島崎榮一歌集『小雅』

版型:A5版上製箱入り

頁数:176頁

定価:2,500円(税別)

ISBN978-4-86629-164-2

 

 

円熟の第14歌集!

A5版の箱入り、タイトルが空押し加工で、とても品のあるデザインです。

 

すべてはおのずから……そうつぶやく。

身めぐりの草や花や木々を、そして鳥たちを愛でる。

はや八十代に入ったこの老いの人生に、

さまざまな生の陰影や色彩を持ち来るものたちよ。

わたしの命とは朽ちた木の葉の一枚、寒がりの尺取虫だ。

 

 

風の日のかれあしむらの中心に石ありいしは馬頭観音

 

黒ぐろと内臓透きて蝌蚪およぐ朝の水田に手を清めたり

 

戦争の日の寂しさをつれてくる夕日の赤をけふは憎みぬ

 

葉おもてにのりて暫くゆれゐしがわが感情は夕べ波打つ

 

柿落葉つもれる上に風が来て家族だんらんのごときその声