澤村孝夫歌集『山峡』

昔から山の中野代名詞と言われた僻地の自然を友とし、

過酷な洗礼を受けつつ楢山に落葉を攫い、稲や麦や蕎麦を作り、秋の田に十段もの高い稲架を組み、牛を飼い、杉や桧の枝打ちをし、猪と共存する生活の中から生まれた厳しくも美しい歌集。

 

蜩のひとつ啼きしが忽ちにひろがりゆきて峡明けんとす

弧を描き鳶は舞いいん声のみに足りて山深く桧枝打つ

山始めの神事を見んと従ききたる幼一様に顔を正せり
十段の稲架いつまでを結い得るや太き組み木を解きつつ思う

朝々をきりり締めゆく亡き妻の縫い置きくれし細き山帯

 

A5版上製カバー装 2600円・税別

 


篠田和香子歌集『雪の記憶』

その中に苦悶を溜めてゐるごとき鈍き音させ今し雪落つ

なまはげの面を付けたる瞬間に若者ふつと大きくなりぬ

目を伏せる花嫁の切手に消印は触るるごとくに押されてゐたり

江戸切子の青きグラスにさをさをと注げば酒の自づから冷ゆ

しなやかな腰に継ぎ足す竿竹の大きく撓ひて夜が明るし

 

秋田県大曲に生まれ育った篠田和香子さんに雪の歌が多いのは当然であろう。本書のタイトルも「雪の記憶」である。

雪の夜に生まれしゆゑの記憶ならむ遥かに聴こゆ雪の降る音

歌われているように雪の夜に生まれ、そのことを自分の原体験として大切にしている。

伊藤一彦・跋より

 

四六版上製カバー装 2600円・税別


鈴木直子歌集『流れる雲』

どっこいしょと立ち上がる私よいしょと腰かける夫老いづく二人

 

晴れの日も雨の日も風の日も、いつも傍にいて共に歌を作り、病む日はその全てを支え合う。安らかならざる老いを肯い、〈どっこいしょ〉〈よいしょ〉と声を揃える、この究極の愛の姿は、『流れる雲』に溢れる愛と祈りそのものである。

佐藤孝子・序より

 

 

かなしきほどに小さき衣の干されけり一つの命()れしこの家

姑のしがらみより抜けねばと紅うすく引きて(あした)の庭を清むる

古稀過ぎて着けたる義肢は重くして幼のごとき歩みになりぬ

桃の花ふくらみくれば恋しさのつのる故郷はここよりも北

風花とうやさしき名を持つ老人の憩えるそのにわれも安らう

 

A5版上製カバー装 2600円・税別


鈴木和雄歌集『婆娑羅一代』

京の雅でも陸奥(みちのく)の素朴でも無い坂東の鄙びた歌を詠む心定まる

グループホームの往診で義歯を預かり直してまた届ける朝と昼の間に

生老病死の四文字に振り回される人生もとどのつまりは骨壺ひとつ

送り盆を済ませてホッとする夕べ 八月十五日は人生の原点

一番幸せだったのは戦争のなかった幼年時代と老々介護の今

何よりもこの一巻には作者の雄々しい人生哲学という心棒が貫かれています。どの一首にもユーモアと俳諧味に支えられた未来志向の生活術とクールな自己批判のまなざしがいきいきと光り輝いています。

黒田杏子・序より

A5版上製カバー装 2700円・税別


菅原恵子歌集『生』

つくばいのめぐりに笹の風()れて空蝉の眼にも映るささのかぜ

大根を抜きたる穴に雪積もりやがて真白き雪原生まる

針山に待ち針錆びぬ母逝きて時の流れの速さかなしむ

雉のこえ鋭く鳴ける山里に仮りの世を生く少し先まで

はつあきの水と水との触れ合いのかかる幽かな思いを忘る

 

みちのくに棲み、鳥や花や空や雪と交感する日々。

そして・一一の大震災。

激しいこころの揺らぎ、葛藤、失意。だが・・・・・・

畢竟、歌を詠み続けるとは自らの生の証!

