ながらみ書房は1985年開業、二千点以上の歌集歌書を出版してきた出版社です

 


News

好評「短歌往来」バックナンバー

 
  1. 石川信雄歌集『cinema』復刻しました!
  2. 島内美代歌集『風の十字路』日本歌人クラブ北関東ブロック優良歌集に選ばれました!
  3. 第21回ながらみ書房出版賞山口明子歌集『さくらあやふく』に決定しました!
  4. 伊志嶺節子歌集『ルルドの光』第17回平良好児賞に選ばれました!
  5. 長嶺元久歌集『カルテ棚』第10回筑紫歌壇賞に決定しました!
  6. 足立晶子歌集『ひよんの実』平成25年度日本歌人クラブ近畿ブロック優良歌集に決定しました!
  7. 冨尾捷二歌集『満州残影』平成25年度日本歌人クラブ東京ブロック優良歌集に選ばれました!
  8. 橋本忠歌集『白き嶺』平成25年度日本歌人クラブ北陸ブロック優良歌集に選ばれました!
  9. 長嶋浩子歌集『遊水池』が埼玉県歌人会新人賞に選ばれました!
 



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編集部日記

西村慶子歌集『むさしあぶみ』

しろじろと遠き桜のつらなりを眺めをりしにはやもみどりに

おのれひとりの時もつ夫かしづかなる目を向けてゐる盆踊りの輪

うすべにの小花が茎を巻きのぼるもぢづりかなし芝にはなやぐ

あてもなきあゆみたのしみ里山にあくがれてゐる童女さながら

時をかけ聴かうと耳に手を添へて悲しきかたちのわれとなりゐつ

 

過ぎ去っていった歳月のなかで、陰翳をもってよみがえる、夫の、友の声、そして草花。目を閉じて、深く静かにこころをめぐらせれば、かれらは歌のすがたとなって現れてくる。

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短歌往来2017年1月号

巻頭作品21首

越冬するゴキブリ/馬場あき子

 

 

特別作品33首

最晩年の旅/橋本喜典

いのち/ 蒔田さくら子

 

一ページエッセイ

遠い人、近い人ー戦中派ダール/島田修三

酔風船ー慣用句・格言・戯れ言葉/千々和久幸

花和尚独語ー寒椿/大下一真

 

■評論21世紀の視座

時代の危機に向き合う無感な命  歌/平山良明

 

 

[特集]80代を詠む

 

◉作品五首+エッセイ

あがろーざ/大竹蓉子

雲と手足/疋田和男

薔薇酒充たして/永平綠

逃げよ、その騎馬/米田憲三

雪待月/中村キネ

残生茫々/田野 陽

ペペロンチーノ/石橋妙子

問題/水野昌雄

老ゆる/市川敦子

学ぶ気でいる/山野吾郎

なぞる/森 豊子

水底の月/堀井美鶴

むらの世話役/佐藤和夫

ダリ展/朝井恭子

くちびると舌/前田えみ子

一大事/梶原房恵

亡き夫の声/加藤ミユキ

 

◉作品十一首+エッセイ

遊びもならず/百々登美子

晩期高齢者われ/杜澤光一郎

光 茫/松永智子

死のかげの谷/仲 宗角

花かたばみ/大塚布見子

生の証を/武田弘之

廻り道/荻本清子

月下に語れば/影山美智子

 

◉作品五首+エッセイ

昔の街道/木島 泉

歳月/菊川啓子

妻を/川口城司

太陽は輝る/星野 京

口角を上げて/渡辺和子

傘寿の旅 みちのく/川崎百合枝

雲の橋/内田いく子

昨日の続きに/飯島智恵子

オイスターズ/大森英子

けふは嵐山/黒田雅世

レクダンス/杉田伸江

生命尊し/上江洲慶子

 

◉作品十一首+エッセイ

至福の時間/松坂 弘

知らぬ間に/小野雅子

金木犀/島崎榮一

合言葉/比嘉美智子

黄の星掲ぐ/村松清風

月明り/水本 光

色は空へ/前川多美江

八十歳の日常/大平修身

 

◉作品五首+エッセイ

奈良公園/藤川弘子

鏡 像/依田 昇

巻き戻せない/山田悦子

おのづから/横山代枝乃

TPP前後/朝倉 賢

茜 雲/片山 紫

片足のバッタ/吉内尚彦

昭和二十年の手紙/長谷川静枝

棒立ちとなる/大岩洋子

信綱さま/松井久雄

学童疎開/下村百合江

 

