ながらみ書房は1985年開業、二千点以上の歌集歌書を出版してきた出版社です

 


NEWS

▼第16回前川佐美雄賞

奥田亡羊歌集『男歌男』(短歌研究社 2017年4月発行)に決定しました

▼第26回ながらみ書房出版賞

岩尾淳子歌集『岸』(ながらみ書房 2017年6月発行)に決定しました。

▼高山邦男歌集『インソムニア』

高山邦男さんがNHK「目撃!にっぽん」で特集されました。以下でも視聴することが可能です。
http://www.nhk-ondemand.jp/goods/G2018084748SC000/?capid=nte001

 

また高山さんの歌集『インソムニア』も在庫ございます。

弊社へ直接お電話、メールいただくか、直販に対応している書店様からお取り寄せください。

またAmazonの弊社のページでも販売しております。

▼おすすめ歌集・歌書紹介

高山邦男歌集『インソムニア』大好評につき、第三版となりました。

 

『御供平佶歌集全四冊』平成30年度埼玉県歌人会賞!!年譜付き。

 

松村正直著『樺太を訪れた歌人たち』小黒世茂著『記紀に游ぶ』好評です!



書籍のご注文や在庫確認は以下にて承っております。

手数料弊社負担の郵便払込票を同封して本を送らせていただきます。

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新刊歌集歌書


「短歌往来」2019年4月号

定価750円(税込)

ご注文は、メール、お電話などで承っております。

03-3234-2926

info@nagaramishobou.co.jp

 

<目次>

◎巻頭作品21首
残 日/秋葉四郎

◎特別作品33首
天 敵/今野寿美
ジューシーおにぎり/ 渡 英子

■一ページエッセイ
遠い人、近い人㉘―などてすめろぎは/島田修三
ニューウェーブ歌人メモワール⑮―マガジンをまるめて歩く/加藤治郎
うたの小窓から⑯―短歌と修辞の本来の関係 /田中教子

■評論 世紀の視座170  
 学生アルバイト短歌二〇一八/田中 綾

 

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[特集]ハード・ワーキングをうたう Ⅷ

◎作品8首+エッセイ
紅葉の盛り/林 宏匡
雪解けを待つ/月丘ナイル
キャップ/岩内敏行
俳優といういきもの/矢代朝子
シャボン玉/立花正人
農業高校/森垣 岳
眠る嬰児/島本太香子
風船バレー/中山洋祐
扉/伊藤美知子
おっかなびっくり/重吉知美
牛飼いの性/斎藤和子

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◎作品7首
午後の時間帯/百々登美子
負け残り/千々和久幸
半顔の月/清田由井子
無縁馬鹿/佐藤通雅
現世の家/王 紅花
わが椅子/足立敏彦
平成の歳暮/新里スエ
人は冷ややか/髙安 勇
相撲取草/小島熱子
美の姿と/間瀬 敬

◎作品13首
眼 圧/御供平佶
白 砂/三井 修
脳性まひの還暦/森川多佳子
歳晩雑歌/柳 宣宏
艶 陽/廣庭由利子
アウグストゥス/佐々木六戈
父への手紙/長谷川と茂古
よみがへり来よ/小潟水脈
昭和を抱く/塚田キヌエ
鳴動のとき/城 俊行
友を偲ぶ/岡部修平
真正面/大森静佳
春のレプリカ/大西久美子

◎作品8首
網掛橋/石田照子
こゑ眩し/本渡真木子
わが愛すべき小歌誌よ/佐藤和夫
はるうらら/安森淑子
蒼を深めて/秋葉静枝
里の児/梅本武義
冬の星/下村すみよ
祈り/島内美代
ウォーキング・フォーラム/今枝敬昌
アイスタイム/上條素山
梅と海/石原美智子
椋鳥のノイズ/松岡拓司
またも夜想曲/岡本瑤子
まぼろしの塔/飛鳥游美

■連載―〈歌・小説・日本語〉㉔
久保田正文の短歌/勝又浩

■連載―世界を読み、歌を詠む㉒
魔 術/坂井修一

■新連載―再訪八木重吉①
初めに短歌があった/三枝浩樹

■新連載―玉城徹を読む①
チャップリン/恩田英明

■連載―浪々残夢録
アシジの聖フランシスコと良寛/持田鋼一郎

■連載―時言・茫漠山日誌より
高森文夫「友情の歌」/福島泰樹

■今月の視点
開かれた短歌の世界を/渡辺泰徳

■連載―〈名画と名歌〉⑧
ちゃんばら映画の世界/丹波真人

■今月の新人―作品5首 
修学旅行/中屋朝陽

■新刊歌集歌書評
高野公彦著『明月記を読む 上・下』/日高堯子
福島泰樹歌集『うたで描くエポック 大正行進曲』/東 直子
上野 誠著『折口信夫的思考』/一ノ関忠人
吉村睦人歌集『?梅の花』/大河原惇行
井上美地歌集『残照』/楠田立身
三井ゆき歌集『池にある石』/永井正子
上村典子著『うた読む窓辺、うた待つ海辺』/藤島秀憲
川﨑勝信歌集『天人』/秋山佐和子
佐古良男歌集『念彼猫力』/村島典子
花山周子歌集『林立』/奥田亡羊

■作品月評ー二月号より/糸川雅子
■評論月評/江田浩司
■全国〝往来〟情報
■編集後記


表紙画/高山ケンタ
本文カット/浅川 洋


竹重百合枝歌集『こぼれまゆ』

判型:四六判上製カバー装

頁数:226頁

定価:2,500円(税別)

ISBN978-4-86629-136-8

上州富岡の地。

養蚕と紬織りの伝統美をひそやかに守りぬいてきた人生。

こぼれまゆ──形状や色で出荷されない繭をそう名付けた。

この世から落ちこぼれ、はぐれていくものにこそ

本物のいのちの聖性を見る。

 

『こぼれまゆ』より5首

創ありてかがやくいのちこぼれまゆこの星須臾のひかりつむがむ

 

浅間嶺の火山灰地に桑植ゑて蚕(こ)飼ひ生ききぬかみつけ人は

 

桜染め重ね染め昏れ夜の胸にさくら匂ふ手抱きて眠る

 

子午線ゆ注がるる乳を享くるごと空仰ぐとき人は口開く

 

織り終へてまた絲紬ぐ繰りごとの果てに透きゆくいのちなるべし


山科真白歌集『鏡像』

判型:四六判上製カバー装

定価:2500円(税別)

頁数:200頁

ISBN978-4-86629-106-2

鏡像にいつはりなきや吾の奥の永久(とは)に触れよとかひなを伸ばす

 

読みだしてすぐ、眩しい作品集だなと思った。

作者の保持する外界世界が、まことに多彩で明るいのである。

そしてその輝きが、実は作者の貪欲な生への希求の反映であり、読む者にも共有可能なのだと悟まで、時間はかからなかった。【帯文・眉村卓】

 

 

 

『鏡像』より5首

 

鋭角を拒みて波が洗ひたるみづいろ硝子は水に揺れつつ

 

たはやすくさやれぬもののおほかりき浮世のなかの禁忌を数ふ

 

天空に星のあふるる秋の夜インド象ズゼ身籠りてをり

 

美しく冬のあとがきなぞるごと梅はるるると咲き初めにけり

 

横にゐるあなたがなぜか笑ふからわたしも笑つてゐる秋日和

 


2019年「短歌往来」3月号

短歌往来3月号 750円(税込)

ご注文の際は、メール・お電話にて承っております。

 

目次

 

■巻頭作品21首
さあんげ・さんげ/杜澤光一郎

■特別作品33首
鐘をならせ/加藤英彦
りんねの森/ 尾﨑朗子

■1ページエッセイ
遠い人、近い人?ー溜飲が下がる/島田修三
ニューウェーブ歌人メモワール⑭ーライト・ヴァースを巡って/加藤治郎
うたの小窓から⑮ー短歌と修辞の本来の関係 9/田中教子


■評論 21世紀の視座
桜の冥府へ/小黒世茂

 

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[特集] 50人に聞く 2018年ベスト歌集・歌書


質問 ① 2018年に刊行された優れた歌集歌書を3冊あげ、秀歌2首または優れ       

    た点を挙げて下さい。
   ② 歌集歌書、あるいは2018年の収穫についてコメントしてください。

 

〇回答者
沢口芙美   香川ヒサ   中根誠    鈴木竹志   安田純生
松坂弘    熊岡悠子   玉城洋子   野地安伯   鶴岡美代子
楠田立身   甲村秀雄   菊池裕    中野昭子   飛髙敬
疋田和男   廣庭由利子  松谷東一郎  小野雅子   五十嵐順子
梓志乃    大西久美子  小島熱子   佐藤恵子   日野きく
中村節子   森藍火    鶴見輝子   大塚健    吉沢あけみ
丸山三枝子  間瀬敬    三本松幸紀  沢井照江   湯沢千代
藤森あゆ美  小石雅夫   岡崎洋次郎  佐波洋子   池本一郎
桜井美保子  鈴木英子   浜口美知子  小見山泉   御供平佶
田村元    小塩卓哉   三枝むつみ  奥田亡羊   森本平

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■作品八首
霜の朝/藤岡武雄
声/蒔田さくら子
漱石・ものにならず/金子貞雄
家康も/永田典子
紅旗征戎吾事ニ非ズ/田村広志
姉川河口/阿木津 英
傍若無人/久保田 登
絡み合ひ降る/佐田公子
正月まで/造酒廣秋
楓 橋/小柳素子
冬晴れまで/釜田初音

■作品十三首
海を往く/木村雅子
たまゆら/鵜飼康東
夜のリボン/東 直子
尺 蠖/小笠原和幸
欧州旗/梶田順子
草の実/小林信也
すみれ色の富士/竹内由枝

■作品八首
ころぶな/塚本 敞
冬の時計/氷室敬子
スポーツオアシス/上田 明
残されし日日/久保田壽子
雪 国/山田太一
AIの時代/榎本光子
歌碑顕彰の集ひ/大芝 貫
包 丁/小村井敏子
辺野古/小木 宏
平成終わり/長谷川紫穂
淡路島/安井はる子

■シリーズ歌人回想録―田島邦彦
小歴/石川幸雄 編
田島邦彦のうた   首抄/石川幸雄 選
孤高であれと声のする/福島久男

■連載―結社の顔
ヤママユ/萩岡良博

■連載―〈歌・小説・日本語〉
及川隆彦『編集者の短歌史』のこと/勝又浩

■連載―世界を読み、歌を詠む
玉 砕/坂井修一

■連載―若い短歌作者へ 茂吉からの手紙 |最終回
次男宗吉・北杜夫への父性愛 ④/秋葉四郎

■連載―最終回
メロディアの笛Ⅱ/渡英子

■連載―浪々残夢録
西行と慈円/持田鋼一郎

■連載―時言・茫漠山日誌より
赤色―sekisyoku/福島泰樹

■連載―〈名画と名歌〉
フランス映画の香り/丹波真人

■今月の視点
泥臭さを忘れていないか/加古 陽

■今月の新人―作品5首 
地上の痕跡/小田切拓

■新刊歌集歌書評
馬場あき子歌集『あさげゆふげ』/花山多佳子
『稲葉京子全歌集』/香川ヒサ
米川千嘉子歌集『牡丹の伯母』/三枝浩樹
日高堯子歌集『空目の秋』/佐伯裕子
小林幸子歌集『六本辻』/梅内美華子
谷岡亜紀著『言葉の位相』/加藤孝男
島内景二著『竹山広』/馬場昭徳
塚田キヌエ歌集『西行つれて』/長澤ちづ
本阿弥秀雄歌集『梛の木なぎの実』/伊勢方信

■作品月評 11月号より/糸川雅子
■評論月評/江田浩司
■全国〝往来〟情報
■編集後記

表紙画/高山ケンタ
本文カット/浅川 洋


今月のスポット(2019年短歌往来2月号より)

 

◇今月のスポット◇

 

伊藤一彦編『老いて歌おう 全国版 第17集(心豊かに歌うふれあい短歌集)』(鉱脈社・1994円)

 

 

 老いるとはどういうことか。苦しみなのか、安らぎなのか、人それぞれながら現代日本の社会を大きく揺さぶっている難題でもある。「心豊かに歌う ふれあい短歌集」として、刊行以来17年目を迎える。宮崎から始まったこの歌の集いも、全国、いや台湾、ブラジルまで広がりをみせている。ここまで大きく発展してきた理由を選者の伊藤一彦は「何より全国四十七都道府県および海外から熱心に寄せられる作品の多さ、そしてその作品のもたらす感動によるものと思います」と記している。とりわけ100歳以上の応募者が18名(2018年)もいるという驚きと喜びである。

 

 

  助さんや格さんばかりが活躍の映画眺めて暮らすのどけさ 

                木本三郎(103歳 長崎県)

 

  明日死ぬ明日は死ぬと思うけどこげんされるとなかなか死ねん                     

                大保文枝(103歳 宮崎県)

 

 

一世紀を生ききって、なおこれだけ歌を詠める、その底力という定型のもつ

生命力の屈強さに脱帽する。受賞作品は、高齢者の歌では「今を生きる」

「自分を見つめて」「感謝のこころ」など。また、介護者の歌も同時に掲載

されている。応募数2119人、応募歌数3569首に及ぶ。圧巻である。

 

 

  百歳の母とふたりで車椅子なさけないのか幸せなのか 

                村方シヅ子(84歳 宮崎県)

 

  人生ってこんなものだと今朝思う生きるも死ぬもどちらも希望 

                五木田恵子(94歳 千葉県)

 

  丸三年「ベッド」に伏せる吾が妻に添ひて寝たしと思ふことあり 

                 平澤英一(95歳 新潟県)

 

 

しみじみとしてこころに沁みる。生きる日のかなしみとよろこびが素直に衒

いなく詠まれている。人生がいっぱい詰まっているはずなのに風姿は軽やか

だ。歌とはつくづく不思議な器である。

 

 

  ピカドンを見たと言う義母の口癖は「殺し合う戦争は絶対にダメ!」               

                    藤林正則(64歳 北海道)

 

  「あんたな、また私に会いに来てな」実習の日の最後の言葉  

                    高田麻帆(19歳 岡山県)

 

 

 介護する側から詠んだ歌、二首目は学生の部より。いずれは、筆者もこの

大きな歌の輪の仲間入りになることができるだろうか。野心なく、純粋に。         

                               (ひ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 


岩井久美子歌集『峠のうた』

ISBN 978-4-86629-131-4

定価 2500円(税別)

版型 46判上製カバー装

頁数 192頁

本当の人生は生活の中にある。

本当のドラマは静けさの中にある。

家族との、自然との、触れ合いから浮かび上がる、

優しさか、温もりか、

それとも生きることの悲しみ。

過去と未来のあわいの峠より、

今見晴るかす風景・・・

 

『峠のうた』より5首

しらぬまに子らはどこかへ消えてゆき扇風機のまわっている部屋

 

ことななく雪の峠を越える夜道も谷もひといろに白

 

池の面のかすかなさざなみ冷たさがはりついているこの冬の朝

 

夏空の建設現場に人がいない 赤い小旗がはためいている

 

ひぐらしの鳴きたてる声ふと途切れ門に二つの迎え火を焚く

 

 


間佐紀子歌集『海の見える家』

判型:四六判上製カバー装

頁数:188頁

定価:2500円(税別)

ISBN 978-4-86629-129-1

 

記憶は美しくまばゆいばかりではない。

静かに群青のおだやかな海を眺めながら思う。

歌は、この世に生かされているわたしに

かけがえのない豊かなものをもたらしてくれた。

 

 

『海の見える家』より5首

 

海からの山からの風吹きぬけて夕顔の咲くふるさとの家

 

終戦の日手をひきくれし電車道ひとり歩めり母はゐなくて

 

「潮音」の創刊号なり大正四年晶子も茂吉もありて親しむ

 

締切がなければ我に著者なしと言はれし恩師の言葉かみしむ

 

鍋料理湯気のむかうに亡き夫の笑顔がふいに浮かびて消えぬ

 


「短歌往来」2019年2月号

 

「短歌往来」750円(税込)

ご注文は、お電話、メール等で承っております。

 

 2月号目次

 

■巻頭作品21

 

処女の泉/小池 光

 

 

 

■一ページエッセイ

 

◎遠い人、近い人㉖―あら、兄さん/島田修三

 

◎ニューウェーブ歌人メモワール⑬―穂村弘との出会い/加藤治郎

 

◎うたの小窓から⑭―短歌と修辞の本来の関係/田中教子

 

 

 

■特別作品33

 

奇妙な家/阪森郁代

 

亥年ノ記/ 田中拓也

 

 

 

■評論21世紀の視座

 

 春日井建の〝失われた時〟とはなにか/彦坂美喜子

 

 

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[特集]オメデトウ いのしし年生れの歌人

 

 

 

 ◎作品六首+エッセイ

 

 知ってしまえり/山野吾郎

 

 うりずん日和/国吉茂子 

 

 葉牡丹/中山洋祐

 

 川あれば/小石 薫

 

 頭 塔/藤川弘子

 

 この星の生き物/斉藤真伸

 

 うりんこの仲間/間 ルリ

 

 冬の庭/さいかち真

 

 ベビーブーム/石井みどり

 

 冬に咲く花/江副壬曳子

 

 

 

 ◎作品十二首+エッセイ

 

 猪の長寝/安田純生

 

 雪と鱈/川野里子

 