 

現代女性歌人叢書⑭  2500円・税別   

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重田美代子歌集『みこもかる』

「信濃の国は十州に」蓄音機の回転速めきひとり遊びに

浅間嶺の煙ひだりにたなびけば祖母言ひましき「(いくさ)始まる」

イスラムの地に踏み出せば(まな)(さき)に自動小銃向けられてをり

貧困とは無関心なりとマザー・テレサ 住所持たざる若者がゆく

ビルの間を浮遊するごと「ゆりかもめ」底は海とも(くが)とも知れず

 

鯉さばく腕を受け継ぐ祖父の言ふ肝はつぶしてならぬが鉄則

 

紛れもなく著者の歌の原点は故郷である。

〝ふるさと恋ひ〟の心情はどの歌にも微かな揺曳をみせ、作者自身である作品を形成している。

温井松代・序より

  

四六版上製カバー装 2500円・税別

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鈴木香代子歌集『青衣の山神』

おうおうと月に物言う子を背負い銀の霜ふるバス停にたつ

ざりガニのもにょもにょ鋏ふりあげて新三年生なり四月の教室

ほとばしる水の野性を汲みあげて樹はしずかなり豊かに笑う

われを打つ子の()に一点悲のひかり慄然としてその悲を瞠る

海神(わたつみ)にむけて信遠古道あり昏きみどりをくぐりてゆかな

生まれきし者のさみしさ聞こえきて聴き始めたり通奏低音

青衣また雪衣まとえる山神(やまつみ)に花かかげつつ人は舞うなり

 

 

 「がるるる」と鳴く蛙、「ふさふさ」と牧場に眠る子馬、「がつがつと」とやってくる寒気、「きーんきーん」と冬星を研ぐ信濃の鬼……。私たち現代人が感得できなくなってしまった気配、聞こえない音、見えない動き等々を、オノマトペの向こうにすらりと浮かびあがらせる。青衣の山神の土地・伊那谷に生きて、我が子をうたい、山神の四季をうたい、教え子たちを豊かにうたう一冊。

 

                      佐佐木幸綱

 

 

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佐藤恵子歌集『山麓の家』

氷雨降りいよよ冷え込む列島の四国最中のここに暮らすも

あかままの花の咲く道 遠き日のをさなきわたしが蹲る道

かうかうと今宵満月 母となる阿修羅の叫び 生まれむとする

名月に惚れてしまひしこほろぎか髭を担ぎてひと夜なきける

けぶり立つ山ふところに夢のごとさくら咲かせて山あひの村

 

平凡な日常を輝かせる歌がある。いのちの喜びを素直に祝福する歌がある。透徹した観察眼と、やわらかな批評力を裡にこもらせて。

 

あるがままの生を、四国の山懐に響かせる温かな歌のしらべ!

 

四六版上製カバー装 2500円・税別

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澤田美智子歌集『姑ひまわり』

ストーブの上に丸餅膨らみてあっちもこっちもいざこざ多し

半月のほの赤き翳みゆる空私の暗き部分見えくる

秋陽受け涅槃ぼとけの肩の上手足のばして猫も寝ている

姑を容れて夫と私三人の歯車今日もゆっくり廻る

閘門の重き鉄扉は水を制し木曽と長良の舟を渡しぬ


人生経験豊かな百一歳のお姑さんを著者は「はは」と呼び世話をして人生の在りようを日常的に教わっている。姑の最も好きな花はひまわりだという。著者も又姑を太陽とするひまわりでもあろう。

日比野義弘 帯文より


四六版上製カバー装 2500円・税別

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菅野初枝 本保きよ歌集『立葵の咲く日々』

洩れ出でて地上を照らす灯し火の一つだになき夜空の深さ

告ぐる日もなくて消えゆくおもひかと白くのこれる月に淋しむ

霜よけにかけしむしろも陽反りゆく今年はじめて咲く花の上

菅野初枝

 

