北川美江子歌集『スパイス・ノート』

定価:2,400円(税別)

判型:A5判並製カバー装

頁数:162頁

ISBN978-4-86629-235-9

第一歌集!

 

そもそもスパイスのプロだった。独自のレシピでお客さんを唸らせつづけたが、その陰には相棒というべき奥さんの絶大な協力があった。(中略)

詩人のセンス、文章力にも恵まれているから、何でも書いて残す気になるにちがいないだろう。人生を語るなんて気はないらしくて、世の中のひとつひおつの瞬間や事のなりゆき、目の前のもろもろが、おもしろくてならないのだと思う。奥さんが短歌と出会ってくれたことを心から喜びたい。

『スパイス・ノート』は、そんな奥さん、北川美江子さんのおもしろさが冴え冴えとみなぎっている一冊目の歌集である。(今野寿美ー跋文より)

 

 

 

黒き津波のことは知らずに東京の余震のおなかを眠るみどりご

 

こくこくと飲んでいた水昼寝するおさなごを洩れわたしを濡らす

 

三十五年のちの校舎に若き日のわれのしっぽを踏んづけている

 

さんざんだ、さんざんだよと雨が降りあたり一面金木犀散る

 

愛しさが食べたさになるてのひらで子豚まるごと油ぬるとき