 草 原/島崎榮一

 

 居場所/佐伯裕子

 

 団塊の年女/秋山佐和子

 

 平成終はる/高山邦男

 

 逆立ちの猪/森岡千賀子

 

 逆 光/安藤直彦

 

 冬 野/遠山利子

 

 いのちやん/松尾祥子

 

 辛亥革命の夜/山田 航

 

 

 

 ◎作品六首+エッセイ

 

 宇宙芋と猪/米田靖子

 

 子連れ猪/三井豊和ー63

 

 宝のお船を連れて来い/横山代枝乃

 

 老婆は一日にして成らず/榊原敦子

 

 その日暮らし/服部貞行

 

 新年を祝ふ/髙山美智子

 

 板金剛/園部みつ江

 

 まだうり坊で/高橋まさを

 

 し し/津村スマ子

 

 風を連れ/まえだたみこ

 

 

 

 

 

 ◎作品十二首+エッセイ

 

 風にまかせて/磯田ひさ子

 

 ひたぶるの/大山敏夫

 

 さるびあの秋/近田順子

 

 猪のいる、猪のある歌/本阿弥秀雄

 

 うりばうと母ゐのしし/山本登志枝

 

 イノシ氏/嵯峨直樹

 

 六度目の春/京 紀子

 

 呪 縛/梶原さい子

 

 息子ありせば/黒岩剛仁

 

 雪原走る/山口明子

 

 

 

 ◎作品八首+エッセイ

 

 みなとみらい/桜井美保子

 

 朝からの雨/内藤賢司

 

 黄金のたてがみ/多田政江

 

 旅の約束/小田倉玲子

 

 「よいしょ」 /宮本 清

 

 八年目の春 /伊東ミイ子

 

 タワービル/前田芳子

 

 本卦帰り /北久保まりこ

 

 

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■連載―〈歌・小説・日本語〉㉒

 

露伴の西行/勝又浩

 

 

 

■連載―世界を読み、歌を詠む⑳

 

花に飾られた死/坂井修一

 

 

 

■連載―若い短歌作者へ 茂吉からの手紙㉖

 

次男宗吉・北杜夫への父性愛 ③/秋葉四郎

 

 

 

■連載㊲

 

メロディアの笛Ⅱ/渡英子 ー112

 

 

 

■連載―浪々残夢録○

 

歌と歌人/持田鋼一郎

 

 

 

202

 

■連載―時言・茫漠山日誌より

 

大正行進曲/福島泰樹

 

 

 

■連載―〈名画と名歌〉⑥

 

母と同年の原節子/丹波真人

 

 

 

■今月の視点

 

自己の抹消/楠 誓英

 

 

 

■連載―結社の顔㉑

 

好 日/小西久二郎

 

 

 

今月の新人―作品5首 

 

良い不良/谷村行海

 

 

 

■新刊歌集歌書評

 

『尾崎左永子短歌集成』/沢口芙美

 

𠮷岡生夫短歌論集『軌跡』/三井 修

 

新城貞夫著『遊歩場にて』/加藤英彦

 

萩岡良博著『やすらへ。花や。』/佐藤通雅

 

志野暁子歌集『つき みつる』/中川 昭

 

永田 紅歌集『春の顕微鏡』/小島なお

 

服部真里子歌集『遠くの敵や硝子を』/花山周子

 

北原東代著『非凡なる凡婦白秋の妻菊子』/田宮朋子

 

及川隆彦著『編集者の短歌史』/持田鋼一郎

 

 

 

■作品月評ー十二月号より/糸川雅子

 

■評論月評/江田浩司

 

■全国〝往来〟情報

 

■編集後記

 

 

 

表紙画/中田文花

 

本文カット/浅川 洋

 


「短歌往来」2019年1月号

 

2019年1月号 750円(税込)

※ご注文の際は、メール、お電話等で承っております。

 

<目次>

■巻頭作品21

七十なかば/大島史洋

■特別作品33

石蓮花/吉川宏志

せかいの影絵/ 松本典子

■一ページエッセイ

・遠い人、近い人㉕

宇佐美邦輔先生/島田修三

・ニューウェーブ歌人メモワール⑫

「スモール・トーク」が始まる/加藤治郎

・うたの小窓から⑬

短歌と修辞の本来の関係 7/田中教子

 

 

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【特集]平成の30年を検討する

■座談会

平成の三十年を検討する

篠 弘×三枝昻之×沢口芙美×大井 学

■平成の名歌・愛誦歌21首抄

虚無と希求/内藤 明

作風の細分化/花山多佳子

長く続いた昭和のあとに/清水亞彦

震災をめぐっての生と死/大口玲子

前登志夫の平成口誦歌/喜多弘樹

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■作品13首

菓子パンウニ/恩田英明

いつになるやら/久保美洋子

きのふの話/西之原一貴

神戸・セルリアンブルー/南 輝子

沖縄県知事 翁長雄志逝きたり/當間實光

生成り/富田睦子

平成カプリッチオ/松谷東一郎

ブラックアウト/小林優子

就職活動 /川野知美

■作品7首

記念碑建立/大野とくよ

飛驒ふた夜/雁部貞夫

歳月/加藤ミユキ

倒載干戈/綾部光芳

子安貝/久我田鶴子

出アフリカの物語/松田愼也

秋の諧調/長澤ちづ

初 冬/上村典子

出水兵児修養の掟/川涯利雄

簡素な構図 /駒田晶子

いづれ劣勢/馬場昭徳

筑波海軍航空隊記念館/小泉桄代

■特別掲載

永井陽子未発表稿・他/島津忠夫 編

■連載―結社の顔⑳

歌と観照/五十嵐順子

■連載―〈歌・小説・日本語〉㉑

日本文学の根幹をつくった西行/勝又浩

■連載―世界を読み、歌を詠む⑲

産 業/坂井修一

■連載―若い短歌作者へ 茂吉からの手紙㉕

次男宗吉・北杜夫への父性愛 2/秋葉四郎

■連載㊱

メロディアの笛Ⅱ/渡英子 ー112

■連載―浪々残夢録

良寛と永安寺 承前/持田鋼一郎

■連載―時言・茫漠山日誌より

会津、わが一兵卒たりし日よ/福島泰樹

■連載―〈名画と名歌〉⑤

映画館のうた 並木座ほか/丹波真人

■今月の新人―作品5首 

広島/西村康平

■今月の視点

「うた」の姿/一ノ関忠人

■新刊歌集歌書評

春日真木子歌集『何の扉か』/今野寿美

玉井清弘歌集『谿泉』/十鳥敏夫

佐伯裕子歌集『感傷生活』/松平盟子

小島ゆかり歌集『六六魚』/米川千嘉子

諏訪兼位歌集『若き日のヘーゲル』/栗木京子

大朝暁子歌集『辰砂の月』/西勝洋一

平山公一歌集『鋼』/塚本 諄

日置俊次歌集『地獄谷』/黒岩剛仁

安藤 菫歌集『はるかなる虹』/小林幸子

佐保田芳訓著『佐藤佐太郎の作歌手帳』/酒井佐忠

■作品月評―11月号より/糸川雅子

■評論月評/江田浩司

■全国〝往来〟情報

■編集後記

表紙画/中田文花

本文カット/浅川 洋

 


日高堯子歌集『空目の秋』

第9歌集!

 

生命のよどみなく流れゆく

川の岸辺に、もう幾百年

佇んでいたことだろう。

本当は川は在ったか。

詩的幻想界を彷徨いつつ、

少しずつ生死の重荷を

解きほぐしていく。

削落としてやまない

日常と非日常とのはざまに、

母なる歌の沃野を見た。

 

『空目の秋』より5首

 

日だまりはしろい座布団ねむりつつ母とながされゆく春の川

 

絹ごしか木綿豆腐か しらはだのなぜかはかなしガーゼの布目

 

「わたしはいつ死ぬのかしら」ときく母に「あしたよ」といふ あしたは光

 

羽虫入る感触ありて胸もとをのぞけば夏のしづかな乳房

 

しろじろと歳月を空にひろげつつ大伯母のやうな雪ふりきたり

 

 

判型:四六判上製カバー装

定価:2500円(税別)

頁数:208頁

ISBN 978-4-86629-127-7

 

 

 


今月のスポット(2018年短歌往来12月号より)

 

今月のスポット】

 

▼辻聡之歌集『あしたの孵化』

 

(短歌研究社 2000円税別)

 

 

 

 「かりん」に所属する著者の第一歌集。生きづらさとは誠実さを裏切れない謂であると改めて感じさせられた一冊だ。

 

・溶け出していないか確かめるために布団の中で反らすつまさき

 

  ふと不安になるのだ。私の身体が布団のなかで足先から溶けだしていはしないかと。意思の力では制御できない身体の変容の兆しは〝生きる〟ことが不安や懐疑と不可分であることと無縁ではない。

 

・うまく生きるとは何だろう突風に揉まるる蝶の翅の確かさ

 

・借り物かもしれぬ体を温めるための湯船に膝を曲げおり

 

 突風に揉まれながらも従順と抵抗のバランスの中から自らの軌道を確保しようとする蝶の翅には、小さいなりに生きぬくための健気な意思がある。思えば、人間とは厄介な生きものだ。うまく生きようとする知恵は、不器用にもこの蝶の翅に遠く及ばない。

 

 そう、私の身体は精神とは別に社会とうまく適合するように造形された外皮である。身体は神の与えた魂の器ではなく、社会の秩序に順応する規格品として統御され流通する仮の衣装なのだ。私は、その〝借り物〟を温めるために今夜もバスタブに熱い湯をはる。

 

・血を分けたる姪のその名に菜の花の菜の一文字がありて春来よ

 

・悪意から遠き足裏ちいさくてふれれば魚のように逃げゆく

 

 小さな足裏を魚のようにそよがせて眠っていた時期が私たちにもあった。それは悪意をしらぬ遠い遠い過去の記憶である。あのとき私たちにも来たるべき春は期待されていたにちがいない。

 

・梅の枝をメジロきらきら飛びうつる みなひとりぶんの重さに撓む

 

・夜明けまで雨の予感の立ちこめてわたしはださいTシャツで寝る

 

 この「ひとりぶんの重さ」すら支え切れなくなったのはいつからだろう。生きるとはどこかで自らのだささを引き受けることである。「ださいTシャツ」は〝借り物〟である身体に私らしさを取りもどすための、もう一枚の大切なヴェールなのではなかったか。 (た)

 


安藤美保歌集『水の粒子』(文庫版)

夭折の歌人、胎動の歌集!

 

長い間、多くの人々に愛され読まれ続けてきた『水の粒子』をこの度、文庫化いたしました。

 

            ドア      ドア

フレンチスリーブの肩見ゆ扉という扉にきびきびと鍵をかけて出る母

 

 

ふいに来た彫像のように妹のからだの線は強くととのう

  

           

寒天質に閉じこめられた吾を包み駅ビル四階喫茶室光る

 

 

風車からから回れ父親が我にはぐれし五月の砂場

 

 

ずいずいと悲しみ来れば一匹のとんぼのように本屋に入る

 

 

緻密に緻密かさねて論はつくられぬ崩されたくなく眼をつむりおり

 

判型:文庫

頁数:150頁

定価:1200円(税別)

ISBN 978-4-86629-125-3

 

 

 

 


「短歌往来」2018年12月号

 

短歌往来12月号◇目次◇

■巻頭作品21

 つきかげの真珠/大塚寅彦

■一ページエッセイ

 ・遠い人、近い人㉔―エライ人/島田修三

 ・ニューウェーブ歌人メモワール⑪―「スモール・トーク」まで/加藤治郎

うたの小窓から⑫―短歌と修辞の本来の関係 6/田中教子

■特別作品33

 it/奥田亡羊

 空のバトン/ 岩尾淳子 

■評論 世紀の視座 

歌壇と数字とジェンダー/睦月 都

 

▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△

[特集] 題詠による詩歌句の試み

        ―平成という時代

もはや忘れてしまった平成という時代の記憶/佐々木幹郎

原発石棺の日々から/波汐國芳

さらば、平成/長谷川 櫂

アトノマツリカ マツリノアトカ/水無田気流

半 身/内藤 明

環/正木ゆう子

平成時代/細田傳造

担架体験/松川洋子

私的平成後仕末/中原道夫

石の下/八木幹夫

辺野古の今を/佐藤モニカ

種を採る/村上喜代子

めをとじて/池井昌樹

異変の様に/松坂 弘

平成の終わり/石 寒太

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■作品十三首

蟬/志垣澄幸

口 笛/押切寛子

風の客/峰尾 碧

へうたん地獄/一ノ関忠人

佐渡島へ/岡崎裕美子

點火夫 /後藤恵市

航/高島清子

ガラスペン/反田たか子

 

シリーズ歌人回想録ー槇 弥生子

小歴/前田芳子 編

槇弥生子のうた50首抄/前田芳子

正攻法で素朴に骨太に/御供平佶

 

■連載―結社の顔⑲

ナイル/甲村秀雄

■連載―〈歌・小説・日本語〉⑳

西行短歌の歴史的意義/勝又浩

■連載―世界を読み、歌を詠む⑱

雨/坂井修一

■連載―若い短歌作者へ 茂吉からの手紙㉔

次男宗吉・北杜夫への父性愛 1/秋葉四郎

■連載㉞

メロディアの笛Ⅱ/渡英子

■連載―浪々残夢録

良寛と永安寺 承前/持田鋼一郎

■連載―時言・茫漠山日誌より

大正、デカダン!/福島泰樹

■連載―〈名画と名歌〉④

映画のパンフレット「赤い靴」と「天井棧敷の人々」/丹波真人

■追悼―來田康男

來田康男君を悼む/安藤直彦ー

■作品八首

木犀の香/吉田惠子

敬老の日/若松輝峰

母の糠床/山田悦子

箱さまざま/遠山景一

零れる/平岡和代

キリシタンの島へ /西野國陽

輪舞曲を描く/清水春美

犬のフク/平尾 眞

水晶体/秋山周子

地酒「きみさらず」 /山下雅子

ナンデナンデ/津島昭宏

■今月の新人ー作品5首 

太陽を抱えるように/奥村知世

■今月の視点

あなたが死んだあと私はあなたの視野で/中山洋祐

■新刊歌集歌書評

橋本喜典歌集『聖木立』/横山岩男

横山岩男著『千代國一の短歌』』/中根 誠

俵 万智著『牧水の恋』/吉川宏志

當間實光歌集『喜屋武岬』/加藤英彦

春日いづみ歌集『塩の行進』/外塚 喬

与謝野晶子著『私の生い立ち』/石川美南

石川美南歌集『架空線』/山田消児

塚本 敞歌集『頭上の剣』/冨樫榮太郎

正井 姈歌集『詠まざれば』/松本典子

小林優子歌集『二月の桜』/西勝洋一

川野知美歌集『ムーンロード』/梶原さい子

■作品月評11月号より/糸川雅子

■評論月評/江田浩司

■全国〝往来〟情報

■編集後記

表紙画/中田文花

本文カット/浅川 洋

 


2019年「歌人手帖」

2019年版『歌人手帖』850円(税込)

 

毎年ご好評いただいております「歌人手帖」が出来上がりました。

 

・2019年見開き2週間カレンダー

・歌人名簿

・主要物故歌人、他名簿

・ジャーナル、全国主要文学館住所録

・四季と風物と歌のページ

・基文法表

・年齢早見表

・暮らしのこよみ

・慶弔エチケット

 

などを収載しております。


塚田キヌエ歌集『西行つれて』

渾身の第二歌集!

 

日常におけるさまざまな哀歓を、ひたむきに著者は詠い続けて来た。美しい四季の花々・そして心優しき人々に囲まれて苦渋の日々を乗り越えた著者は、いまふたたび新しい世界をめざして出発を遂げようとしている。

―――――――――――――――――林田恒浩

 

 

 

『西行つれて』より5首

 

夫逝きし九月の空もいくたびか独り居なれど孤独にあらず

 

紅白のさるすべり燃ゆこの道に吹きているらんふた色の風

         

夫の魂もどり来しか娘の肩に杏子ひとひら光りつつ散る

 

花吹雪くゆうべをひとり町空の望の月仰ぐ 西行つれて

 

冬凪の三浦の海のひろびろと潮目くずさぬ紺の濃淡

 

 

 

判型:四六判上製カバー装

頁数:208頁

定価:2500円(税別)

ISBN978-4-86629-124-6

 


今月のスポット(2018年「短歌往来」10月号より

【今月のスポット】

 

▼山下翔歌集『温泉』

 

(現代短歌社 2500円*税別)

 

 今期待する若手はと問われて、そうした期待から遠かった自らの二十代を振り返ると甚だ気恥ずかしいのだが、この作者には確かな手応えを感じる。

 

・店灯りのやうに色づく枇杷の実の、ここも誰かのふるさとである

 

・ポケットに手なんかいれて転んだら父さんも母さんもゐなくて

 

 「誰かの」という非特定性にも父や母の不在感覚にも、どこか淡い孤独が一枚貼り付いている。

 

・換気扇 がたんと回り始めたり 母が煙草を吸つてゐたころ

 

・アルミ箔でくるんだだけの弁当を磯にひらいてまぶしさを食む

 

 ある懐かしい生活感情が立ち上がる。それは私たちの記憶の中にも確かにあった光景なのだ。ありふれた昔の日常だけれど、その向こうにはそれぞれの時代の空気が息づいている。

 

・キキのゐない夏と知りたりああやつと馴れたのに吠えるのも舐めるのも

 

・夕暮れの感じに足を突つ込んでゐるやうな陽のくらさが秋で

 

・ゆふべ身を寄せて帰りし雨の道けさおのづからはなれて歩む

 

 恋人の実家に泊ったときの二人の距離感の微妙を巧みに表現している。青春の歳月とは侵犯してはならないものの大切さを自覚することなのかも知れない。歌集名となった「温泉」は恋人の住む雲仙の温泉だろう。

 

 山下翔は青春期の心の微細を詠むのが巧みな作者だ。その読後感は島田幸典が栞文に記す「上質の私小説を読んだような感触」に尽きると私も思う。ただ、ここには青年に特有な社会への不信や反抗や抵抗の痕跡がない。それらは注意深く消去されたままである。

 

・霧雨のなかへ傘差すうつしよはぬくいよ金がこんなにぬくい

 

 消費者金融の借入限度額を増やしては借りる日々の繰り返しにも生活感はうすい。おそらく借りた金は今という儚さを生きぬくためだけに必要なのだ。

 

・スケートボード足に吸はせて跳ね上がる六月はじめの空あかるくて

 

 あとがきには「けさ、初蟬をききました。今年も夏です。」と一行だけある。不思議な一冊だ。(り)

 


小林幸子歌集『六本辻』

歌を旅する、歌を探し求める旅人よ!