■連載ー浪々残夢録 アララギの源流/持田鋼一郎 

■連載ー時言・茫漠山日誌より 夢のあとさき/福島泰樹

■連載ーメロディアの笛Ⅱ 白秋の昭和/渡英子

■連載ー編集者の短歌史 前登志夫さんに翻弄されて/及川隆彦

■今月の視点 地震がもたらした副産物/清田由井子

■連載 歌誌漂流/鈴木竹志

■連載ー若い短歌作者へ 茂吉からの手紙 永井ふさ子への作歌助言/秋葉四郎

◉今月の新人ー作品5首 鉄筋コンクリートの本棚/亀山真実

 

■新刊歌集歌書評

岡井隆著『森鷗外の『沙羅の木』を読む日』/丸井重孝

奥村晃作歌集『ビビッと動く』/藤島秀憲

河野裕子歌集『あなた』/恒成美代子

小島ゆかり歌集『馬上』/大島史洋

温井松代歌集『白礁』/柴田典昭

櫟原 聰著『一語一会』/松村正直

梅内美華子歌集『真珠層』/外塚 喬

結城千賀子歌集『蜻蛉文』/鶴岡美代子

浦部晶夫歌集『医の歌』/内藤 明

重田美代子歌集『みこもかる』/伝田幸子

菅原恵子歌集『生』/久我田鶴子

落合 瞳歌集『鎌倉は春』/山本登志枝

上林節江歌集『絆』/菅原恵子

 

 

■作品月評ー十一月号より/村島典子

■評論月評/田中教子

■全国〝往来〟情報 

■編集後記 

 

表紙画/高橋千尋

 

本文カット/浅川 洋

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森みずえ歌集『水辺のこゑ』

娘を乗せて電車曲がりてゆきしあと駅のさくらのしんと匂へる

生まれたる水辺のほかをまだ知らず水とりのひな母に従きゆく

ひしめきて稚魚のぼりくる朝の潟はなのやうなる海月も混じる

雪やなぎ白たわわなるその下に二人子睦みゐたる日のあり

森の上にひとたび浮いてゆつくりと水に降りゆくしらさぎの脚 

 

鳥の声、虫の声、風に揺れる木々の声。

みんな純真な嬰児(みどりご)のように思えてくる日。

誰かがどこからか私にそっとささやきかけてくる。

 

もう、急がずに衒わずに

歌を詠めばいいのだよ。

 

四六版上製カバー装 2500円・税別

  

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松岡秀明歌集『病室のマトリョーシカ』

ホスピスへの入院希望を書く紙に誰の意志かを(ただ)す欄あり

それぞれの(せい)へひとみな帰りゆく追悼試合終はり日暮れて

わが横でメス動かせる相棒は裁縫上手な大阪女

嬰児(みどりご)の碧の眼濡れてあれば海原の始めここにありと見ゆ

森といふ器に母は寝転びて父なるわれは子を空に抱く

踊り手でありし男の病室にオディロン・ルドンの花咲きほこる

マトリョーシカ分かちてつひに現はるるうろをもたないさき人形

 

この歌集の著者は、精神科医であり、ホスピスの医師でもある。医師という仕事は、人間の死を、死んでゆく人によりそうようにしてごく近くで見る機会もあれば、鳥の視点のように広い大きな視野で冷静にながめうる機会もある。この歌集には多くの人間の死がうたわれていて、読者は、死を、当然のことながら生についても、独特の遠近法でうたわれた歌にであうことができる。          佐佐木幸綱

 

A5版上製カバー装 2600円・税別

 

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国吉茂子歌集『あやめもわかぬ』

夕暮れてあやめもわかぬ感情のこんなさびしさ夫長く病む

眼つむれば理想郷(ニライ)の風の頰を撫づ海に抱かれ母に抱かれ

思ひ出はユングフラウの氷河にも小鳥ゐしこと君がゐしこと

戦争も生中継さるる世となりてあぐらをかいて死と向き合へり

墓前にて行ふ御清明(ウシーミー)明るくて島の桜は疾うに葉ざくら

 

断念のかたちとは、

心からの祈りのかたち。

まぶしい南国の太陽、

マンゴーの木をのぼる樹液。

沖縄ニライの風が歌を呼ぶ。

海が歌う、島も歌う、もろともに!

