ながらみ書房は1985年開業、二千点以上の歌集歌書を出版してきた出版社です

 


NEWS

▼第21回前川佐美雄賞・第31回ながらみ書房出版賞決定!!

第21回前川佐美雄賞 

水原紫苑  歌集『快樂』(短歌研究社 2022年12月刊)

 

第31回ながらみ書房出版賞

糸川雅子  歌集『ひかりの伽藍』(ながらみ書房 2022年9月刊)

 

おめでとうございます!!

▼第20回前川佐美雄賞・第30回ながらみ書房出版賞決定!!

第20回前川佐美雄賞 

細川光洋  著『吉井勇の旅鞄 昭和初年の歌行脚ノート』(短歌研究社刊)

 

第30回ながらみ書房出版賞

川本千栄  歌集『森へ行った日』(ながらみ書房刊)

 

おめでとうございます!!

▼冬道麻子歌集『梅花藻』について

『梅花藻』は、弊社が代理で注文を受け発送しております。

ご注文は、弊社で承っておりますが、送料は無料ではなくなります。

お支払い先が「塔短歌会の藤田様」となり、金額は、送料込みで1冊3,000円となります

ご了承ください。

▼「短歌往来」のキンドル版の販売を開始しました!

「短歌往来」2020年1月号

https://www.amazon.co.jp/%E7%9F%AD%E6%AD%8C%E5%BE%80%E6%9D%A52020%E5%B9%B41%E6%9C%88%E5%8F%B7-%E3%81%AA%E3%81%8C%E3%82%89%E3%81%BF%E6%9B%B8%E6%88%BF-ebook/dp/B0859BKFHS/ref=sr_1_1?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&keywords=%E7%9F%AD%E6%AD%8C%E5%BE%80%E6%9D%A5&qid=1583389270&sr=8-1

 

 

▼谷岡亜紀 歌集『ひどいどしゃぶり』が第25回若山牧水賞を受賞しました!

『ひどいどしゃぶり』のご注文は、メール、電話、FAXなどで承っております。

2500円(税別)です。

▼『定本 竹山広全歌集』について

このたび、在庫整理の一環で、残部につきまして定本『竹山広全歌集』を廉価でお分けすることになりました。不朽の名歌集『とこしへの川』を含む全歌集を4000円(税込み・送料込み)でお分けいたします。お申し込みは先着順といたしますので、品切れの場合は悪しからずご承知おきください。(Amazonでの販売は定価となります。)

ご注文は、メール、お電話、FAX等で承ります。お送先の郵便番号、ご住所、お名前、お電話番号をお知らせください。

郵便局の払込票を同封し、カンガルー便にて発送いたします。

▼高山邦男歌集『インソムニア』が文庫化となりました

高山邦男さんがNHK「目撃!にっぽん」で特集されました。以下でも視聴することが可能です。
http://www.nhk-ondemand.jp/goods/G2018084748SC000/?capid=nte001

 

 

文庫版1200円(税別)となります。

弊社へ直接お電話、メールいただくか、直販に対応している書店様からお取り寄せください。

 

▼おすすめ歌集・歌書紹介

高山邦男歌集『インソムニア』大好評につき、文庫化いたしました。

 

『御供平佶歌集全四冊』平成30年度埼玉県歌人会賞!!年譜付き。

 

松村正直著『樺太を訪れた歌人たち』小黒世茂著『記紀に游ぶ』好評です!



書籍のご注文や在庫確認は以下にて承っております。

手数料弊社負担の郵便払込票を同封して本を送らせていただきます。

mail:info@nagaramishobou.co.jp
tel:03-3234-2926
fax:03-3234-3227

新刊歌集歌書

HPに掲載があっても、在庫切れの歌集がございます。

品切れの際は、ご容赦ください。


「短歌往来」2023年6月号

850円(税込)

 

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【特集】

第21回前川佐美雄賞

第31回ながらみ書房出版賞

 

受賞の言葉

水原紫苑

糸川雅子

 

前川佐美雄賞受賞作

『快樂』50首抄

 

ながらみ書房出版賞受賞作

『ひかりの伽藍』25首抄

 

選考を終えて

島田修三、松村由利子、本田一弘、井坂洋子

 

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◉作品7首

横山岩男、外塚喬、井辻朱美、石井利明、藤田冴、當間實光、今川美幸、脇中範生、草田照子、水本光

 

◉作品13首

秋山佐和子、高山邦男、反田たか子、長谷川富市、南鏡子、岩内敏行、石川浩子、中西翔馬、畑彩子、柳澤美晴、大塚亜希、三輪良子

 

◉作品8首

井野佐登、青木春枝、くぼたかずこ、川上三郎、石井幸子、永井秀幸、渡辺けい子、松森邦昭、秋葉静枝、野上洋子

 

◉新・自然を詠む・撮る・描く

フラワーパークガーデンパーク/柴田典昭

 

◉結社の顔

彩雲/田中伸治

 

◉追悼ー大野とくよ/白倉一民

 

◉連載

島田修三、加藤治郎、田中教子、勝又浩、豊島秀範、水城春房、佐佐木朋子、恩田英明、青戸紫枝、持田綱一郎、福島泰樹、丹波真人

 

◉今月の視点/林和清

 

◉今月の新人/武藤裕美

 

◉新刊歌集歌書

水原紫苑歌集『快樂』/横山未来子

三枝昻之著『夏は来ぬ』/奥田亡羊

春日いづみ著『シネマ交響曲』/沢口芙美

島崎榮一歌集『白露』/三井修

藤島秀憲著『山崎方代の百首』/阿木津英

高原桐歌集『春の岬の晴れた日に』/武富純一

白井美沙子歌集『クロッカスの庭』/佐藤通雅

永田淳歌集『光の鱗』/田村元

 

◉作品月評ー四月号より/國清辰也

◉評論月評/小長井涼

 

◉全国往来情報

◉編集後記

 

 


水門房子歌集『ホロヘハトニイ』

定価:2,750円(税込)

判型:四六判並製カバー装

頁数:232頁

ISBN978-4-86629-293-9

このあいだ君の子供を見かけたよ

     机の上のクモ

      横に飛ぶ

 

藤田武は「もっと自由に大胆に飛べ」と諭したという。師の言葉に、忠実であろうとする弟子水門房子。

かくも美しく古風な師弟関係が、旧来の「短歌とはこういうものだ」という固定観念を打ち破る歌集『ホロヘハトニイ』となった---------石川幸雄「解説」より

 

                      

 

 

藍色の空に浮かんだグラデーション

     宵の明星

     三日月の月

 

おひさまが昇る頃には日常の生活のなか

       あなたも

       わたしも

 

かあさまがワッフル焼いて

    誕生会

ストローで飲むリボンシトロン

 

あの人が四回異動するうちに

  わたしは何をしてたか

      五年

 

 

 

 

 

 


短歌往来2023年5月号

定価850円(税込)

 

▶巻頭作品/米川千嘉子

 

▶特別作品/谷岡亜紀、江戸 雪

 

▶評論シリーズ21世紀の視座

佐佐木信綱の心に吹く自由な風/大西久美子

 

【特集】私の愛誦する歌(戦後~現代)

作品十首+エッセイ

栗木京子、雁部貞夫、日高堯子、大塚寅彦、大辻隆弘、都築直子、奥村晃作、久我田鶴子、鵜飼康東、後藤由紀恵、駒田晶子、糸川雅子、魚村晋太郎、大崎瀬津

 

▶作品7首

玉井清弘、香川ヒサ、御供平佶、平林静代、足立晶子、松村正直、玉城寛子、源陽子、佐波洋子、矢澤靖江、江畑實、池原初子

 

▶作品13首

名嘉真恵美子、山下翔、いずみ司、末安美保子、島晃子、福原美江、松井純代

 

▶作品8首

鈴木利一、久保とし子、楠田智佐美、田名網順子、佐野豊子、田中伸治、高橋愁、内藤賢司

 

▶新・自然を詠む・撮る・描く

山本枝里子

 

▶結社の顔

りとむ/今野寿美

 

▶追悼

篠弘/柴田典昭

来嶋靖生/外塚喬

山村泰彦/光本恵子

十鳥敏夫/喜多弘樹

 

▶今月の視点/牛山ゆう子

 

▶今月の新人/紙屋みゆ

 

▶連載

島田修三、加藤治郎、田中教子、勝又浩、豊島秀範、水城春房、佐佐木朋子、恩田英明、青戸紫枝、持田綱一郎、丹波真人

 

▶作品月評/國清辰也

 

▶評論月評/小長井涼

 

▶全国往来情報

 

▶表紙作品/高山ケンタ

 

▶本文カット/浅川洋

 

 


白井美沙子歌集『クロッカスの庭』

第二歌集。

 

いつせいに黄のクロッカス花開きははなき実家(さと)の庭に春来る

 

黄色いクロッカスの花が咲き始めている。

誰もいないこの家の庭に春が来た。

その静かな華やぎの中に歌のしらべが自然と寄り添う。

いのちのほんとうの形を思い起こせとばかりに、やさいく。

 

いのちに向き合うやさしさに満ちた第二歌集

 

 

 

 

本箱のうしろのすき間に落ちし額もう永久に会へぬ気がする

 

きさらぎのバケツに張りし薄氷をすくひて母のてのひらにのす

 

雲の上(へ)にくつきり映るふらここの影がゆるるよ誰もをらぬに

 

母逝きて空家となりし実家(さと)なれど郵便受けに夕日来てゐる

 

ひば伐れば椿の木にも陽のとどきうす桃色の花の咲きつぐ

 

 

 

 

 


「短歌往来」2023年4月号

850円(税込)

 

◉巻頭作品21首

森山晴美

 

◉特別作品33首

 

黒瀬珂瀾、糸川雅子

 

【特集】

花降り注ぐ春のうた

◉エッセイ

その花の品種は何か/森垣岳

【近代】歌を口ずさむ/桜川冴子

◉作品十首+エッセイ

都築直子、久保田登、遠山利子、小笠原和幸、安藤直彦、中野たみ子、丸山三枝子、若菜邦彦、田中律子、大熊俊夫、小林信也、斎藤千代、竹内由枝、清水春美、花山周子、石川幸雄、松浦彩美、鷺沼あかね

 

 

 

 

◉作品7首

藤岡武雄、内藤明、平山良明、野地安伯、小野雅子、浜田康敬、中村キネ、坪内稔典、伊志嶺節子、冬道麻子

 

◉作品8首

木村よし子、梅本武義、小鳥沢雪江、川﨑勝信、宮下俊博、渡邊忠子、宮本清、先川咲容、大塚健、奥村秀子、甲村雅俊

 

◉新・自然を詠む・撮る・描く

古谷円

 

◉評論シリーズ21世紀の視座

創世神話「塚本邦雄」初期歌集の精神風景⑰/江畑實

 

 

 

◉連載

島田修三、加藤治郎、田中教子、勝又浩、豊島秀範、水城春房、佐佐木朋子、恩田英明、青戸紫枝、持田綱一郎、福島泰樹、丹波真人

 

◉今月の視点

下村すみよ

 

◉今月の新人

宮原はな

 

◉書評

福島泰樹歌集『百四十字、老いらくの歌』/岩内敏行

松村由利子著『ジャーナリスト与謝野晶子』/松平盟子

藤田冴歌集『梧桐』/桂保子

中島裕介歌集『memorabilia/drift』/田中拓也

中島裕介歌集『polylyricism』/堀田季可

名嘉真恵美子歌集『別れと知らず』/佐野豊子

西真行歌集『<結石>を神と言おうか』/大引幾子

桜田一夫歌集『インターナショナル』/佐佐木頼綱

 

◉作品月評(二月号より)

國清辰也

 

◉評論月評

小長井涼

 

◉全国往来情報

 

表新作品/高山ケンタ

本文カット/浅川洋

 

 


児島直美歌集『春の引出し』

定価:2,750円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:184頁

ISBN978-4-86629-291-5

いちめんのなのはななのはな渾身で古墳の春を抱きしめている

 

 

児島直美さんは春の歌人である。

書名も『「春の」引出し』だ。

言うまでもなく、長く厳しい冬をのりこえて迎えるのが春である。

巻頭歌のこの春の一首、古墳の丘のゐ一面の菜の花を明るく喜びにあふれたリズムで歌っている。

 

「春の古墳」でなく「古墳の春」であり、抱きしめているのは春という大きな季節であるのがすごい。

「渾身」は「今身」と掛けているのだろう。

児島さんは菜の花と同体になって、春を抱きしめている。

そのしなやかさに一切を抱きしめる力が歌集一巻をつらぬいている。                    ーーーーーーーーーーーーー伊藤一彦 帯文より

 

 

 

 

空の青胸いっぱいに吸い込めばわたしに春の呼吸が満ちる

 

風光る坂をましろきシャツの群れ駆けぬけてゆく四月の明度

 

印刷室の朝はみずうみ水鳥が飛びたつように文字は生まれて

 

出席簿に斜線の続く行ありてきらきらネームの姫は目覚めず

 

ギリシャ神話の神の名のごと「イレウス」が母のカルテに記されし朝

 

 

 

 

 


岡田延子歌集『七曜星』

定価:2,640円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:164頁

ISBN978-4-86629-287-8

 

第一歌集

 

小題をつけられた作品の集まりごとに、明確な題材、テーマが打ち出されている。

連作を単位としたテーマ性という考え方を強く打ち出したのが、昭和三十年代に始まるいわゆる「現代短歌運動」だが、この歌集もその意味で、まぎれもなく「現代短歌」の一巻である。

谷岡亜紀「解説」より

 

『七曜星』は、北斗七星の別名です。

北極星を探す指針となり、目的の地を目指す旅人を、無明より導く星です。輝く七つの星に安寧なる未来を、と願いを込めて歌集を『七曜星』と決めました。

著者 「あとがき」 より

 

『七曜星』より5首

 

歯科医院の壁にビュッフェの版画あり海空暗く人影の無く

 

巨大なる風車回りて海岸の四度目の夏ゆっくりと過ぐ

 

この世には悲しみの歌数多(あまた)有りて大地の民は泣きながら歌う

 

おぼろげな記憶の中を歩み行く托鉢の僧大寒の辻

 

生き生きて行き着く先に花野あり夢の終わりの百合の群生

 


「短歌往来」2023年3月号

850円(税込)

 

◉巻頭作品21首

阿木津英

 

◉特別作品33首

青木陽子

本阿弥秀雄

 

 

【特集】

アンケート 2022年のベスト歌集・歌書

①2022年に刊行された優れた歌集歌書を3冊あげ、それぞれの歌集からは秀歌をひいてください。

②歌集歌書、あるいは2022年の収穫について自由にコメントしてください。

▷回答者

菅原恵子、桑原正紀、生沼義朗、安田純生、久我田鶴子、大辻隆弘、高木佳子、林三重子、喜多弘樹、小林幸子、千々和久幸、利根川発、浜口美知子、柴田典昭、沢井照江、御供平佶、五十嵐順子、寺尾登志子、林田恒浩、小黒世茂、古谷智子、清水あかね、加藤英彦

 

◉作品7首

萩岡良博、楠田立身、久々湊盈子、横山季由、秋元千恵子、中西健治、苅谷君代、山野吾郎、鷲尾三枝子

 

◉作品13首

荻本清子、島田幸典、美帆シボ、岩崎聰之介、鈴木英子、田中章義、吉濱みち子、城俊行、鶴岡美代子、吉野節子、森川多佳子

 

◉作品8首

楜澤丈二、中西洋祐、大木恵理子、山脇志津、桜田一夫、伊藤智子、白倉一民、前田えみ子、椎木英輔、大北敏子

 

◉連載ー結社の顔

朔日/外塚喬

 

◉新・自然を詠む・撮る・描く

わが庭の富士山/大下一真

 

●追悼ー永田典子

「日月」を背負って/渡辺恵子

 

◆連載◆

勝又浩、豊島秀範、水城春房、佐佐木朋子、恩田英明、青戸紫枝、持田綱一郎、福島泰樹、丹波真人

 

◉今月の視点ー秋山佐和子

 

◉今月の新人ー伊勢屋貴史

 

◉新刊歌集歌書評

高橋睦郎歌集『狂はば如何に』/佐々木幹郎

渡邊忠子歌集『風のこもりうた』/三枝浩樹

綾部光芳歌集『青熒』/王紅花

栗明純生『はるかな日々』/中川佐和子

島田修三著『昭和遠近』/小塩卓哉

中川佐和子歌集『夏の天球儀』/松平盟子

松浦彩美歌集『タイムレター』/富田睦子

山田航歌集『寂しさでしか殺せない最強のうさぎ』/花山周子

磯田ひさ子歌集『ヒヤシンス』/木村雅子

 

◉作品月評/本条恵

◉評論月評/武富純市

 

◉全国往来情報

◉編集後記

 

◉表紙作品/高山ケンタ

◉本文カット/浅川洋

 

 

 

 

 


高原桐歌集『春の岬の晴れた日に』

定価:2750円

判型:四六判上製カバー装

頁数:216頁

ISBN978-4-86629-288-5

 

第二歌集!

