第三歌集。

 

しゃれこうべ―――。

どこか異様で、

もの悲しく、

どこか陽気で、

笑っているように

見える。

定型という器も

言葉を剥がして

しまえば同じこと。

さて、歌の行く先は

この世か、あの世か、

それとも?

 

 

『しゃれこうべの歌』より五首

 

どくろの眼 深い奥には穴のあり花も見ていた星もみていた

 

地球史の四六億年今日も暮れ昨日みた月またのぼりきし

 

わが棺をつつむ火群の静かなり焼けゆく身柄を我が見つめる

 

我が意思のおよばぬ言葉「さような」一人つぶやくむなしきままに

 

春立つ日望月やわく野に照りて木の芽花の芽こころ急かせる

 

 


丸山順司歌集『鬼との宴』

定価:2,750円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:192頁

ISBN978-4-86629-301-1

こころの裡なる鬼どもが騒ぎ始める

悲哀とユーモアをたっぷりと孕みながら日常がどんどんと浄化されていく不思議

作者の世界と覗いているものはいかなる鬼か

 

 

 

『鬼との宴』5首

 

ぶらさがるものはぶらんこ揺れもせずしんとだらりとさがりて真昼

 

真実の口へ右手を差し入れて手紙落としぬ手は無事なりき

 

 

ベランダの椅子に座れば見ゆるもの空しか無くて空を見てゐる

 

動くのを忘れて眠る丸むしをそつとつついて転がしてやる

 

このままでよいかと問はれそのままでよいと答へぬ あんぱん一つ

 

 

 


桜田一夫歌集『星の祈り』

定価:2,200円(税込)

判型:四六判並製カバー装

頁数:144頁

ISBN978-4-86629-304-2

 

渇きたる心を満たすスイーツを探し求めて旅をつづけむ

 

短歌を作ることは物事を正確に多角的に見る目が養われます。

題材も様々なことを選ぶことができます。

短歌は心と体のバランスを取ってくれます。

短歌によってこれまでとは違う経験をさせてもらいました。

「あとがき」より

 

 

『星の祈り』より五首

 

車椅子駆りてボールを打ち返しテニスコートに風を起こせり

 

記憶にはなきことなれど真夏の日玉音放送必ず聞きし

 

街道に並びて立てる杉の木も行く人もみな風景である

 

夕暮れの家の灯かげの点々と線をなしつつ町にひろがる

 

黒々と間隔取りて電線につばめの群れいる旅立ちの朝

 

 

 


布々岐敬子歌集『野に還りゆく』

定価:2,750円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:210頁

ISBN978-4-86629-302-8

 

この歌集は本人の知らないところで、人生の締め括りをつけるように、出されることになりました。最後の詰めが出来ないことは残念でしょうが、一方では<そんなことは構わない>と、笑飛ばしているような気もします。

            高見澤紀子(布々岐敬子 姉)「あとがき」より

 

 

 

 

『野に還りゆく』より5首

 

リストラをされないだけで幸福という幸福論 右肩下がり

 

桑の木の見分けもつかず桑畑は打ち捨てられて野(や)に還りゆく

 

ゆるゆると日の落ちてゆくこの夕べ異邦人には寂し過ぎぬか

 

物置の屋根に山栗ひとつ落つ ゆきたい処へ行けという声

 

気がかりの消えぬ真昼間雲も無くおのがじしなり山茶花の白

 

 

 

 

 


岡本瑤子歌集『雨の韻律』

定価:2,750円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:218頁

ISBN978-4-86629-299-1

 

第三歌集。

 

雨の音を聴く。

ひそかに、そしてリズミカルに。

それは生死の韻律、一世界をめぐる心の有り様。

おだやかに過ぎていく日常がゆたかなしらべを奏でる。

 

 

 

 

『雨の韻律』より5首

 

つましくも凛とあるべし白梅を眺めし母の静かなこゑ

 

