定価:2,750円(税込)
判型:四六判上製カバー装
頁数:176頁
ISBN978-4-86629-333-2
第一歌集
許せぬが許すにかはる変換キー心のボタンを少しずらして
石原美智子さんに会うと、温かな笑顔にこちらの気持ちまで優しく温かくなる。
私だけでなく他の人もそうである。だから友だちもファンも多い。だが、石原さんが穏やかな表面と別の渾沌とした鋭い内面を当然ながら秘めていることをこの歌集は教えてくれる。「心のボタン」をいつも調節して生きている「心の苦労人」なのだとあらためて思う。彼女が苦楽を味わいながら過ごしてきた長い時間、家族とともに過ごしてきた濃密な時間に想いを致す一冊である。
伊藤一彦 帯文
<収録歌より>
草かげに野地菊さけりひつそりとうす紫を秋に託され
すぎてゆく時を刻み吾亦紅(われもかう)冬には冬の姿に立てり
声だせば地球の向かうへ届くやう青空だけの宮崎の冬
我が持てる小型船舶操縦士二度しか使はぬ免状あはれ
同じむき同じ間隔に飛ぶ雁よ茜にそまる山の端を背に