 

「辻」という場所にはこころひかれる。「四辻」は、ほの暗い印象があるが、六本の道が放射状に伸びている「六本辻」はまぶしい青空のしたにあるようだ。

「六本辻」という抽象の辻を出で入りしながら、もうしばらくうたいつづけてゆきたい。

「あとがき」より

 

『六本辻』より5首

 

あやとりはたのしきものか群青の川を取りあふ姉とおとうと

 

ひたぶるにひとを思へばゆびさきに吸いつくやうな青空の月

 

思ひ直し思ひ直して死にゐるひともあるらむ白さるすべり

 

一杯だけビールを飲まうおとうとよ だれも死者とは知らない町で

 

六本辻のラウンドアバウト幾回りしてゐるうちに人は消ゆるも

 

判型:四六判上製カバー装

頁数:222頁

定価:2500円(税別)

ISBN 978-4-86629-126-0

 


諏訪兼位歌集『若き日のヘーゲル』

 

大地に触れ、大地とともに、

とめどもなく体の中から短歌が生まれてきた。

アフリカの雄麗な景観、人々の熱いまなざしに触れ、

地質学者はこの地球をどうとらえたか、どう感じたか。

 

 

 

『若き日のヘーゲル』より5首

              せんじょうち  さんきょそん

杉むらにとりかこまれし家々よ扇状地美し散居村美し

 

若き日のヘーゲルの日記いと楽し大好物はサクランボなりし

 

地球の夕焼けなべて赤く映ゆ火星の夕焼け青く映ゆるらし

 

アフリカの鳥を語りて尽くるなし真紅の太陽サバンナに落つ

                          な

生まるるは苦しみの世に現るることダキアの民は黒服で哭く

 

 

 

判型:四六判上製カバー装

頁数:178頁

定価:2500円(税別)

ISBN 978-4-86629-122-2

 

 

 


「短歌往来」2018年11月号

定価 750円(税込)

 

 

「短歌往来」2018年11月号 目次

 

■巻頭作品21

つれづれ/池田はるみ

■特別作品33首 

通過する場所/香川ヒサ

盂蘭盆世界/ 高島 裕

■一ページエッセイ

◎遠い人、近い人ー海舟、鉄舟/島田修三

◎ニューウェーブ歌人メモワール 

  短歌研究新人賞を目指す/加藤治郎

◎うたの小窓からー短歌と修辞の本来の関係 /田中教子

■評論 世紀の視座

中島敦の短歌をめぐって/小清水裕子

 

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[特集] 私が会いたかった歌人

作品抄出+エッセイ

  斎藤茂吉/小池 光

 信綱と牧水/俵 万智

  斎藤茂吉/大島史洋

  森 鷗外/今野寿美

  平 忠度/永田和宏

  万葉歌人たち/小島ゆかり

 吉井 勇/玉井清弘

  平 忠度/梅内美華子

  北原白秋/奥村晃作

  実朝 かの子 節子 修司/佐伯裕子

  憶良 空穂 良平 白秋/御供平佶

  勇 秋成 純/光本恵子

  前川佐美雄/奥田亡羊

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■作品七首

 展 望/横山岩男

 ひびき/松永智子

   将棊島/安田純生

  伴 星/前川斎子

   迷走台風/浜田康敬

   月下美人/下村道子

   秕政の先/伊勢方信

   時代の中で/冬道麻子

   秋某日/山谷英雄

   いちまんねんののち/斎藤佐知子

  夜市人生/大崎瀬都

作品十三首

  ふはりと泛かび/萩岡良博

  夏から秋へ /中津昌子

  茶の道/逸見久美

  起 点/山野吾郎

  柳生の里/千家統子

  蜘蛛の巣の糸/山本登志枝

  遠い日の詩人へ/梓 志乃

 母をたづねて/若菜邦彦

 騙し絵の階段/鈴木陽美

作品八首

 発熱体/大森悦子

 無縁の郷/辻尾 修

 舟っこ流し/小鳥沢雪江

 雨日和 /岡田悠束

 夏が行く/梅本武義

 仰ぎ見る星 /森本美子

 質せるこゑ/小林暁子

 天蓋花 /國分道夫

 村祭り/吉居瑞枝

 姫河骨咲く/野村二郎

 しほれ朝顔/大石直孝

 花 火/佐野浩嗣

■追悼―小見山輝

 広く深く自分なりに/小寺三喜子

■連載―世界を読み、歌を詠む

 雨/坂井修一

■連載―若い短歌作者へ―茂吉からの手紙

 最後の女流門人 河野多麻への手紙 /秋葉四郎

■連載―メロディアの笛Ⅱ/渡英子

■連載―<歌・小説・日本語>

 松本徹『西行 わが心の行方』をめぐって/勝又浩

■連載―時言・茫漠山日誌より

 千賀ゆう子/福島泰樹

■連載―浪々残夢録

  良寛と永安寺/持田鋼一郎

■連載―〈名画と名歌〉

 アジアの舞姫歌姫  崔承喜と李香蘭/丹波真人

■連載―結社の顔

花鏡/石橋妙子

■今月の視点

  読みあう時間/和田沙都子

■今月の新人―作品5首 

  みなも/佐川愛実

■新刊歌集歌書評

 石川恭子歌集『Forever』/坂出裕子

  村山美恵子歌集『余波』/中野昭子

  栗木京子歌集『ランプの精』/川野里子

  古谷智子著『片山廣子』/梅原ひろみ

  峰尾 碧歌集『森林画廊』/藤原龍一郎

  高島清子歌集『薔薇は静かに』/林田恒浩

  松平盟子著『真珠時間』/染野太朗

  反田たか子歌集『子規の地球儀』/今井恵子

  清水春美歌集『あした咲く花』/桑田靖之

  田口綾子歌集『かざぐるま』/堂園昌彦

■作品月評―九月号より/糸川雅子

■評論月評/江田浩二

■全国〝往来〟情報

■編集後記

表紙画/中田文花

本文カット/浅川 洋

 

 


安藤菫歌集『はるかなる虹』

安藤菫歌集『はるかなる虹』

 

脳病む娘へ。

歌を詠んではあなたのことしか出てこないのです。

統合失調症などとは一口で片付けられない、

こころ病む人間の真実。

そういう人たちに現代社会が寄り添おうとしない矛盾。

母はこれまで秘匿してきたあなたの本当の姿を

ここに明らかにします。

 

『はるかなる虹』より5首

                           あこ

バージンロード歩める如く医師の手を預けて吾娘は病棟に消えぬ

 

もぎたての桃のごとくに水弾く素肌よ若きこころは病みて

 

罪なくて脳病みし娘を迎ふるに口惜しや俯く人目気にして

 

悪人正機こころにもてば夕焼に赤唐辛子燦と華やぐ

 かげ

朝光は産湯のごとく咲き初めし薔薇洗ふべし吾わが葬りの日

 

判型:四六判上製カバー装

頁数:226頁

定価:2500円(税別)

ISBN 978-4-86629-123-9

 

 


小林優子歌集『二月の桜』

小林優子第二歌集『二月の桜』

 

北の大地に棲む。

ここが故郷だ。

寒々とした夕陽に向かって、

あるいは降り積もる雪を踏みしめながら、

こころに温めてきた思いを

そっと定型の器に載せる。

 

 

『二月の桜』より5首

 

樹々に積む雪に夕陽の沁み入れば北のふるさと離れがたかり

 

枝々にひよどりあつめあかるめる ああ、あれはそう二月の桜

 

海見えぬ町に生まれて海のある町に生まれし男と逢いき

 

だんまりの石を濡らして夏の雨とおり過ぎたち夕かたむけて

 

わが刃にするどく傷を入れられて風の中なる一枚の魚

 

判型:四六判上製カバー装

頁数:172頁

定価:2500円(税別)

ISBN 978-4-86629-121-5

 

 

 


「短歌往来」2018年10月号

 

短歌往来10月号目次

 

●巻頭作品21

 1ピエ/三枝浩樹

 

●特別作品33首

炎天忌/道浦母都子

 夏の家/竹安隆代

 

■一ページエッセイ

 遠い人、近い人】セダカとハガティ/島田修三

 【ニューウェーブ歌人メモワール】ライト・ヴァース、その日/加藤治郎

 【たの小窓から】短歌と修辞の本来の関係 田中教子

 

 

 

●評論、21世紀の視座

 読み〉への理解と共感をめぐって/染野太朗

 

 

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【特集】動物のうた 鳥のうた

 

●作品十二首+エッセイ

 

山猫の棲む島/大竹暮子

 

湘南鎌倉の夏/大下一真

 

老愁のゾウ/坪内稔典

 

ふくろふの声/中根三枝子

 

向かひ風/真鍋正男

 

光を載せて/沖ななも

 

夏の生け贄/江戸雪

 

峡にありて/村松清風

 

猛禽類撮影紀行/石川幸雄

 

青蛇/中井龍彦

 

エクマン・バージ採泥器/渡辺泰徳

 

けふも平らか/白岩裕子

 

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●作品七首

 

奉天/村山美恵子

 

春山/大山敏夫

 

員の人/宇都宮とよ

 

秋もすぐそこ/林田恒浩

 

七七日忌/矢澤靖江

 

丸木美術館/久保田 登

 

水音を聴く/宮本永子

 

岐路/石井利明

 

銀のしベ/古谷円

 

時代の右肩/石田容子

 

●作品十三首

 

薔薇の君/山本―

 

死す朝/橋本千恵子

 

緑道あゆむ/大熊俊夫

 

年経るも/岡本育与

 

光のほさき/屋良健一郎

 

ほのと影持つ/押山千恵子

 

一対の橋/生沼義朗

 

ほうたる点る/田川喜美子

 

/小林信子

 

とおき時間/多田政江

 

■連載 【結社の顔】 曠野/飛高敬

 

■連載(歌・小説・日本語) 歌が日本人をつくる/勝又浩

 

●作品八首

 

螺旋階段/前田 宏

 

水辺/岡田衣代

 

八月に・推以/西村美佐子

 

いずれはわれも/江副壬曳子

 

平等・不平等/運天政徳

 

山高日記に挟む/森藍火

 

〈彗星〉の池/古志香

 

西日本豪雨/池田美恵子

 

猫の集会/重田美代子

 

百歳体操/米山和江

 

うつくしきゆめ /伊藤美恵子

 

 

●今月の新人作品5首 神々の黄昏音頭/上條素山

 

 

■連載 メロディアの笛2/渡英子

 

■連載 々残夢録「怨霊について」/持田鋼一郎

 

■連載 世界を読み、歌を詠む 「戦争」/坂井修一

 

■連載 若い短歌作者へ茂吉からの手紙 「

最後の女流門人 河野多麻への手紙」/秋葉四郎

 

 

 

■新刊歌集歌書評

 

伊藤一彦歌集『光の庭』/栗木京子

 

田中教子著『覚醒の暗指』/犬飼公之

 

菱川善夫著『塚本邦雄の宇宙』/尾崎まゆみ

 

菱川善夫著『塚本邦雄の宇宙1』/加藤英彦

 

歌林の会編著『馬場あき子 新百歌』/酒井忠ー

 

天草季紅著『ユーカラ邂逅』/米川千嘉子

 

押山千恵子歌集『シタール、響る』/中川佐和子

 

岡部隆志著『アジア「歌垣」論』/中西洋子

 

小佐野 弾歌集『メタリック』/菊池 裕

 

沢口芙美著『歌人たちの昭和』/上條雅通

 

鈴木陽美歌集『スピーチ・バルーン』/今野寿美

 

嵯峨直樹歌集『みずからの火』/大松達知

 

阿木津 英他『九州の歌人たち』/桜川冴子

 

小鳥沢雪江歌集『雨水は過ぎた』/久保田幸枝

 

 

 

■連載 時言・茫漠山日誌より 「冤罪」/福島泰樹

 

■連載《名画と名歌》

「スウェーデンの背高三女優」/丹波真人

 

■今月の視点 「カエルは死ぬか」/佐佐木定綱

 

■作品月評 八月号より/糸川雅子

 

■評論月評 /江田浩司

 

■全国往来情報

 

■編集後記

 

 

 

表紙画/中田文花 本文カット/浅川洋

 


大朝暁子歌集『辰砂の月』

 

円熟の第三歌集!

 

欠けゆきて極まる月の辰砂いろ冬天点す熾火のごとし

 

 

きびしい北の風土。

人間とけだものとの共棲する場所。

歌を詠みきって去る。

命を生ききって去る。

老いともにすべての生と死の意味を

思念しながら、ひそかに。

 

『辰砂の月』より5首

からふと   しすか

樺太の敷香のまちの「専賣局」地図に見つわが生れし所

 

三角の頭を持つ山があらはるる木々枯れ初むる街空のはて

 

狐でも出よと曲がれば狐をりいたく痩せをり尾を垂らしをり

 

母亡くて聞けばしみじみ意味深し「母なる大地」「母なる大河」

 

零下二十度寒さの底とふ日にあふぐ橙ぬくき十六夜の月

 

 

判型:46判上製カバー装

頁数:152頁

定価:2400円(税別)

ISBN 978-4-86629-116-1

 

 

 


塚本敞歌集『頭上の剣』

 

頭上の剣現実となり原発の事故に国中震撼する日々

 

 

先師・宮地伸一のこころざしをもって、

 

荒ぶる老いの剣を振るうように歌う。

 

日常雑事も、作者にとっては作歌の源泉。

 

みちのくの風土をふかく内包しながら。

 

 

 

 

『頭上の剣』より5首

 

子と孫がキャッチボールをしてをりぬ吾も子とかく楽しき日ありき

 

主夫もまた楽しと思ふ時もあり妻の喜ぶ顔見たるとき

 

学友のまた一人逝く知らせあり学徒動員の日々思ひをり

 

今日一日歩きし歩数をケイタイが知らせくれたり寂しき命

 

羊の字未と書きつつまだ為さぬ思ひの一つにこたはりてゐる

 

判型:46判上製カバー装

頁数:194頁

定価:2500円(税別)

ISBN 978-4-86629-105-5

 

 


川野知美歌集『ムーンロード』

    ひとけ         ほっかわ

人気なき伊豆北川の海原に浮かびあがりたりザ・ムーンロード

 

 

川野さんの若さとエネルギーは、率直で、強い。

何を見ているかに注目し、

それから、じいっと絞り込んでいく目の働き。

この執拗とも思える凝視のちからは、

そこから目をそらせずにいる作者の内面をも想像したくなる。

久我田鶴子「跋」より

 

 

 

『ムーンロード』より5首

 

小さい歯ささやくように生えている笑うと見えるもっと笑って

 

参観日に茹だったような顔をして聞いているのか先生の声

 

学校より無事に帰れと祈っている戦争をしないこの国にいて

 

選手らの日に焼けた顔黒く光り球場に立つ砂鉄のようだ

 

新しき時代は来るのではなくて創るものよとわが子に叫ぶ

 

判型:四六判上製カバー装

頁数:188頁

定価:2500円(税別)

ISBN 978-4-86629-119-2

 

 

 


「短歌往来」2018年9月号

 

「短歌往来」9月号 750円(税込)

 

目次

 

◉巻頭作品21

時の変遷/尾崎左永子

 

一ページエッセイ

遠い人、近い人㉑ーフツーの大人/島田修三

ニューウェーブ歌人メモワール⑧ーライト・ヴァース前夜/加藤治郎

うたの小窓から⑨ー短歌と修辞の本来の関係 3/田中教子

 

■評論 世紀の視座○

「うたつかい」という場について/小川佳世子

 

[特集] 現代の衣食住を詠む

 

  ◉作品十二首+エッセイ

 煉瓦の家/渡辺幸一

 〈衣・食・住〉/比嘉美智子

 最後の夏/大辻隆弘

 衣食足りて/菅原恵子

 仮住まひ/柳 宣宏

 マンゴーひかる/影山美智子

 
 今昔雑感/古屋 清

 マドレーヌ効果/尾崎まゆみ

 稲 妻/山田 航

 夏 衣/後藤由紀恵

 高層の街/石井みどり

 空の鳥/黒羽 泉

 やまもも/中西敏子

 