 

能登の海山の春はことに光に満ち溢れる。水仙の花がどこかで聴き耳をたてている。

淡く、豊かに、時として苛烈に、そしてやさしく。相聞のしらべを底流にしつつ、清新な詩ごころを保つ。産声をあげるはずたった日からの長い歳月。それは熟成というまぼろしの時間。「全てに時がある」といわれうように不可欠な大切な流れであった。

 

 

 

『春の岬の晴れた日に』より五首

 

ふるさとを初めて出ずる少女われを見送りくれし駅の水仙花(すいせん)

 

走り根の根方に寄りぬ花蕊(はなしべ)にあかあかと入日しばしとどまる

 

逢うときは蝶のごとくに語らいぬ空と野原を想い描きて

 

財なすは得手ならざれば慎ましき暮しに大根美しく煮る

 

海遠く渡り来たる強き風夕べいつしか消えてゆきたり

 

 


藤田冴歌集『梧桐』

定価:2,640円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:172頁

ISBN978-4-86629-286-1

 

第五歌集!

 

どこか遠くを見つめている。

その眼の輝き、その鼓動、たしかな命の華やぎ。

ひとときの挫折は高みを飛翔するための言葉の翼。

淡い恋情が薄紅の霞のようにしらべに纏わりつきながら。

 

 

 

『梧桐』より五首

 

吾ら子に戦(そよ)ぎし母は日本語がうつくしかりし頃の梧桐(あおぎり)

 

広大な地平の秘めゐる愛だらうどこまでもビート、どこにでもビート

 

そのかみは貝がらなりし吾らかもさざ波のやうにメール交はして

 

マンゴーの楕円の縁(へり)を剝きながら思ふ子午線の上の虚空を

 

迷ひつつ彼岸へ向かふその時もかたみに思ふ人のあれかし

 

 

 

 


「短歌往来」2023年2月号

850円(税込)

 

【特集】オメデトウ 卯年生れの歌人

桜井健司、野口世津子、小林良子、喜多昭夫、高島清子、関谷啓子、大建雄志郎、吉岡生夫、池本一郎、河野小百合、川田茂、吉田惠子、平石眞理、狩野一男、倉石理恵、豊岡裕一郎、窪川美代子、永田紅、小田原漂情、久保富紀子、小林敬枝、岩井久美子、石井幸子、林あまり、塚田キヌエ、後藤恵市、幸野稔、後藤由紀恵、遠山景一、角広子、武藤雅治、中沢玉恵、間佐紀子、森屋めぐみ、浜名理香、松野広美、三留ひと美、岩下静香、文屋亮、髙木絢子

 

 

◉巻頭作品/笹公人

 

◉特別作品/野口あや子、生沼義朗

 

◉評論シリーズ21世紀の視座

創世神話「塚本邦雄」初期歌集の精神風景⑯/江畑實

 

◉結社の顔/新アララギ(雁部貞夫)

 

◉新・自然を詠む・撮る・描く/貝沼正子

 

◉今月の視点/大田美和

 

◉今月の新人/小柳とかげ

 

◆連載◆

勝又浩、豊島秀範、水城春房、佐佐木朋子、恩田英明、青戸紫枝、持田綱一郎、福島泰樹、丹波真人

 

◆書評◆

栗木京子歌集『新しき過去』/梅内美華子

春日いづみ歌集『地球見』/沢口芙美

山中律雄歌集『淡黄』/千々和久幸

荻本清子歌集『冬蝶記』/三井修

今井恵子歌集『運ぶ眼、運ばれる眼』/梅原ひろみ

小塩卓哉歌集『たてがみ』/黒岩剛仁

荻原裕幸歌集『永遠よりも少し短い日常』

加藤治郎歌集『海辺のローラーコースター』/川野里子

尾崎まゆみ歌集『ゴダールの悪夢』/中津昌子

城俊行歌集『白の伝説』/五十嵐順子

山脇志津歌集『笹舟』/田村広志

大木恵理子歌集『コンパスを振る』/横山季由

下村光男遺歌集『海山』/中川昭

 

◉作品月評/本条恵

◉評論月評/武富純一

 

◆表紙作品/高山ケンタ

◆本文カット/浅川洋

 

 

 


「短歌往来」2023年1月号

定価850円(税込)

 

【特集】

期待される新人のうた

上條素山、奥村知世、柾木遙一郎、吉川美月、小島涼我、桜 望子、ファブリ、加賀塔子、貝澤駿一、七海ゆき、御手洗靖大、ゴウヒデキ

 

◉巻頭作品/坂井修一

 

◉特別作品/本田一弘、大森静佳

 

◉作品7首

高野公彦、伊藤一彦、辰巳泰子、松田愼也、上村典子、安田純生、高尾文子、石田照子、小島熱子

 

◉作品8首

小泉桄代、今枝敬昌、梅本武義、角広子、依光ゆかり、多田陽美、熊谷富雄、長岡弘子、柿内光彦、竹内彩子

 

◉作品13首

上野僚介、鵜飼康東、竹安隆代、小塩卓哉、長澤ちづ、桑原正紀、千家統子、宮原勉、間ルリ、島ゆり、細溝洋子

 

◉連載ー結社の顔

短歌人/宇田川寛之

 

◉新・自然を詠む撮る描く/三友さよ子

 

◉連載

勝又浩、豊島秀範、水城春房、佐佐木朋子、恩田英明、青戸紫枝、持田綱一郎、福島泰樹、丹波真人

 

◉今月の視点/内野光子

 

◉今月の新人/江上陽菜

 

◉書評

小林峯夫歌集『途上』/栗木京子

伊藤一彦歌集『言霊の風』/三枝浩樹

小池光歌集『サーベルと燕』/黒瀬珂瀾

田村広志歌集『捜しています』/久我田鶴子

糸川雅子歌集『ひかりの伽藍』/古谷智子

結城千賀子歌集『雨を聴く』/長澤ちづ

前田康子歌集『おかえり、いってらっしゃい』/林和清

大地たかこ歌集『薔薇の芽いくつ』/依田仁美

 

◉作品月評/本条恵

◉評論月評/武富純一

 

◉表紙作品/高山ケンタ

◉本文カット/浅川洋

 


西真行歌集『<結石>を神と言おうか』

定価:2,640円

判型:四六判上製カバー装

頁数:148頁

ISBN978-4-86629-283-0

 

第一歌集!

 

二ヶ月間におよぶ左尿管結石の闘病の記録である。

作者はうたを詠うことによって生きていられたのかもしれない。

 

ひとりで病院や家のベッドに臥しながら、

身体から漏れる言葉。

誰にも聞こえない声。

 

それらを短歌の定型におさめることで自らを支えていたのではないか。

 

江戸雪 解説より

 

 

 

 

寝るために耐える力の必要で大地の重さに身体あずける

 

結石を神と言おうか憤怒せる 肉体通しこころ試さば

 

澱みにて住む魚たちは清流に住みたる魚をうらみておるや

 

何もない青い空のみ写したり決意といってもなにも浮かばぬ

 

結局は石神さまは言っている頼らず生きよ自分で生きよ

 

 

 


名嘉真恵美子歌集『別れと知らず』

定価:2,200円(税込)

判型:四六判並製カバー装

頁数:196頁

ISBN978-4-86629-285-4

 

第三歌集!

 

沖縄をうたう。ふるさとをうたう。

 

戦争と抑圧の歴史はこの島の風土に加わってたえず何事か問いかけてくる。

その問いがしなやかな言葉と思索をもたらし、明日の光を導くことを痛切に願っている。

 

 

 

 

 

「世を捨てよ身を捨つるより」祖父の言葉思ひてゐたり豚煮詰めつつ

 

心かろく死に遠き日々蒼天にひとの生の緒ふはふはとせむ

 

日の丸を燃やす意味さへ朧にして復帰反対デモに連なりき

 

沖縄の百年の鬱土地狩りのはじまりの記憶にいきる人たち

 

アボカドの種すべりゆくするすると掴み損ふ たぶん自分を

 

 

 

 

 


「短歌往来」2022年12月号

850円(税込)

 

【特集】題詠による詩歌句の試み20

~風土を詠う~

城戸朱理、谷岡亜紀、長谷川櫂、井坂洋子、島崎榮一、黒田杏子、和合亮一、佐伯裕子、中原道夫、竹田朔歩、時田則雄、山西雅子、池井昌樹、大西久美子、山尾玉藻

 

◎巻頭作品21首

永田和宏

◎特別作品33首

中根誠、小黒世茂

 

◎評論21世紀の視座

創世神話「塚本邦雄」初期歌集の精神風景/江畑實

 

◎作品7首

御供平佶、温井松代、古屋清、下村道子、松川洋子、高旨清美、大山敏夫、加藤ミユキ、三本松幸紀

 

◎作品8首

木戸敬、鈴木通子、石川幸雄、高橋美香子、内田弘、下村すみよ、島内美代、青木泰子、秋元美津枝、前田えみ子

 

◎作品13首

志垣澄幸、梶田順子、熊谷龍子、造酒廣秋、平山公一、岡本瑤子、田土成彦、峰尾碧

 

◎結社の顔

ポトナムー中西健治

 

◎新・自然を詠む・撮る・描く

大磯海岸/柳宣宏

 

◎今月の視点

川本千栄

 

◎今月の新人

新棚のい

 

◎書評

魚村晋太郎歌集『銀耳』/田中拓也

笹公人歌集『終楽章』/狩峰隆希

三友さよ子歌集『ことの葉にのせ』/森山晴美

熊谷富雄歌集『曲り家』/久々湊盈子

柾木遙一郎歌集『炭化結晶』/石川美南

佐田公子歌集『天楽』/春日いづみ

三原由起子歌集『土地に呼ばれる』/田村元

藤原龍一郎歌集『抒情が目にしみる』/中西亮太

 

◎連載

島田修三、加藤治郎、田中教子、勝又浩、豊島秀範、佐佐木朋子、水城春房、恩田英明、青戸紫枝、持田綱一郎、福島泰樹、丹波真人

 

◎作品月評・本条恵

 

◎評論月評・武富純一

 

表紙作品・浅本竜二

本文カット・浅川 洋

 

 

 


渡邊忠子歌集『風のこもりうた』

定価:2,860円(税込)

判型:A5判上製カバー装

頁数:238頁

ISBN978-4-86629-284-7

 

第一歌集。

 

あやまたず生きよと赤きはまなしの実の一粒が宙(そら)をみてゐる

 

あやまたずに生きようとすれば人は苦しむ。

苦しみをありのままに受容した時、あらたま子頃の自在が生まれる。

はまなしの赤い実の一粒、その佇まいから励ましの声を聞きとめる作者。生きることの真実を求めてやまない歌人の澄んだ眼差しに詠まれた536首。

 

 

 

『風のこもりうた』より五首

 

芍薬の花のくれなゐ瓶に活け部屋に充ちくる寿(ほ)ぎごと佳(よ)ごと

 

霙降る富士の溶岩(ラバ)原濡れそぼち野武士の様(さま)に工夫ら戻る

 

千年の後に繋がむ命かも椎の実踏めばしひの実のこゑ

 

里とほく煙のなびく一処(ひとどころ)老いても母の居るあたたかさ

 

詠ひつつ癒えてゆきたし点滴の雫ひとつは命の冬芽

 

 


松浦彩美歌集『タイムレター』

定価:2,750円(税込)

判型:A5判上製カバー装

頁数:236頁

ISBN978-4-86629-279-3

 

第一歌集!

 

定型の基本に従って素直に生活実感をいつわりなく詠い、正直に純粋に真直ぐに詠み続けた作者が着々と詠み残した努力の結果が、そのまま本集に集約されていることに改めて眼を見張った。

御供平佶 序より

 

 

 

春の朝鏡にむかひ眉をひく胎動あれば手を止めて待つ

 

真夜中を打つ春のあめ雨音の向かうに荒るる湘南の海

 

初めての子離れの儀を助産師のためらひのなく臍の緒を切る

 

跳び縄と娘の顔交互にのぞく窓炬燵より見る正月二日

 

冷蔵の缶のビールの心地して子を待つ冬のグラウンドの夜

 

 


大木恵理子歌集『コンパスを振る』

定価:2,750円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:172頁

ISBN978-4-86609280-9

 

第一歌集!

------------------------------

大木の歌は、あまりレトリックに凝ることはなく、見聞したものを簡明に描いていく作風である。

一見オーソドックスだが、こうした表現の粘り強さは、他になかなか見ることができない。

 

----------------------------------吉川宏志 解説より

 

 

 

『コンパスを振る』より5首

 

迷ひ来し笹の葉そよぐ山道にコンパスを振る心澄まして

 

たはやすく話しかける登記官長わが家の登記検索したと

 

この仕事終はればだれかと旅しなさい近頃母は共にと言はざり

 

何もかも親のせゐかと児を叱り涙ぐめるは児でなく私

 

疲れたと言ひてわが背にもたれ来し裕子さんのぬくもり覚えてゐるよ

 

 

 

 


「短歌往来」2022年11月号

850円(税込)

 

【特集】わが街のグルメ

特集エッセイ・田村元

作品+エッセイ

大塚寅彦、久々湊盈子、服部崇、磯田ひさ子、永井正子、依田仁美、尾﨑朗子、永田紅、工藤貴響、森上美恵子、野間和子、柊明日香、二方久文

 

◎巻頭作品21首

河野美砂子

 

◎特別作品33首

渡英子、魚村晋太郎

 

◎作品7首

小池光、村松秀代、綾部光芳、三枝むつみ、三井修、永吉京子、黒岩剛仁、沢井照江、宇都宮とよ、永谷理一郎

 

◎作品13首

渡辺幸一、五十嵐順子、山田航、桜井健司、飯島智恵子、渡辺泰徳、園田昭夫

 

◎作品8首

蓬田真弓、依田しず子、重田美代子、山本一成、野本研一、森みずえ、佐竹キヌ子、三平忠弘、今井正和、池田晴子、松本高直、堀亜紀

 

◎結社の顔

花實/三友さよ子

 

◎新・自然を詠む・撮る・描く

一ノ関忠人

 

◎今月の視点

玉城洋子

 

◎今月の新人

楠本夏菜

 

◎書評

島崎榮一歌集『雪』/桑原正紀

奥村晃作歌集『象の眼』/佐々木六戈

佐藤通雅歌集『岸辺』/本田一弘

岡井隆歌集『阿婆世』/松村正直

江田浩司歌集『前衛短歌論攷』/川本千栄

大森静佳歌集『ヘクタール』/小黒世茂

櫛田如堂歌集『よいむなや』/石塚立子

西勝洋一歌集『晩秋賦』/岡田悠束

青木泰子歌集『幸いなるかな』/清水あかね

秋元美津枝歌集『吾れ半歩でも現役であれ』/下村すみよ

 

◎作品月評・本条恵

◎評論月評・武富純一

 

◎表紙作品・浅本竜二

◎本文カット・浅川洋

 

 

 


山脇志津歌集『笹舟』

判型:四六判上製カバー装

定価:2,750円

頁数:230頁

ISBN978-4-86629-281-6

ひろらかなひかりの歌、第一歌集!

