伊藤典子歌集『山のささやき』

定価:2,500円(税込)

判型:四六判上製カバー

頁数:194頁

ISBN978-4-86629-242-7

 

第二歌集!

 

家族ぐるみのお付き合いを頂いている伊藤榮一・典子夫妻から大切な歌稿を預かったが伝統ある「水甕」で磨かれた作品に何のお手伝いもせず当方が学ばせて頂いた。多くの方々のご清鑑と逝去されたご主人の供養になることを祈るばかりである。

<楠田立身 帯文>

 

 

 

山の端を離れむとする初ひかり長き稜線の茜極まる

 

残りたるパセリ数本キッチンに挿せば四月の草萌えの風

 

朝明けを真昼を夕を老鶯のさへづりに励まされて、夏

 

母が好きでわたしも好きな長十郎肩寄せ合ひて食べし日のあり

 

あの夏に夫と選びしパラソルのブルー褪せたり空に吸はれて

 

 


桂保子歌集『春は樹木語』

定価:2,500円(税抜)

判型:四六判上製カバー装

頁数:210頁

ISBN978-4-86629-243-4

深い緑の葉ですね名告つてくれないか春は樹木語わかる気がする

 

逃げ水を追いかけるように、この小宇宙を彷徨する一人。

わたしの声が聴こえるか?息遣いが伝わっているか?

さまざまな物象は、かなしみの相を見せながら明滅を続ける。

そう、逃げ水とは此の世から彼の世へとつながる命そのもの。

 

 

 

 

ちひさな林檎サイズの天秤ゆふかぜを載せて光れりちひさな皿が

 

みづいろの水族館に二時間を過ごせばさしみ身に鰭なきは

 

眠れずに棚より取り出す星座図の北斗の柄杓に水あり光る

 

縄文の人らも水辺に眺めしや恋螢ひとつまたひとつ飛ぶ

 

たれもみな過ぎてゆくひとたれもみな消えてゆくひと さくら葛湯を

 

 


短歌往来 2021年11月号

850円(税込・送料無料)

 

【特集】動物(ペット)を詠む

馬場あき子+佐佐木幸綱+高野公彦

 

◎巻頭作品

池田はるみ

 

◎特別作品

苅谷君代+清水あかね

 

◎評論シリーズ21世紀の視座

江畑實

 

◎自然を詠む・撮る・描く

梅原ひろみ

 

◎結社の顔

玲瓏

 

その他、作品、好評連載、書評など多数掲載しています。

 


短歌往来 2021年10月号

1冊850円(税込・送料無料)

 

【特集】秋風サンマ

秋葉四郎+森山晴美+時田則雄など

 

◎巻頭作品 

伊藤一彦

 

◎特別作品

花山多佳子+松平盟子

 

評論シリーズ21世紀の視座

内田かつひろ

 

◎自然を詠む・撮る描く/奥村晃作

 

◎結社の顔/かりん

 

その他、作品、好評連載、書評など掲載しています。

 


児島昌恵歌集『空の鈴』

定価:2,500円(税抜)

判型:四六判上製カバー装

頁数:184頁

ISBN978-4-86629-240-3

第一歌集!

 

にはとりも犬もうさぎも猫もゐてねずみ奔りき八人の家

 

雪の朝クアラルンプールの子へ向けてふはりふはりとメール打ちたり

 

大鷹が振る鈍いろの空の鈴 バードサンクチュアリの夜明けに

 

遠い昔の家族がうたわれていたり、外国に住む子の家族が登場したり、時間的にも空間的にも豊かな広がりが読めるのが、この歌集の大きな特色だろう。表現とは、つまり、いま自分が立つここの歴史や背景、深さや厚みをイメージする行いなのだということを、あらためて思い出させてくれる。

<佐佐木幸綱 帯文>

 

 

 

 

コーランの祷り流るる朝まだき私の知らない小鳥がうたふ

 

置き去りの心ふくらむ花の季裁縫箱をしづかに開く

 

母からの便り途絶えてまたの夏雑木林に針ゑんじゆ降る

 

月見草ゆふべの白はすでに紅けふは帰らむわたしの家へ

 

かたらちを初めて知つた通学路の坂にアンジェラスの鐘を聴きにき

 

 


大久保晴雄歌集『高日』

定価:2500円(税別)

頁数:186頁

判型:四六判上製

ISBN978-4-86629-229-8

 

気魄の第二歌集!

