「なぜ、樺太か」という問いに対する明確な答えはまだ見つからない。しかし、サハリンを訪れてみて一つだけ感じたことがある。
それは「鎮魂」ということだ。鎮魂と言っても亡くなった方々への追悼という意味だけではない。戦前の樺太に暮らし、樺太という土地に様々な夢を描いた人々の思いは、敗戦によって断ち切られてしまった。
それらを何らかの形で受け止めて、鎮めることが必要なのではないかと感じたのである。(あとがきより)
【目次より】
北見志保子とオタスの社
松村英一と国境線
北原白秋・吉植庄亮と海豹島
橋本徳壽と冬の樺太
生田花世と木材パルプ
石槫千亦と帝国水難救済会
出口王仁三郎と山火事
土岐善麿と樺太文化
下村海南と恵須取
斎藤茂吉と養狐場
四六版上製カバー装 2500円・税別