-------------------------------------------------------------------------------

明るさと広がり、開放感と向日性、未来、前進、「ひかり」の内包するものは、そのまま山脇さんの歌の質や、方向を意味しているように思われる。ひかりを詠み、不義を許さぬ作者が、心に育んできたものを大切に守り続けることを、願ってやまない。

 

------------------------五十嵐順子 跋より-------------------------

 

『笹舟』より5首

 

透明な秋のひかりが降りそそぐ凪静もれる大土佐の海

 

栴檀の珠実ゆらして風がゆく無音のそらにひかるすじ雲

 

ゆるしてくださいお願いします五歳のこえは天に届かず

 

しっかりと吾が手を握る幼子の膚の温もりいのちの不思議

 

庭石に座れば太古の温みあり私はわたしと思う秋の日

 


桜田一夫歌集『インターナショナル』

定価:2,200円(税込)

判型:四六判並製カバー装

頁数:148頁

ISBN978-4-86629-282-3

 

第二歌集!

 

 

高々と握りこぶしを突き上げてインターナショナル歌いし日あり

 

定年退職後にあることを切っ掛けに短歌を始めましたが、歌人でもあった母の影響が多分にあったと思います。

短歌の題材は様々な分野に及び、私にとって精神のバランスを取るのに有用であったように感じます。

-----------「あとがき」より

 

 

 

『インターナショナル』より5首

 

羽化したる蝶のごとくに玄関に並べ置かれる娘の革靴

 

企業名背負いて一人さりげなく土俵の砂を掃き清めおり

 

引力に逆らうごとく伸びてゆく春の目覚めの樅の枝たち

 

点線が実線となれば傘をさし広重の絵の人物となる

 

二十年住みしマンション引き払う最後の風を窓より入れて

 

 

 

 


城俊行歌集『白の伝説』

定価:2,750円

判型:四六判上製カバー装

頁数:222頁

ISBN978-4-86629-278-6

 

第三歌集!

 

清冽な水のような無垢なるたましいは、

時として痛ましい現実に向き合ったとき、

めらめらと悔しみの焔を噴き上げる。

焔はやがて透明になり青空へ消えていく。

そんな表情が歌の年輪に刻まれる。

真っ白な年輪に。

 

 

 

『白の伝説』より5首

 

雪深く残る吉野山のぼりゆく藎十方ほろびに向かふ朝に

 

ひまはりの種てのひらに暖めて野火のごとく悲しみのくる

 

手にこぼれ来たる伝言のやうに持たされし葱を抱けば

 

風のままに下りきたりぬうつしみのかぎりなく軽くなりゆくいのち

 

一瞬のこころさわぎか豆腐切る無心のひまにきざしくるもの

 

 

 

 


荻本清子歌集『冬蝶記』

定価:2,750円(税込)

判型:A5判上製カバー装

頁数:184頁

ISBN978-4-86629-276-2

圧巻の第12歌集!

 

さびしい心には

さびしい調へが宿る。

神羅万象を見つめつつ

身近な日常に心を寄せながら。

 

生命の機微に触れてゆく。

花や鳥や蝶を詠む。自在に。

 

やがてまた、

どこかですべてが耀き始める時を願いつつ。

 

ああ、孤独な形象の連なり、いとおしいいのちの重み。

 

 

 

 

冬蝶記』より5首

 

閉じし目にうっすら泪湧くような夏日のなかに立ち上りたり

 

胸奥につねに湛える真清水の尽きせぬほどに書きつづりゆく

 

花の息わが息合わす真夜中にうつし世のものなべては眠る

 

野の枯れ葉敷きて眠れる男おり 天下住処に臆すなき生

 

見えがたき世を見つづけし眼差しの潤むかなしさ人も老いたり

 

 

 


小林峯夫歌集『途上』

定価:3,080円(税込)

判型:A5判上製カバー装

頁数:312頁

ISBN978-4-86629-273-1

 

遺るべき第五歌集。

 

---------------------------------

小林はみずからの主題と方法が、現代短歌の主流となり得ないことを知っていた。

未発表の作品を含む既発表の作品をこの遺歌集で熟読するとき、希求していた現代短歌のあるべき姿を見出すことになろう。

小林が私ども示唆し、暗示するものは何であろうか。

 

---------------------------------篠弘 栞より

 

 

 

『途上』より五首

 

玄関を出るやかならず現れるこの蛇舅母(かなべひ)に好かれているや

 

杖つけば杖を持つ手の疲るるということを知る杖つきながら

 

赤紙を受くる心に重なるやステージ4を告げられている

 

株立ちの枝につのぐむ鋭きつぼみ冬の桜の命に触るる

 

きさらぎの朝(あした)の窓に澄みわたる末期なる目にも水色の空

 

 

 

 


「短歌往来」2022年10月号

定価 850円(税込)

 

●巻頭作品

2時間40分/川野里子

 

●特別作品

夏のために/三枝浩樹

【「首」のうた百首】抄/水城春房

 

●評論21世紀の視座

創世神話「塚本邦雄」初期歌集の精神風景/江畑實

 

 

【特集】秋かぜキキョウ

作品+エッセイ

奥村晃作、小林幸子、野地安伯、押切寛子、冨樫榮太郎、浜口美知子、兵頭なぎさ、大崎瀬都、笹公人、結城文、佐波洋子、塚本諄、山内頌子

 

●作品7首

山村泰彦、楠田立身、都築直子、小寺三喜子、喜多弘樹、藤田冴、村松静風、永平緑、秋山佐和子

 

●作品8首

丸山順司、井口世津子、米山髙仁、八城スナホ、宮尻修、岩井久美子、宮本清、佐藤公子、岸本節子、沢木奈津子

 

●結社の顔ー熾/沖ななも

 

●新・自然を詠む・撮る・描く

大和三山/松井純代

 

●作品13首

伊勢方信、貝沼正子、南輝子、喜多宣夫、田村元、佐藤千代子、武藤義哉、森川和代、幸野稔、玉井まり衣

 

●今月の視点/藤島秀憲

 

●今月の新人/遠藤月尾

 

●連載

島田修三、加藤治郎、田中教子、勝又浩、豊島秀憲、佐佐木朋子、恩田英明、青戸紫枝、持田綱一郎、福島泰樹、丹波真人、本条恵、武富純一

 

●新刊歌集歌書評

 

など収載。

 

 


糸川雅子歌集『ひかりの伽藍』

定価:2,750円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:204頁

ISBN978-4-86629-277-9

第七歌集!

 

世界の外側に落ちる水の一滴にも

この世の中の理不尽な事柄に対しても

研ぎすまされた感性も針は分け隔てなく捉える。

びんびんとして、孤高な反響の環を広げるためにのみ。

 

 

 

 

『ひかりの伽藍』より5首

 

花いちもんめ 幼子売られ幼子の声は買われて村はなざかり

 

膝立てて横たわる女体の列島にくまなく電気の血がながれたり

 

空の音群青の音ひたひたとひかりの中をひとは降りくる

 

灯をともしきょうも始まるわが夜の視界の端に置かれて 砥石

 

そのひともこころの器に水を汲みさびしき昼をゆらしておらん

 

 

 

 


熊谷富雄歌集『曲り家』

定価:2,750円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:234頁

ISBN978-4-86629-274-8

 

第一歌集!

 

大企業を退職後に短歌を始めた作者に現役時代の

厳しい仕事の作品はないが、その後の10年の

生活の中から生まれた作品は自由で楽しい。

ふるさとを思い、父母、兄へ寄せる作者の心は温かい。

詠む人を和ませる善意の歌集である。

 

----------------------------------------------------------------中根誠

 

『曲り家』より5首

 

茅葺きの母屋と馬屋の曲り家よ浮きでる木目の柱を撫でる

 

五年経ち出版社よりわが作文採用と聞く『あたらしいこくご』

 

朝ドラの「おかえりモネ」のペダル踏む登米の町の武家屋敷通り

 

わが自転車(チャリ)は老体となり錆び付けどたらふく食えと空気入れを圧(お)す

 

主将の属す双葉翔陽高校の校歌作詞の兄はほほ笑む

 

 

 


柾木遙一郎歌集『炭化結晶』

定価:2,750円(税込)

判型:四六判並製カバー装

頁数:198頁

ISBN978-4-86629-275-5

第一歌集!

 

失われ、変わってしまった自らの「少年」を著者は探そうとしているのだろう。だがそれを直接追い求めたら、結果的にはそれを失うこととなってしまう。だから他者の中の「少年」を追う。そしてそれは常に、その時その時の具体的な少年の顔で現れる。

 ―森本平  「解説」より

 

 

 

 

『炭化結晶』より五首

 

空っぽな人間だから真っ白なページばかりの本になりたい

 

少年を轢いた列車のブレーキが人間らしき言葉を放つ

 

窓際で頬杖をつき、群れずとも生きられそうな君を見ていた

 

死んでゆく少年たちの微笑みを透かして淡く夏の銀河は

 

六月の無風の午後の曇り空、季節はこんな日に死んでいく

 


「短歌往来」2022年9月号

850円(税込)

 

【特集】

〔創刊400号記念〕

前川佐美雄賞・ながらみ現代短歌賞・ながらみ書房出版賞の歌人

 

 

●作品+エッセイ

大口玲子、谷岡亜紀、島田修三、馬場あき子、吉川宏志、栗木京子、本田一弘、黒瀬珂瀾、奥田亡羊、小島ゆかり、藤島秀憲、池田はるみ、花山多佳子、黒木三千代、三井ゆき、森山晴美、渡辺松男、江戸雪、小野雅子、小関祐子、小橋芙沙世、小笠原和幸、和嶋勝利、恒成美代子、飯沼鮎子、高島裕、田中拓也、松村正直、菊池裕、上村典子、棚木恒寿、花山周子、駒田晶子、滝下惠子、山口明子、中川佐和子、南鏡子、高山邦男、岩尾淳子、鈴木陽美、田中薫、苅谷君代、清水あかね

 

【巻頭作品21首】

盛夏渾沌/篠弘

 

【特別作品33首】

白髪がそよぐ

 

【追悼】杜澤光一郎/水城春房

 

【連載】

島田修三、加藤治郎、田中教子、勝又浩、豊島秀憲、佐佐木朋子、恩田英明、青戸紫枝、持田鋼一郎、福島泰樹、丹波真人

 

【今月の視点】河野美砂子

【今月の新人】保科勇一

 

【作品月評】7月号より/小林真代

【評論月評】貝澤俊一

 

その他、新刊歌集歌書評など。

 

 

 

 

 


三友さよ子歌集『ことの葉にのせ』

定価:2,750円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:198頁

ISBN978-4-86629-272-4

 

第二歌集!

 

雪が来る ―。

言葉の恩寵を告げに来るように。

いのちが始まり、そして尽きるまでのつましい時間。

身めぐりの風景に寄り添い、そしてかぎりなく愛でる。

詩歌のまことをそっと小脇にかかえながら・・・。

 

 

 

『ことの葉にのせ』より五首

 

秘めごとのひとつ真綿に包みつつ箪笥の中へ金花虫蔵ふ

 

冴えざえと望の光に照らされて凍て空あふぐ雪の達磨は

 

 

朝の風わたる木陰に目をつむり夏の言の葉湧きくるを待つ

 

孤独なる蛙(かはづ)が岩間に鳴きつぎて春深き夜を語り尽くせり

 

森の香が少し欲しくて鉛筆の十数本を次々削る

 

 

 

 

 


「短歌往来」2022年8月号

850円(税込)

 

【特集】

鉄道のうた

〇評論/松村正直

〇抽出/青山仁

〇作品+エッセイ

西田郁人、香川ヒサ、御供平佶、江戸雪、真中朋久、森尻理恵、本阿弥秀雄、松尾祥子、高島裕、和田沙都子、生沼義朗、三原由起子、青木雅一、奥村知代、尾形貢、永田愛、青山仁、吉田惠子、青時

🚃鉄道関係者や鉄道ファンの歌人の方々にご執筆いただきました。

歌歴も鉄道へのかかわり方もバラバラですが、鉄道愛が誌面の軸になった様に思います。(編集後記より

 

 

〇巻頭作品

人道回廊/玉井清弘

 

〇特別作品

飛鳥孤悲/前川斎子

いまは異国の/林田恒浩

 

〇評論シリーズ21世紀の視座

創世神話「塚本邦雄」初期歌集の精神風景/江畑實

 

〇作品7首

秋葉四郎、青木陽子、藤原龍一郎、大塚寅彦、上田明、五所美子、小山常光、久保美洋子、長澤ちづ、池本一郎

 

〇作品13首

久我田鶴子、髙安勇、大熊俊夫、千家統子、橋本千惠子、山田吉郎、川田茂、梶間和歌、安野ゆり子

 

〇作品8首

武田素晴、多賀陽美、川村杳平、久保とし子、大塚健、紫あかね、川上三郎、川崎百合枝、野上洋子、前田宏

 

〇結社の顔

コスモス/桑原正紀

 

〇新・自然を詠む・撮る・描く

鎌倉十二月楽辞/鷺沼あかね

 

〇連載

勝又浩、豊島秀範、水城春房、佐佐木朋子、恩田英明、青戸紫枝、持田綱一郎、福島泰樹、丹波真人

 

〇今月の視点/阪森郁代

 

〇今月の新人/松古樹美

 

〇作品月評/小林真代

 

〇評論月評/貝澤俊一

 

など。

 

 

 


秋元美津枝歌集『吾れ半歩でも現役であれ………第九とともに

定価:2,530円(税込)

判型:四六判並製カバー装

頁数:156頁

ISBN978-4-86629-269-4

 

賜物の第一歌集!

 

今日生きて明日には灰となる命吾れ半歩でも現役であれ

 

朝に紅顔、夕べには白骨の身(蓮如)――。

15歳から工場でもの作りに励んできた半世紀。

さまざまな偶然が重なり歌と出会った。

慣れない工具を扱うように、師も仲間もなく一人きりで歌作に励んだ。

灰色の労働も悩みも薪と燃やし、はかないこの世の命に向き合い歌を詠む!

 

 

『吾半歩でも現役であれ・・・第九とともに』より五首

 

流れ来る三秒組み立てラインにて今日も無口で過ごす人あり

 

湧く雲に流浪の雲の重なりて秋のきざしははや空にきて

 

川上へ行くほど水は清くして色はにごりつつ郷(さと)に流るる

 

ネジまはす無意識の手に温かきいきのひと息ふれて驚く

 

吾の永年勤続祝ひのその道で解雇闘争のビラをもらひき

 

 

 

 

 

 

 


櫛田如堂歌集『よいむなや』

定価:2,750円

判型:四六判上製カバー装

頁数:230頁

ISBN978-4-86629-271-7

第四歌集!