病み上がりを化粧(けはひ)に隠し人の中集ひ笑みたる私に疲る

 

露あつめ墨摺り書きし短冊の思ひ出ゆれてわが星祭り

 

さり気なく父に寄り添ふ壮の子の阿蘇のふところ草千里ゆく

 

いつしらに「学生街の喫茶店」口遊みをりシャッター通り

 


玉井まり衣歌集『しろのせいぶつ』

定価:2,200円(税込)

判型:四六判並製カバー装

頁数:120頁

ISBN978-4-86629-298-4

 

「静物」と言ふ名のうつはをじつとみるほんとうにさうかうたがつてゐる

 

 

この歌集の歌達は、妙にたどたどしく、妙に歪んていて、そのくに妙にシンプルで澄んでいる。

それは、対象であれ、それに投影される自分であれ、謎は謎として受け入れようとする著者の誠実さによる。-----森本平「解説」より

 

 

 

『しろのせいぶつ』より五首

 

プラスチックの光がキレイと君は言ふ 背骨は少し傾けてゐる

 

しづかなるガラスの向かふに置かれてる歪な壺にさはれない指

 

眼の前を二本の素足が歩いてく ひざの裏から春の産む少女

 

手や足やその他の私を撮つてゐるアルバムに撮影者はいない

 

凍る夜にマスクのあなた話してる喉は抉れた顔の続きだ

 

 


水門房子歌集『ホロヘハトニイ』

定価:2,750円(税込)

判型:四六判並製カバー装

頁数:232頁

ISBN978-4-86629-293-9

このあいだ君の子供を見かけたよ

     机の上のクモ

      横に飛ぶ

 

藤田武は「もっと自由に大胆に飛べ」と諭したという。師の言葉に、忠実であろうとする弟子水門房子。

かくも美しく古風な師弟関係が、旧来の「短歌とはこういうものだ」という固定観念を打ち破る歌集『ホロヘハトニイ』となった---------石川幸雄「解説」より

 

                      

 

 

藍色の空に浮かんだグラデーション

     宵の明星

     三日月の月

 

おひさまが昇る頃には日常の生活のなか

       あなたも

       わたしも

 

かあさまがワッフル焼いて

    誕生会

ストローで飲むリボンシトロン

 

あの人が四回異動するうちに

  わたしは何をしてたか

      五年

 

 

 

 

 

 


白井美沙子歌集『クロッカスの庭』

第二歌集。

 

いつせいに黄のクロッカス花開きははなき実家(さと)の庭に春来る

 

黄色いクロッカスの花が咲き始めている。

誰もいないこの家の庭に春が来た。

その静かな華やぎの中に歌のしらべが自然と寄り添う。

いのちのほんとうの形を思い起こせとばかりに、やさいく。

 

いのちに向き合うやさしさに満ちた第二歌集

 

 

 

 

本箱のうしろのすき間に落ちし額もう永久に会へぬ気がする

 

きさらぎのバケツに張りし薄氷をすくひて母のてのひらにのす

 

雲の上(へ)にくつきり映るふらここの影がゆるるよ誰もをらぬに

 

母逝きて空家となりし実家(さと)なれど郵便受けに夕日来てゐる

 

ひば伐れば椿の木にも陽のとどきうす桃色の花の咲きつぐ

 

 

 

 

 


児島直美歌集『春の引出し』

定価:2,750円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:184頁

ISBN978-4-86629-291-5

いちめんのなのはななのはな渾身で古墳の春を抱きしめている

 

 

児島直美さんは春の歌人である。

書名も『「春の」引出し』だ。

言うまでもなく、長く厳しい冬をのりこえて迎えるのが春である。

巻頭歌のこの春の一首、古墳の丘のゐ一面の菜の花を明るく喜びにあふれたリズムで歌っている。

 