  ◉作品七首

 みどりの鎖/春日真木子

 この頃/久泉迪雄 

 空 襲/宮原望子

 少 年/水野昌雄

 茄子の畑/中野昭子

 水底に/大河原惇行

 もう七月か/足立晶子

 変を待つかな/疋田和男

 夏 へ/今井恵子

 花のむくろ/田野 陽

 若 竹/市村八洲彦

 繋がるいのち/杉中雅子

 

■歌人回想録127ー成瀬有

小歴/一ノ関忠人

成瀬有のうた 50首抄/阿木津 英

言葉の喚起力/一ノ関忠人

 

  ◉作品八首

 合歓の花こんなに咲いて/秋山律子

 初秋の星 /相沢光恵

 だれも返事を

   してくれないので/武藤雅治

 足裏にやはし/立松滋子

 墓標ふえゆく/伊波 瞳

 青 髯/松本高直

 湧井より/多賀陽美

 さつと拭へり/大塚 健

 ハイタッチ/梶原房恵

 食べんでよろし/大地たかこ

 あへて産まざる/楜澤丈二

 かまた・蒲田 /釣 美根子

 ウィーン/宮尻 修

 東京特区許可国区域 /紫あかね

 新緑の沢と庭/永井秀幸

 空まはり /中村雅子

 百年の友好/日向海砂

 

■連載ー〈歌・小説・日本語〉⑰

短歌は日本文学の底荷/勝又浩

 

■連載ー世界を読み、歌を詠む⑮

パンドラ/坂井修一

 

■連載ー若い短歌作者へ 茂吉からの手紙㉑

若き編集者・門人

 佐藤佐太郎への親書④/秋葉四郎

 

■連載㉜

メロディアの笛Ⅱ/渡英子

 

 

 

■連載ー時言・茫漠山日誌より○

死ぬのはまだか/福島泰樹

 

■連載ー浪々残夢録○

『選集抄』私感/持田鋼一郎

 
 

■新連載ー〈名画と名歌〉①

吉永小百合と

     サユリスト/丹波真人

 

■今月の視点

アクティブラーニング/野田かおり

 

◉今月の新人ー作品5首 

光はりはり/久永草太

 

■新刊歌集歌書評

岩田 正歌集『柿生坂』/森山晴美

高野公彦著『北原白秋の百首』/水原紫苑

内藤 明歌集『薄明の窓』/櫟原 聰

加藤治郎歌集『Confusion』/佐藤弓生

穂村 弘歌集『水中翼船炎上中』/奥村晃作

川野里子歌集『硝子の島』/中川佐和子

丹波真人歌集『朝涼』/恩田英明

江田浩司歌集『孤影』/松村正直

本田一弘歌集『あらがね』/高木佳子

小谷博泰歌集『季節の手毬唄』/南 輝子

大森静佳歌集『カミーユ』/岩内敏行

渡辺泰徳歌集『底生生物』/真中朋久

小佐野 彈歌集『メタリック』/石川美南

米山和江歌集『徳島堰のさくら』/秋山佐和子

 

■作品月評ー七月号より/阪森郁代

■評論月評/高山邦男

■全国〝往来〟情報

■編集後記

 
 

表紙画/中田文花

本文カット/浅川 洋

 


井上さな江 遺歌集『風なきに』

爛漫の今年桜に会ひたりし我には我のさくら咲かさう

 

井上さんは、「短歌は態度の文学である」という「国民文学」の信念と、短歌は自分史であるという信条のもと、物象を真っ直ぐに見詰め、ありのままを飾らず詠い続けてこられた。

青木陽子「『風なきに』に寄せて」より

 

 

『風なきに』より5首

 

暁をいづくゆ湧ける黒き鳥空を覆ひて北に渡れり

 

ばうばうとわが耳底に風の鳴り転生なども信じてゐたき

 

風なきにはららきやまぬ花桃の花の絨毯やはく踏みゆく

 

降ろされて畳まるる曾孫の鯉のぼり腹いつぱいの陽の匂ひ吐く

 

補聴器を外せばしんと音の無き闇に幽く百合の匂へり

 

 

判型:A5判上製カバー装

頁数:196頁

定価:2600円(税別)

ISBN 978-4-86629-120-8

 

 

 

 


高島静子歌集『薔薇は静かに』

本書は、四十余年の間、倦まず弛まず努力し続けた作者の第一歌集でさる。写実を基本に据えた衒いのない表現によって、日々の歓びや哀しみ、周囲の自然の姿への感動が素直に歌われている。対象に向ける善意の眼差しが、読者の心にすんなり伝わってくるであろう。

―帯文 野地安伯 

 

 

『薔薇は静かに』より5首

 

淡淡しき冬の光に包まれて薔薇は静かに命閉ぢゆく

 

娘の名書ける歯ブラシそのままに洗面所にあり新盆近し

 

直線は曲がれぬものか時時は曲がりたくなる高速道路

 

方哉さんあなただけではありません大根煮ても私も一人

 

ここがまあ市街地なるや夏草の繁れるままにあまたの空き地

 

 

 

 

判型:四六判上製カバー装

頁数:204頁

定価:2500円(税別)

ISBN 978-4-86629-115-4

 

 

 

 

 


清水春美歌集『あした咲く花』

     判型:四六判上製カバー装 

     頁数:186頁

     定価:2500円(税別)

     ISBN978-4-86629-117-8

あした咲く花に哀しみあるようで

そっと撫でやる山茶花のつぼみ

 

山茶花は春咲くいろいろな花たちのような華やかな賑わいはなく何となくひっそりと咲く。郡上は北辺で山茶花は霜で早く汚れて完全に初めから終わりまできれいでいることはあまりないが、そんな花でも明日は咲こうと蕾をつける。

 

               木島 泉 帯文より

 

 

『あした咲く花』より5首

 

鍬置きて母と作りし笹舟は港なき川流れてゆけり

                  

畦道にひときわ高く咲く薊ときに孤独は美しき棘もつ

 

押し黙る井戸を覗けばこの世でもあの世でもなき風の囁き

 

ノートからはみ出しそうな花マルを描くときクククと赤ペン笑う

 

ゆわゆわとゆめに遊ぶかねんねこにみどりご眠る初雪の夜


峰尾碧歌集『森林画廊』

定価:2500円(税別)

版型:四六判上製カバー装

頁数:216頁

ISBN978-4-86629-000-0

神ありて緑野の秘密印したり雲母鷹の羽蜘蛛の巣の上

 

時満ちて杏に小さき月生りぬ長き日暮を千々に熟れゆく

 

峰尾碧さんの歌は奔放で幻想的だ。しかし表記はごつごつした印象が強い。画数の多い漢字が愛用され、引用歌に見るように名詞が多いせいもあるだろう。字面からみる全体の印象はまことに固い。そのような固定的・集約的な外見と流動的・拡散的な内容との絶妙なバランスに、この作者のなみなみならぬ歌の才能を見る。 佐佐木幸綱

 

 

『森林画廊』より3首

                                    ほとほ

蠧毒もて野とつながれり月の夜の鱗粉の疹闇に熟る

 

              あ                  くち

f字の孔月の形に開きし頃契りし言葉その唇を衝く

 

                         みそとせ ふ    に

砂遊び見つつありしが束の間に三十年経りて肖た子の遊ぶ


當間實光歌集『喜屋武岬』

喜屋武岬 干瀬の白波さわぎ立つ逝きたる者のいのちの果てに

 

沖縄を歌う。戦で不条理に散っていったあまたの死者の魂魄を歌い継ぐ。志の文学たるこの定型に渾身の力をこめて、怒り叫び、拳を上げる。

そんなある日のこと――。

作者は青海の彼方に燦然と輝くまぼろしの琉球国を見た。

 

 

『喜屋武岬』より5首

 

寄せ返す波濤の傾りの春めきて死者も唄うべし浜下りのうた

 

海鳴りにいざなわれしは遠き日のさびしき心 末枯れの岬

 

野辺山の牧場の牛の目の奥に二十歳の吾の麦わら帽子

 

愛憎が憎しみの棘に変わる時たとえば蝶になりえぬ毛虫

      つま

摩文仁野に夫奪われし吾が母のまぐわう事無き七十余年

 

 

判型:A5判上製カバー装

頁数:196頁

定価:2700円(税別)

ISBN 978-4-8669-118-5

 

 

 

 

 

 


短歌往来2018年8月号

短歌往来8月号目次

 

◆巻頭作品21首

鰥・寡・孤・独/高野公彦

 

◆特別作品33首

水と皿/横山未来子

夏のうつわ/齋藤芳生

 

◆1ページエッセイ

◎遠い人、近い人―或る受賞式/島田修三

◎ニューウェーブ歌人メモワール―「ゆにぞん」の始動/加藤治郎

◎うたの小窓からー短歌と修辞の本来の関係2/田中教子

 

△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△

 

【特集】映画とうた

 

◆映画評論

◎映画を巡るうた/丹波真人

◎時代とともに/春日いづみ

 

◎作品10首+エッセイ

不条理の花/伊藤一彦

風匂ふ/古谷智子

アラビア語字幕/三井 修

束の間の恋/梓 志乃

女囚さそり/藤原龍一郎

ドクトルジバゴ/池田はるみ

ボレロ/廣庭由利子

わが青春の大林映画/笹 公人

ことばとAI/鹿取未放

砂浜の/福島久男

アタシとわたし/寺尾登志子

先生の自転車/くぼたかずこ

 

△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△

 

◆作品7首

わが家の春/山村泰彦

夕 星/結城千賀子

軽井沢/高久 茂

赤き耳/磯田ひさ子百歳の時代/髙安 勇

夜の谷/秋山佐和子

秩父尾ノ内渓谷/綾部光芳

泰山木/佐波洋子

夏の案山子/中根 誠

山内丸山ムラ/中村キネ

リラ冷えの街から/西勝洋一

地球のはじめ/村島典子

 

◆作品13首

ヤッチー/玉城寛子

夏がちかづく/松尾祥子

前 夜/小林信也

泣かねばならぬ/富田睦子

詩 人/吉野節子

ひかり/中山洋祐

ダリア/椎名みずほ

伏見桃山へ/小見山 泉

 

◆作品8首

うたかた/新井瑠美

戦馬碑/三平忠宏

五歳の素手/藤岡成子

THE WORLD WONDERS/斉藤真伸

能登の山音/曽我亮子

独 楽/井上美知子

大和長谷寺/河村郁子

彩/依田 昇

桃源郷/飛鳥游美

残年断簡/陣内直樹

三十一文字を/鈴木通子

輝き戻る/岩井鑛次郎

 

◆連載

◎結社の顔―天象/宮原勉

◎<歌・小説・日本語>ー上田三四二の歌論/勝又浩

◎世界を読み、歌を詠む―空の目/坂井修一

◎若い短歌作者へ 茂吉からの手紙―若き編集者・門人 佐藤佐太郎への親書③/秋葉四郎

◎メロディアの笛Ⅱ/渡 英子

◎浪々残夢録ー西行と待賢門院について/持田綱一郎

◎時言・茫漠山日誌よりー望郷/福島泰樹

 

◆追悼―寺戸和子

春に逝ったひと/畑 彩子

 

◆今月の視点

肉声の誌面/小島なお

 

◆今月の新人

空/岡本 開

 

◆新刊歌集歌書評

木嶋靖生著『評注柳田国男全短歌』/小黒世茂

十鳥敏夫歌集『万化』/小林幸子

志垣澄幸歌集『黄金の蕨』/松坂 弘

鵜飼康東著『情報社会の伝統詩』/林 和清

植松法子歌集『かたじけなくも』/小林敦子

橋本千惠子歌集『未完からの出発』/大島史洋

田川喜美子歌集『何処へ』/恒成美代子

君山宇多子歌集『方位を指す』/高木佳子

多田政江歌集『風の呼吸』/五十嵐順子

徳高博子歌集『わが唯一の望み』/三本松幸紀

三宅千代歌集『永き日を』/熊谷龍子

 

◆作品月評ー6月号より/阪森郁代

 

◆評論月評/高山邦男

 

◆全国❛❛往来❜❜情報

 

◆編集後記

 

◎表紙画/大岡亜紀

◎本文カット/浅川 洋

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


内藤タ津子歌集『甲斐が嶺の空』

家族と甲斐の山をやさしく見守る著者の渾身の第三歌集。

 

『甲斐が嶺の空』より6首

 

幼き日の母の言の葉「神様が見ていらつしやる」を今も心に

 

「母さんのババロア旨かつたな」正月を炬燵に子らは幼き日言ふ

 

コアラ抱く夫の笑顔よこの後もこの平穏の日々続けかし

 

空襲の解除に仰ぐ東の空真赤に染めて甲府炎上

                  お や ま

台風がことなく過ぎし朝々に交す挨拶「富士山のお陰」と

 

間の岳、駒、八ヶ岳、富士の峰我ら守らるこの山々に

 

 

 

判型:四六判上製カバー装

頁数:196頁

定価:2500円(税別)

ISBN978-4-86629-099-7

 

 

 


反田たか子歌集『子規の地球儀』

      判型:四六判上製カバー装

      頁数:146頁

      定価:2400円(税別)

      ISBN978-4-86629-112-3

 

 

本集で最も多く詠われているのは、戦争をテーマにした作品である。作者は戦後生まれだが、戦中のことを何も話さなかった父や、軍服店を営んでいただ祖父母、戦死した叔父などを通して、あの時代を照らしだしている。

 

               河野小百合「跋」より

 

『子規の地球儀』より5首

 

あかときの演習林を駆け巡り絵馬に戻れり野生の馬は

 

迎え酒みたいな語感ストロンチウム90という黙読すれば

 

なめらかとはいえないのだが手ずからの塑像のまなこは青年のもの

 

軍服を試着せし人あまた知る等身大の鏡一台

 

彫りふかき歩兵の文字をさらさらとすべりゆくなり葉桜の影

 


田中教子著『覚醒の暗指』

歌の始原から現代を問う!

 

「・・・春の目ざめと同様な、一つの覚醒を暗指してゐる。」(茂吉)

今日、我々が目指すべき新しい芸術としての短歌は、茂吉の改革と斬新、またその他の先人の意識を振りかえることが、一つの鍵であるように思う。

                                                                            ー「はじめに」より

 

◆目次◆

 

はじめに

第Ⅰ章 現代短歌の混沌

第Ⅱ章 先人の創造

    第Ⅰ節 斎藤茂吉 伝統とおモダニズムからの創造

    第Ⅱ説 若山牧水『万葉集』の「死」からのひらめき

    第Ⅲ説 折口信夫と前登志夫

        第Ⅰ項 折口信夫(釈迢空)の秀歌観

        第Ⅱ項 前登志夫の古語使用

            Ⅰ「われはなりてん」考

            Ⅱ「忘れぜらめや」考

第Ⅲ章 現代短歌語抄

    第Ⅰ節「行けり」考

    第Ⅱ節「あぎとふ・あぎと」考

    第Ⅲ節 短歌の旧仮名表記考

あとがき

 

判型:四六判上製カバー装

頁数:188頁

定価:2500円(税別)

ISBN 978-4-86629-108-6

 

 

 

 

 

 


江田浩司歌集『孤影』

湿り気をおびた曇り空の下、

憂愁の影を曳きながら歩む一人の旅人。

もう十分に言葉の豊穣な果実を捥ぎ取ったか。

果汁の滴り。

両掌に受けるのはさびしい定型の水音だ。

 

 

『孤影』より5首

傘の流れにひかり運ばれ消えゆけり時は未生の尾を曳いゐる

                       あした

いづこにも底なき銀河あらはれて詩歌かがよへ霜の朝は

 

火の中にむち打つ音を聞きながらあゆみゆける孤影なりけり

 

指さきにかをりひろがる昼さがりひかりの谷に蜜柑をもぎぬ

 

人間の命をかたるやさしさが星の明かりのかたはらにあり

 

 

判型:四六判上製カバー装 

頁数:162頁

定価:2,400円(税別)

ISBN 978-4-86629-109-3

 

 

 

 

 

「短歌往来」2018年7月号

 短歌往来」7月号目次より

 

◆巻頭作品21首

 生姜のかをり/馬場あき子ー2

 

 ◆特別作品33首

 うずくまる母、空を飛ぶ父/谷岡亜紀ー10

 夕張まで/ 吉川宏志ー16

 春の畝に/ 黒瀬珂瀾ー22

 

 ◆1ページエッセイ

 ◎遠い人、近い人⑲ー爺さん、婆さん/島田修三 ー6

 ◎ニューウェーブ歌人メモワール⑥ー口語短歌への道/加藤治郎 ー7

◎うたの小窓から⑦ー短歌と修辞の本来の関係 1/田中教子 ー8

 

 ■評論 世紀の視座

時代の困難を歌う/寺尾登志子ー28

 

 

 [特集] 創刊350号記念 佐美雄賞 短歌賞 出版賞の歌人

 ◉特集インタビュー

本誌編集長に聞く/及川隆彦×渡 英子×尾𥔎朗子ー38

 

◉作品十一首+ 印象に残った一首 

パステルカラー/大口玲子ー54

海ゆかば/小池 光 ー56

このあたり/島田修三 ー58

母と子/伊藤一彦ー60

白雪姫の父/栗木京子 ー62

名/本田一弘 ー64

黄あやめ/黒木三千代 ー66

一年生/花山多佳子ー68

蕨と蕗のたう/渡 英子ー70

四十雀/三井ゆきー72

門前仲町の縁日/池田はるみ ー74

ミドリカメムシ/森山晴美ー76

無限回/渡辺松男 ー78

人形と人間と春/江戸 雪 ー80

 