 

櫛田如堂はその茫洋とした風体の奥に、さまざまな思念や感情を秘めた人だ。

放射能分野の研究者、コカリナ奏者、禅の修行者、そして歌人。

櫛田の心は、多様な時空を旅しながら、人類の歴史を、宇宙の摂理を、亡き父母と妻を、今現在の天災・人災を思い、彫り深いことばを発する。

読者はここに、21世紀の魂の遍歴を体感するだろう。

ーーーー坂井修一

 

 

『よいむなや』より4首

 

落日の太古の空を夢見るや羊歯の葉先の黄昏蜻蛉

 

アリゾナの巨大サボテン群生す人間の時間サボテンの時間

 

菩提寺に修す真夏の七回忌母ゆきて妻ゆきて蝉鳴きやまず

 

秋の夜の闇なつかしみ君の名をよべば応ふる猫の声かな

 

 


飯島智恵子歌集『草木瓜の咲く家』

定価:2,750円

判型:四六判上製カバー装

頁数:208頁

ISBN978-4-86629-270-0

 

この世の人情の温かさと辛さをユーモアに包(くる)んで詠いあげた、微苦笑の軽気球。とどこおりない洒脱な詠み口は、作者の人間愛と人生肯定の強さを証し、時折のぞく悪戯(いたずら)ごころが大らかな人柄を偲ばせる。

60年の作歌歴を凝縮した熟成の第二歌集。

(千々和久幸)

 

 

 

『草木瓜の咲く家』より5首

 

草木瓜(くさぼけ)の返り花咲く生垣に虻がひすがらきて遊びおり

 

取り壊す噂ながるるビルの階老人が夕陽背にのぼりゆく

 

乾反り葉を踏んでいこうかかさこそと乾いた音がこの靴は好き

 

フェイス・シールド百円也ふたつ買う夫にひとつ私にひとつ

 

陽の落ちて闇にとけゆく遺跡群ほーろろんと蜥蜴(とかげ)が鳴けり

 

巻き尺をのばしビュルンと放ちやる何もなかった一日(ひとひ)の終わり

 

 


佐藤恵美子歌集『青葉木莵』

定価:2,750円

判型:四六判上製カバー装

頁数:228頁

ISBN978-4-86629-266-3

第三歌集!

 

『青雁』『島梟の森』などの歌集の著者、佐藤恵美子は新アララギの探鳥の歌人として知られる。

 

人生半ば、病を得た彼女は、度々の生命の危機を乗り越えて来た。そのさなか、杖とも頼む夫君を失い悲嘆のどん底にあった。

 

しかし、やがてそこから立ち上がった。

 

彼女を暖かく見守る子や孫たち、庭を訪れる多くの野鳥たちを詠むことを力に再起したのだ。本書は一日一生の思いを伝える一歌人の「生」の記録である。(雁部貞夫)

 

 

『青葉木菟』より5首

 

古(いにしへ)の名残とどむる石畳踏みしめ登るコロンブス生家へ

 

歩幅広く歩む大鷺のたつる波鳰の浮巣を岸に寄せ来る

 

山歩きすでに叶はぬわが身なれ『日本百名山を詠む』を手に心豊けし

 

自然に親しむ心伝へしは祖父にして野鳥愛するわれとなりたり

 

慈悲心鳥の声聞き佇む里山の朝の冷気に活力の湧く

 

機の窓にまもりしかの山デナリ峰われはマッキンリーと呼びて親しむ

 

病みてより探鳥会に行くを得ず庭に尉翁あしたより来る

 


二方久文歌集『みめいしす』

定価:2,200円(税込)

判型:A5判並製

頁数:152頁

ISBN978-4-86629-261-8

第二歌集!

 

ひらかれた言葉から拓かれる世界。

かるい言葉のなかに打ち込められたひとつひとつの物語。

その物語をわたしたちはいくつ立ち上げることができるだろうか。

「みめいしす」リテラシーの力である。

 

 

『みめいしす』より5首

 

この庭にシャボンの玉はうつくしくうまれ来ぬ子をくるくる映す

 

死の朝はあわきひかりか みちびかれモノレールという器に乗りぬ

 

威勢よく神輿が夜をかきまわすわたしひとりをのけものにして

 

いちじくのかおりにむせぶ 君はただいずれたれかの妻となるべく

 

表面をバターナイフでうっすらとけずるくらいのはなしでいいから

 


蓬田真弓歌集『白木蓮ほころぶ』

定価:2,750円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:212頁

ISBN978-4-86629-257-1

 

第一歌集!

 

なんと生き生きと豊かな世界なのだろう。

こういう歌集に出会いたくて

私は短歌をやっていたのだとも思う。

 

何のために歌を詠むのか、

歌が自己表現を超えて世界に開かれているかどうか。

蓬田真弓は現代に生きる私たちの背中を力強く押してくれる。

 

奥田亡羊「解説」より

 

 

 

『白木蓮ほころぶ』より5首

 

盗人のように闇夜に植えに来し白木蓮(はくれん)ほころぶ四年(よつとせ)を経て経て

 

「ホタル橋」「かわせみ橋」と名付けられ探検マップは完成近し

 

雪やみし杣道ゆけば我らより先を歩みし貂(てん)の足跡

 

「先生はいつまで此処さ来てけるの」問われ答える「死ぬまでだべな」

 

雪原は光の粒子を放ちつつ我を励ます アルキハジメヨ

 

 

 


服部崇歌集『新しい生活様式』

定価:2,640円

判型:四六判上製カバー装

頁数:166頁

ISBN978-4-86629-267-0

挑発する知の第二歌集!

 

「栞」より

 

世界との接し方で言うと、没入し切らず、どこか醒めている。かといって冷笑的ではない。謎を含んだ孤独で内省的な知の手触りがある。 -谷岡亜紀

 

「新しい生活様式」が、服部さんを媒介として、短歌という詩型にどのように作用するのか注目したい。 -河野美砂子

 

服部の目が、観察する眼以上の、ユーモアや批評を含んだ挑発的なものであることが窺える。 -島田幸典

 

 

~『新しい生活様式』より五首~

 

カマキリに食はれて終はる夏の日のあたまを去らずそれも人生

 

猫として生まれてをらばキタイスカヤ通りの裏を歩いてゐたか

 

工作を失敗したる夜の更けてひとり眠りをむさぼるわれは

 

目に見えぬなにかに触れてゐたらしいゆつくり酸化してゆく林檎

 

鴨川のデルタのうへのなつぞらをリリエンタール七世が飛ぶ

 

 

 

 

 


武藤義哉歌集『春の幾何学』

定価:2,750円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:202頁

ISBN978-4-86629-265-6

第一歌集。

 

合唱の声が次第にまとまって誰の声でもな声となる

 

それぞれに満月ひとつ詰められて販売される花札の箱

 

海中(わたなか)の世界で飛び魚が語り伝える風の体験

 

不思議な歌集だと思う。

この歌集では、しばしば現代短歌の主役をつとめる<われ><現在><人間>が主役ではなく、脇役をつとめたり、全く出てこなかったりする。

だからだろう、私たち読者は、どこに連れて行かれるか分からない楽しみと冒険とほんの少しの不安を味わうことになる。

ーー佐佐木幸綱・帯文

 

 

 

『春の幾何学』より五首

 

どこから来てどこへ行くかと駅員に根源的なことを聞かれる

 

光線が斜めにさして垂直に生命(いのち)たちゆく春の幾何学

 

たんぽぽの綿毛預かり青空はまたたんぽぽの配置を変える

 

さざなみにしばし休んでもらうため今朝湖は氷を張った

 

少しずつ薔薇色帯びてゆく宇宙 天文学者の晩酌進む

 

 


佐藤公子歌集『草かもしれず花かも知れず』

定価:2,640円(税込)

判型:四六判並製カバー装

頁数:164頁

ISBN978-4-86629-26-1

第一歌集!

 

はじまりは糸のやうなる葱の芽の

あをあをと立つ新春の庭

 

「蝶」や「蟻」、且つは「もぐら」のような小動物までもが登場し、そこからまた、自分の家の庭の風景や、野に咲く花々へ目のゆく、その目線の柔らかさが実に魅力的なのである。

---浜田康敬 「跋文」より

 

 

 

 

『草かもしれず花かも知れず』より五首

 

電話機の着信記録非通知を示せば想像膨らませをり

 

青色の紙に直線引くやうな電線伸びをり夏空の中

 

三ミリのありが五ミリの虫を曳きじぐざぐ歩きて視界

 

息継ぎのごとく地面を盛り上げてわが家の庭に棲むもぐらもち

 

見慣れたる川も田んぼも旅人の心で見れば美しきわが町

 

 

 

 

 


貝沼正子歌集『赤いリュック』

定価:2,750円

判型:四六判並製カバー装

頁数:192頁

ISBN978-4-86629-258-8

 

第四歌集!

 

背負った赤いリュックに、いっぱい詰まった時間の果実。

愛おしいもの、なつかしいものに、精一杯の祝福を送ろう。

歌を生きるために。

 

『赤いリュック』より5首

 

三日分の酒のつまみも詰めこんで赤いリュックの明日からの旅

 

履きなれしスニーカーで行く気安さよ浅草界隈ひと日を歩く

 

紫陽花の葉脈ぬめぬめ光らせてナメクジ言うか「俺様が行く」

 

初夏(はつなつ)の街ゆく娘(こ)らの笑い声とびちるキャッキャわれににもかかる

 

 


南輝子歌集『神戸バンビジャンキー』

定価:2,200円

判型:A5判変型並製カバー装

頁数:234頁

ISBN978-4-86629-255-7

これがジャズ!

これが青春!

 

ピュアに輝く

 

1960年代、ファンキー、クール、ソウルフル

米軍兵站慰安基地神戸港、日米安保の呪縛、

ヴェトナム戦争、激動する状況下

ジャズ喫茶神戸バンビの青春群像

ビート・ジェネレーションの末裔が熱く問いかける

 

君は、いまを、時代を、世界を、生きているかい?

 

 

 

『神戸バンビジャンキー』より5首

 

セルリアンブルーに眠れ ひと夜ぢゆう青をむさぼる青に埋もれて

 

セルリアンブルーの夢見のあとはるかわが魂が還つてこない

 

肉体へちよくせつ迫る夏の雷ロングホットサマーをひきつれてくる

 

オリオンの夜をうろつく狼のえりまき巻いて野生尖らせ

 

変はる変はる時代は変はるよディラン唄ふ変へやう時代扉こぢあけ(エポックノック)

 

 

 


「短歌往来」2022年4月号

定価 850円(税込)

 

【特集】

アンケート2021年のベスト歌集・歌書

①2021年に刊行された優れた歌集歌書を3冊あげ、それぞれの歌集からは秀歌をひいてください。

②歌集歌書、あるいは2021年の収穫について自由にコメントしてください。

松村由利子/山中律雄/前田康子/林和清/小山常光/佐波洋子/黒岩剛仁/山下翔/押切寛子/田村元/一ノ関忠人/野口あや子/後藤恵市/沖ななも/大熊俊夫/利根川発/上條雅道/長澤ちづ/古屋正作/野地安伯/松平盟子/佐々木六戈/鈴木英子

 

◎巻頭作品/春日いづみ

 

◎特別作品/萩岡良博、大西久美子

 

◎作品7首

武田弘之/玉城寛子/山野吾郎/佐田公子/磯田ひさ子/當間實光/山本雪子/衛藤弘代/鶴見輝子

 

◎作品13首

荻本清子/本田一弘/東直子/小笠原和幸/辰巳泰子/中川昭/田中律子/平山公一/矢澤靖江/永田吉文

 

◎作品8首

山田吉郎/重田美代子/伊藤典子/米山髙仁/北川江美子/松本高直/児島昌恵/井澤洋子/甲村雅俊/山浦君子

 

◎新・自然を詠む・撮る・描く/上村典子

 

◎追悼ー大坂泰/奥村晃作

◎追悼ー真鍋正男/中村節子

 

◎今月の視点/森川多佳子

◎今月の新人/竹内典子

 

◎連載

島田修三/加藤治郎/田中教子/勝又浩/豊島秀範/水城春房/佐佐木朋子/恩田英明/青戸紫枝/持田綱一郎/福島泰樹/丹波真人

 

◎作品月評/小林真代

◎評論月評/貝澤俊一

 

その他、書評など掲載しております。

 

 


黒田淑子歌集『花ものがたり』

定価:2,750円

判型:四六判上製カバー装

頁数:182頁

ISBN978-4-86629-256-4

第二歌集!

 

両手いっぱいに盛られた花々は、

時として美しい物語を語り始める。

色彩豊かに詰め込まれたさまざまな人生を。

豪奢な花、名もなきも花。歌を支えてきたのも花。

 

 

 

『花ものがたり』より五首

 

月光は香れるやうに注ぎたり焔となりて曼殊沙華さく

 

恩寵の青天なりき筆下し詩文のびやかに条幅の文字

 

篤学の父の遺伝子うけ継がず酒を愛せしことのみ継ぎぬ

 

食足りてオリンピック観る 玉音に慟哭せしを友が爆死せしを

 

歯切れよき津軽りんごの爽やかさ雲が流れて秋は来にけり

 

 

 

 

 

 


「短歌往来」2022年3月号

定価850円(税込)

 

巻頭作品/内藤明

特別作品/松本典子・大松達知

 

評論シリーズ21世紀の視座/江畑實

 

【特集】

全国の冬の植物を詠む

今川美幸/兼平一子/清水亞彦/佐藤成晃/菅原恵子/冨樫榮太郎/金澤憲仁/浦川奈々/島内美代/今井はつ子/斎藤千代/田村広志/藤室苑子/木村雅子/村山伀/平岡和代/飛鳥游美/片岡なおこ/梶原房恵/山村泰彦/小川恵子/小林敦子/青木陽子/田中伸治/小潟水脈/藤元靖子/上田明/大地たかこ/松井純代/井谷まさみち/池本一郎/寺井淳/久山倫代/檜垣美保子/上村典子/佐藤恵子/兵頭なぎさ/川又和志/梶田順子/大音千紘/香川三枝/馬場昭徳/鹿井いつ子/伊勢方信/志垣澄幸/川涯利雄/池原初子

 

◎作品13首

大森静佳/喜多弘樹/吉野亜矢/生沼義朗/中野たみ子/田村元/木部海帆/上條素山/上林節江

 

◎結社の顔ー心の花/黒岩剛仁

 

◎新・自然を詠む・撮る・描く/工藤貴響

 

◎今月の視点/服部崇

 

◎今月の新人/加藤綾子

 

◎連載

島田修三/加藤治郎/田中教子/勝又浩/豊島秀範/水城春房/佐佐木朋子/恩田英明/青戸紫枝/持田綱一郎/福島泰樹/丹波真人

 

◎作品月評/大西久美子

◎評論月評/萩岡良博

 

その他、書評など掲載しております。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


矢野しげ子歌集『輪廻のひとこま』

第二歌集!