 

現代女性歌人叢書⑮  2500円・税別   

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短歌往来2016年12月号

◉巻頭作品21首    
水のある風景/都築直子

    

◉特別作品33首    

パンダは白に黒が混じれり/奥村晃作
流れ/ 三井ゆき

    

一ページエッセイ    
落書帖(最終回)ー赤とんぼの歌/大島史洋 
酔風船ーゆっくり急ごう/千々和久幸 
花和尚独語ーさざんくわ/大下一真 

    

■評論 世紀の視座
「聽診器もて父われは聽く」/田中綾

    

[特集]題詠による詩歌句の試み 生老病死    

    

枯葦抄/財部鳥子
まだ生きてたのかい/島田修三
影/宇多喜代子
建武の中興/荒川洋治
沈黙の川/俵万智
真夜/片山由美子
美しい死/正津 勉
爽やかに泣く/石井辰彦
苦楽のこちら側/夏石番矢
祝日/蜂飼耳
外線の声/高島裕
この道へ/大高翔
地上一寸をゆらめく/竹田朔歩
長夜/尾﨑朗子 
小火/閒村俊一  

    

◉作品十三首    
海辺一首また一首/小見山 輝
八雲と韓流タウン/畑 彩子
祖国を愛す/安森敏隆
フェスティバル/おの・こまち
米が好き/下村光男
ジャワ・ジャカルタ行/南 輝子
つるうめもどき/福原美江
九月のポスト/後藤恵市
場外の脳/玉井綾子

    

◉作品八首    
再びの秋/藤本喜久恵
雑 踏/井谷まさみち
橋を落とす/鈴木陽美
大絶減 /陣内直樹

    

リオオリンピック  /長谷川紫穂
リルケ殺せば /泉谷虚舟
かやぶきの里 /芝淵田鶴子
この習性を /岡部修平
雲上への旅/筑波笙子
生きをればなり/椎木英輔
胸裡の花/川上三郎 

    

■歌人回想録ー水町京子    
小歴/間ルリ編
水町京子のうた50首抄/間ルリ選
あかるき憂い/佐久間裕子    

    

追悼ー大滝貞一    
奮迅の歳月/竹安隆代

    

追悼ー津川洋三    
北陸の風土とともに/橋本忠
■連載ー百人一首の歌人たち(最終回)    
淡路島通ふ千鳥/久保田淳
121753655■連載ー浪々残夢録    
戦中の歌人の死/持田鋼一郎
■連載ー時言・茫漠山日誌より    
エロスの日蓮/福島泰樹
■連載
メロディアの笛Ⅱ 白秋の昭和/渡英子
■連載ー短歌の近代(最終回)    
伊藤左千夫と日露戦争/島内景二
■連載ー編集者の短歌史 
異色作家集の企画/及川隆彦
  
■今月の視点    
三十一文字に込められた先人たちの歌/田中章義
■連載  
歌誌漂流/鈴木竹志

    

■新刊歌集歌書評    
久保田淳著『鏡花水月抄』/水原紫苑
岡井隆著『詩の点滅』/佐藤通雅
花山多佳子歌集『晴れ・風あり』/齋藤芳生
吉川宏志歌集『鳥の見しもの』/川野里子 
大下一真著『鎌倉山中小庵日記』/阿木津英
松川洋子著『女神と星雲』/川本千栄   
金子貞雄歌集『はにほへと』/丹波真人
高崎淳子歌集『難波津』/中川佐和子 
鳥山順子歌集『クロスロード』/三井 修
那須愛子歌集『希求はるか』/西勝洋一
小寺豊子歌集『水鳥のごとく』/喜多弘樹
◉今月の新人ー作品5首     
連想/安里琉太 
■作品月評ー十月号より/村島典子
■評論月評/田中教子   
■全国〝往来〟情報  
■編集後記 
表紙画/高橋千尋    
本文カット/浅川 洋
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寒野紗也歌集『雲に臥す』

岩の上に姿を晒し飛び跳ねる若鮎のまま水に戻らず

野をめぐり雲に起き臥す「花月」舞う姑在りし日の夏能舞台

神棚の水替え供花の茎を切る務めねば消ゆきのうのすべて

ひとりずつ春の野原に発たせては降り出す雨に顔をむけたり

筆描きの古代絵地図の遥ばろと海と陸とは移ろいにけり

 

かがり火が揺れる。

光に照らし出される白足袋の白。

なつかしい人々への思いを抱きながら、

幽冥界の境へと歩み出て

たおやかに歌を舞う!