◉作品六首+ 印象に残った一首 

ネモフィラ/小野雅子ー82

笹舟/小関祐子 ー83

あをあらし/小橋芙沙世 ー84

カーテンコール/小笠原和幸ー85

春の日々/高田流子ー86

めまい/和嶋勝利ー87

硝子のやうな声/前川佐重郎ー88

家族の肖像/恒成美代子 ー89

タッチパネル/飯沼鮎子 ー90

鱈 汁/高島 裕 ー91

新しき道/田中拓也 ー92

柿若葉/松村正直 ー93

ナイトメア/菊池 裕 ー94

メドセージ/上村典子 ー95

風 景/棚木恒寿 ー96

青い葉/花山周子 ー97

濃い、夏/駒田晶子 ー98

瀧に打たれる/藤島秀憲 ー99

鳥 よ/滝下惠子 ー100

鮮やかに差す/山口明子ー101

波止場へ/中川佐和子 ー102

深 紅/南 鏡子 ー103

夏の老人ホーム/小川佳世子 ー104

父母の家/高山邦男 ー105

 

 ■追悼ー後藤直二

 師・後藤直二を悼む/伊藤 純 ー122

 

■連載ー結社の顔⑭

濤 声/温井松代 ー106

 

■連載ー〈歌・小説・日本語〉⑮

変容する歌/勝又浩 ー108

 

■連載ー世界を読み、歌を詠む⑬

ディストピア/坂井修一 ー110

 

■連載ー若い短歌作者へ 茂吉からの手紙⑲

若き編集者・門人 佐藤佐太郎への親書2/秋葉四郎 ー114

 

■連載ー浪々残夢録

前衛短歌の歴史的意義/持田鋼一郎 ー118

 

■連載ー時言・茫漠山日誌より

亡 友/福島泰樹 ー118

 

■今月の視点

文体の確立/江畑 實ー1

 

■今月の新人ー作品5首 

take me/加瀬はる ー9

 

■新刊歌集歌書評

尾崎左永子著『「明星」初期事情  晶子と鉄幹』/松平盟子ー124

持田鋼一郎著『良寛  愛語は愛心よりおこる』/恩田英明ー125

清水房雄著『朔総漫筆』/大河原惇行ー126

沢口芙美篇『岡野弘彦百首』/長岡千尋ー127

古川典子歌集『鳥の時間』/森本 平ー128

曽我亮子歌集『夕陽のまつり』/永吉京子ー129

河村郁子歌集『彩雲』/山野吾郎ー130

牛山ゆう子歌集『しぐれ月』/久々湊盈子ー131

 

■作品月評

ー五月号より/阪森郁代 ー132

 

■評論月評/高山邦男 ー137

 

■全国〝往来〟情報 ー142

 

■編集後記 ー144

 

表紙画/大岡亜紀

本文カット/浅川 洋

 

鈴木陽美歌集『スピーチ・バルーン』

故郷の風土や家族、親族をテーマとした歌が、作品世界に厚みをもたらしている。ユーモアの背後にある、人生の手触りと生きてゆくことへの思いを読み取るべきだろう。

 

               ―――――――谷岡亜紀「解説」より

 

 

『スピーチ・バルーン』より5首

 

鳥の切手花の切手を組み合わせ小さな個展の案内がくる

 

たんぽぽの綿毛残らず風に飛び<負ける勇気>をおもう日曜

 

くさまくら旅の鞄は重すぎるいつか手ぶらで死にゆくものを

                    ベル

がろんがろん腰に鳴る鐘はずすとき父から山の匂い立ちたり

 

明け方の夢のおわりはあるようなないような虹の脚に似ていて

 

 

判型:四六判上製カバー装 

頁数:186頁

定価:2500円(税別)

ISBN 978-4-86629-111-6

 

 

 

 

 

押山千恵子歌集『シタール、響る』

                             

シタールを聴きしはいつか藍深き空のいずこか響る

ると思いつ

 

どこからか、たしかに聴こえる、その音色。

はるか北インドの撥弦楽器の、胸に沁み入る澄んだ調べ。

その調べのように、白い記憶のように、やわらかく。

北海道の大地に暮らしが根づき、歌が根つくまでの歳月。

 

 

 

 

 

『シタール、響る』より5首

 

ぼろぼろになりしと現し身を嘆きたる父のことばが淡雪となる

 

窓を打つ雷雨にめざめ読みつげる韻律論は雫して来ぬ

 

永久凍土に眠りいし幼きマンモスのCT画像の四肢小さきこと

 

列島はさびしき弧にて寒気団せせまればいよよ夢に屈まる

 

蝦夷梟くるりと首を旋らせて春の隠れ処探さんとする

 

判型:四六判上製カバー装 

頁数:174頁

定価:2500円(税別)

ISBN 978-4-86629-110-9

 

 

 

古川典子歌集『鳥の時間』

 

この坂はきつと最後にのぼる坂けふホスピスの予約にのぼる

 

突然、予告された近い未来の死。

そこから振り返るときの来し方の日日のやさしさ、いとおしさ。

さりげない時間の積み重ねのかけがえのなさを

この歌集は私たちに教えてくれるであろう。

馬場明徳 帯文より

 

『鳥の時間』より5首

                        と を

「たつた一人救援列車に乗つたげなあん子はまあだ十歳やつたとよ」

 

金毘羅山が大綱まはしゐるやうな虹がかかれりさあさあ跳ばな

 

 「ハイどうぞ」見えないケーキ渡されぬ「イチゴがのつてゐます」と言はれ

                                      ろくじふはち      

                  おとうとのほほを撫でやる「元気でね」六十八歳の弟の頬

 

                  病室の窓に山裾ひろげゐる金毘羅山の夕輝きよ

 

 

 判型:四六判上製カバー装 

 頁数:192頁

定価:2500円(税別)

ISBN 978-4-86629-113-0

 

 

 

 

本田一弘歌集『あらがね』

『あらがね』より5首

          これのよ

山鳩はかなしみを啼く此世に生まれ出でたるたれのかなしみ

 

 

福島の土うたふべし生きてわれは死んでもわれは土をとぶらふ

 

   む                                         うな

福島に生まれしわれはあらがねの土の産んだる言葉を耡ふ

 

                       ひと

ほうたると呼べばやさしく亡き人のこゑあらはれて一つが光る

 

                     すぐ

白きものは畑をおほひ葱の葉の身のあをあをと直立つひかり

 

 

 

 

 

判型:A5判変型上製カバー装

頁数:256頁

定価:2500円(税別)

ISBN 978-4-860029-107-9

 

 

 

 

 

 

 

 

小鳥沢雪江歌集『雨水は過ぎた』

 

転勤ぐらしの途上で出逢った地、盛岡を、生きる場として積極的に選んだのだ。

人を愛するように土地を愛する。

深く継続する愛は感情の醍醐味と言えるだろう。

そして、詠まれる盛岡は、喜びの呼吸のように眩しい。

 

                     鈴木英子 帯文より

 

 

『雨水は過ぎた』より5首

  あのひと

「啄木は多情家なれば」と渋民の男は語る旧知の如く

 

詠えども何も解決せぬ日々のうたは悲しくうたは重たい

 

春立てば天も大地もゆるみゆきわたしもほのかにゆるみゆくかな

                        ひとよ

                   ひぐらしはかなかなかなと疑いてそその日暮らしの一生を送る

 

                   こもかぶり雪の庭先春を待つ梅よ牡丹よ雨水は過ぎた

 

 

判型:四六判上製カバー装

頁数:176頁

定価:2500円(税別)

ISBN 978-4-86629-114-7

 

 

 

                   

短歌往来2018年6月号

短歌往来6月号目次

 

◎巻頭作品21首

春の祈り/篠 弘

 

◎特別作品33首

山桐咲く/清田由井子

紫陽花館まで/加藤英彦

 

 

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【特集】

第16回前川佐美雄賞・第26回ながらみ書房出版賞発表

 

受賞の言葉/奥田亡羊

受賞の言葉/岩尾淳子

 

●前川佐美雄賞受賞作

『男歌男』50首抄/奥田亡羊

●ながらみ書房出版賞受賞作

『岸』25首抄/岩尾淳子

 

選考を終えて

佐佐木幸綱

三枝昻之

佐々木幹郎

加藤治郎

俵 万智

 

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◎1ページエッセイ

◆遠い人、近い人―チョン君のつぶやき/島田修三

◆ニューウェーブ歌人メモワール―私の初期「未来」/加藤治郎

◆うたの小窓から―歌の道変り/田中教子

 

◎評論21世紀の視座

『ニューウェーブ』をめぐって/大井 学

 

◎今月の視点

なぜ私は「何もしない」か/吉岡太朗

 

◎作品7首

夜桜/吉村睦人

和豆香山/藤川弘子

さくら/楠田立身

菜の花の雨/平林静代

水切り/松坂 弘

みどりごのふぐりのやうな/小島熱子

花明かり/野地安伯

秋津辺の道/鈴木千代乃

アキバにゐる/中地俊夫

はこべ/南 鏡子

父のアルバム/鶴見輝子

 

◎作品13首

誰何/田村広志

時間/今川美幸

永遠の夕日/高島 裕

青い空といふ薔薇のまへ/兵頭なぎさ

ロンジンの春/甲村秀雄

ひかりをあるく/森川多佳子

春ながら/桂 塁

酒蔵通り/矢澤靖江

ライオンと子羊/清水正人

孤独力/鶴岡美代子

これでよかったのか/石垣蔦江

 

◎作品8首

大磯の吉田茂邸/金子正男

盟友/前田えみ子

無用ノ介/若松輝峰

異国の友/蓮見安希

小さき涙/冨岡悦子

海霧/豊岡裕一郎

荘内半島の春/横山代枝乃

夕船にゆく/池田裕美子

緑陸橋/小林敬枝

セブンデイズ/柾木遙一郎

花よりも華/小山田ふみ子

直事/茂木敏江

 

◎今月の新人

カーブ/安野ゆり子

 

◎連載

◆結社の顔ー鮒/湯沢千代

◆<歌・小説・日本語>中島敦「憐れみ讃ふるの歌」/勝又 浩

◆世界を読み、歌を詠むーカナの婚宴/坂井修一

◆若い短歌作者へ 茂吉からの手紙―若き編集者・門人 佐藤佐太郎への親書/秋葉四郎

◆メロディアの笛Ⅱ/渡 英子

◆浪々残夢録―歌と口語/持田綱一郎

◆時言・茫漠山日誌よりー夭折の歌/福島泰樹

◆編集者の短歌史(最終回)―退社から独立の日々/及川隆彦

 

◎新刊歌集歌書評

前登志夫著『いのちなりけり吉野晩禱』/前川斎子

岡井隆歌集『鉄の蜜蜂』/江田浩司

尾崎左永子著『佐太郎秀歌私見』/大辻隆弘

永田和宏歌集『午後の庭』/沢口芙美

鷲尾三枝子歌集『褐色のライチ』/後藤由紀恵

前田康子歌集『窓の匂い』/大松達知

有沢 螢歌集『シジフォスの日日』/長澤ちづ

井上美知子歌集『甘樫丘より』/一ノ関忠人

玉城寛子『島からの祈り』/渡辺幸一

鈴木通子歌集『モノクローム』/碇 博視

 

◆作品月評―4月号より/阪森郁代

◆評論月評/高山邦男

◆全国‘‘往来‘‘情報

◆編集後記

 

◎表紙画/大岡亜紀

◎本文カット/浅川 洋

 

 

 

 

 

 

 

 

 

渡辺泰徳歌集『底生生物』

ものを観察するー真摯でやさしい眼差し。

こころの底に堆積する泥のようなものが、

時として勘定をもち、美しく輝き始める。

歌はそれをそっと掬い取る不可解な器だ。

 

ベ ン ト ス

底生生物は哀しきものよこの世より積み来るものを黙し食いおる

 

 

 

『底生生物』より 5首

 

薔薇の字をそうびと読むと知りたりし憂い少なき少年の日に

専門語封印しつつ語らえばわが過去なべて扁平となる

うつくしき周期律には逆らえぬ 核分裂は手なづけられぬ

みずうみの岸に白馬は似合いたり北バイカルに洗われていし

春まだき人間の土地に来たるもの見おろし岬に尾白鷲とぶ

 

 

 

判型:A5判上製カバー装 

頁数:190頁

定価:2500円(税別)

ISBN 978-4-86629-101-7

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

多田政江歌集『風の呼吸』

 

 

第一歌集に相応しい瑞々しい相聞歌に本集は拓かれてゆく。

誰しもの胸の奥に仕舞われている青春の日々の思い出を

そっと呼び起こすような歌たちであり、

純粋さ、直向きさがどの作品からも伝わってくる。 

 

                ―平林静代 帯よりー

 

 『風の呼吸』より5首

 

まっ青なこの空きみに届けんと山のポストに絵はがき落とす

 

照明の消えたる靴屋のショーウインドーピンクの長靴歩き出さぬか

 

車内灯消して行き先<回送>に終バス今日はすでに過去形

 

さわさわと風の呼吸が変わるころ梨より林檎が美味しくなりて

 

                   イスラムのチャドルの女吐く息も声も殺して黒衣の中に

 

 

判型:四六判上製カバー装 

頁数:266頁

定価:2600円(税別)

ISBN 978-4-86629-104-8

 

 

 

 

 

 

 

 

丹波真人歌集『朝涼』

『朝涼』より5首

 

すいめんに真鯉の背びれ触るるたび生れてしづかにひらく水の輪

 

へちま棚しげりて文机おく部屋をくらめるまでにへちま下がれり

 

恋人にあらねど月々会ひをれば君はわれには特別なひと

 

外見はダイナマイトに似る西瓜爆ぜることなく弾ける甘さ

 

七十をこえたるわれの夢のなか洗づるをみなは裸身にあらず

 

 

判型:A5判上製カバー装 

頁数:322頁

定価:3000円(税別)

ISBN 978-4-86629-103-1

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

田川喜美子歌集『何処へ』

田川喜美子第二歌集!

 

的確な描写、強い定型意識、批判精神、ユーモアなど、竹山広から学んだものは数知れないと思うが、すべての基本は見ることにあるのではないだろうか。

ー藤島秀憲・解説よりー

 

『何処へ』より5首

 

田川さんのさんの発声低くして竹山広の声はこだます

 

七十五歳の相聞歌よししんしんとお息吸ふて読む『千日千夜』

 

ぼんやりと煙草をふかしゐる夫が知らない人に見える夕くれ

 

晩年の私をさがすやうにして日くれて窓の硝子を磨く

 

目が合つて待つてくれるは長崎の百円電車よ春の町ゆく

 

判型:四六判上製カバー装 

頁数:204頁

定価:2500円(税別)

ISBN 978-4-86629-096-6

 

 

 

 

 

 

 

 

 

米山和江歌集『徳島堰のさくら』

 

『徳島堰のさくら』より5首

 

            とくじま

世の移り寡黙にとどめし徳島の水のめぐみに田植はじまる

 

しず

寂かなる墓処にわれは妻となり背をながすごと石碑をあらう

 

 

湯上りにタオルをまとう三歳に男が見えてかなしかりけり

 

 

日に日にちからの見えて茄子苗はわれの畑の顔となりたり

    

        ひと

会果てていずれは孤りその夜を幼のように師は眠らんか

 

 

判型:四六判上カバー装 

頁数:206頁

定価:2500円(税別)

ISBN 978-4-86629-100-0

 

 

 

 

橋本千惠子歌集『未完からの出発』

 

 

歌とは永遠に未完の作品である。

未完であるがゆえに言葉としらべのせめぎ合いが続く。

先師千代國一からの厳しいメッセージを反芻しながら、

多くの死と多くの生と向き合ってきた虚心な歌びとの影が揺れる。

 

 

橋本千惠子第二歌集『未完からの出発』より五首

 

芽吹き来し青耀へる生を見すわが身のめぐり黙なすもの等

 

英一を追慕の声のつづく中雪の降りきて心にこもる

 

怒られし記憶なきままもの言ひの静かなりしと父を思へり

 

十二万体刻む希ひに荒彫りのひとつ笑ひの仏をのこす

 

                   身のめぐり幾人逝きぬ白萩のゆれのかそかに風の吹き過ぐ

 

判型:四六判上製カバー装

頁数:222頁

定価:2500円(税別)

ISBN 978-4-86629-102-4

 

 

 

 

 

 

 

判型:四六判上製カバー装

頁数:定価2500円(税別)

短歌往来2018年5月号

【お詫び】

長澤ちづ氏による外塚喬歌集『散録』の書評が、編集部の不手際により、4月号と5月号の両方に掲載されてしまいました。謹んでお詫び申し上げます。

 

 

短歌往来5月号 目次

 

◎巻頭作品21首 

<伊右衛門>/米川千嘉子

 

◎特別作品33首

土佐から讃岐へ/島崎榮一

えいゑんに/恒成美代子

 

◎1ページエッセイ

■遠い人、近い人⑰「叔父さんたち」/島田修三

■ニューウェーブ歌人メモワール④「出発の時」/加藤治郎

■うたの小窓から⑤「言語破壊」/田中敦子

 

◎評論シリーズ21世紀の視座

「棒立ち、だったのか」/柳澤美晴

 

