城俊行歌集『白の伝説』

定価:2,750円

判型:四六判上製カバー装

頁数:222頁

ISBN978-4-86629-278-6

 

第三歌集!

 

清冽な水のような無垢なるたましいは、

時として痛ましい現実に向き合ったとき、

めらめらと悔しみの焔を噴き上げる。

焔はやがて透明になり青空へ消えていく。

そんな表情が歌の年輪に刻まれる。

真っ白な年輪に。

 

 

 

『白の伝説』より5首

 

雪深く残る吉野山のぼりゆく藎十方ほろびに向かふ朝に

 

ひまはりの種てのひらに暖めて野火のごとく悲しみのくる

 

手にこぼれ来たる伝言のやうに持たされし葱を抱けば

 

風のままに下りきたりぬうつしみのかぎりなく軽くなりゆくいのち

 

一瞬のこころさわぎか豆腐切る無心のひまにきざしくるもの