「春の古墳」でなく「古墳の春」であり、抱きしめているのは春という大きな季節であるのがすごい。

「渾身」は「今身」と掛けているのだろう。

児島さんは菜の花と同体になって、春を抱きしめている。

そのしなやかさに一切を抱きしめる力が歌集一巻をつらぬいている。                    ーーーーーーーーーーーーー伊藤一彦 帯文より

 

 

 

 

空の青胸いっぱいに吸い込めばわたしに春の呼吸が満ちる

 

風光る坂をましろきシャツの群れ駆けぬけてゆく四月の明度

 

印刷室の朝はみずうみ水鳥が飛びたつように文字は生まれて

 

出席簿に斜線の続く行ありてきらきらネームの姫は目覚めず

 

ギリシャ神話の神の名のごと「イレウス」が母のカルテに記されし朝

 

 

 

 

 


岡田延子歌集『七曜星』

定価:2,640円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:164頁

ISBN978-4-86629-287-8

 

第一歌集

 

小題をつけられた作品の集まりごとに、明確な題材、テーマが打ち出されている。

連作を単位としたテーマ性という考え方を強く打ち出したのが、昭和三十年代に始まるいわゆる「現代短歌運動」だが、この歌集もその意味で、まぎれもなく「現代短歌」の一巻である。

谷岡亜紀「解説」より

 

『七曜星』は、北斗七星の別名です。

北極星を探す指針となり、目的の地を目指す旅人を、無明より導く星です。輝く七つの星に安寧なる未来を、と願いを込めて歌集を『七曜星』と決めました。

著者 「あとがき」 より

 

『七曜星』より5首

 

歯科医院の壁にビュッフェの版画あり海空暗く人影の無く

 

巨大なる風車回りて海岸の四度目の夏ゆっくりと過ぐ

 

この世には悲しみの歌数多(あまた)有りて大地の民は泣きながら歌う

 

おぼろげな記憶の中を歩み行く托鉢の僧大寒の辻

 

生き生きて行き着く先に花野あり夢の終わりの百合の群生

 


高原桐歌集『春の岬の晴れた日に』

定価:2750円

判型:四六判上製カバー装

頁数:216頁

ISBN978-4-86629-288-5

 

第二歌集!

 

能登の海山の春はことに光に満ち溢れる。水仙の花がどこかで聴き耳をたてている。

淡く、豊かに、時として苛烈に、そしてやさしく。相聞のしらべを底流にしつつ、清新な詩ごころを保つ。産声をあげるはずたった日からの長い歳月。それは熟成というまぼろしの時間。「全てに時がある」といわれうように不可欠な大切な流れであった。

 

 

 

『春の岬の晴れた日に』より五首

 

ふるさとを初めて出ずる少女われを見送りくれし駅の水仙花(すいせん)

 

走り根の根方に寄りぬ花蕊(はなしべ)にあかあかと入日しばしとどまる

 

逢うときは蝶のごとくに語らいぬ空と野原を想い描きて

 

財なすは得手ならざれば慎ましき暮しに大根美しく煮る

 

海遠く渡り来たる強き風夕べいつしか消えてゆきたり

 

 


藤田冴歌集『梧桐』

定価:2,640円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:172頁

ISBN978-4-86629-286-1

 

第五歌集!

 

どこか遠くを見つめている。

その眼の輝き、その鼓動、たしかな命の華やぎ。

ひとときの挫折は高みを飛翔するための言葉の翼。

淡い恋情が薄紅の霞のようにしらべに纏わりつきながら。

 

 

 

『梧桐』より五首

 

吾ら子に戦(そよ)ぎし母は日本語がうつくしかりし頃の梧桐(あおぎり)

 

広大な地平の秘めゐる愛だらうどこまでもビート、どこにでもビート

 

そのかみは貝がらなりし吾らかもさざ波のやうにメール交はして

 

マンゴーの楕円の縁(へり)を剝きながら思ふ子午線の上の虚空を

 

迷ひつつ彼岸へ向かふその時もかたみに思ふ人のあれかし

 

 

 

 


西真行歌集『<結石>を神と言おうか』

定価:2,640円

判型:四六判上製カバー装

頁数:148頁

ISBN978-4-86629-283-0

 

第一歌集!