 

夫の他界に悲観の日々もあった。

次々に襲ってくる病を克服してきた。

先師・山名康郎に歌学びをした懐かしい日々。

世界を旅し、日本を旅し、多くのものを見て来た。

さまざまに去来するもの。

このさびしい輪廻の駅に無言で立つ。

 

 

 

 

『輪廻のひとこま』より五首

 

雪の降る朝はモノクロ雲垂れて竜の目に見ゆる信号の青

 

夢を追ふ旅の坂道ふり帰る素足のわれに夕日ひたひた

 

言ひたきこと言へずくよくよ帰り来ぬ傘の雫をシュッと振り切る

 

老後のためと始し短歌読み返す相聞歌一首だになきは寂しき

 

蝉のこゑもか細くなりぬわれもまた未知なる輪廻のひとこまを生く

 

 


「短歌往来」2022年2月号

850円(税込)

 

【特集】

オメデトウ 寅年生れの歌人

逸見久美、豊島初枝、島ゆり、花美月、池田裕美子、川﨑勝信、石井照子、落合けい子、岩井幸代、寺田陽子、春日真木子、浜田康敬、川本千栄、田口綾子、菅原恵子、林和清、南鏡子、山田太一、淺田隆博、棚木恒寿、楜澤丈二、佐野善雄、陣内直樹、冨尾捷二、濱田千春、佐々木寛子、藤本喜久恵、佐久間すゑ子、中村規子、今井はつ子、楠田立身、阿木津英、山田富士郎、桂保子、佐藤モニカ、小潟水脈、木村文子、轡田道子、間鍋三和子、佐佐木定綱

 

〇巻頭作品/佐佐木幸綱

〇特別作品/俵万智、冬道麻子

 

〇評論シリーズ21世紀の視座

意味と音律の空間/寺島博子

 

〇結社の顔

水甕/春日いづみ

 

〇新・自然を詠む・撮る・描く/鈴木英子

 

〇今月の視点/清水亞彦

 

〇今月の新人/谷川恵

 

〇作品月評/大西久美子

〇評論月評/萩岡良博

 

◇好評連載◇

島田修三、加藤治郎、勝又浩、豊島秀範、水城春房、佐佐木朋子、恩田英明、青戸紫枝(新連載)、持田綱一郎、福島泰樹、丹波真人

 

その他、新刊歌集歌書評など掲載しております。

 

 

 


奥村秀子歌集『清河原』

定価:2,860円

判型:四六判上製カバー装

頁数:234頁

ISBN978-4-86629-252-6

 

第二歌集!

 

技巧を凝らすでもなく、奇をてらうでもなく、素直でありのままをうたうが、いいたいことをきっちりとまとめて、的確である。十余年の歳月の思いを刻んだ『清河原』からは、香春の風土と歴史の上に築かれていった一人の人間の歩みが、静かに、しかし豊かに立ち上がってくる。

ーーー内藤明「跋」より

 

 

『清河原』より五首

 

いにしえの駅家(うまや)の賑わい再びと今開かるる「香春道の駅」

 

山の道・野の道・畦道すべてよし香れる土の足裏に弾む

 

亡き夫の遺影を縁に持ち出して剪定すみたる庭を見せたり

 

玉葱の程よき抵抗手に受けて引きゆく百本春日にまぶし

 

腰に下ぐる蚊取り線香夕闇に火の赤く見ゆ吾が位置示し

 

 

 

 


古谷智子歌集『ベイビーズ・ブレス』

判型:四六判上製カバー装

頁数:232頁

定価:2860円(税込)

ISBN978-4-86629-250-2

 

感性の高みへ!第八歌集。

 

ベイビーズ・ブレス―――。

 

先師・春日井建は「赤ん坊の溜息」と表現しながら霞草を詠んだ。生れ出るもの、この世から消えていくものたちかの、かすかな息づかい。惜しみない拍手をもって、一世界のたしかないのちの形象を刻んでいく。さりげなく、細やかな感性の針を輝かせ、この上なく美しく、ひそかに。

 

 


「短歌往来」2022年1月号

定価850円(税込)

 

【特集】新聞歌壇の現在

・評論

新聞歌壇の過去・現在・未来/加古陽

・エッセイ

佐藤通雅、栗木京子、三枝昻之、小島ゆかり、馬場あき子、米川千嘉子、名嘉真恵美子、尾崎まゆみ、黒瀬珂瀾、柳澤美晴

 

〇作品7首/楠田立身、下村道子、林田恒浩、秋山佐和子、中井龍彦、佐藤孝子、桑原正紀、前田康子、若菜邦彦

 

〇作品13首/沢口芙美、伊勢方信、貝沼正子、宮原勉、尾﨑朗子、中島裕介、三原由起子、染野太朗、吉田惠子、山岸佳子

 

〇作品8首/甲村雅俊、高崎圭子、田名網順子、立松滋子、袴田ひとみ、池田裕美子、山本一成、岡本瑤子、大久保晴雄、小林芳枝

 

〇結社の顔/「やまなみ」野田光介

 

〇新・自然を詠む・撮る・描く

白石川上流域/岩崎聰之介

 

〇今月の視点/田村ふみ乃

〇今月の新人/河合純一

 

【連載】

勝又浩、豊島秀範、水城春房、佐佐木朋子、恩田英明、持田綱一郎、福島泰樹、丹波真人

〇作品月評/大西久美子

〇評論月評/萩岡良博

 

【新刊歌集歌書評】

 

〇表紙作品/淺本竜二

〇本文カット/浅川洋

 


「短歌往来」2021年12月号

定価 850円(税込)

 

【特集】

題詠による詩歌句の試み19

ーコロナ禍の日常ー

佐々木幹郎、玉井清弘、宇多喜代子、小池昌代、小池光、片山由美子、片岡直子、藤島秀憲、正木ゆう子、水無田気流、久我田鶴子、浦川聡子、渡辺めぐみ、渡英子、閒村俊一

 

〇巻頭作品/川本千栄

〇特別作品/持田綱一郎、都築直子

 

〇評論シリーズ21世紀の視座

岡井隆の表現方法/中川佐和子

 

〇作品7首/横山岩男、栗木京子、松川洋子、石井利明、安藤直彦、村松秀代、三澤吏佐子

 

〇作品13首/綾部光芳、小橋芙沙世、奥田亡羊、国吉茂子、吉村明美、山下翔、玉井綾子、近藤芳仙、小関祐子、荒井直子

 

〇作品8首/川﨑勝信、奥山かほる、東野千穂子、木戸敬、黒田淑子、田口欣也、奥村秀子、吉藤純子、小野光恵、布々岐敬子

 

〇結社の顔/橄欖ー小笠原信之

 

〇追悼「蒔田さくら子」品位と節度/西勝洋一

 

〇今月の視点/古谷円

 

〇今月の新人/喜多宣夫

 

【連載】

勝又浩、水城春房、佐佐木朋子、持田綱一郎、三枝浩樹(最終回)、恩田英明、福島泰樹、丹波真人

 

〇作品月評/大西久美子

〇評論月評/萩岡良博

 

表紙作品/クリシュナ智子『夕暮れを告げる鳥』

本文カット/浅川洋

 

 


伊藤典子歌集『山のささやき』

定価:2,500円(税込)

判型:四六判上製カバー

頁数:194頁

ISBN978-4-86629-242-7

 

第二歌集!

 

家族ぐるみのお付き合いを頂いている伊藤榮一・典子夫妻から大切な歌稿を預かったが伝統ある「水甕」で磨かれた作品に何のお手伝いもせず当方が学ばせて頂いた。多くの方々のご清鑑と逝去されたご主人の供養になることを祈るばかりである。

<楠田立身 帯文>

 

 

 

山の端を離れむとする初ひかり長き稜線の茜極まる

 

残りたるパセリ数本キッチンに挿せば四月の草萌えの風

 

朝明けを真昼を夕を老鶯のさへづりに励まされて、夏

 

母が好きでわたしも好きな長十郎肩寄せ合ひて食べし日のあり

 

あの夏に夫と選びしパラソルのブルー褪せたり空に吸はれて

 

 


桂保子歌集『春は樹木語』

定価:2,500円(税抜)

判型:四六判上製カバー装

頁数:210頁

ISBN978-4-86629-243-4

深い緑の葉ですね名告つてくれないか春は樹木語わかる気がする

 

逃げ水を追いかけるように、この小宇宙を彷徨する一人。

わたしの声が聴こえるか?息遣いが伝わっているか?

さまざまな物象は、かなしみの相を見せながら明滅を続ける。

そう、逃げ水とは此の世から彼の世へとつながる命そのもの。

 

 

 

 

ちひさな林檎サイズの天秤ゆふかぜを載せて光れりちひさな皿が

 

みづいろの水族館に二時間を過ごせばさしみ身に鰭なきは

 

眠れずに棚より取り出す星座図の北斗の柄杓に水あり光る

 

縄文の人らも水辺に眺めしや恋螢ひとつまたひとつ飛ぶ

 

たれもみな過ぎてゆくひとたれもみな消えてゆくひと さくら葛湯を

 

 


短歌往来 2021年11月号

850円(税込・送料無料)

 

【特集】動物(ペット)を詠む

馬場あき子+佐佐木幸綱+高野公彦

 

◎巻頭作品

池田はるみ

 

◎特別作品

苅谷君代+清水あかね

 

◎評論シリーズ21世紀の視座

江畑實

 

◎自然を詠む・撮る・描く

梅原ひろみ

 

◎結社の顔

玲瓏

 

その他、作品、好評連載、書評など多数掲載しています。

 


短歌往来 2021年10月号

1冊850円(税込・送料無料)

 

【特集】秋風サンマ

秋葉四郎+森山晴美+時田則雄など

 

◎巻頭作品 

伊藤一彦

 

◎特別作品

花山多佳子+松平盟子

 

評論シリーズ21世紀の視座

内田かつひろ

 

◎自然を詠む・撮る描く/奥村晃作

 

◎結社の顔/かりん

 

その他、作品、好評連載、書評など掲載しています。

 


児島昌恵歌集『空の鈴』

定価:2,500円(税抜)

判型:四六判上製カバー装

頁数:184頁

ISBN978-4-86629-240-3

第一歌集!

 

にはとりも犬もうさぎも猫もゐてねずみ奔りき八人の家

 

雪の朝クアラルンプールの子へ向けてふはりふはりとメール打ちたり

 

大鷹が振る鈍いろの空の鈴 バードサンクチュアリの夜明けに

 

遠い昔の家族がうたわれていたり、外国に住む子の家族が登場したり、時間的にも空間的にも豊かな広がりが読めるのが、この歌集の大きな特色だろう。表現とは、つまり、いま自分が立つここの歴史や背景、深さや厚みをイメージする行いなのだということを、あらためて思い出させてくれる。

<佐佐木幸綱 帯文>

 

 

 

 

コーランの祷り流るる朝まだき私の知らない小鳥がうたふ

 

置き去りの心ふくらむ花の季裁縫箱をしづかに開く

 

母からの便り途絶えてまたの夏雑木林に針ゑんじゆ降る

 

月見草ゆふべの白はすでに紅けふは帰らむわたしの家へ

 

かたらちを初めて知つた通学路の坂にアンジェラスの鐘を聴きにき

 

 


大久保晴雄歌集『高日』

定価:2500円(税別)

頁数:186頁

判型:四六判上製

ISBN978-4-86629-229-8

 

気魄の第二歌集!

 

天日直射して、命の海をまばゆくする。

すべて清らかな湧水のように、地を浸し、こころを浸す。

穏やかにーー。

万象ことごとく、歌の梢を揺らせやまない。

 

 

月朧手を握るのか繋ぐのかあのひと時は青春なりき

 

身の奥に響を留め地下鉄は薄闇の穴残して行きぬ

 

ゆく河に棹をさしたし 然あれど黒く澱みて見通したたず

 

車窓より黄昏(たそがれ)ていく海見えて我の意識を過去へと運ぶ

 

清らかな水の源(みなもと)(きは)めたく瀬に沿へる道辿(たど)らむとせり

 

 


坂井修一著『世界を読み、歌を詠む』

判型:46判並製カバー装

頁数:276頁

定価:2,750円(税込)

ISBN978-4-86629-238-0

 

古今東西の古典から現代文学、思想を読み解く文学者の貌。

情報科学の先端分野を探求し続ける科学者の貌。

 

伝統とは何か。

変革とは何か。

人間とは何か。

その時、歌は・・・。

 

横溢する知性と感性が、縦横無尽にこの世界を跳梁跋扈する。

 

 

 

 

荘子よ、馬場あき子よ。アイザック・アシモフよ。無為なるすぐれたものたちはとうに滅び果て、この地球の上は経済ロボットのような人間が跋扈している。ああ、せめてもは、黄金の言葉をもって私の貧しい胸の中に入り、甘酸っぱく渋く苦く、感覚と観念の渾沌を醸しつつ、宇宙の遊びをやりつくしてくれ。(本文より)

 

 


吉田惠子歌集『常磐線特急ひたち』

定価:2,500円(税別)

判型:四六判上製カバー装

頁数:206頁

ISBN978-4-86629239-7

 

第六歌集!

 

『透明な刻』から11年。東北大地震の余震は、ガラスの透明な立像をぎしぎしと鳴らし続けている。歌人が切り取った風景には、記憶のない生誕地・双葉町を始め、両親に関わる時代(とき)の流れが刻印されている。さらに過ごしてきた11年の透明な刻にも淡い色彩が射し込んできているように見える。

 

 

記憶なきわれの生まれし双葉町の野のタンポポは西洋種かも

 

思い出だけの遠き福島と思いおりにしっかり視よと近づいてくる

 

夜の峠越え行くバスの曲がるたび窓をはみ出す月を見ており

 

川ふたつ渡り野に咲く彼岸花さがしに行かんさねさし相模(さがむ)

 

河口まで北上したる阿武隈川 川幅広きをいま渡りゆく

 

常磐線特急ひたちの終点は品川なれば品川まで乗る

 


永田吉文歌集『実朝の風』

定価:2500円(税抜)

判型:四六判上製カバー装

頁数:220頁

ISBN978-4-86629-237-3

 

第三歌集!

 

鎌倉の駅前客を待つバスに

    さつと乗り来る実朝の風

 

旅人は風に歌う。

恋は花に紛れようとする。

太陽は月光を全身にあびながら。

何の衒いがあろうか。素の心のままに歌う。

 

 

 

身近なる小田急・横浜両線の町田駅わがうき世の要

 

夢二絵の和服姿の女性立つそこより入るは風韻の道

 

一本の傘を杖とし佇める歌の聖は何を詠はむ

 

まみどりの森にかこまれ緑なす水面をゆらす鳥々の声

 

陽の光気持ち良き日はわが身にも発散しゆく何ものかある

 

 

 

 


北川美江子歌集『スパイス・ノート』

定価:2,400円(税別)

判型:A5判並製カバー装

頁数:162頁

ISBN978-4-86629-235-9

第一歌集!

 

そもそもスパイスのプロだった。独自のレシピでお客さんを唸らせつづけたが、その陰には相棒というべき奥さんの絶大な協力があった。(中略)

詩人のセンス、文章力にも恵まれているから、何でも書いて残す気になるにちがいないだろう。人生を語るなんて気はないらしくて、世の中のひとつひおつの瞬間や事のなりゆき、目の前のもろもろが、おもしろくてならないのだと思う。奥さんが短歌と出会ってくれたことを心から喜びたい。

『スパイス・ノート』は、そんな奥さん、北川美江子さんのおもしろさが冴え冴えとみなぎっている一冊目の歌集である。(今野寿美ー跋文より)

 

 

 

黒き津波のことは知らずに東京の余震のおなかを眠るみどりご

 

こくこくと飲んでいた水昼寝するおさなごを洩れわたしを濡らす

 

三十五年のちの校舎に若き日のわれのしっぽを踏んづけている

 

さんざんだ、さんざんだよと雨が降りあたり一面金木犀散る

 

愛しさが食べたさになるてのひらで子豚まるごと油ぬるとき

 

 

 

 

 

 


「短歌往来」2021年9月号

850円(税込・送料無料)

 

【特集】

パンデミックの世の日常・非日常を詠む

三井修+南輝子+桜川冴子 など

 

◎巻頭作品

松村正直

 

◎特別作品

古谷智子+梅内美華子

 

◎評論シリーズ21世紀の視座

江畑實

 

◎自然を詠む・撮る・描く

青木陽子

 

◎結社の顔ー歩道

 

その他、好評連載、書評など盛りだくさんです。

 

 

 

 


伊澤昭子歌集『広重の雨』

定価:2,500円(税抜)

判型:四六判上製カバー

頁数:192頁

ISBN978-4-86629-236-6

 

第一歌集!