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【特集】水面かがやく春のうた

■作品10首+愛唱歌

お日待ち/玉井清弘

胸にめざめつ/春日いづみ

春のうた/大島史洋

薄桃色の/駒田晶子

春/大下一真

わらうまぶしさ/鈴木英子

中之島/真中朋久

ひかり及びて/内野信子

しばざくら/大井学

七つ星/貝沼正子

ミシガンの空/栗明純生

巣立ちの春/玉井綾子

ひかる水/北神照美水の庫/久葉 堯

吉野山/青戸紫枝

キャッチボール/栗原浪絵

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◎作品7首

磐梯の胸/波汐國芳

樛木忌/永田典子

谷地のかげ/仲 宗角

原人/松川洋子

眠れざる木があれば/外塚 喬

淡き虹/青木陽子

友逝く/大塚寅彦

象嵌/小野雅子

ケカチ遺跡/古屋 清

鳥の歌/滝下惠子

 

◎作品8首

西洋タンポポ/片岡 明

春野/藤田 冴

透明なドローン/永谷理一郎

賑はひのなか/安部真理子

ふたりの朝餉/身内ゆみ

眸のなかで/宮野克行

うやむやに暮れゆく平成/白倉一民

駿河トラフ/髙木絢子

骨を食む/桑田今日子

徳島短歌/楠本邦利

初夏の品川/鈴木りえ

 

 

■追悼-安森敏隆

安森敏隆の葬儀/光本恵子

 

■歌人回想録ー小高賢

小歴/草田照子

小高賢のうた50首抄/草田照子 選

むなしさを超えるもの/吉川宏志

 

◎連載

■<歌・小説・日本語>

歌稿「遍歴」について/勝又 浩

■<世界を読み、歌を詠む>

故郷/坂井修一

■<若き短歌作者へ 茂吉からの手紙>

熱き血の歌人 原阿佐雄への助言②/秋葉四郎

■メロディアの笛Ⅱ/渡 英子

■<浪々残夢録>

桜の我がアンソロジー/持田綱一郎

■<時言・茫漠山日誌より>

弔辞/福島泰樹

■<編集者の短歌史>

退職までの数日間/及川隆彦

 

■今月の視点

物語る新人女性歌人/大野道夫

 

◎今月の新人 作品5首本の象り/晴山生菜

 

◎新刊歌集歌書評

伊藤一彦歌集『遠音よし遠見よし』/高島 裕

丸井重孝著『不可思議国の探究者・木下杢太郎』/酒井佐忠

山田震太郎歌集『ゆめのなかほど』/美濃和哥

外塚喬歌集『散録』/長澤ちづ

なみの亜子歌集『「ロフ」と言うとき』/小黒四茂

野一色容子歌集『自堕落補堕落』/尾崎まゆみ

正古誠子歌集『卯月の庭』/花山多佳子

川口慈子歌集『世界はこの体一つ分』/前田康子

茂木純歌集『三池から』/小木 宏

宇田川寛之歌集『そらみみ』/石川幸雄

鶴田伊津歌集『夜のボート』/田村 元

渡邉千恵歌集『神帰杉』/佐佐木頼綱

千葉聡著『短歌は最強アイテム』/染野太朗

蓮見安希歌集『青にとけゆく』/喜多弘樹

 

◎作品月評

3月号より/阪森郁代

 

◎評論月評/高山邦男

 

◎全国往来情報

◎編集後記

◎表紙絵/大岡亜紀

◎本文カット/浅川 洋

 

 

 

 

 

短歌往来2018年4月号

 

巻頭作品 飛ぶことよりも/栗木京子

特別作品 

アリガタウ・有り難う/社澤光一

 生きてはみたが/千々和久幸

  

◇1ベージエッセイ

 遠い人近い人 ―トマトのハウスペル/島田修三

 ニューウェーブ歌人メモワール―紀野恵と「未来」/加藤治郎

 うたの小窓から―コンセプト/田中教子

 

 評論21世紀の視座 記憶と文学/古谷智子

 

 特集』 ① 沖縄の旅とうた 作品七首+エッセイ

あらためて平和を祈る/青木春枝

大浦湾/井口世津子

音/伊志嶺節子

爆音/小木宏

糸数アブチラガマ/小林芳枝

平和乞う沖縄/沢木奈津子

瀬嵩の浜/島 晃子

島の景島の珍味/晋樹隆彦

ここです辺野古/玉城洋子

平和の礎/丹波真人

 沖郷を感じる旅/中村節

滅びの滝に/林田恒浩

コーチャン/松谷東一郎

地底の門/御供平吉

されかうべ/南響子

沖の音/和田沙都子

 

 

『特集』 ② 追悼/松平修文

芸術は祈りだ/王紅花

白鳥の歌/福島泰樹

悲しくてなにも見えない/加藤英彦

烟の少女は実在した?/黒岩 康

『トゥオネラ』の韻律/松本典子

 

作品七首

水石/横山横

ひとすくひ/時田さくら子

/椎名恒治

素心蠟梅/大竹蓉子

流れ/平山良明

昼の岬/山本雪子

大東京炎上、大正十二年/雁部貞夫

偶成/小橋美沙世

雪の日の計報/鹿取未成

 

■作品八音 

ふるさとの線/宮原勉

仁太坊/山下敬子

残されしうからたちよ/二方久文

有楽椿/荻原桂子

老いて純愛/米山高仁

誰か告げんか/碇 博視

曾根崎北詰/田土成彦

そらみつやまと/菊川啓子

百日紅/古川あい

強気と弱気/城 俊行

転轍機まで/阿部尚子

神さぶる人類/福田淑子

 

連載 〈歌・小説・日本語)  中島敦の歌/勝又浩

連載世界を読み、歌を詠むの イタリア/坂井修ー

連載|若い短歌作者へ 茂吉からの手紙  熱き血の歌人原阿佐緒への助言/秋葉四郎

連載  メロディアの笛Ⅱ/渡英子

連載 浪々残夢録の 国学と黒船 『夜明け前』の歌/持田鋼一郎|

連載|時言・茫漠山日誌より 狼の歌/福島泰樹

連載|編集者の短歌史 石川一成さんの輪禍/及川隆彦

 

今月の視点  生活者の悲しみ/名嘉真恵美子

 今月の新人 作品5

過去形/浜崎結花

 

 ■新刊歌集歌書評

福島泰樹歌集『下谷風煙録』/清田由井子 

水原紫苑歌集『えびすとれー』/今野寿美 

時田則雄歌集『エゾノギシギシ』/黒岩剛仁 

結城 文歌集『富士見』/松坂弘

伊勢方信歌集『ピアフは歌ふ』/馬場昭徳

外塚歌集『散録』/長澤ちづ

山田富士郎歌集『商品とゆめ』/中根誠

和清歌集『去年マリエンバートで』/ 公人 

青戸紫枝歌集『海の石鳴る』/柴田典昭

内野信子歌集『つまくれなゐ』/阿木津 英

藤田 冴歌集『湖水の声』/美濃和歌

永井正子歌集『風の者』/橋本忠

鈴木りえ歌文集『夕映えの湖』/斎藤佐知子

 

■作品月評 二月号より/阪森郁代

 

 ■評論月評/高山邦男

■全国往来 情報 

■表紙絵/大岡亜紀

 編集後記

 本文カット/浅川

 

河村郁子歌集『彩雲』(昭和9年生れ歌人叢書8)

 

 

この歌集は作者の飽くことのない好奇心が作らせた一冊と言えるかもしれない。子供の時に昭和の戦争を体験し、少女がから娘になって行くころに戦後の学ぶ自由を身につけ、高度成長期に経営者となり成功を収め、平成の世の平和を楽しまれたひとりの女性の人生が分かる。新しい年後を迎える準備に入った現在から思えば長い年月のようではあるが、一瞬だったとも思える時間がたくさん詰まっている。大らかな歌に深い味わいがある。

 

ー解説・池田はるみーより

 

 

判型:四六判変型並製ビニールカバー装

頁数:140頁

定価:1800円(税別)

ISBN 978-4-86629-093-5

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

玉城寛子歌集『島からの祈り』

 

 

『島からの祈り』より5首

 

洞深く埋もれし息の切れ切れに私はこ・こ・よ南風も眇眇

 

芙蓉咲くに「土人」の声に散らされて滾つ怒りも泥にまみれる

 

墜落のニュースを聞きて今日もまた狂わんほどに空ばかり見る

 

六月の摩文仁の崖を這いのぼる波涛は二十四万の非戦の叫び

 

九条を抜け殻にして笛を吹く宰相の行く手にハーメルンの道

 

 

 

 

 

ここには多くの社会的事象が詠われています。

とりわけ沖縄に関する作品が多く詠まれています。

かえり見れば、私たちの追い求める姿とはあまりにかけ離れた沖縄の現実が、

私の心を揺さ振り衝き動かしたのだと思います。

多くの島人の心が安らぐ日まで、また私の生が続く限り、

このことは詠い続けていかなければならないと今日も空を見上げています。

                                -あとがき よりー

 

 

 

判型:四六判上製カバー装

頁数:196頁

定価:2500円(税別)

ISBN 978-4-86629-095-9

 

 

曽我亮子歌集『夕陽のまつり』

 

杳き日に父くちずさみゐし「イッツァ・ロングウェイ」あなたの正義胸に緩む

 

幼らを招きて小さき雛の膳ならべて笑ましし母恋ひ止まず

 

父の忌も過ぎて流離の思ひあり寂しき吾等の初夏ならむ

 

寸松庵色紙臨書しをれば春の鳥鳴き過ぎてゆく寂しき曙

 

夏の夜の夢かとぞ見るハッブルの捉へて送る銀河の葬送

 

 

曽我さんは若き時からこつこつと一人で歌を作っていらしたようだが、私の知っている曽我さんの歌はここ十年ほどのものである。

しかも曽我さんは私事を話されないので恋愛時代や結婚生活について私は何も知らないのだが、大恋愛の末に結ばれたらしい夫とも当然ながらさまざまな葛藤があったのだろう。

の影の部分を臆さずうたっているところに、私は歌人としての曽我さんの心意気を見るの                             

                    である。

                                           鹿取未放・「跋」より

 

判型:四六判上製カバー装

頁数:166頁

定価:2300円(税別)

ISBN:978-4-86629-091-1

 

 

 

鈴木通子歌集『モノクローム』

 

 『モノクローム』より5首

 

障害ある児は別れし父親を出張中といまだに言うも

 

障害ある二児持ちたりと語るとき人おどろきて我を見給う

 

子を残し去りし夫よなれもまた母と別れし少年時代

 

語らいはつきることなし障害者の友と障害者の母なる我と

 

夕映えの華やぎもちて急ぎゆくかけがえのなきひとときのため

 

家族を置いて去って行った父親を、出張中と告げる児を視つめている母親の心情は察して余りあろう。

その優しさが、作者をして鬱の病を持たせてしまった一因であることを思うと、誠にせつない。

 

 

判型:四六判上製カバー装

頁数:188頁数

定価:2500円(税別)

ISBN 978-4-86629-094-2

 

 

 

 

井上美知子歌集『甘樫丘より』

亡母の家も見ばやと登る甘樫丘に踏む土匂はむばかり

 

生駒市に住む作者の産土は明日香である。その産土の臍のような甘樫丘より、作者は世界を眺め、その眺めの奥に匂いたつ亡き父母や妹がいた風景を遠望する。達観した境地から、自らの老いを、そして生々流転する世を、ときにユーモアをまじえつつ詠む。

帯文・萩岡 良博

 

『甘樫丘より』より6首

 

水たまりの雲を呑みほしひとまはり大きく見えて鹿の寄りくる

 

両の手の杖ゆるゆるとわたりくる老い待つ車の列の静かさ

 

くさめしてわが耳出でし花びらの幻を聴き耳を病み初む

 

金庫ふかく仕舞はれてありし詠草も盗みて読めよわれの偸盗

                                                                                                                                                   くち

                                                                   この唇のかたちなら「ぞうさん」が出かかつてゐるよ葉月のみどり児

                                                                           

                                                                   父母は木霊となりて吾を待つと思ふばかりにたどる飛鳥路

 

 

判型:四六判上製カバー装 

頁数:214頁

定価:2500円(税別)

ISBN 978-4-86629-097-3

 

 

短歌往来2018年3月号

◉巻頭作品21首
元旦前後/内藤 明

◉特別作品33首
隙 間/佐藤孝子
流星群をながめゐる犬/ 小林幸子

一ページエッセイ
遠い人、近い人⑬ー嘘つく人々/島田修三
ニューウェーブ歌人メモワール②ー岡井隆に師事する/加藤治郎
うたの小窓から③ー短歌における詩の革新とは/田中教子

21■評論 世紀の視座○
鑑賞法衰弱の時代に/阿木津 英


50人に聞く2017年のベスト歌集•歌書[特集]

歌集歌書群◎『散録』/『時禱集』/『世界黄昏』/『風のおとうと』/『花桃の木だから』/『葭莩歌集』/『含笑』/
『遠音よし遠見よし』/『奇跡の木』 /『硝子の島』/『八十の夏』/『夏の領域』/『商品とゆめ』/『トゥオネラ』/
『ピアフは歌ふ』/『景徳鎮』/『御供平佶歌集 全四冊』/『風の渚』/『連灯』 等

◎回答者 大井学 柳 宣宏  寺尾登志子 三井 修  恒成美代子
清水亞彦 森本 平   日野きく 江畑 實  水城春房  大熊俊夫
楠田立身  石川幸雄 中野昭子 平山公一 結城千賀子  鵜飼康東
酒井佐忠 光本恵子 山野吾郎 鈴木竹志 彦坂美喜子  甲村雅俊
山田吉郎 松永智子 香山静子 大山敏夫 梛野かおる  河野小百合
遠山景一 山田悦子 浜口美知子 生沼義章 川田茂   吉野節子
塚本諄 松田愼也 後藤恵市 大崎安代 君山宇多子 小寺三喜子
鈴木得能 小泉初代 黒岩剛仁 安田純生 宮原勉   小塩卓哉
鶴岡美代子 加藤英彦 逸見悦子


◎作品七首
思いつながん/大野とくよ
まず結論/藤岡武雄
こ ゑ/三井ゆき
ゆきゆきて/古谷智子
宝 物/萩岡良博
思ひ出し笑ひ/足立晶子
足 跡/大朝暁子
俯くひと/飯沼鮎子
叱る言葉/馬場昭徳
黄の彼岸花/草柳依子

◎作品十三首
冬 日/安藤直彦
雨花石/鹿取未放
犬の記憶/島内景二
ここは清澄/畑 彩子

 

セブ島の料理/服部 崇
白い象/岩尾淳子
巻 雲/三本松幸紀
小さき角/佐藤 晶
鳥/森 水晶


◎作品八首
競走馬/平田恵美
スーパームーン/淺田隆博
天宇受売命/桝田紀子
光を吸ひて/秋葉雄愛
傘 寿/池原初子
木枯の句/久留原昌宏
水門へ水門へと/筑波笙子
春に向く/椎木英輔
春の突端/福原美江
無 題/綾部 剛
オリオン星雲/岡 貴子
癒えて一年 /東野典子


■連載ー結社の顔⑫
白 夜/海野幸一
■連載ー〈歌・小説・日本語〉⑩
『山月記』をめぐって/勝又浩

■連載ー世界を読み、歌を詠む⑨
勇 気/坂井修一

■連載ー浪々残夢録○
歌と時代/持田鋼一郎 ー

■連載◯
メロディアの笛Ⅱ/渡英子

■連載ー若い短歌作者へ 茂吉からの手紙⑬
助力者山口茂吉への親書④/秋葉四郎

◉今月の新人ー作品5首
金魚のいない金魚鉢/浦 晶

■今月の視点
伝統の断絶ではなく/小島熱子
■連載ー時言・茫漠山日誌より○
大鉄傘の歌/福島泰樹

■連載ー編集者の短歌史◯
新聞社の退職を決意/及川隆彦
68

■新刊歌集歌書評
秋葉四郎歌集『樹氷まで』/岡崎洋次郎
道浦母都子歌集『花高野』/藤原龍一郎
俵 万智著『ありがとうのかんづめ』/三原由起子
高野公彦著/聞き手 栗木京子『高野公彦インタビューぼくの細道うたの道』/上村典子
横山三樹歌集『九階の空』/永井正子
千々和久幸著『酔風船Q氏のいたずら日記』/桑原正紀
柴田典昭歌集『猪鼻坂』/田野 陽
平林静代歌集『点の記』/中西洋子
大辻隆弘著『新版 子規への溯行』/魚村晋太郎
米山髙仁歌集『不死鳥』/依田仁美
岡崎裕美子歌集『わたくしが樹木であれば』/川本千栄
野口あや子歌集『眠れる海』/横山未来子
栗原浪絵歌集『藍色の鯨』/江戸 雪
荻原桂子歌集『灯の文字』/五所美子

■作品月評ー一月号より/阪森郁代
■評論月評/高山邦男
■全国〝往来〟情報
■編集後記


表紙写真/黒沢忍
本文カット/浅川 洋◉巻頭作品21首

 

短歌往来2018年2月号

◎今月の視点 『男魂歌』という快事依田仁美 

 