 

天日直射して、命の海をまばゆくする。

すべて清らかな湧水のように、地を浸し、こころを浸す。

穏やかにーー。

万象ことごとく、歌の梢を揺らせやまない。

 

 

月朧手を握るのか繋ぐのかあのひと時は青春なりき

 

身の奥に響を留め地下鉄は薄闇の穴残して行きぬ

 

ゆく河に棹をさしたし 然あれど黒く澱みて見通したたず

 

車窓より黄昏(たそがれ)ていく海見えて我の意識を過去へと運ぶ

 

清らかな水の源(みなもと)(きは)めたく瀬に沿へる道辿(たど)らむとせり

 

 


吉田惠子歌集『常磐線特急ひたち』

定価:2,500円(税別)

判型:四六判上製カバー装

頁数:206頁

ISBN978-4-86629239-7

 

第六歌集!

 

『透明な刻』から11年。東北大地震の余震は、ガラスの透明な立像をぎしぎしと鳴らし続けている。歌人が切り取った風景には、記憶のない生誕地・双葉町を始め、両親に関わる時代(とき)の流れが刻印されている。さらに過ごしてきた11年の透明な刻にも淡い色彩が射し込んできているように見える。

 

 

記憶なきわれの生まれし双葉町の野のタンポポは西洋種かも

 

思い出だけの遠き福島と思いおりにしっかり視よと近づいてくる

 

夜の峠越え行くバスの曲がるたび窓をはみ出す月を見ており

 

川ふたつ渡り野に咲く彼岸花さがしに行かんさねさし相模(さがむ)

 

河口まで北上したる阿武隈川 川幅広きをいま渡りゆく

 

常磐線特急ひたちの終点は品川なれば品川まで乗る

 


田中律子歌集『森羅』

定価:2500円(税別)

判型:四六判上製カバー装

頁数:202頁

ISBN978-4-86629-233-5

 

第三歌集!

 

田中律子の魅力は、歯に衣着せず、単刀直入に切り込んでくるところにあると、勝手に思ってきた。それは歌にもよくあらわれている。啖呵を切るといった短く鋭いフレーズが魅力の歌集でもあり、芯の強い女性を思わせる。しかし、

 

口かたく閉ぢたる貝が熱き湯に怺へつづけてゐる二、三分

 

と詠われる貝もまた、作者その人なのであろう。これほど人物像がくっきりと見える歌集も珍しく、またこれほど一人の存在そのものが心底寂しいと思わせる歌集も珍しいだろう。(永田和宏 帯文)

 

 

 

「なるほど」を二度言はれたら商談は成立しない ニューヨーク9時

 

深すぎる筥(はこ)だつたのだわたしには爪先だつて空ばかり見て

 

小径から裏道をぬけ白木蓮(はくれん)のあふれる路地に母みうしなふ

 

春生まれの私は春を病みながら すんすん芽吹くなづな、かたばみ

 

行きなさい 父のこゑするさたうきび畑をうねる風の洞(ほら)から

 

狗尾草(エノコロ)の穂絮がわれについてくる さみしいくらいがちやうどいい日だ

 

 

 

 

 

 


永田吉文歌集『実朝の風』

定価:2500円(税抜)

判型:四六判上製カバー装

頁数:220頁

ISBN978-4-86629-237-3

 

第三歌集!