〈ラ・セーヌ〉の濃きコーヒーよ わが裡に風荒れしまま秋深みゆく

板切れに父は〈七人無事〉と書き立ち退き先も焼け炭で書く

うから四人奪う戦と知らざりき十二月八日 今朝の空澄む

本保きよ

 

姉妹の二人歌集である。長い長い歳月と歴史を温めて世に出ることになったことをまず喜び、お祝いしたい。

中沢玉恵

 

四六版上製カバー装 2500円•税込

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鈴木みさ子歌集『花韮の白』

この世の外の世界あるらし満月の冴えわたる辺に我は住みたし

混凝土(コンクリート)の塀の隙より伸び来たりわが庭に割く花韮の白

月光の隙なく及ぶ冬木立過去世の誰ぞ近付き来るは

無造作にスーパーのカートに入れられてカサブランカの激しく揺るる

雲一つ無き朝空に黒く立つ林より蝉の声漏れはじむ


遠き物、遥かな視界へ関心の深い作者。満月を仰ぎながら亡き主人を思い浮かべた。西行なら枯れすすきの近くで月を愛でたに相違ないが、作者は場を選ばない。 

晋樹隆彦•跋より

四六版上製カバー装 2500円•税別

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椎名みずほ歌集『斎宮の風』



うつし世に斎宮の地に菜花ゆれ風に抱かれてわれはただよふ

秋楡に末葉(うれは)擦れあふ風の日はすこし癖ある足音憶ふ

たまゆらを浄土のひかり波に散り大阪湾をうつくしくする

根雨(ねう)といふさみしい駅を通過する神話の国にさしかかる頃

千切れゆく風景に似て悲しみも削がれてゆきぬ旅の途中は

 

斎宮は伊勢神宮に奉仕した未婚の内親王。一人身となった椎名さん

の心は、現代の斎宮となった椎名さんの心は、現代の斎宮となった

ように、風に抱かれて、まっすぐに前を向き、歩きはじめているの

だろう。道浦母都子 

 

四六版上製カバー装 2600円•税別

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佐々木寛子歌集『無糖の白』

来る日も来る日も遠い空からふってくる雪は真夏の夢にふりつぐ

初市に買いたる新車しろがねのトッポめんこいわたしの馬こ

山になり獅子になり弓になるヨガのポーズを終えて人間に戻る

胸の丈越えてふりつむこの雪を仏陀もイエスも踏みしことなし

フロマージュケーキのようになめらかな無糖の白が広がる雪野

いつかとは翅もつことば淡青の空は無数のいつかを仕舞う

 

雪が真夏の夢にふりつぐという下の句には驚いた。雪は一年中ふっているのだ。横手の人の心には。少なくとも佐々木さんの心には。雪は白。白鳥も白。雪の大変さを言いながら、白を愛しているのだ。

伊藤一彦•跋文より

 

四六版並製カバー装 2300円•税別

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佐々木邦雄『遠花火』

はしご酒臨界越えてワープせし

      宇宙の果ての止まり木にとまる

 

初期の作品と思われるが、宇宙的な孤独感をも纏っている。そのスケールの大きさには、驚嘆するばかりである。自在で詩精神の横溢した世界である。  光栄堯夫•跋文より

 

シーシュポスの呪縛断ち切りうら若きミューズの神と短歌に遊ぶ

閉ざされし「赤の広場」に雨しぶきわが青春のレーニンは杳く

ぬばたまの夢の続きか遠花火あがりてはまた音もなく消ゆ

わが裡に潜める鬼の持ちゐたるナルキッソスとふ冷たき刃

モウダメダともマダコレカラとも思ひつつ季(とき)にたゆたふ欅の古木

 

四六判上製カバー装 2400円•税別

 

 

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末本恵庸歌集『老翳』

夕陽背に「立入禁止」の柵に立つわが影はすでに柵を越えて

カーテンの波打つさまは音もなく寄せくる老いの翳りにも似て

いつの世もやがて一人となる二人寄り添い散りゆく花を見ており

日に幾度「あなた」と呼ばれ飽きもせぬ何杯も飲む煎茶のように

梅の木の枝低くして鼻先に香りほのかに春を呼びくる  

 