◎巻頭作品21首

犬の横顔/梅内美華子 


◎一ページエッセイ  

遠い人、近い人14  網野菊の味わい/ 島田修三 
ニューウェーブ歌人メモワール1   一本の道/加藤治郎
うたの小窓から2 短歌の本来と革命/ 田中教子 
  
◎今月の新人

 薬と鍵/ 藤原 奏
  
◎特別作品33首 

たそがるる頃の街並 /三枝浩樹
イサファガス/ 大松達知

◎評論シリーズ 21世紀の視座

 『 氷点』の辻口啓造は歌人だった/ 田中 綾

 

◎特集

オメデトウ 戌年生れの歌人  
作品6首 

冬と犬/ 四元 仰 
 犬張子/中村キネ 
 雪と犬と /米田憲三 
 格 /星野 京 
 新しき雪/ 伊吹 純 
 行きみち /中須賀美佐子 
 華麗なる逃避 /伊田登美子 
 眷 族/ 大芝 貫 
 白き犬/ 蔵田道子 
 同級会 /國府田婦志子 
◎作品12首

 冬/森山晴美 
 光る海/時田則雄 
 戌年に/結城 文 
 漂 流/下村光男 
 いますこしわらふ/上村典子 
 百 神/山中律雄 
すべて預けず/小川真理子
 チンアナゴ/松村正直 
 反骨の戌/中野たみ子
 記念の時計/塚本 諄 
◎作品6首 

いのち /朝井恭子 
 昭和一桁に /西田郁人 
 風立ちぬ、いざ /塚田沙玲 
遠吠え/ 前村泰子 
 シェパードへの思い/ 關アツ子 
 地表に杖/清水 篤 
 咲く花の /くぼたかずこ 
 コアラ抱く /川崎百合枝 
◎作品12首
六度目の扉/植村俊宏" 
 何にしたがふ/浜口美知子
 犬蓼の穂と八犬士/小林幹也
 戌の四季/佐藤千代子 
 犬の暮らす星に生まれて/田中章義
 さりながら/藤元靖子
 節 目/小林敦子
 別の種族/森垣 岳 
 犬に追われた日/山崎聡子
 戌年家族/久保とし子
作品6首

天の羽衣/本多順子 
 元日の空/阿部真太郎

岩田帯/片岡なおこ 
 あたらしき年も白杖で /苅谷君代 
 漁師ことば/ 熊岡悠子 
 湘南に住む /露木悦子 
 愛し犬 /河村郁子 
 末 世 /朝倉 賢 

 

◎追悼 岩田 正 

秀歌は憶えなさい/田村広志 

 

■連載■
◎結社の顔

朝 霧―山村泰彦 


◎〈歌・小説・日本語〉

 二人称の東西 /勝又浩


◎世界を詠み、歌を詠む

 燃える茨 /坂井修一


◎茂吉からの手紙 

 助力者山口茂吉への親書 3 /秋葉四郎


◎メロディアの笛II

白秋の昭和/渡 英子

 

◎浪々残夢録 
伝統の力——御供平佶歌集全四冊 /持田鋼一郎

  
◎編集者の短歌史 

永田和宏・河野裕子夫婦の歓送会/ 及川隆彦 

 

◎新刊歌集歌書書評
 大島史洋著『短歌こぼれ話』/柳 宣宏 
 小見山 輝歌集『神島』/島崎榮一 
 奥村晃作歌集『八十の夏』/中地俊夫 
 永田和宏歌集『私の前衛短歌』/山田富士郎 
 萩岡良博歌集『周老王』/日高堯子 
 島崎榮一歌集『含笑』/林田恒浩 
 山本雪子歌集『楤の木』/甲村秀雄 
 草田照子歌集『旅のかばん』/古谷智子 
 鹿取未放歌集『かもめ』/香川ヒサ 
 長嶺元久歌集『百通り』/森山良太 
 佐藤モニカ歌集『夏の領域』/松村正直 
 鈴木香代子歌集『あやめ星』/小島ゆかり 
 

◎作品月評

十二月号より /阪森郁代 
 ◎評論月評/高山邦男 

 

◎全国往来情報

 

◎編集後記

 

表紙写真/黒沢忍

本文カット/浅川洋

短歌往来2018年1月号

◉巻頭作品21首   
〆切お化け/永田和宏


  ■1ページエッセイ   
遠い人、近い人⑬ー背番号3/島田修三
酔風船○ー美しい文章を/千々和久幸

うたの小窓から①ー今、57577について/田中教子 


 ◉特別作品33首  
びょうびょう/加藤治郎
雲の寄る日/ 坪内稔典

 

[特集1] 「30代歌人の現在 を読む 
何を犠牲にするのか/江田浩司ー23  
「個人の明瞭な顔立ち」が見えた/香川ヒサー29  
主題と変奏/大井 学ー35  
  [特集2]新春作品集  
◎作品七首  
時 代/横山岩男
岩田正先生逝く/菅原恵子
筑紫晩秋/池本一郎
月影に問う/髙島静子
連 鎖/森 淑子
残ん世/志垣澄幸
冬 青/久我田鶴子ー48  
やがて菜の花/木村雅子
日々の動きの中に/大橋栄一
こぬかあめ/沖ななも
けふも雨/竹安隆代
波のてのひら/前川多美江
◎作品十三首  
小 旅― 高岡・氷見―/本阿弥秀雄
青藍の海/比嘉美智子
箱根登山鉄道と猪/柳 宣宏
時間の嵩は/影山美智子
往けば耳冷ゆ/岩崎聰之介ー 
夜廻り猫よ/久保美洋子
稲藁仕舞ふ/水本 光
夜の窓/檜垣美保子


 ◎作品八首  
九十九里浜小景 /川口城司
米搗きばつた /内野潤子
筏にのつた子ども /加藤 走  
秋 草/小寺豊子
十月桜と講演/柏原宗一
ノヴェンバー・  ステップス/岩井幸代
馬のしだりを/大塚 健
亡き母/平田恵美
穭穂/若松喜子
いたどりの花/さいかち真
母よ ありがたう/池田美恵子
それぞれの緑 /山本りつ子


  ◎作品十三首  
水の路/熊谷龍子
あはれ核武装論/若菜邦彦
逆十字架/江畑 實
鍵を確かむ/細溝洋子
最上川の白鳥/冨樫榮太郎
スティールブルー/水井万里子


  ■追悼ー福田龍生  
「子は手をあげて」の少年/爲永憲司
■連載ー結社の顔⑩  
朱竹/伊勢方信
■連載ー〈歌・小説・日本語〉  
庭園談義/勝又浩

■連載ー世界を読み、歌を詠む⑦  
木・岩・雲/坂井修一

■連載ー浪々残夢録○  
歌と時代/持田鋼一郎

■連載
メロディアの笛Ⅱ/渡英子

■連載ー若い短歌作者へ 茂吉からの手紙⑬  
助力者山口茂吉への親書②/秋葉四郎  
■連載ー時言・茫漠山日誌より
下谷風煙録/福島泰樹 
 ■連載ー編集者の短歌史
追悼号の逸話と大家特集/及川隆彦
■新刊歌集歌書評  
江田浩司著『岡井隆考』/森井マスミ
松村正直歌集『風のおとうと』/楠田立身
服部崇歌集『ドードー鳥の骨』/黒瀬珂瀾
松本典子歌集『裸眼で触れる』/上村典子
畑 彩子歌集『虫の神さま』/三井 修
上條雅通歌集『文語定型』/恩田英明
淺田隆博歌集『四季の譜』/田野 陽
小谷博泰歌集『シャングリラの扉』/丹波真人
さいとうなおこ著  『子規はずっとここにいる』/結城千賀子
石垣蔦紅・ギルバート J ペリー歌集  『青き地平線』/安田純生
伝田幸子歌集『冬薔薇』/光本恵子
桝田紀子歌集『夜香木匂う』/三輪良子
古川あい歌集『わすれぐさ』/花山周子
国定里子歌集『各務原』/梶田順子


◉今月の新人ー作品5首  
我の犬君/御手洗靖大

 

■今月の視点  
新しいレトリックの可能性/大西久美子  
  ■作品月評ー十一月号より/阪森郁代
■評論月評/高山邦男
■全国〝往来〟情報 ー142  
■編集後記 
  
  
表紙写真/黒沢忍  
本文カット/浅川 洋  

蓮見安希歌集『青にとけゆく』

寡黙にいのちと触れ合いながら、

草木も人間も、私すらも透けて見える日。

 かぎりなく深みを増す青の世界へ

自在に、そして、かすかに紛れてゆくのみ。

 

『青にとけゆく』より5首

                    かな

青銀の波がしづかによせてくる遥かなる日の愛しみつれて

   を                                                                                                                                 ふ

わが男の子と白猫ベッドに眠りゐる天よりふいに降りし如くに

           はな

瀧のごと散る桜を見き下影に立ちて泣きたる日もありしかな

 

かぎりなく軽くなりゆくいのちかと瓔珞のごとスカーフまとふ

 

味爽の空にのこりし二日月はかなきものは青にとけゆく

 

 

判型:四六判上製カバー装 

頁数:158頁

定価:2400円(税別)

ISBN 978-4-86629-090-4

 


青戸紫枝歌集『海の石鳴る』

定価:2500円(税別)

版型:四六判上製カバー装

頁数:224頁

ISBN978-4-86629-092-8

他火といひ他日ともいへり

                 遥かなる生(よ)を旅として鳴る海の石

 

大岡信さんが亡くなられた。父上の博先生が逝かれた後も、信先生には深い恩恵を享け、その上、青戸紫枝さんを私の許へ届けて下さった。輪廻というものなのだろうか。紫枝さんの詠む大岡信への挽歌は、巧抽を越えて死者の魂に帰依するかのように切ない。 

温井松代・序より

 

『海の石鳴る』より五首

 

すくすくといふオノマトペあり育ちゆく不思議の音を掬う日本語

 

弾丸の音かすめ過ぎたる三歳の耳の記憶の鮮やかさ言ふ

 

それともでかいか質されし笑顔のむかうのデリシャス林檎

 

つんつんと立てし髪型なほし来し生徒と窓の風をみてゐる


山田震太郎歌集『ゆめのなかほど』

ぎらぎらとした本格的な夏がやってくる。私の好きな夏である。少年の時から、この季節は気に入っている。怠けていても、あまり目立たないし、時間がたっぷりと流れている感じで、生きているという実感があるからである。山田震太郎『夏をつかむ』より

 

四六判上製カバー装 3000円・税別

鈴木りえ歌集『夕映えの湖』

 

著者の作品は、対象への暖かく優しい視線を特徴とする。歌い方、題材の捉え方がつねに肯定的である。もしそれが無意識の結果だとすれば、作者の人間性の根本に世界に対するそのような愛と肯定感があるという証であり、短歌を作る上での意識的な態度だとすれば、そこに作者の歌に対する認識と作歌哲学があるだろう。 

谷岡亜紀・解説より

短歌往来2017年12月号

 

◎巻頭作品21首

ストレートで。水はいらない/都築直子

◎特別作品33首

草叢/香川ヒサ

石と骨/奥田亡羊

 

■ ーページエッセイ

◎遠い人、近い人

記憶の中の面影/島田修二

◎酔風船

さようなら/千々和久幸

◎花和尚独語

ツワブキ/大下一真

 

■評論

◎21世紀の視座

学校教育亡短歌、田中拓也

 

◎「特集』題詠による詩歌句の試みー日本の秋

秋の葬送/ジェフリー・アングルス

低きほむら/百々登美子

無月雨月/高橋睦郎

休むに似たり/仁平勝

秋の光/安宅夏夫

凪/松本典子

 

こんな秋/中上哲夫

老人走る/小島ゆかり

日輪/齋藤愼爾

晩熟/片岡直子

盤るる/水原紫苑

夜の歌/浦川聡子

神無月の空/北爪満喜

素焼きの皿/野田かおり

かりぬひ/安里琉太

 

◎作品十三首

葉隠/小林峯夫

深度計/上村典子

蝶生きるこの一瞬に/飛高敬

大岡信氏の時間を/冬道麻子

灰色的花/五十嵐順子

ダニエル・ダリュー/丹波真人

偏奇館焼亡/美濃和司

あをインコ/高旨清美

琵琶湖の風/野田恵美子

 

◎作品八首

父の顔/石田照子

縄文人/石井利明

初秋の青/藤井幸子

一滴のうた/伊良部喜代子

風蘭/三平忠宏

黒きカバン/乾醇子

水のでんごん/武藤敏春

ゆかり先生/堀越照代

蒼白き月/金丸玉貴

魂あらふ/浜守

はじめての恋/麻生千鶴子

 

■今月の視点

「バールのようなもの」と「バール」/谷川電話

 

■連載

◎世界を読み、歌を詠む

渾沌/坂井修一

◎若い短歌作者へ茂吉からの手紙

助力者山口茂吉への親書/秋葉四郎

◎メロディアの笛Ⅱ/渡英子

◎浪々残夢録の 影山正治と短歌/持田鋼一郎

◎時言・茫漠山日誌士より

山崎博昭追悼、五十年!/福島泰樹

◎編集者の短歌史。 一九八四年的春/及川隆彦

◎歌誌漂流/鈴木竹志

◎結社の顔

新雪/橋本忠ー

◎<歌・小説・日本語>

日本語の一人称/勝又浩

 

◎歌人回想録

笹井宏之

小歴/筒井孝司・中島裕介

笹井宏之のうた50首抄/中島裕介

あなたがねむる数万の夜へ/加藤治郎

 

◎新刊歌集歌書評

香川哲三著『佐藤佐太郎純粋短歌の世界』/田野陽

栗木京子歌集『南の窓から』/尾崎まゆみ

三井 修著『うたの揚力』/光本恵子

中川佐和子歌集『花桃の木だから』/小島熱子

川崎あんな歌集『EXIT』/黒瀬珂瀾

久久湊盈子歌世界黄昏』/田村元

加藤 走歌集『風よ、ここに』/彦坂美喜子

若松喜子歌集『砂嘴のソクラテス』/喜多弘樹

柊明日香歌集『そして、春』/今川美幸

 

 

◎作品月評

十月号より/阪森郁代

 

◎評論月評/高山邦男

 

■全国往来情報

■編集後記

 

表紙画/黒沢忍

本文カット/浅川 洋

内野信子歌集『つまくれなゐ』

自然やいとしきものたちへの温かなまなざし、

人間としてひたむきに生きようとする姿勢に心打たれる。

巧緻でたおやかな作品は、さらなる世界への展開を予感させて

やまないものがある。

                         ――林田恒浩ーー

 

『つまくれなゐ』五首

 

つまくれなゐと母の呼びゐし花が咲きこころ惹かるる一軒となる

 

草の実を扱きて握る手のひらにいまだ疼けるのゆめ

 

ゆきむしのひとつ流れてまたひとついづく邑のうへにか雪降る

 

木末よりいつきにひらきゆくコブシ讒説はしる早さといづれ

 

                 催花雨の来そうな空をともに見て一会とならむひとと別るる

 

判型:四六判上製カバー装 

頁数:192頁

定価:2500円(税別)

ISBN 978-4-86629-086-7

 

 

 

藤田冴歌集『湖水の声』

この豊潤な一冊を読んで来て、なほこの上、作者にいふことがあるであらうかと考へました。作者は、充分に謙虚なのでありますから、これを言ふには、多少、誤解をおそれず言ふ必要がありますが、「完全を求めないこと」といふ言葉が、私の脳裡をよぎりました。すこし、あらつぽく、リアリズムと喩法とのアマルガムを、これからいよいよ、期待したいと思ひます。岡井 隆・栞より

 

四六判上製カバー装 2500円(税抜)

萩原桂子『灯の文字』

 

運動場に満ち照る()の文字瞰てをれば夢ゆめ過疎の町と思はず

 

 

 

作歌に、評論に、さらに絵本の読み聞かせに、宮崎県高鍋町で意欲的に活動する荻原桂子さんの充実の第二歌集である。「灯の文字」の歌は「高鍋城灯籠祭り」に関わる作であるが、荻原さんにとっては五句三十一音の短歌の言葉こそが、自らの心を明るく照らす「灯の文字」ではあるまいか。この一冊はそう読者に思わせる。                          伊藤一彦

 

四六判上製カバー装 2500円(税抜)

 

くぼたかずこ歌集『お気に召すまま召されるままに』

わたくしも老舗の歳になりました分けてあげましょ一年二年

唐紅

 

人生の交叉点ですこの店はアラフォー女子にみたびの恋か

薄桜

 

しゃがすみれたんぽぽすいせんはなだいこんこぶしは白く友よさよなら

薄桜

 

ゼラニウム。秋、冬、春、夏、また一年。ツバメの街に日々は過ぎゆく

杜若

 

 

とんとんとん。

時をのぼりおりし、日々を彩るうたがここにある。

友を送るうた、母のうた、酒場のうた、

心を尽くすうた・・・。

ドキュメント短歌380首。

 

四六版並製カバー装 1500円・税別



栗原浪絵歌集『藍色の鯨』

『藍色の鯨』には歌作を始めてからの栗原さんの人生が反映されており、彼女の表現のセンスがそうした暮らしの折々を詩的香りに包んでいる。この歌集の特徴はまっすぐに前を見つめる健やかさにあるが、その特徴を支える軽やかな文体がこころよい。       三枝之・跋より

 

四六判上製カバー装 2500円(税抜)

大島史洋『短歌こぼれ話』

 

仄暗い古書店の奥から、じっと神保町界隈を静かに眺めている眼。その眼は、広く短詩型文学の世界を渉猟しつつ、わかりやすい言葉と表現で珠玉のエッセイとなる。

 