 

新アララギのニュー・ウェーブ

 

伊澤昭子さんの歌は、そもそも始めから活きいきとした新鮮な作品が多く、私の眼を引いた。短歌作品を造り出すのに必要な資質のよさが備わっている作者である。ここに言葉の海へ新たな才能が船出する事を祝福したい。

雁部貞夫「序にかえて」より

 

 

遠く散れ胸の湿りの重たさが霧になるなら風の日もよし

 

団子坂の緩きカーブに吾を抱き曽祖母歌いしかの子守歌

 

無意識に終のベッドに手の動く母は好みし茶の湯のしぐさ

 

眠いから一寸寝るよと父逝きぬ最期の最後は騙されました

 

午を過ぎ広重の雨地を打てり天より直下人を蹴散らす

 


東野千穂子歌集『緋色のサリー』

定価:2,500円(税別)

判型:四六判上製カバー装

頁数:202頁

ISBN978-4-86629-232-8

 

第一歌集!

 

著茶の作品は自らの風土を貴び、家族をいとおしみながら詠いあがられていて、こよなく温かい眼差と機知が感じられる。個性にあふれた表現はつとめて伸びやかで、読みつづほどに短歌の良さをしみじみと感じさせてくれる歌集である。

<林田恒浩 帯文>

 

 

 

 

深川のくらやみの町にB29の焼夷弾降る 三月十日

 

古びたるホールの隅にひそと坐しマザーテレサはミサに祈りぬ

 

(あま)かける風のにほひが好きといふ君に似合ふよサバンナの風

 

父を知らず育ちし夫が父となり祖父(ぢぢ)となりたり 片栗の花

 

八十路にはなに見えくるや判らねど さあロシナンテ海を渡らう

 

 


短歌往来 2021年8月号

160頁 A5判並製 850円(税込)

【特集】世界の新型コロナを詠む

アメリカ、イギリス、フランス、アフリカ、台湾、カナダ、ブラジル、タイ、オーストラリア在住の方々による、作品十首とエッセイ。

渡辺幸一、青木泰子、美帆シボ、末安美保子、野口修二、三宅教子、イスタダ・アリーマン、ブラント弥生、中條喜美子、工藤貴響、鵜沢梢、野間和子、森上美恵子、小城小枝子

 

◇評論シリーズ21世紀の視座

石川不二子の農学の歌とその意義についてー森垣岳

 

◇作品7首

藤岡武雄、田宮朋子、藤原龍一郎、黒木三千代、西田政史、中根三枝子、遠山利子、片岡明、石田容子

 

◇作品13首

外塚喬、森川多佳子、鵜飼康東、田中拓也、中西敏子、久葉堯、塚田キヌエ、清水正人、石川幸雄

 

◇作品8首

内藤賢司、長岡弘子、佐藤夏子、柊明日香、安富康男、沢木奈津子、窪川美代子、原田治子、佐々木伸彦

 

◇新・自然を詠む・撮る・描く

鴨川きんぺん/服部崇

 

◇結社の顔

波濤ー中島やよひ

 

◇連載

島田修三、加藤治郎、田中教子、勝又浩、豊島秀範、水城春房、佐佐木朋子、三枝裕樹、恩田英明、持田綱一郎、福島泰樹、丹波真人

 

◇今月の視点

久々湊盈子

 

◇今月の新人

小島涼我

 

その他、書評、月評、全国の短歌イベント情報等


吉藤純子歌集『加賀てまり』

定価:2,750円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:198頁

ISBN978-4-86629-227-4

 

第一歌集。

 

糠床の胡瓜をあげて鯵を焼く

中くらいの幸せ良きかな

 

 

金沢を象徴するような美しい手毬を表題とする歌集『加賀てまり』。

これからもただ過ぎてゆくばかりに見える日常から、

詩のこころをもって歌うべきものを捉え歌い続けてゆくだろう。

坂本朝子「跋」より

 

 

 

転移なしの結果かみしめ絹針で桔梗模様の加賀てまり縫ふ

 

鏡台の底の園児の手のあとの肩もみ券は有効だらうか

 

看護師は純ちやん来たよと遺体撫づいく度吾を呼びゐし母か

 

雪解水でコーヒー入れよう夫婦の日しまひこみゐしペアカップにて

 

尾羽根もてピシャリと尾長は柿の枝と私の愚痴も払ひて去りぬ

 

 


上林節江歌集『花と濡れつつ』

定価:2,860円(税込)

判型:A5判上製カバー装

頁数:204頁

ISBN978-4-86629-225-0

 

第三歌集!

 

歌を詠む。詠み継ぐ日々。

 

それはすべての命を繋ぐ所作だ。

言葉は恩寵、こころは再生のために。

身辺の異界を手探りし、輝くたましいに問う。

 

 

 

寄る辺なく骨鳴るような寂しさは知らずに咲けよ径のべの花

 

見尽くしておらぬこの世の愛しさに光の樹林を往きつ戻りつ

 

傷を舐めひとり静かに治すとか 山の獣の心を思う

 

プラス志向と十回となえ立ち上がるわれの節分まだ間に合うか

 

思い出の静まりおれよ只いまは銀杏しぐれに打たれていたし

 

 

 


短歌往来 2021年7月号

160頁 A5判 850円(税込)

【特集】日本の地域を詠む(後編)

春日いづみ、中根誠、久我田鶴子、島崎榮一、木村雅子、御供平佶、古屋正作、柴田典昭、山村泰彦、高島裕、坂本朝子、清水春美、紺野万里、大塚寅彦、城俊行、小潟水脈、川本千栄、江戸雪、安藤直彦、中井龍彦、井谷まさみち、池本一郎、小寺三喜子、千家統子、檜垣美保子、上村典子、森山良太

 

◎巻頭作品ー永田和宏

◎特別作品ー大辻隆弘+糸川雅子

 

◎作品7首

山野吾郎、沢口芙美、菊池裕、高旨清美、後藤恵市、村島典子、足立晶子、依田仁美、福原美江

 

◎作品8首

梶原房恵、小田倉量平、長谷川紫穂、豊岡裕一郎、桐谷文子、上條素山、鷺沼あかね、田中翠友、髙木絢子、小林靄

 

◎連載

島田修三、加藤治郎、田中教子、勝又浩、豊島秀範、水城春房

 


山本枝里子歌集『無人駅』

定価:2,750円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:196頁

ISBN978-4-86629-213-7

 

汗ばめる首に冷感スカーフを巻いて佇む晴れ女なり

高速バスを待つてゐるまの解放感 雲の図鑑を鞄に入れる

かへる胸なければひとりきて立たむ無人駅こをわれにふさはし

 

海と山の美しい徳島の自然を背景に、社会を、身の回りの日常を、そして何より自分自身を、まっすぐに見、まっすぐに感じ、自在に思い、自在にうたう<われ>の歌集である。旅の歌が多く見られるのは、広く生き、多くを体験したいとのぞむ<われ>の歌集でもあることを示しているだろう。  佐佐木幸綱ー帯文ー

 

 

 

 

深呼吸してゐるやうに降る雨の音に目ざめて鳥の目をせり

 

たかく高く枝張る欅にふれてをりすきとほりゆく悲しみ一つ

 

色づいた順にしづかに離れゆき落ちてゆかない葉ののこる街

 

身の内に深き森あるいちにんの泉をくみにゆきたしわれは

 

白くきれいな指だつたひとその指に描かれ花となりゆきし絵具

 


鈴木恵子歌集『久遠の学舎』

定価:2,750円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:176頁

ISBN978-4-86629-221-2

第一歌集!

 

この生徒(こ)らと過ごしし日日(ひび)も人生(ひとよ)にて

裁断せずに記憶とせむか

 

評論集『平成データ短歌論』を著者にもつ歌人が、教師時代の三十年を振り返って詠んだ第一歌集である。実は、私もある時期まで教師を目指していたのだが、こんな<先生>になりたかったな、と心底思う。  ー帯文 黒岩剛仁ー

 

 

 

 

迸る噴水のごと湧きあがるこころとあひぬ教師となる日

 

少年よまつすぐに立てまがりしはわが支へ棒のみじかきゆゑか

 

「先生も大変だよね」なにげなき言葉にたぢろぎ委員長をみる

 

満開の枝垂桜のかがようてたむくさまなるわが離任式

 

駆けあがるまだ駆けあがる始業ベル鳴りやまぬうちに教室へ 夢

 

 

 


秋山周子歌集『二十三階の窓』

定価:2,500円(税別)

判型:四六判上製カバー装

頁数:192頁

ISBN 978-4-86629-219-9

 

現代女性歌人叢書 25

 

第三歌集!

 

晴れわたった蒼空、

曇る空、雨の空、雪の空、月がかがやく夜の空。

毎日同じようで違っている空。

その下にひろがる街並みに、

人々の暮しがあるのだ。

 

二十三階の窓辺にひとりことばを紡ぐ。

やわらかな詩魂がつつむ。

 

 

 

 

生きてあらば晴耕雨読の耕す日音きしませた芝刈りおらん

 

あの春はさくらばかりを追いしかな 箕面、大仙、長谷寺、吉野

 

シリウスは耀き居待ちの月は照る友はこの世のどこにもおらず

 

超高層の屋上に見る東京はビル、ビル、川、海 人影あらず

 

一年に一度か二度の凪という空はみずいろ海はそらいろ

 

 

 

 


川本千栄歌集『森へ行った日』

定価:2,500円(税別)

判型:四六判上製カバー装

頁数:196ページ

ISBN 978-4-86629-222-9

第四歌集!

 

風景が流れていく。

流れていく日常が堰き止める言葉。

いつしか分け入っていくことだろう。

記憶の向こう側からやって来る森へ。

形象の森へ、ひそかに。

 

 

 

満開のまだ一片も散らぬ花 生きている人は去って行く人

 

気の抜けた青いソーダの薄闇に時間失くして眠っていたか

 

ただ一度咳き込み死にし父ゆへにわれに介護の日々は来たらず

 

みごもらぬまま落ちている赤い蘂ぬれたアスファルトにむすうに

 

毎日の誰のためでも無い時間出勤する前花に水遣る

 

 


佐佐木幸綱歌集『春のテオドール』

定価:2,500円

判型:四六判上製カバー装

頁数:234頁

ISBN 978-4-86629-207-6

おもいつきたることあるらしく

二階からいそぎおりくる

テオとであえり

 

さりげなく。しかし、噛みしめて、じっくりと味わうものだ。

上澄み液の底に沈殿するこの暮らしの時間を。

 

 

 

雪よこい はじめての雪はじめてのテオがむかえる正月のため

 

少女ふたりならんでたてばおてだまのようにまあるい白い雪ふる

 

のぶつなの生家のにわに井戸ありていまもむかしの空をうつせり

 

糸川のみずにネオンのみどりいろくだけて人はさけをのむべし

 

わたりゆく鳥のこころよ こころあれどテオはじぶんの旅にはでない

 

 

 


松森邦昭歌集『脳の海』

定価:2,500円(税別)

判型:四六判上製カバー装

頁数:162頁

ISBN978-4-86629-216-8

 

第二歌集!

 

季節のめぐりとともに在る。

旅とともに心の揺らぎが在る。

自らを語らず、老いを語らず、日常を嘆かずに。

脳外科医であるこの歌人の眼差しは

深い慈愛そのものだ。

 

 

 

転べども慈姑(くわい)の角(つの)には力あり寄るなさわるな一人でたつと

 

夏至の宵遊女すらりと立つごとくあやめは白き化粧うかして

 

皮下注射つまみし皮膚の伝え来るだるさ辛さや心の叫び

 

地球儀に絹のハンカチかけしごと海原おおう秋のたか雲

 

光あび春寒沼に亀ありて首ながながと花ながめおり

 

 


安富康男歌集『叙景歌』

定価:2,750(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:224頁

ISBN978-4-86629-217-5

 

「都会の自然という題材を選んで、心情を伝えられるような短歌を」と述べる著者の住む築地周辺は、かつては外国人の居留地としてにぎわっていた。

四季折々の周辺の情景をひたむきに詠いあげていて、その作品にはまさしく衒いがない。

若き日に藤村を学んだという著者の、ますますの活躍を祈ってやまないものがある。

林田恒浩 帯文

 

 

この部屋に緑を置けば秋は来ぬ汝(な)は逝き去りて独り身の午後

 

武甲山鍾乳洞の石筍はなみだ溜めおりしんしんとして

 

武蔵野に馬頭観音おわしいて真冬に蒼く草はそよげり

 

秋の陽が水面に映える隅田川連なるビルをきらり鼓舞して

 

百年の歴史閉じる日来たりしか築地市場に朝霧は満つ

 

 


「短歌往来」2021年4月号

【特集】日本の地域を詠む(前編)

日本各地の風土が歌人たちの歌にどの様な影響を与え、歌の特色を生んでいるのかを思い企画しました。外出自粛が続きそうですが、短歌経由で日本各地に心を遊ばせていただけたらと思います。(編集後記より)

 

時田則雄、西勝洋一、林昭雄、菅原恵子、山口明子、熊谷龍子、冨樫榮太郎、山田富士郎、高木佳子、佐藤孝子、兵頭なぎさ、竹安隆代、平山繁美、梶田順子、恒成美代子、江副壬曳子、碇博視、伊勢方信、塚本諄、伊藤一彦、川涯利雄、玉城洋子

 

〇巻頭作品21首

雨の再会/谷岡亜紀

 

〇特別作品33首

多く食べものの歌/高橋睦郎

滂沱の春/日高堯子

 

〇評論シリーズ21世紀の視座

創世神話「塚本邦雄」初期歌集の精神風景/江畑實

 

〇作品7首

渡辺松男、松村正直、王紅花、高島裕、小笠原和幸、中野たみ子、魚村晋太郎、久保田壽子、藤田冴

〇作品8首

太田豊、木原美子、前田宏、森川和代、小木宏、島ゆり、紫あかね、花美月、山口美加代、佐竹宏文

 

〇新・自然を詠む・撮る・描く

校庭の樹々/小塩卓哉

 

〇結社の顔/国民文学ー横山岩男

 

〇今月の視点/阪森育代

 

〇今月の新人/加賀塔子

 

〇連載

島田修二、加藤治郎、田中教子、勝又浩、豊島秀範、水城春房、佐佐木朋子、三枝浩樹、恩田英明、持田綱一郎、福島泰樹、丹波真人、大西久美子、萩岡良博

 

その他、新刊歌集歌書の書評を掲載

 

 


「短歌往来」2021年3月号

定価 850円(税込)

 

<目次>

巻頭作品21首

紅梅/馬場あき子

 

特別作品33首

牛背/本田一弘

ザビエルの右腕/渡 英子

 

評論シリーズ21世紀の視座

現代の挽歌考/寺島博子

 

【特集】飛翔する歌人たち

大平千賀、大森静佳、小佐野彈、長屋琴璃、門脇篤史、川口慈子、川島結佳子、川野芽生、木ノ下葉子、工藤吉生、小島なお、佐佐木定綱、田中濯、寺井龍哉、野口あや子、柾木遙一郎、光森裕樹、虫武一俊、睦月都、藪内亮輔、山崎聡子、山下翔、山田航、屋良健一郎

 

作品7首

伊藤一彦、江戸雪、志垣澄幸、阿木津英、松坂弘、井辻朱美、野地安伯、加藤ミユキ、中根誠、糸川雅子、染野太朗

 

作品13首

藤原龍一郎、結城文、萩岡良博、河野小百合、田村広志、小野雅子、苅谷君代、馬場昭徳、岡貴子

 

作品8首

今井はつ子、二方久文、関場瞳、浅岡博司、益田佳枝、宮下俊博、玉井まり衣、経塚朋子、小林喜美子

 

新・自然を詠む・撮る・描く

青木ヶ原樹海/尾﨑朗子

 

今月の新人

吉川美月

 

結社の顔

日本歌人/前川斎子

 

今月の視点

加藤英彦

 

連載

島田修三、加藤治郎、田中教子、豊島秀範、水城春房、佐佐木朋子、三枝浩樹、恩田英明、持田綱一郎、福島泰樹、丹波真人、田中拓也、依田仁美

 

その他、歌集歌書評など掲載

 

 


淺田隆博歌集『四季の輝き』

判型:四六判上製カバー装

頁数:210頁

定価:2,500円(税別)

ISBN978-4-86629-210-6

 

第四歌集!