末本短歌は難しい言葉は一つも使われずに、読者に負担をかけず、誰が読んでもよく分かる歌ばかりである。しかし、一見単純なようで、深い味わいがあり、生の、そして老いの哀歓が翳りを伴って、深々と胸に沁み入ってくるのであるー光栄堯夫•跋より

四六版上製カバー装 2300円•税別

 

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昭和9年生れ歌人叢書4『まほろばいづこ 戦中•戦後の狭間を生きて』

こうした仲間をもてることは、私たちのこれからの生をより豊かに、温かくしてくれると思う。

戦後、奇跡のようにつづいた戦争のなかった時代にも、最近は変化が兆しはじめている。

そうした時点において、本会の意義は一層重要さを増している。各自の戦中•戦後の体験記であり、戦争の無い世界への熱い祈念である本書が、会員のみならずひろく一般にも読まれ、後の世代の平和に貢献できるよう、心から願っている。結城文•序より

 

軍歌からラブソングへ         朝井恭子  

少年のころ              綾部剛   

灯火管制               綾部光芳

鶏の声                板橋登美

ニイタカヤマノボレ          江頭洋子

戦の後に               大芝貫

語り部                河村郁子

昭和二十年八月十五日         國府田婦志子

戦中•戦後の国民学校生         島田暉

空                  椙山良作

確かなるもの             竹内和世

村人                 中村キネ

太平洋戦争ー戦中•戦後         花田恒久

氷頭                 林宏匡

記憶たぐりて             東野典子

少年の日の断想            日野正美

宝の命                平山良明

空に海に               藤井治

戦中戦後               三浦てるよ

椎葉村にて国民学校初等科の過程を卒う 水落博

夏白昼夢               山野吾郎

生きた時代              結城文

ひまの実               四元仰

 
並製冊子版 2000円•税別
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上遠野悌子 鈴木りえ歌集『相模野』

ゆけどゆけど会えぬ悲しみ露草の藍も小草も澄みゆく挽歌

ー過ぎゆき

 

ウィット、ユーモア、寓話性、ファンタジー。作者の比喩表現はいずれもモダンなエスプリに溢れている。作者はまことロマンのひとである。

 

 

ボルネオより復員なしし兵隊さん父と知らされ泣きし日の雨

ー歌の歩み

時代、社会、歴史のうねりと、私的家族生活とが重なる地点で歌われている。本書はいわば、そうした家族の戦中戦後史としての性格を持つ。

 

 

谷岡亜紀•解説より

四六判上製カバー装 1800円•税別

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島内美代歌集『風の十字路』

■日本歌人クラブ北関東ブロック優良歌集

 

わが家の風の十字路わが居場所避暑地気分に机を据

天空より八一のひらがな舞ふやうに春の雪ふる暮れなづむ里

金平糖ガラスの皿に転がしてひとりの夜の星座をつくる

 

出会いと別れの繰り返し、喜びの風、かなしみの風、無常の風。

それらがこもごもに交差し吹きすぎてゆく風の十字路。

そんな居場所を見つけた作者は、もう歌わずにはおれなくなる。

風のように透明で軽やかに、そして孤独に。

 

四六判上製カバー装 2625円•税込

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笹井水輪歌集『ふうせんかずら』

恩寵の七つひかりも十字架も負わず七十路ふうせんかずら

高原のここな小径の舗装され今年梅鉢草を見かけず

鼻寄せて猫がペン先嗅ぐからに吾も嗅ぎしがくぐわしからず

 

どの歌にもかならず見所がある。ともかく機敏俊敏、

才気煥発のきびきびとしたリズム感と、現実を見る

ほろ苦い視線とがないまざって、対象との距離が余

裕を生み出し、そこに軽い笑いが生まれ出るのである。

ーー阿木津英 跋より

 