 

現代女性歌人叢書 2500円・税別   

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松村正直著『樺太を訪れた歌人たち』

 

「なぜ、樺太か」という問いに対する明確な答えはまだ見つからない。しかし、サハリンを訪れてみて一つだけ感じたことがある。

それは「鎮魂」ということだ。鎮魂と言っても亡くなった方々への追悼という意味だけではない。戦前の樺太に暮らし、樺太という土地に様々な夢を描いた人々の思いは、敗戦によって断ち切られてしまった。

それらを何らかの形で受け止めて、鎮めることが必要なのではないかと感じたのである。(あとがきより)

 

【目次より】

北見志保子とオタスの社

松村英一と国境線

北原白秋・吉植庄亮と海豹島

橋本徳壽と冬の樺太

生田花世と木材パルプ

石槫千亦と帝国水難救済会

出口王仁三郎と山火事

土岐善麿と樺太文化

下村海南と恵須取

斎藤茂吉と養狐場

 

四六版上製カバー装 2500円・税別

 

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菅原恵子歌集『生』

つくばいのめぐりに笹の風()れて空蝉の眼にも映るささのかぜ

大根を抜きたる穴に雪積もりやがて真白き雪原生まる

針山に待ち針錆びぬ母逝きて時の流れの速さかなしむ

雉のこえ鋭く鳴ける山里に仮りの世を生く少し先まで

はつあきの水と水との触れ合いのかかる幽かな思いを忘る

 

みちのくに棲み、鳥や花や空や雪と交感する日々。

そして・一一の大震災。

激しいこころの揺らぎ、葛藤、失意。だが・・・・・・

畢竟、歌を詠み続けるとは自らの生の証!

 

現代女性歌人叢書⑭  2500円・税別   

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赤木芳枝歌集『シドニーの空』

大陸の虹をくぐりて飛行機は母国の空へ去りゆくらしも

葉の色に同化せし虫ちらほらと朝光に見るキャベツの畑

豪州へエアメール給ひし師の文は歌に始まり歌に終はりき

三日月がふくらみ月になるといふ孫と豆腐を買ひに行く道

ここまでの水位も何ぞ生き生きと里芋の葉の緑がそよぐ

 

睡蓮の巻き葉くるくるあやつるは鮒か泥鰌か傘置きて見る

 

 

日本から遠く離れた大陸での日常を詠むことから始まり、日本に戻ってからも長くその国を想いつづけていることに深い味わいがあるといっていい。

晋樹隆彦・跋より

 

四六版上製カバー装 2500円・税別 

 

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川守田ヱン歌集『冬木のオブジェ』

戦ふは人に向かふにあらずして挑むごと雪を力込め搔く

吾の巡り和子勝雄の名の多し戦火くぐりし父母らの願ひ

天を射し辛夷のつぼみ鎮魂のらふそくの灯をともし静けき

自らは光り得ぬ月冴え冴えと光りて十夜法要近し

風雪の四日つづきて茜さす夕べオブジェとなりたる冬木

 

基地の街三沢での独居の日々。

雪に閉じ込められた視界の向こうから

みちのくの春を呼び寄せるように歌を詠む。

「終戦戦後のこと」と題した手記が歌と響き合う。

それは南部びとの強靭でしなやかな意志の輝きだ。

 