読後感の何とも言えぬさわやかさをとくと味わってください。

 

四六判並製カバー装 2000円(税抜)

短歌往来2017年11月号

◎巻頭作品21首

透明の傘/前川佐重郎

 

◎特別作品33首

パスワード/今野寿美

浅間も泥鰌も記憶切れ切れ/渡辺松男

 

■1ページエッセイ

◎ 遠い人、近い人

近所のお兄さん/島田修三 -

◎酔風船

無い物ねだり/千々和久幸

◎花和尚独語

ヤマノイモ・むかご/大下一真

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

■特集「篠弘」

◎評論

人間関係の歌/内藤 明

篠弘の社会詠/吉川宏志

◎篠弘の5首

玉井清弘、栗木京子、黒瀬珂瀾、 小島ゆかり、大井 学、松平盟子

 

篠弘50首抄/三枝昂之選

等身大のリアリティ/三枝昂之

 

■エッセイ うたと評論について

奪われたものの回復/大辻隆弘。

強靭な精神の人/沢口芙美

篠弘年譜/富田睦子

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー◎作品七首

灯台草/松平修文

検見川の蓮/永田典子

朝日さしきぬ/安田純生

風/松永智子

とぎれとぎれに/石橋妙子

百日紅/橋本忠

夏の記憶/小石薫

後の月/中川昭

病床/市原志郎

遠く吹く風/伊吹純

 

◎作品13首

白きニンフ/綾部光芳

再稼働/桑原正紀

ストームチェイサー/尾﨑朗子

メドックマラソン/本田稜

平成二十八年五月七日、民子歌碑祭に列して/逸見久美

退職/栗原純生

かあとんぼ/大原葉子

錆色の時/田村元

種箪笥/大地たかこ

 

◎作品8首

丹塗りの小箱/永平綠

黄に咲く花ら/脇中範生

驟雨/堀部知子

安珠はアンカー/福島久男

可笑しなこと/森藍火

阿弥陀遭遇記/前川博

写真集/吉田員子

乾いた時間/武田素晴

『雪の記憶』まで/篠田和香子

ICUにて/宮本清

半夏生/石井ユキ

不確かな年月/水門房子

 

■連載

◎<歌・小説・日本語>

連歌のこと、補遺/勝又浩

◎「世界を読み、歌を詠む」

邯鄲/坂井修一

◎若い短歌作者へ茂吉からの手紙

才媛杉浦翠子への場合(続)/秋葉四郎

◎メロディアの笛Ⅱ/渡英子

◎|浪々残夢録

保田與重郎と万葉集・ニ/持田鋼一郎

◎時言・茫漠山日誌

予備校ライブ/福島泰樹

◎編集者の短歌史

前田透先生の死と俵万智さんとの出会い/及川隆彦

◎歌誌漂流/鈴木竹志

 

■今月の視点

因縁/柳澤美晴

■今月的新人

作品5首 ハートの3だーれだ/嶋 真太郎

■新刊歌集歌書評

永田和宏作品集Ⅰ/池田はるみ

前川多美江歌集『水よ輝け』/島内景二

吉村明美歌集『幸福な時間』/池本一郎

伊良部喜代子歌集『夏至南風』/屋良健一郎

岩尾淳子歌集『岸』/川野里子

遠藤由季歌集『鳥語の文法』/前田康子

野田恵美子歌集『風のあしあと』/佐伯裕子

斎藤千代歌集『四月一日。』/西村美佐子

麻生千鶴子歌集『白い道』/久保美洋子

■作品月評

九月号より/阪森郁代

評論月評/高山邦男|

■全国往来情報

■編集後記

 

表紙写真/篠弘

本文カット/浅川 洋

 

山本雪子歌集『楤の木』

人生には幸せな時間が流れている。

見るもの、聞くもの、そのすべてが輝く光を帯びているはずだ。

掬い取るように、丹念に、日常の出来事を詠みながら、

しなやかに刻まれてきた年輪は、くっきりと確かな歌の姿を見せてくれる。

 

四六判上製カバー装 2500円・税別

萩岡良博歌集『周老王』

 

雪の森に雪けむり立つきらきらと時間はときに見ゆることあり

 

もみづる日をみなご生まるたまきはるくらきうつつのあかりとなれよ

 

しづくして虹消えはてし宇陀の野の伝承ひとつ緑青を噴く

 

譫妄の父泣き語る戦ひの空をほととぎす啼きてわたれり

 

いくたびも問ふ森に問ふいくたびも霧に洗はれもみぢするため

 

母は沼おぼろおぼろと深みゆきてぬきさしならぬまでにいとほし 

 

 

たしかに聴こえる。

大和宇陀の野や山から、ひそかに伝わってくる古代歌謡のひびき。

古代のまぼろしが時として日常の中に紛れ込みながら、骨太い詩魂を形成した。

 

いったい、家族とは何か、同胞とは何か、世界とは何か。

 

 

A5版上製カバー装 2500円・税別


鈴木香代子歌集『あやめ星雲』

肉体をもたぬいのちは涼しからんあやめ星雲もはるけき人も

 

 

いのちに触れる。

今ここにあるいのち、

森羅万象を流れ行くいのちを歌う。

他界のまなざしをもって、

日常の生の起伏を見つめる時、

あたらしい鼓動が歌に宿り始める。

 

病廊をゆくいもうとは角曲がりふいに消えたりわれはおののく

祈るほかなけれど指は組まざりき此岸に一本の綱手繰るため

木もれ日の道はしばらく続きおり次の悲へゆく序奏のように

 

自閉症アスペとアガペ似ておりぬ独りの愛は独りにかえる

ゆるらかに水抱くコップ一生かけわれら不可逆の水運ぶなり

 


鹿取未放歌集『かもめ』

 

受胎告ぐるどの天使も羽たくましくひざまづくとは支配に似たり

締め切り日は〈世界終末〉の後にありテーブルのうへに卵が一つ

プログラミングされをるのみにてケータイに〈夜更かしでね〉と囁かれをり  

学会に行きて戻りてさらに行く子に見えない()()をただ振つてゐる

タンパク質ファミリーの図を見てあれば賑やかにして邃し身体

A、C、G、T A、C、G、T かもめはかもめ空があをいよ

 

言葉の連鎖は命の連鎖。

豊穣にして切っ先の鋭い言葉と言葉の相剋。

心たゆたい、屈折しつつ歌の曠野に一人称の影を落とす。

 

ゆっくりとほどかれていく魂の痛ましさの声を聴く。


清田由井子著『歌は志の之くところ』

いのちと自然、社会とのかかわりの中で、

歌を詠むとはどういうことなのか。

その根柢をつねに問い続け、成熟していく心と思想を、

火の国阿蘇から発信し続ける、渾身の歌論。

歌とは述志の文学である。

 

<本書・目次より>

抒情としての今日性

前衛歌人のメモワール

否定から肯定の思想へ

いかにあるべき女歌

うたは「訴え」―豊饒の涙をつづる―

黒の彼方

歌の根柢―八十年前の雪―

魂の原野―福島泰樹論―

ひそかなる花野の闘い―安永蕗子論―

いさちる渚の歌人―谷川健一論―


石井喜久子『更紗石』

銀嶺の赤城は雄々しさながらに関八州をべるごとくに

冬に月の魂しづめとぞ筆もてば墨の香しるく匂ひつつ立つ

亡びしは滅びの色の草もみぢ更地のままに秋立ちにけり

()の孫はけふははたちの祝膳かこめばほのぼの溢れくるもの

子らは去りふたりの老いにゆるゆると時は流れて小寒となる

 

過ぎ去っていった歳月のなかで、陰翳をもってよみがえる旅の記憶、亡き人々の顔、そして山河草木。目を閉じて、深く静かにこころをめぐらせれば、かれらは歌のすがたとなって現れてくる。

 


藤元靖子歌集『はらはら零る』

白い花を探して歩く 今朝はすぐ見つかるものをさがして歩く

棒切れで自分の周りに円を描く くるっと一まわり元へ戻れた

悲しみは色なく音なくわたくしを流線形にのこしおく風

夕かげに木の葉一枚かえすように帰されたなら紛れればよい

忽ちというにはあらず十日月の傾きながら西へ巡る間

 

自然にさりげなく寄り添い、

その深い懐にそっと抱かれる。

淡々として、平明に、自在に。

 

そんなふうに歌を詠む

言葉は木の葉、しらべは風


辻尾修歌集『海を見ながら』

十一時二分を知らする何もなき船旅にゐて両眼を(つむ)

月に一度島に教へに来てくれるピアノ教師を釣りでもてなす

人文字に分校の子ら足らざれば親もまじりて航空写真撮る

バナナ売らぬ土地日本になけれども越してゆきたる二歳に送る

シスターの運転で来しシスターは手土産持ちて眼科に入りぬ

一万六千人の冥福祈るサイレンが一万五千人のわが町に鳴る

 

 

 

事柄の大小を問はず、相手に近いところまですつと心を寄せることが出来る。このことは想像力と関係するのだらうが、辻󠄀尾さんが歌を作る上で、共感性の強さが大きな力になつてゐることは間違ひない。

馬場昭徳解説より

 

四六版上製カバー装 2500円・税別

 


短歌往来2017年10月号

◉巻頭作品21首

釜伏山/御供平佶

 

 

◉特別作品33首

ビッグ・ブラザーより愛をこめて/ 藤原龍一郎

蒼のひびき/荻本清子

 

一ページエッセイ

遠い人、近い人ー人生の一日/島田修三

酔風船ー悲歌の時代/千々和久幸

花和尚独語ー秋明菊と豊道和尚/大下一真

 

 

[特集]玉城徹

 

◎主な内容/最も前衛を意識した歌人/戦争体験を重く持っていた  「アララギ」的な写実への反発/玉城さんの歌はなぜ「わからない」のか毒づき歌では右に出る人がいない/近代絵画からヒントを得て 「生活の再刻」には関心がない/「もう一つの前衛」という方法

 

■座談会 『玉城徹全歌集』を読むー玉城徹は前衛歌人だった!

篠 弘×森山晴美×恩田英明×阿木津 英

 

 

■評論

玉城徹の方法ーデッサン論/柳 宣宏

玉城徹のうた50首抄/高橋睦郎 選

抄出にあたって/高橋睦郎

 

玉城徹の一首

 小池 光

 内藤 明

 今井恵子

 江田浩司

 大辻隆弘

 大井学

 西村美佐子

 佐々木六戈

 遠山景一

 

 

 ◉作品七首

 朱 夏/春日真木子

 水涸れし/来嶋靖生

 夏座敷/筒井紅舟

 蚊母樹/水落 博

 女の技/下村道子

 介護の果て/松田愼也

 二都往反/黒木三千代

 共和国讃歌/鵜飼康東

 晴れよ/野地安伯

 窮 鼠/久々湊盈子

 

 

◉作品十三首

 元素図鑑/谷岡亜紀

 常 設/魚村晋太郎

 ゆふすげの丘/村松秀代

 わが老いの必要悪/佐藤和夫

 マントルピースの前に/石井みどり

 奈 良/櫛田如堂

 精 霊/浦河奈々

 

 

◉作品八首

 石獅子/運天政德

 八月八日 /前田弥栄子

 父祖の地 /田中内子

 蕊 /近藤芳仙

 アダージョ /平石眞理

 ベランダ /髙山美智子

 時鳥の詛語 /内田紀満

 認知症テスト /伊藤泓子

 星と月と /陣内直樹

 夢まぼろし /岡本瑤子

 

■連載ー世界を読み、歌を詠む 屍に美酒を/坂井修一

 

■連載ー結社の顔 花 林/樋口忠夫

 

■連載ー〈歌・小説・日本語〉 連歌のこと/勝又浩

 

■今月の視点 風土が生む短歌/本田一弘

 

■連載ー浪々残夢録 原日本文化についての一視点/持田鋼一郎

 

■連載 時言・茫漠山日誌より 死病を抱え/福島泰樹

 

■連載 編集者の短歌史 年のことども/及川隆彦ー118

 

■連載 歌誌漂流/鈴木竹志

 

■連載 メロディアの笛Ⅱ/渡英子

 

■連載ー若い短歌作者へ 茂吉からの手紙 才媛杉浦翠子への場合/秋葉四郎

 

◉今月の新人ー作品5首 濡れたる手/永山凌平

 

■新刊歌集歌書評

松平修文歌集『トゥオネラ』/平井 弘

光本恵子歌集『紅いしずく』/遠山利子

塚本靑史著『肖てはるかなれ』/松平盟子

五十嵐順子歌集『奇跡の木』/村島典子

西勝洋一著『短歌の周辺』/天草季紅

大地たかこ歌集『青き実のピラカンサ』/大口玲子

篠田和香子歌集『雪の記憶』/清水亞彦

宮本 清歌集『いとちゃんの息子』/上條雅通

滝口節子歌集『春落葉』/池本一郎

鎌田芳郎歌集『城山の楠』/森山良太

礒辺朋子歌集『蜜入り林檎』/山本登志枝

 

■作品月評ー八月号より/阪森郁代

■評論月評/高山邦男

■全国〝往来〟情報

■編集後記 

 

 

表紙写真/いりの舎提供

本文カット/浅川 洋


桝田紀子歌集『夜香木匂う』

 

私は、短歌とはそれが気の利いた高等な表現手段ではなくても、だれでもが素直にみんなと伝達し合える文学なのだ、とつくづく思うのである。それは、全ては自分の日常の言葉で、それを短歌表現に託する心の強さとして働くからである。

浜田康敬・跋より

 

四六判上製カバー装 2500円(税別)

国定里子歌集『各務原』

公園の桜の大樹五十年けものめく幹につぼみあふれつ

農をせし彼の日の麦を疎み来て弥生の店の麦の穂いとし

梅雨曇り俄の照りに白昼のわが身の影は足元にあり

英国など早く侵略し公然とひと迫ひはらひ国を盗みき

西瓜食み黒き種のみ判別すその様にして詐欺の解れば

 

国定里子さんの歌は独特だ。

多くは生活周辺の嘱目であるが何を歌っても歯切れがいい。

省略の文学であることを心得ているからであろう。

近現代の秀歌をなぞるような傾向は何処にもない。影響を拒否しながら作歌する強靭な姿勢とともに純朴な美しさがある。

島崎榮一

四六版上製カバー装 2300円・税別

 

 


石垣蔦紅『青き地平線』

老いの日は日日是好日老いの夜も愉快なりけり夢また楽し

 

めぐり合いとは愛すること。

この地上、何一つさえぎりもののない地平線のおおらかな青。

二人いっしょに老いの日々を温かく支えながら歌う。ハワイ在住歌人の試みる短歌とTANKAの世界。

 


oh,how I wish
I could melt
into the blue horizon,
drawing up my forehead
to the airplane window

(このままに青き地平線に溶け込みてゆきたし機窓に額寄せつつ)

 

四六版並製 2000円・税別


畑彩子歌集『虫の神様』

あかときに蜩鳴けり ふるさとは大き緑の虫篭なれば

海沿いの墓地へとつづく坂道を大潮坂と祖父のみ呼びき

山手線乗って降りればあとかたもなく新宿は消え果にけり

青空を三日見ないと死ぬという息子よ今日はくもりのち晴れ

「はる」という詩の音読を繰り返す次男の声が食卓照らす

 

文字通りの知力、胆力に長けた著者の久しぶりの第三歌集。Ⅰ部は出産や育児が主題だが、対象への距離を保って客観的な軽快感がある。Ⅱ部、Ⅲ部では虫のような小さな生命へのつよい思い入れをみせ、また身近な人々との交歓を通して自ずと自覚されてゆく生の時間との葛藤もあって、文学を志した日の青春性の回復がはかられてゆく。

かつても生半可な苦悩などはいわなかっつた著者の、ひとつの転機をはらむ頼もしい歌集といえよう。

馬場あき子・帯文より

 

四六版上製カバー装 2500円・税別


服部崇歌集『ドードー鳥の骨』

サンマルタン運河は夏のきらめきを注ぎて白き船を持ち上ぐ

笛吹きが笛吹かずしてふふふふとわらひをさそふパリの祭日

二年目のパリの夜なれば驚かず青き火を噴くエッフェル塔よ

 

 パリ同時多発テロの時期を含む3年間の官僚としてのパリ生活の中から生まれた340首。定住というには短く、旅行にしては長い3年という時間ならではの貪欲な取材がスリリングである。描かれた風景の輪郭はあくまでもクリアであり、表現された事物の動きが徹してシャープなのは、パリ独特の乾いた空気を味方につけた作者の手腕であろう。

                        佐佐木幸綱

 

 

左岸より右岸にわたり右岸より左岸にもどるビルアケム橋

シテ島にあたまのあかい鸚鵡ゐて君との日々を吾に語らしむ

ふちなしの眼鏡に顔を挿げ替へて硝子のパリのパサージュに入る

行きつけのカフェの給仕と初めての握手を交はすテロの翌朝

フランスの最後の晩餐友とゐて何度もなんども灯りの消える

 

四六版上製函入 2500円・税別


浅田隆弘歌集『四季の譜』

ひとひらの蓮の花びら水に散りうすくれなゐの小舟となりき

朝まだき人影のなき園内の回転木馬みな宙に浮く

木もれ日のなかをわが影歩みをり我をはなれし人のごとくに

雪の上に赤き椿の一弁が命あるかに輝きてあり