46判上製カバー装 2730円•税込

 

 

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佐藤晶歌集『冬の秒針』

風すこし潤うころに思いおり安徳天皇女性説のこと

亡骸が緑の玉になるという漢詩読みおり吉野ゆうぐれ

木琴の音の澄みゆく秋がきてわれのさびしさコンと鳴らせり

ホームレス「ヨハネ」という名を与えられ葬られたり街の教会

自分ではないだれかのためにある世界コンビニスイーツ犬と分けあう

ハイデッガーの〈存在〉語るきみのシャツは栄螺の内蔵みたいなしましま


 

中世の物語や伝承から喚起された豊かな世界と、

今という時代に対する鋭い批評性。

それらが実は、ひりひりするような危機的な自意識で繋がっている。

 

 

四六判上製カバー装 2625円•税込

 

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三枝昂之著『百舌と文鎮』

短歌史における近代から現代の伝統を踏まえ、歌をめぐる日々折々、机上の旅人にあたたかい思いを馳せた体験的エッセイ集。

 

[主な内容]

啄木学会、その他

窪田空穂の思い出

凌寒荘と信綱

「昭和短歌の精神史」について

斎藤茂吉と藤沢周平

前衛短歌再検討

竹山広氏の死

河野裕子さんの死

私の三月十一日

 

 

四六版並製カバー装 定価2500円•税込

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佐藤貴美子歌集『藤の宴』

現世に縁の糸でむすばれて綾なる彩で織りたし家族

紫野しぶきをあげて走り去る藤の穂波よ何処にゆくか

君と並み紫けむる夜半の庭一千条の藤と語りぬ

七十五歳の終りも近し赤き靴履きて歩めば女童のごとし

 

藤の花房が風に揺れ靡くように

帰らぬ時間と帰らぬ大切な人。

あるいはまた、これからの未来を受け継ごうとする

若い家族やガールスカウトの少女らや友人知人達。

佐藤さんが歌に詠み込んだものは佐藤さんに愛される。

短歌にはそんな役割もあって、それはとっても重要なのだとあらてめて思い知らされる。

 川野里子 帯文

 

四六判上製カバー装 2625円•税込

 

 

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佐佐木幸綱歌集『ムーンウォーク』(再版)

=第63回読売文学賞受賞受賞!=


花束を受け取る人と渡す人いま交差する人生ふたつ

キャンパスに子ども 字が溶け言葉溶けて立つ看板の前に笑えり

しゃべりつつ言葉を選ぶ立ち止まりムーンウォークをする感じにて

 

おおらかに虚空を舞う現代短歌の翼。

切っ先の鋭い言葉の剣。

奔放にして自在なイメージ。

はらわたにしみる「人生」という旨酒。

 

四六版上製カバー装 2600円•税込

 

 

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三枝浩樹著『八木重吉 たましひのスケッチ』

=ながらみ書房出版賞最終候補作=

 

偶然、キリスト教会の庭先の掲示板に収められていた一編の詩に目が向いた。

その短い詩に呼び止められた。単純にして原初的で心に深くしみてくる詩。

八木重吉という希有なる詩魂と真摯に向き合い、主観的なはからいを越えたさざ波の音に耳を澄ませ、その清澄な世界を探求し続けた迫真の論考。

 

目次

  〈わたし〉の変容

  二人称の自然

  祈りの生まれる場所

  かなしみの受容力

  自我という執着

  パンテオスの詩

  ノスタルジアのゆくえ

  最後のカルタシス

  聴覚のめざめるとき

  没描写の功罪

  四行詩とは何か

  かなしみ•この透過してゆくもの

 

 

四六判並製カバー装幀 2000円•税込

 

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佐佐木幸綱歌集『ムーンウォーク』

=第63回読売文学賞受賞!!=

 

花束を受け取る人と渡す人いま交差する人生ふたつ

キャンパスに子ども 字が溶け言葉溶けて立つ看板の前に笑えり

しゃべりつつ言葉を選ぶ立ち止まりムーンウォークをする感じにて

 

おおらかに虚空を舞う現代短歌の翼。

切っ先の鋭い言葉の剣。

奔放にして自在なイメージ。

はらわたにしみる「人生」という旨酒。

 

四六版上製カバー装 2600円•税込

 

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佐佐木信綱全歌集(再版)

完売につき再版致しました。

 

新派歌人時代から充実期、熱海時代に至る佐佐木信綱全作品を収録!!