四六版上製カバー装 2500円・税別

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短歌往来20106年11月号

◉巻頭作品21首
風向き/香川ヒサ
◉特別作品33首
石は石なり/恒成美代子
秤持つべき/ 大野道夫
一ページエッセイ
落書帖ー古本の話/大島史洋
酔風船ー無為というニヒリズム/千々和久幸 
花和尚独語ー紅葉が谷の紅葉/大下一真
[特集]飲食と居酒屋
■評論  
酒は天の美禄/加藤英彦
■作品十首+エッセイ
思ひ出のごとし/島田修三
侘助/梛野かおる
バラックの飲み屋/福田龍生
若草の色/三井 修
美舟/光本恵子
夢咲かす/岩崎聰之介
光日和/東直子
やきとん四文屋/大松達知
千九拾八分の一食・一献/藤室苑子
酒も悲哀も/佐佐木定綱
じゅうぼう/三原由起子
 ◉作品七首
祥月に/小林峯夫
風雅巻き/村山美恵子
新秋の湖/小西久二郎
人生の航路/鈴木千代乃
暑気払ひ/御供平佶
秋の塩/佐波洋子
あの面この面に/安藤直彦
湖畔 追想/森 淑子
青鷺二羽/大橋栄一
女川の鳴り砂/内野光子
北海道新幹線/宇都宮とよ
◉作品十三首
ガリレオの素描/松本典子
夏/古屋 清
夕映え/青木陽子
蟋蟀の影のうすさに/桝屋善成
西瓜を抱ふ/三輪良子
風の限り/城俊行
白日夢/南條暁美
◉作品八首
夏の日々/坂本朝子
悲しみは真っ赫なリボン/飛髙敬
積乱雲/武藤敏春
合歓の咲く里 /前田芳子
マイブーム /米山髙仁
ふるさとの花 /島 晃子
折 鶴 /池田美恵子
結束バンド(二)/柏原宗一
琴/乾 醇子
アンダンテの歩み/飛鳥游美
二百十日/池田裕美子
逃げ水/野々村學
追悼
永平利夫氏の逝去を悼む/波汐國芳
◉シリーズ歌人回想録 川島喜代詩
小歴/山中律雄 編
川島喜代詩のうた 首抄/塚本瑠子選
「上品なこころ」/山中律雄
■連載ー百人一首の歌人たち させもが露を命にて/久保田淳
■連載ー浪々残夢録
ある浪漫主義者の生と死/持田鋼一郎
■連載ー時言・茫漠山日誌より
杉よ! 眼の男よ!/福島泰樹
■連載
メロディアの笛Ⅱ 白秋の昭和/渡英子
■連載ー短歌の近代
島木赤彦『切火』と近代文語/島内景二
■連載ー編集者の短歌史
結婚七年目の会/及川隆彦
■今月の視点
「じっくり」と「たくさん」/遠藤由季
■連載
歌誌漂流/鈴木竹志
■新刊歌集歌書評
馬場あき子著『寂しさが歌の源だから』/栗木京子
石井辰彦歌集『逸げて來る羔羊』/佐藤紘彰
小紋 潤歌集『蜜の大地』/吉川宏志
岡嶋憲治著『評伝春日井建』/彦坂美喜子
時田則雄著『陽を翔るトラクター』/酒井佐忠
大井 学歌集『サンクチュアリ』/長谷川と茂古
今井正和著『無明からの礫』/柴田典昭
玉井綾子歌集『発酵』/大森静佳
古谷 円歌集『百の手』/長澤ちづ
福原美江歌集『夕雨の盆/上村典子
逸見悦子歌集『野あざみ』/押切寛子
田土才惠歌集『風のことづて』/來田康男
赤松佳惠子歌集『いとほしき命』/平林静代
◉今月の新人ー作品5首 
休み明けのハイヒール/加藤みづ紀
■作品月評ー九月号より/村島典子
■評論月評/田中教子
■全国〝往来〟情報
■編集後記
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平松里枝歌集『ぶどうの花』

清明の庭を色どる紅しだれ母も見ませよ満開の花

ほろほろと柿の花ちる細き道むかしも今も畑へとつづく

流れゆく桃の花びら目に追いて一人たのしみ花摘むしばし

雪晴れの美和神社(みわ)の杜見ゆああ今日は上野久雄の誕生日なり

朝まだき畑に見ゆるは幻か 弟が葡萄棚(たな)の雪を払いいる

咲きさかるぶどうの花粉吸うごとし近く引きよせ房づくりする

 

葡萄の花が匂う。葡萄棚を風が吹きすぎていく。

長年、ともに葡萄や桃を育ててきた弟への挽歌。そして、先師・上野久雄への追慕。

甘い果実のたわわな実りとともに、清明な歌のしらべも豊かに熟成していく。

 

四六版上製カバー装 2500円・税別

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落合瞳歌集『鎌倉は春』

遠住める子らに送らん絵葉書の末尾にしるす鎌倉は春

 海も空も絵本の中に見たような青に染まりし岬を巡る

初出勤の若きら溢るる駅頭に春全開の気は漲りぬ

雲連れて西から東に行く風を横切りて人は釈迦堂目指す

客待ちの人力車夫の影法師リズムとりおり鳥居見上げて

ただの主婦ただの嫁ただの母なりきただのわたしに悔い少し持ち

小さき頭もむっちり柔き手も足も降りつぐ五月雨のほの明かき中

 