 

二ヶ月間におよぶ左尿管結石の闘病の記録である。

作者はうたを詠うことによって生きていられたのかもしれない。

 

ひとりで病院や家のベッドに臥しながら、

身体から漏れる言葉。

誰にも聞こえない声。

 

それらを短歌の定型におさめることで自らを支えていたのではないか。

 

江戸雪 解説より

 

 

 

 

寝るために耐える力の必要で大地の重さに身体あずける

 

結石を神と言おうか憤怒せる 肉体通しこころ試さば

 

澱みにて住む魚たちは清流に住みたる魚をうらみておるや

 

何もない青い空のみ写したり決意といってもなにも浮かばぬ

 

結局は石神さまは言っている頼らず生きよ自分で生きよ

 

 

 


名嘉真恵美子歌集『別れと知らず』

定価:2,200円(税込)

判型:四六判並製カバー装

頁数:196頁

ISBN978-4-86629-285-4

 

第三歌集!

 

沖縄をうたう。ふるさとをうたう。

 

戦争と抑圧の歴史はこの島の風土に加わってたえず何事か問いかけてくる。

その問いがしなやかな言葉と思索をもたらし、明日の光を導くことを痛切に願っている。

 

 

 

 

 

「世を捨てよ身を捨つるより」祖父の言葉思ひてゐたり豚煮詰めつつ

 

心かろく死に遠き日々蒼天にひとの生の緒ふはふはとせむ

 

日の丸を燃やす意味さへ朧にして復帰反対デモに連なりき

 

沖縄の百年の鬱土地狩りのはじまりの記憶にいきる人たち

 

アボカドの種すべりゆくするすると掴み損ふ たぶん自分を

 

 

 

 

 


渡邊忠子歌集『風のこもりうた』

定価:2,860円(税込)

判型:A5判上製カバー装

頁数:238頁

ISBN978-4-86629-284-7

 

第一歌集。

 

あやまたず生きよと赤きはまなしの実の一粒が宙(そら)をみてゐる

 

あやまたずに生きようとすれば人は苦しむ。

苦しみをありのままに受容した時、あらたま子頃の自在が生まれる。

はまなしの赤い実の一粒、その佇まいから励ましの声を聞きとめる作者。生きることの真実を求めてやまない歌人の澄んだ眼差しに詠まれた536首。

 

 

 

『風のこもりうた』より五首

 

芍薬の花のくれなゐ瓶に活け部屋に充ちくる寿(ほ)ぎごと佳(よ)ごと

 

霙降る富士の溶岩(ラバ)原濡れそぼち野武士の様(さま)に工夫ら戻る

 

千年の後に繋がむ命かも椎の実踏めばしひの実のこゑ

 

里とほく煙のなびく一処(ひとどころ)老いても母の居るあたたかさ

 

詠ひつつ癒えてゆきたし点滴の雫ひとつは命の冬芽

 

 


松浦彩美歌集『タイムレター』

定価:2,750円(税込)

判型:A5判上製カバー装

頁数:236頁

ISBN978-4-86629-279-3

 

第一歌集!

 

定型の基本に従って素直に生活実感をいつわりなく詠い、正直に純粋に真直ぐに詠み続けた作者が着々と詠み残した努力の結果が、そのまま本集に集約されていることに改めて眼を見張った。

御供平佶 序より

 

 

 

春の朝鏡にむかひ眉をひく胎動あれば手を止めて待つ

 

真夜中を打つ春のあめ雨音の向かうに荒るる湘南の海

 

初めての子離れの儀を助産師のためらひのなく臍の緒を切る

 

跳び縄と娘の顔交互にのぞく窓炬燵より見る正月二日

 

冷蔵の缶のビールの心地して子を待つ冬のグラウンドの夜

 

 


大木恵理子歌集『コンパスを振る』

定価:2,750円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:172頁

ISBN978-4-86609280-9

 

第一歌集!

