式守操歌集『色えんぴつを』

定価:2,530円(税込)

判型:四六判並製カバー装

頁数:156頁

ISBN978-4-86629-353-0

妻というよりは娘といるように色えんぴつを持たせてレジへ

 

色えんぴつ、あるいはそれはメルヘン。子供も大人も。

メルヘンは現実を塗りつぶしてくれるだろうか。

どこか屈折し、韜晦しながら見つめるこの世界。

光だ。まばゆく輝く光の束だ。極彩色の言葉だ。

 

 

<引用5首>

 

亡き母の肩の高さにやわらかく梅がひらくを見おろしており

 

触れたならたちまち粉になりそうなうすい瞼が病にとじる

 

冬空の遠く頭を下げていた血で鮮やかに信号が赤

 

この店の夜のマネキン首はなくこのごろかるく笑顔をよこす

 

音のない太陽系の遠景にわが肉体が月光に照る