平穏な日日が事もなく流れていく。それでいい。そのままがいい。深呼吸を繰り返すように、生の時間の(あぜ)にたたずみ、そっと掬いあげてきたものたち。それを歌と呼ぼう。歌に私を、私を取り巻くすべてを精一杯語らせよう。

 

 

 

四六版上製カバー装 2500円・税別

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上林節江歌集『絆』

阿武隈の土手に黄の花咲く頃かほのかに辛き春の菜摘まん

スイスにて出産するとの娘の覚悟いかに支えん母なるわれは

記念の木なれども伐ると諦めることから始まる哀しみのあり

ぽつぽつと漢詩や短歌もちりばめて泣き言いわぬこころが光る

今もまだ長屋門の前に立ち母が待つような小春日の空

 

北国の風土に根ざしつつ、そこに生きるすべてのものを慈しむこころ。どんな辛さの中にあっても周りのものを思いやる上林さんの歌には、やわらかな明るさがある。泣き言を言わなかった母の姿そのままに。        

久我 田鶴子    

 

A5版上製カバー装 2800円・税別

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櫟原聰評論集『一期一会』

現代短歌を俯瞰しつつ、古歌の宇宙へと飛翔する自在さ。

文法から口語短歌を明快に分析するあらたな着眼点のたしかさ。

前登志夫門下の歌人が物静かに綴る

さらなる熟成へと向かう論と考察の展開!

  

・主な内容

前登志夫の歌と思想

存在の(すみ)()

『前登志夫全歌集』に寄せて

『樹下集』の頃

「私」論の地平

奈良の歌

ほととぎすの歌

古歌の歌人たち

 

四六版並製 2500円・税別

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重田美代子歌集『みこもかる』

「信濃の国は十州に」蓄音機の回転速めきひとり遊びに

浅間嶺の煙ひだりにたなびけば祖母言ひましき「(いくさ)始まる」

イスラムの地に踏み出せば(まな)(さき)に自動小銃向けられてをり

貧困とは無関心なりとマザー・テレサ 住所持たざる若者がゆく

ビルの間を浮遊するごと「ゆりかもめ」底は海とも(くが)とも知れず

 

鯉さばく腕を受け継ぐ祖父の言ふ肝はつぶしてならぬが鉄則

 

紛れもなく著者の歌の原点は故郷である。

〝ふるさと恋ひ〟の心情はどの歌にも微かな揺曳をみせ、作者自身である作品を形成している。

温井松代・序より

  

四六版上製カバー装 2500円・税別

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短歌往来2016年10月号

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小黒世茂著『記紀に游ぶ』

記紀歌謡−草木がものを言い、

人と神とが渾然一体としてあった時代。

古代人のこころに寄り添い、

ともに呻き、哄笑し、歌う。

悠久の神話の山河を渉猟する

一人の歌びとに導かれながら。

 

伝承と民俗のはるかな木魂を聴く。

現代と古代とを往還する稀有なる歌の語り部!

 

 目次より

1 須佐之男命 たたら 刀匠 櫛 蚕 粟 竹

2 神武天皇 三輪山 ゆり祭り 美々津 丹敷戸畔 木炭 鯨

3 隼人 鯛 隼人舞神事 隼人と放生会 人形まわし 太安萬侶墓と木炭

4 山の神 焼畑 遊行のひと 山の神 猪 水銀 鬼 桜 富士山

5 神代 酒 勾玉 婚 遊 紅梅染 梅 鰻 柿

6 御代 海女 橘 鮎 琴 地震について 椿 相撲 藻塩

7 祭 花の窟 水の祭祀 蛸舞式神事 亀卜とサンゾーロー祭 水の精 赤米

 

四六版上製カバー装 2500円・税別

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高崎淳子歌集『難波津』

ゲーテ登り茂吉も登りまだらゆきリギの裏山眺めて過ぎる

生は死をそそりムリーニ渓谷にレモン輝き海は誘ふも

国語教師三十六年に魯迅ありヘッセもありて友のごとしも

夏木原松陰の詩にまむかへばさつきつつじがほのかに残る

難波津に百舌鳥の耳原尋ねたり松は緑のときはなる花

 

教師生活を終えた横浜への惜別。

文豪、画工に出会う海外への旅。

研ぎ澄まされた知性と感性の閃き。

 

咲くやこの花――

そう口ずさみつつ人を、歴史を、

風景を、そして世界を凝視する。

 

四六版上製カバー装 二五〇〇円・税別

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