------------------------------

大木の歌は、あまりレトリックに凝ることはなく、見聞したものを簡明に描いていく作風である。

一見オーソドックスだが、こうした表現の粘り強さは、他になかなか見ることができない。

 

----------------------------------吉川宏志 解説より

 

 

 

『コンパスを振る』より5首

 

迷ひ来し笹の葉そよぐ山道にコンパスを振る心澄まして

 

たはやすく話しかける登記官長わが家の登記検索したと

 

この仕事終はればだれかと旅しなさい近頃母は共にと言はざり

 

何もかも親のせゐかと児を叱り涙ぐめるは児でなく私

 

疲れたと言ひてわが背にもたれ来し裕子さんのぬくもり覚えてゐるよ

 

 

 

 


山脇志津歌集『笹舟』

判型:四六判上製カバー装

定価:2,750円

頁数:230頁

ISBN978-4-86629-281-6

ひろらかなひかりの歌、第一歌集!

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明るさと広がり、開放感と向日性、未来、前進、「ひかり」の内包するものは、そのまま山脇さんの歌の質や、方向を意味しているように思われる。ひかりを詠み、不義を許さぬ作者が、心に育んできたものを大切に守り続けることを、願ってやまない。

 

------------------------五十嵐順子 跋より-------------------------

 

『笹舟』より5首

 

透明な秋のひかりが降りそそぐ凪静もれる大土佐の海

 

栴檀の珠実ゆらして風がゆく無音のそらにひかるすじ雲

 

ゆるしてくださいお願いします五歳のこえは天に届かず

 

しっかりと吾が手を握る幼子の膚の温もりいのちの不思議

 

庭石に座れば太古の温みあり私はわたしと思う秋の日

 


桜田一夫歌集『インターナショナル』

定価:2,200円(税込)

判型:四六判並製カバー装

頁数:148頁

ISBN978-4-86629-282-3

 

第二歌集!

 

 

高々と握りこぶしを突き上げてインターナショナル歌いし日あり

 

定年退職後にあることを切っ掛けに短歌を始めましたが、歌人でもあった母の影響が多分にあったと思います。

短歌の題材は様々な分野に及び、私にとって精神のバランスを取るのに有用であったように感じます。

-----------「あとがき」より

 

 

 

『インターナショナル』より5首

 

羽化したる蝶のごとくに玄関に並べ置かれる娘の革靴

 

企業名背負いて一人さりげなく土俵の砂を掃き清めおり

 

引力に逆らうごとく伸びてゆく春の目覚めの樅の枝たち

 

点線が実線となれば傘をさし広重の絵の人物となる

 

二十年住みしマンション引き払う最後の風を窓より入れて

 

 

 

 


城俊行歌集『白の伝説』

定価:2,750円

判型:四六判上製カバー装

頁数:222頁

ISBN978-4-86629-278-6

 

第三歌集!

 

清冽な水のような無垢なるたましいは、

時として痛ましい現実に向き合ったとき、

めらめらと悔しみの焔を噴き上げる。

焔はやがて透明になり青空へ消えていく。

そんな表情が歌の年輪に刻まれる。

真っ白な年輪に。

 

 

 

『白の伝説』より5首

 

雪深く残る吉野山のぼりゆく藎十方ほろびに向かふ朝に

 

ひまはりの種てのひらに暖めて野火のごとく悲しみのくる

 

手にこぼれ来たる伝言のやうに持たされし葱を抱けば

 

風のままに下りきたりぬうつしみのかぎりなく軽くなりゆくいのち

 

一瞬のこころさわぎか豆腐切る無心のひまにきざしくるもの

 

 

 

 


荻本清子歌集『冬蝶記』

定価:2,750円(税込)

判型:A5判上製カバー装

頁数:184頁

ISBN978-4-86629-276-2

圧巻の第12歌集!