 

見わたせばとりどりの花咲ききそふ我しらずして歌口ずさむ

 

身めぐりの樹木や花々、鳥や虫たちをじっと観る。聴き耳をたてる。

森羅万象、呼吸している。歌を口ずさむように、呼びかけるように。

四季の移ろいこそが歌の時間、流やまぬ生を受け止める浄福だ。

 

 

 

 

春 かいつぶり三羽のひながかたまりてゆらゆらうかぶ春の日のあくび

 

夏 あめ色のうつせみぐつと樹皮つかむ生をきざみしあかしのごとく

 

秋 金色の銀杏並木をゆく人のほほのほのかに黄に染まりたる

 

冬 雪囲ひのぼたんの側に水仙の小さき花の凛と咲きゐる

 

 

 

 

 


「短歌往来」2021年2月号

定価 850円(税込)

 

〇巻頭作品

非常下茫々/秋葉四郎

 

〇特別作品33首

唯魂史観/大塚寅彦

此処にありて/荻本清子

 

〇評論シリーズ21世紀の視座

再考したい宮沢賢治の短歌/大西久美子

 

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【特集】オメデトウ 丑年生れの歌人

前川斎子、木戸敬、荻原桂子、井谷まさみち、杉山みはる、佐藤成晃、野本研一、白倉一民、小村井敏子、久保田幸枝、波汐國芳、春日いづみ、千々和久幸、平山公一、鹿取未放、村松清風、遠藤由季、三本松幸紀、長谷川と茂古、黒崎由起子、菊川啓子、松井純代、大地たかこ、鈴木陽美、丸山三枝子、黒沢忍、野村二郎、小見山泉、武田ますみ、忍足ユミ、先川咲容、上田美紀子、奥村秀子、宇佐美矢寿子、後藤美佐子

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〇新・自然を詠む・撮る・描く

冬はもうすぐ/武富純一

 

〇結社の顔

ぷりずむ/長澤ちづ

 

〇連載

島田修三、加藤治郎、田中教子、勝又浩、水城春房、佐佐木朋子、恩田英明、持田鋼一郎、福島泰樹、丹波真人、田中拓也、依田仁美

 

表紙作品/美濃和哥

 

その他、作品、書評など充実した内容となっております。

 

 


椎野久枝歌集『街川の四季』

定価:2,300円(税別)

判型:四六判上製カバー装

頁数:144頁

ISBN978-4-86629-208-3

街川の四季いち早く滔々と水の流れて夏の日反す

 

 

著者の住む地域を流れる街川は、信長が弟の信勝と戦った古戦場の名残の名塚取手、庚申塚が川辺にある。その街川の四季折々の情景に癒され励まされ、大切な心のオアシスとなっている。更に短歌のモチーフになり第二歌集になった。帯文(青木陽子)

 

 

 

 

淀みなく流るる川の音乱し鳶忙しく舞ふ影長し

 

年頭に夫の書きたる予定表死の翳りなど微塵のあらず

 

前向きの残生是とし声にして誓へば闇の開ける思ひ

 

若き等の声新鮮に受け容れて共にピザ食む異の空間に

 

易々と語れぬ事情幾つ経て劇団はやも二十年迎ふ

 

 


「短歌往来」2021年1月号

定価850円(税込)

 

◎巻頭作品21首

ひとり語りのものがたり/三枝昻之

 

◎特別作品33首

認め印/米川千嘉子

DogYear/千種創一

 

◎評論シリーズ21世紀の視座

The Globalism/鵜飼康東

 

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【特集】現代の自然を詠む

◎小論

秋葉四郎/寺島博子/雁部貞夫

◎作品8首+エッセイ

御供平佶/都築直子/山中律雄/松川洋子/四元仰/結城千賀子/間瀬敬/宮原望子/佐保田芳訓/小橋芙沙世/宮原勉/小柳素子/佐藤晶/楠誓英/白岩裕子/渡辺泰徳

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◎新・自然を詠む・撮る・描く

馬の神社/川本千栄

 

◎結社の顔

中部短歌/大塚寅彦

 

◆好評連載

島田修三、加藤治郎、田中教子、勝又浩、豊島秀範、水城春房、佐佐木朋子、三枝浩樹、恩田英明、持田綱一郎、福島泰樹、丹波真人、田中拓也、依田仁美

 

表紙作品/美濃和哥

本文カット/淺川洋

 

その他、作品、書評など充実した内容となっております。

 


小石雅夫歌集『一期一愛』

判型:四六判上製カバー装

頁数:216頁

定価:2,500円(税別)

ISBN978-4-86629-209-0

これは、格別でもない一組の夫婦が、最後の別れの数年をようやく濃密な時間を過ごし合ったそのほんの一端の記録のようなものに過ぎない。

……その間の、ときどきに関わって捨て難いおもいにまつわるものだけにしたが、それでも六八一首にもなってしまった。

これでも思いの丈には届かない(あとがきに)

 

 

 

 

          せ

少しずつ頭を塞く妻がバス停にわれを見送ると言い張りて来る                            とお

分刻みに寝ては起きする妻とともに寒夜徹して身も冷え果てつ

 

妻の名を毎日かならず一度書く面会票にわが名とならべ

 

言葉無き妻にしあれどわが言える言葉にかえし指つよく締む

 

安置所に会いし帰りに行き処なく入りし書店の書棚もぼやけ

 

千の風になんぞならずにわが胸に妻よいつまでも留まりくれよ

 

おかあさんの「あはははは・・・」という心からの転げ出る笑いもう聞けないのです

 

「一期一愛」と刻みし妻の墓所に来てマスクをはずして”濃密”にいる

 

 


古屋正作歌集『縁』

判型:A5版上製カバー装

頁数:290頁

定価:2,800円(税込)

ISBN978-4-86629-203-8

第四歌集!

 

甲斐に生まれ、風土のなかに出会い、また別れがある。

草木に降れ、山や野や川みるものすべてが時にまばゆく、時に哀しく。

あるはかりがたい、おおいなる力によって結ばれるえにし。

いつか土にかえるその日、その時まで、暮しのかたわらには歌が縁りそう。

 

 

 

 

脂を噴く幹を攀ぢれる蟻の列日暮れてなほも高きを目指す

 

人と犬互に老いて政変の何及ぶなき谷あひの村

 

変はるなきことの床しさ米を磨ぐ米の白さが故郷にある

 

澄みとほる女官の声に応へ立つ吾が誌「樹海」の一語尊く

 

甦る現し身ならね背を伸ばし日に染みて降る花びらを浴ぶ

 

 


島ゆり歌集『ハーブキャンディ』

判型:四六判上製カバー装

頁数:154頁

定価:2,400円

ISBN978-4-86629-202-1

第一歌集!

 

ここちよい相聞のひびきをもって、

こころの襞がくっきりと透けて見えるひととき。

これが愛だ、恋だ、そして言葉たちの自由な饗宴だ。

さあ、わたしの歌世界で存分に憩い、輝いてください!

 

 

 

あかつきの夢の朝顔ぱっくりと我を飲みこみほほえみにけり

 

楡の木のしげみの下にすわっていると恋しいあなたを殺したくなる

 

空に浮かんだ三日月の先が凍てついてコキンと壊れてしまいそうな夜

 

生焼きの肉にレモンをしぼる君わたしもそんな風に愛して

 

物事の始めはすべて子宮からわが身を見つめフラメンコ踊る

 

 


「短歌往来」2020年12月号

定価 850円(税込)

 

◎巻頭作品21首

銃声/藤島秀憲

 

◎特別作品33首

夏の桂馬/坂井修一

モノドラマ/田中 薫

 

◎評論シリーズ21世紀の視座

創世神話「塚本邦男」初期歌集の精神風景⑤/江畑實

 

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【特集】題詠による詩歌句の試み18-新しい生活様式を詠む

荒川洋治、高野公彦、池田澄子、高橋順子、荻原裕幸、片山由美子、中上哲夫、草田照子、仁平勝、八木忠栄、東直子、大井恒行、水橋斉、大崎安代、大高翔

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◎岡井隆論/持田綱一郎

◎結社の顔

プチ★モンド/松平盟子

◎新・自然を詠む・撮る・描く

星の余韻/石川幸雄

 

その他、好評連載エッセイや、作品、書評など充実した内容となっております。

 

 


梶田順子歌集『雲の海原』

第四歌集!

 

歌集名を『雲の海原』とした。最近、夫と自分の病気に向き合う日日が続いているが、夫と久しぶりに上京した時の一首から採った。雲は宇宙への想像を、海原は生命の源を想起させてくれるとの思いを込めた。

 

一泊の東京わくわく機上より見渡すかぎりの雲の海原

 

(あとがきより)


加藤ミユキ歌集『歳月の庭』

定価:3,000円(税別)

判型:A5判上製カバー装

頁数:204頁

ISBN978-4-88629-197-0

その庭にはおごそかで豊かな時間が流れていた。

梔子、山茶花、季節の花々に人生がかかわっていく不思議。

夫、子供、孫、すべてがいとおしい存在として華やぐ幸せ。

齡九十を過ぎて、なお歌は滋味を深めつつ熟成を続けている。

 

 

中年のグループと席異なれど等しく岡井隆の弟子

 

夕空の下に手をつなぎ交々に泣きしよセーラー服の友とわれとは

 

荷物なきカートは軽し下り坂ゆくときに波にのるごと動く

 

蹲踞の水にくる鳥一羽いつしか友となりて待つわれ

 

美しく夜が明けたりととのへて枕辺に置きし衣に手を通す

 

 


「短歌往来」2020年11月号

定価 850円(税込)

 

◎巻頭作品

駅/楠田立身

 

◎特別作品33首

涅槃坂/久保田登

窓外を/後藤由紀恵

 

◎評論シリーズ21世紀の視座

不在の「短歌」/大井学

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【特集】小社シリーズ歌人競詠

作品11首+エッセイ

上村典子/佐藤惠子/桂保子/小川佳世子/寺尾登志子/吉野節子/山本登志枝/石川浩子/恒成美代子/田土才惠/高崎淳子/菅原恵子/寒野紗也/国吉茂子/藤元靖子/森みずえ/竹内彩子/伊良部喜代子/中西由起子/青木陽子/平石眞理/高旨清美

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

◎新・自然を詠む・撮る・描く

道のあかるさー明日へー/伊志嶺節子

 

◎結社の顔

龍/小寺三喜子

 

その他、作品、書評など充実した内容となっております。

 

 

 

 


「短歌往来」2020年10月号

定価 850円(税込)

 

◎巻頭作品21首

この素晴らしき/久我田鶴子

 

◎特別作品33首

マスク/佐藤通雅

ラルゴ/木村雅子

 

◎評論シリーズ21世紀の視座

創世神話「塚本邦雄」④/江畑實

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【特集】介護のうたの現在

◎特集エッセイ

家族の歌としての介護のうた/藤島秀憲

わたしの介護の物語/高山邦男

介護のうたの現在/安森淑子

 

◎作品8首+エッセイ

秋山佐和子、桑原正紀、小潟水脈、今井恵子、生沼義朗、久々湊盈子、青木春枝、志野暁子、森島峰子、櫟原聰、鹿井いつ子、兵頭なぎさ、清水亞彦

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◎新・自然を詠む・撮る・描く

ででむしの殻/中西敏子

◎結社の顔

鼓笛/松田愼也

 

☆新連載

◎菅江真澄の旅と歌/豊島秀範

◎「首」のはなし/水城春房

◎佐佐木信綱歌集『遊清吟藻』鑑賞/佐佐木朋子

 

その他、作品、書評等、充実した内容となっております。

 

 


加藤英彦歌集『プレシピス』

判型:四六判上製カバー装

頁数:196頁

定価:2,500円(税別)

ISBN978-4-86629-195-6

もの悲しい眼差し、やわらかな手触り。

そして、屈強で比類ない洞察力と批評精神。

目を背けず、口をつぐんだまま、

この世界の沈黙の崖を見上げる。

透明な川を流れ、おおらかな海へと向かって、

輝きの帆を立てよ!

 

 

うらぎりをくり返し来し半生か内耳しびるるまで蟬しぐれ

 

白いマスクの百人の児らが帰りくる百年のちの空から村へ

 

生きものはほそき声あげ餌をもとむ寂しいときはさびしいといえ

 

どのように口をつぐめば死者の目とおなじ水位を流れてゆける

 

いくつの遺影にみられて部屋にかさねあう温もりもやがてひとつ潮騒

 

 


苅谷君代歌集『白杖と花びら』

定価:2,750円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:196頁

ISBN978-4-86629-193-2

 

第29回ながらみ書房出版賞受賞!!