 

収録歌集

『思草』『遊清吟藻』『新月』『銀の鞭』『常盤木』『豊旗雲』『鶯』『椎の木』『瀬の音』『黎明』『山と水と』『秋の声』『老松』

A5版上製カバー装 五〇〇〇円•税込

 

 

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齊藤左知子歌集『帰雲』

いもうとを忘れてしまつた兄の空むかしの青いあさがほのあを

標高差四百メートル上下して風に冷えたる竜胆を見き

散る花と明日はひらかむふくらみと白骨のいろのつづく梅林

昼ふかく肉厚となる日のひかり世長人はうとうととせり

 

猫好きで有名な著者である。

猫以外でも小さな虫から獣たちまで、たくさんの動物たちが登場する。

見どころは、動物たちを素材にした何気ない叙景歌のような歌でも、

読者にふと人生を思わせるような歌が多い点である。——-佐佐木幸綱•序より

 

四六版上製カバー装 2625円•税込

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島晃子歌集『月光丘』

悲しみが新たになりて暗みゆく海の白波夜叉のごと立つ

飲みさしの夫の焼酎「百年の孤独」胃に沁む夜半の厨に

射して来る春陽に光る蒐集品いづれもはかな割れ易きもの

君は数十億年の愛を語り吾は白馬の王子失う

 

「六条御息所」は言うまでもなく『源氏物語』の一節である。

『源氏物語』の優れた文学性が読む者を引き込み、

歌わせる力となっていると思うが、背景に長年の研究があるから作品が強い。  鶴岡美代子•跋より

 

 

A5版上製カバー装 2730円•税込

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鈴木紀子歌集『万の指』

花冷えを素早く知れり瓶に残るバージン•オイルの白きくもりよ

きはまりて一気に散りたり羽二重の衣脱ぐごとし白き牡丹は

寂しさに堪へかねふたつ合はさりし形なるらむ黄は降り止まず

万の指天に昇れりひろしまの夏の電車に揺られていたり

 

作者の世界の多様さ、あるいは表現の技巧の多彩さに、

先ず目を惹かれるに違いない。いわば知の峰と情けの峰、

心と志の海のふたつを、あるときはまさぐりながら、また

あるときは眉を挙げて言葉にする。そこに、この歌集の

大きな魅力のひとつがある。 光田和伸 跋文より

 

A5版上製カバー装 2625円•税込

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関秀子歌集『落葉樹林』

冬の土素手にて掘れば思わざる程の羞しきぬくもりのあり

すれ違う前登志夫の車危うしと見送りしわれぞ急坂の道

 

落葉の山々。さびしくはない。空虚でもない。

その光景は豊穣にして豪奢な作者のこころの原風景なのだから。

雪•月•はなという三章立てで成る一巻。

ぐんぐんと美の異界へと分け入っていく意欲的な作家世界!

 

46版上製カバー装 2,625円•税込

 

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斎藤美江子歌集『銀の笛』

ひそ夜ひそかに銀の笛吹く少女子にさざめきを止む星も夜風も

はつ夏の緑まぶしきその奥にひと筋魚の涙を見たり

時経ればかなしみはとほく去りゆきて時は優しく人を起たしむ

 

出会いはよろこびとともにかなしみも孕む。

そう、世界をさまよう純なるたましいの悲傷の声。

先師 島田修二の詩ごころを歌い継いでゆく作者のまなざしはかぎりなく透明にしてもの憂い。

 

 

A5版上製 2730円税込

 

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