 

さびしい心には

さびしい調へが宿る。

神羅万象を見つめつつ

身近な日常に心を寄せながら。

 

生命の機微に触れてゆく。

花や鳥や蝶を詠む。自在に。

 

やがてまた、

どこかですべてが耀き始める時を願いつつ。

 

ああ、孤独な形象の連なり、いとおしいいのちの重み。

 

 

 

 

冬蝶記』より5首

 

閉じし目にうっすら泪湧くような夏日のなかに立ち上りたり

 

胸奥につねに湛える真清水の尽きせぬほどに書きつづりゆく

 

花の息わが息合わす真夜中にうつし世のものなべては眠る

 

野の枯れ葉敷きて眠れる男おり 天下住処に臆すなき生

 

見えがたき世を見つづけし眼差しの潤むかなしさ人も老いたり

 

 

 


小林峯夫歌集『途上』

定価:3,080円(税込)

判型:A5判上製カバー装

頁数:312頁

ISBN978-4-86629-273-1

 

遺るべき第五歌集。

 

---------------------------------

小林はみずからの主題と方法が、現代短歌の主流となり得ないことを知っていた。

未発表の作品を含む既発表の作品をこの遺歌集で熟読するとき、希求していた現代短歌のあるべき姿を見出すことになろう。

小林が私ども示唆し、暗示するものは何であろうか。

 

---------------------------------篠弘 栞より

 

 

 

『途上』より五首

 

玄関を出るやかならず現れるこの蛇舅母(かなべひ)に好かれているや

 

杖つけば杖を持つ手の疲るるということを知る杖つきながら

 

赤紙を受くる心に重なるやステージ4を告げられている

 

株立ちの枝につのぐむ鋭きつぼみ冬の桜の命に触るる

 

きさらぎの朝(あした)の窓に澄みわたる末期なる目にも水色の空

 

 

 

 


糸川雅子歌集『ひかりの伽藍』

定価:2,750円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:204頁

ISBN978-4-86629-277-9

第31回ながらみ書房出版賞受賞!!

 

第七歌集。

 

世界の外側に落ちる水の一滴にも

この世の中の理不尽な事柄に対しても

研ぎすまされた感性も針は分け隔てなく捉える。

びんびんとして、孤高な反響の環を広げるためにのみ。

 

 

 

 

『ひかりの伽藍』より5首

 

花いちもんめ 幼子売られ幼子の声は買われて村はなざかり

 

膝立てて横たわる女体の列島にくまなく電気の血がながれたり

 

空の音群青の音ひたひたとひかりの中をひとは降りくる

 

灯をともしきょうも始まるわが夜の視界の端に置かれて 砥石

 

そのひともこころの器に水を汲みさびしき昼をゆらしておらん

 

 

 

 


熊谷富雄歌集『曲り家』

定価:2,750円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:234頁

ISBN978-4-86629-274-8

 

第一歌集!

 

大企業を退職後に短歌を始めた作者に現役時代の

厳しい仕事の作品はないが、その後の10年の

生活の中から生まれた作品は自由で楽しい。

ふるさとを思い、父母、兄へ寄せる作者の心は温かい。

詠む人を和ませる善意の歌集である。

 

----------------------------------------------------------------中根誠

 

『曲り家』より5首

 

茅葺きの母屋と馬屋の曲り家よ浮きでる木目の柱を撫でる

 

五年経ち出版社よりわが作文採用と聞く『あたらしいこくご』

 

朝ドラの「おかえりモネ」のペダル踏む登米の町の武家屋敷通り

 

わが自転車(チャリ)は老体となり錆び付けどたらふく食えと空気入れを圧(お)す

 

主将の属す双葉翔陽高校の校歌作詞の兄はほほ笑む