 

先天性緑内障のため、右眼の0.01の視力にのみ依存する生活を続ける作者である。しかし、毎月、通常の倍の大きさの原稿用紙に、サインペンの大きな字で、一字一字しっかり書かれた歌が送られてくる。歌にこめた気迫に圧倒され、歌への真摯な姿勢が粛然としつつ、選歌をするのである。

 

 子が本を読んで欲しいとねだりし日われは点字を学びてゐたり

 「羨(とも)しきもの」われが清少納言なら一に本読む人をあげたり

 

ほしいままに本を読むことができない焦り、悲しみ、そして諦めは、私たちが軽々に言及できるところのおmのではないが、にも関わらず、慣れぬ白杖を友として、ゆくり歩を進めようとする作者がいる。私はそんな作者の歌への向かい方に、人に歌があることのもっとも根源的な喜びを見る思いがするのである。

                           永田和宏 帯文

 

 

 

『白状と花びら』より5首

 

握手するやうに白杖持つ右手「よろしく」なんてつぶやいてみる

 

むさぼりて本を読むゆめ合歓の葉はわたしの夢を閉ぢてひらかず

 

見えなくとも文字を並べてゆくことはできるよ花の種蒔くやうに

 

さびしさをまる洗ひして干す日なりばん、と叩きて纏ふため

 

牧水の海も山も見む 白杖と歩いてゆくと決めたる日より

 

 


清水あかね歌集『白線のカモメ』

定価:2,500円

判型:四六判上製カバー装

頁数:210頁

ISBN978-4-86629-196-3

 

 

 

猿人がくいっくいっと背を伸ばし進化してゆく古代史年表

桜咲く夕べも傘なき雨の夜も小さな橋をわたしは渡る

高く高くエスカレーター天に伸び真冬静かな科学未来館

 

世界を、人生を、歴史を、時代を、柔軟に素直に受け入れつつ、ゆったりと歌うスケールの大きな歌が見どころ。女子高生を教える教員として、夭折した弟を思う姉として、自由に旅をする日本人として、過去を未来をこころに浮かべる表現者として、前向きな感性を自在に解放して見せた歌集である。(帯文:佐佐木幸綱)

 

 

 

この星に私はどこからきたのだろうコンタクト入れ今日が始まる

 

もういない弟おもえば飴色の玉蜀黍茶のほのかな甘み

 

樹もわれも見えない光に照らされて八月のかげ舗道にきざむ

 

逢いたくて逢いたくなかったひとと逢う火星が地球に近づいた夏

 

ちらちらと常葉の揺れて生垣を過る人影 向こうはどの世

 

 

 


小林喜美子歌集『久三郎の笛』

判型:四六判上製カバー装

頁数:172頁

定価:2,400円(税別)

ISBN978-4-86629-189-5

 

葛藤と親愛・・・・

距離を置いてきた命終に向かう父、

生後すぐに別れ既に世にない母、

二人への思いを中心に能登の風土の中で歌われる心の歴史。

自然と風景、生活を清新な言葉で

掬いとる歌群には繊細な心の息つぎがある。

 

 

 

 

ひとふさのあをき胡桃を山苞に夫が採り来ぬあをき胡桃を

 

ときとして貰はれゆきし妹も去りし母らも羨しみたりし

 

降る雪はうちへうちへと降りつもり囲炉裏のそばに祖父母座らす

 

灰色の煙たなびき風上に野焼きの人の動く腕見ゆ

 

負の時に言葉はあふれあふれ来てどうしようなく書き留むるなり

 

 


「短歌往来」2020年9月号

定価:850円(税込)

頁数:144頁

巻頭作品21

 

 紅蜀葵/吉川宏志

 

 

 

巻頭作品33

 

 浅田飴/ 佐波洋子

 

 無限/ 佐藤孝子

 

 

 

一ページエッセイ

 

 遠い人、近い人㊺ーモンチョコ/島田修三

 

 ニューウェーブ歌人メモワール㉜ー『マイ・ロマンサー』を語る会/加藤治郎

 

 うたの小窓から㉝ー前登志夫の「死者」とは何か②/田中教子

 

 

 

■評論シリーズ  世紀の視座

 

教科書で習うことのない歌のたいせつさ/田中章義

 

 

 

[特集]子育て&子供のうた

 

 

 

■特集評論

 

時代の変化とともに/松村由利子

 

 

 

作品5首+エッセイ

 

 心/佐伯裕子

 

 心を映す鏡/渡辺幸一

 

 つめはぎひめ/鈴木英子

 

 望 み/辰巳泰子

 

 声 音/前田康子

 

 いずれ大潮/富田睦子

 

 餃子の時間/俵 万智

 

 オーロラを動かす/大口玲子

 

 ごろごろ/大松達知

 

 鱧の骨/黒瀬珂瀾

 

 本気で/永田 紅

 

 学 校/岩内敏行  

 

 海に行きたい/花山周子

 

 うしろすがた/山本夏子

 

 おそろしの子/星野真里

 

 クロックス/棚木恒寿

 

 四歳の春、そして夏/澤村斉美

 

 ファミリー牧場/山崎聡子

 

 会釈/山木礼子

 

 パーカーのフード/屋良健一郎

 

 夏草に立つ/奥田亡羊

 

 ワンダーランド/石川美南

 

 海苔を食べた日/森垣 岳

 

 

 

作品七首

 

 水無月/安藤直彦

 

 たとへばマーラー/阪森郁代

 

 〝コロナ禍〟に自粛の日々を辿る丘/日野正美

 

 かはらけ/綾部光芳

 

 新型コロナの日々/田野 陽

 

 農園/中村キネ

 

 沈黙は金/大熊俊夫

 

 天空の船/田中伸治

 

 パンダはパンダ/松田恭子

 

 

 

作品十三首

 

 部屋を見まわす/秋山周子

 

 茂吉の酒田河口詠/冨樫榮太郎

 

 まだ大丈夫/丸山三枝子

 

 思ひ出の家/中野たみ子

 

 巣ごもり/大崎瀬都

 

 夏 ― 七十二候/竹内彩子

 

 あ、/西之原一貴

 

 ソフテニボーイの憂鬱/甲村雅俊

 

 

 

■追悼―石川恭子

 

 石川恭子先生を悼む/中村規子

 

 

 

■新・自然を詠む・撮る・描く

 

 いなげの浜/園田昭夫

 

 

 

■連載ー結社の顔㊳ 白南風/白南風編集部

 

■連載ー〈歌・小説・日本語〉㊶作者と主人公/勝又浩

 

■連載ー世界を読み、歌を詠む 最終回流転・昇天/坂井修一

 

■連載|玉城徹を読む⑯「きよし」の外延・モンロー/恩田英明

 

■連載ー再訪八木重吉⑰自己表現の彼方へ⑤/三枝浩樹

 

 

 

作品八首

 

 晴雨さだまらず /遠山景一

 

 蜜柑のにほひ /杉山みはる

 

 自粛の日々に/身内ゆみ

 

 流星雨 /武藤敏春

 

 トロイの木馬 /藤本喜久恵

 

 夜汽車 /村田 馨

 

 若き弓師/小鳥沢雪江

 

 Our Planet/北久保まりこ

 

 佐保川の桜/黒田雅世

 

 

 

■連載ー時言・茫漠山日誌より

 

 冬は疾風吹きました/福島泰樹

 

 

 

■連載ー〈名画と名歌〉㉕都会調喜劇の女王

 

 クローデット コルベール/丹波真人

 

 

 

■連載ー浪々残夢録

 

 戦後という時代/持田鋼一郎

 

 

 

今月の新人ー作品5

 

 ひとつの太陽/坂口大五道

 

 

 

■今月の視点

 

 幻想の危機 /今井正和

 

 

 

■新刊歌集歌書評

 

雁部貞夫著『宮地伸一の秀歌』/外塚 喬

 

荻原裕幸歌集『リリカル・アンドロイド』/林 和清

 

許田 肇歌集『福木の双葉』/屋部公子

 

柳 宣宏歌集『丈六』/大井 学

 

大田美和思考集『世界の果てまでも』/阿木津 英

 

松谷東一郎歌集『平成カプリッチオ』/中川佐和子

 

加藤孝男著『与謝野晶子をつくった男』/松平盟子

 

小林幹也歌集『九十九折』/小塩卓哉

 

梶原さい子歌集『ナラティブ』/高木佳子

 

石川美南歌集『体内飛行』/田口綾子

 

仲西正子歌集『まほら浦添』/名嘉真恵美子

 

松延羽津美歌集『水の神さま』/伊勢方信

 

 

 

■作品月評ー七月号より/田中拓也

 

■評論月評/石川幸雄

 

■全国〝往来〟情報

 

■編集後記

 

 

 

表紙作品/松本秀一「蟷螂」

 

本文カット/浅川 洋

 

 

 


谷岡亜紀歌集『ひどいどしゃぶり』

判型:四六判上製カバー装

頁数:174頁

定価:2,500円(税別)

ISBN978-4-86629-188-8

 

 

 

第五歌集

 

IT RAINS CATS&DOGS

 

酒と薔薇の日々、だとしても泥水に喉まで浸かり雨を見ていき

 

つんのめりガードレールに嘔吐して或る早朝に終わるのだろう

 

噴水が凍っていたな あなたにもおれにも等しく時は過ぎゆく

 

火男ら春昼の火事消してのち鐘鳴らしつつ街流れゆく

 

いま持てる幸福の数かぞえつつ光の国から来る人を待つ

 

 

 

 

 

 


小山田ふみ子歌集『赤いルノー』

判型:四六判上製カバー装

頁数:226頁

定価:2,500円(税別)

ISBN978-4-86629-182-6

 

歌を初めて読んだ時、印象深く思ったのは、そのひたむきな勁い魂であった。詩句に結晶された、小山田さんが懸命に生きた証を前にして改めて感動している。永久に忘れ得ない女流歌人であろう。

                 大熊敏夫「跋」より

 

 

 

 

「赤いルノー」と綽名つけられパンプスで官庁街を駆けし日のあり

 

連翹の黄の花地より吹きあげて何の歓喜ぞ閉塞の世に

 

世界中の花を投げ込めファルージャに無辜数千の屍の上に

 

出かけゆく夫を窓辺に送るとき手を振るならい かかる別れも

          みゆきざか

遠き遠き記憶のかけら行幸坂 さくら吹雪に母がたたずむ

 

 

 

 


藤井千秋歌集『あの日の空』

版型:四六判上製カバー装

頁数:170頁

定価:2,400円(税抜)

ISBN978-4-86629-185-7

 

第一歌集!

 

 

藤井さんはじつに健やかな観察眼の持ち主である。

繊細で柔らかな感受性に目を見張る。

言い過ぎになることなく一首全体をきりりと

まとめ上げることは、とても難しい。

それをごく自然体でこなす力量に感服した。

 

栗木京子「序文」より

 

「回天」の歴史を聞きし少年は海に向かひて仁王立ちせり

  おほ

たんぽぽの絮毛崩れて漂へり大ミキサー車過ぎゆきし時

 

雛すぎて雛仕舞はれし床の間の桃の花びら夜を散りぬるを

 

かかる日のいつか終らむ二人なれ豌豆の苗に支柱たてをり

 

おもかげを偲べば或る日師に代り千手観音佇ちたまふなり

 

 

 

 

 


中平武子歌集『しらべは空に』

版型:四六判上製カバー装

頁数:234頁

定価:2,500円(税別)

ISBN 978-4-86629-180-2

 

第二歌集!

 

中平さんの浪漫的な想像力は、

橅の木に向かえば橅の内なる音とつながり、

日に輝く菜の花の中ではひとひらの菜の花となるというように、

身体変幻のしらべを強く響かせる。

ーーーーーーーーーーーーーーー日高堯子跋より

 

 

ぶなの木のうちなる音を聞かんとし橅は吾とひとつになりぬ

 

菜の花のひとひら一片日を受けて輝く朝はわれも菜の花

 

皆おなじ答を言ふと詰る声 死にたき人は深夜の電話に

 

人との距離保つに雀に似てゐるや ためらひがちに友の手をとる

 

ここに座しともに桜を仰ぎたる時もどしをり夕暮の園

 

 


高旨清美歌集『雀のミサ曲』

版型:四六判上製カバー装

頁数:188頁

定価:2,500円(税別)

ISBN978-4-86629-187-1

 

現代女性歌人叢書24

 

毅然として物憂い表情。

たとえば都市の路地を彷徨う

ゆきずりの猫。

暗くて寂しい眼差しの奥に何があるのだろうか。

 

歌は祈りのかたちを孕みながら、

ゆっくりと静かに天井へと膨らんでいく。

 

 

銀色のキャップを冠せていつぽんの色鉛筆を使ひきりたり

 

帰る家あるのかと問ふゆきずりの猫の左右の瞳濁れば

 

空を見ることのふえをり空を見て旅のこころの湧くにあらねど

 

早世の家系に生れて秋の日を浴めり窓辺に身のゆるぶまで

 

春の芽吹き秋の落葉 忘れられてゆくはもつともさびしかること

 


「短歌往来」2020年7月号

850円(税込)

 

定期購読のおすすめ

1年間 10,200円

半年間   5,100円

 

<目次>

◎巻頭作品21首

『佐新書簡』/佐佐木幸綱

 

◎特別作品33首

ソーシャルディスタンス/菊池裕

春雷/松本典子

 

▼一ページエッセイ

◎遠い人、近い人ー吉田とは何者だ/島田修三

◎ニューウェーブ歌人メモワールーニューウェーブの始動/加藤治郎

◎うたの小窓からー前登志夫合評/田中教子

 

【特集】前川佐美雄 没後30年

・前川佐美雄ミニアルバム/前川佐重郎提供

▼評論・エッセイ

白鬼とことだまー『大和』を中心に/日高堯子

前川佐美雄から斎藤史へ/楠田立身

鬼の継承/萩岡良博

信綱から佐美雄へ/谷岡亜紀

「鬼のよはひ」を共に生きた歌人/江田浩司

毒の行方ー佐美雄から塚本邦雄/魚村晋太郎

 

・佐美雄の100首/前川斎子 選

 

▼佐美雄の一首

水原紫苑、長岡千尋、桑原正紀、横山未来子、睦月都、松谷東一郎、後藤恵市

 

▼佐美雄との出会い

山下百合子、芦田敏子、仲つとむ、真後和子、中井龍彦、吉岡治

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◎作品7首

峠の吹雪/雁部貞夫

言霊を狩る/秋元千惠子

石/時田則雄

ゆく春の愁い/菅原恵子

夏のよそほひ/林田恒浩

サッカリンとぬりえ/内野光子

老躯励まして/金子正男

この世の春は/中西洋子

火鉢/下村光男

 

◎作品13首

カモシカ/光本恵子

緑のたぬき/大松達知

アフターコロナバイブレーション/笹公人

浮かれ女のごと/磯田ひさ子

城山盛夏草木抄/岩崎聰之介

薔薇水晶/兵頭なぎさ

赤レンガの道/丸山順司

鳥の巣/由田欣一

クメールの婚/青戸紫枝

もちつこ/浦河奈々

拝啓、フィリップ・K・ディック様/斉藤真伸

 

◎新・自然を詠む・撮る・描く

死の力/黒羽泉

 

◎作品8首

四十雀/土田和子

新型コロナウイルスと私/岩井鑛治郎

幼なのやうに/小林暁子

青葉きらめく/熊田邦子

あたらしき街/阿部真太郎

惜春賦/飛鳥游美

あまびゑ/経塚朋子

テレワーク/山下和代

紀元比国四十五年/野本研一

声/井上美津子

 

▼連載

◎結社の顔ー地中海/久我田鶴子

◎<歌・小説・日本語>

山上憶良あれこれ/勝又浩

◎世界を読み、歌を詠む

サン・ジェルマンのそばで/坂井修一

◎再訪八木重吉

自己表現の彼方へ/三枝浩樹

◎玉城徹を読む

きよきものの追求/恩田英明

◎浪々残夢録

短歌におけるエロティシズム/持田綱一郎

◎時言・茫漠山日誌より

彼方への記憶/福島泰樹

◎<名画と名歌>

天下の二枚目ケーリー・グラントとアラン・ドロン/丹波真人

 

◎今月の視点

緊急事態と日常/高山邦男

 

◎今月の新人/桝田法子

 

▼新刊歌集歌書評

秋葉四郎著『茂吉からの手紙』/結城千賀子

千々和久歌集『生きてはみたが』/池田はるみ

藤原龍一郎歌集『202X』/黒岩剛仁

田中綾著『非国民文学論』/三井修

 

▼作品月評

5月号より/田中拓也

▼評論月評/石川幸雄

▼全国往来情報

▼編集後記

 


『御供平佶歌集 全四冊』平成30年度埼玉県歌人会賞受賞!!