 

鎌倉の駅前客を待つバスに

    さつと乗り来る実朝の風

 

旅人は風に歌う。

恋は花に紛れようとする。

太陽は月光を全身にあびながら。

何の衒いがあろうか。素の心のままに歌う。

 

 

 

身近なる小田急・横浜両線の町田駅わがうき世の要

 

夢二絵の和服姿の女性立つそこより入るは風韻の道

 

一本の傘を杖とし佇める歌の聖は何を詠はむ

 

まみどりの森にかこまれ緑なす水面をゆらす鳥々の声

 

陽の光気持ち良き日はわが身にも発散しゆく何ものかある

 

 

 

 


北川美江子歌集『スパイス・ノート』

定価:2,400円(税別)

判型:A5判並製カバー装

頁数:162頁

ISBN978-4-86629-235-9

第一歌集!

 

そもそもスパイスのプロだった。独自のレシピでお客さんを唸らせつづけたが、その陰には相棒というべき奥さんの絶大な協力があった。(中略)

詩人のセンス、文章力にも恵まれているから、何でも書いて残す気になるにちがいないだろう。人生を語るなんて気はないらしくて、世の中のひとつひおつの瞬間や事のなりゆき、目の前のもろもろが、おもしろくてならないのだと思う。奥さんが短歌と出会ってくれたことを心から喜びたい。

『スパイス・ノート』は、そんな奥さん、北川美江子さんのおもしろさが冴え冴えとみなぎっている一冊目の歌集である。(今野寿美ー跋文より)

 

 

 

黒き津波のことは知らずに東京の余震のおなかを眠るみどりご

 

こくこくと飲んでいた水昼寝するおさなごを洩れわたしを濡らす

 

三十五年のちの校舎に若き日のわれのしっぽを踏んづけている

 

さんざんだ、さんざんだよと雨が降りあたり一面金木犀散る

 

愛しさが食べたさになるてのひらで子豚まるごと油ぬるとき

 

 

 

 

 

 


「短歌往来」2021年9月号

850円(税込・送料無料)

 

【特集】

パンデミックの世の日常・非日常を詠む

三井修+南輝子+桜川冴子 など

 

◎巻頭作品

松村正直

 

◎特別作品

古谷智子+梅内美華子

 

◎評論シリーズ21世紀の視座

江畑實

 

◎自然を詠む・撮る・描く

青木陽子

 

◎結社の顔ー歩道

 

その他、好評連載、書評など盛りだくさんです。

 

 

 

 


伊澤昭子歌集『広重の雨』

定価:2,500円(税抜)

判型:四六判上製カバー

頁数:192頁

ISBN978-4-86629-236-6

 

第一歌集!

 

新アララギのニュー・ウェーブ

 

伊澤昭子さんの歌は、そもそも始めから活きいきとした新鮮な作品が多く、私の眼を引いた。短歌作品を造り出すのに必要な資質のよさが備わっている作者である。ここに言葉の海へ新たな才能が船出する事を祝福したい。

雁部貞夫「序にかえて」より

 

 

遠く散れ胸の湿りの重たさが霧になるなら風の日もよし

 

団子坂の緩きカーブに吾を抱き曽祖母歌いしかの子守歌

 

無意識に終のベッドに手の動く母は好みし茶の湯のしぐさ

 

眠いから一寸寝るよと父逝きぬ最期の最後は騙されました

 

午を過ぎ広重の雨地を打てり天より直下人を蹴散らす

 


短歌往来 2021年8月号

160頁 A5判並製 850円(税込)

【特集】世界の新型コロナを詠む

アメリカ、イギリス、フランス、アフリカ、台湾、カナダ、ブラジル、タイ、オーストラリア在住の方々による、作品十首とエッセイ。

渡辺幸一、青木泰子、美帆シボ、末安美保子、野口修二、三宅教子、イスタダ・アリーマン、ブラント弥生、中條喜美子、工藤貴響、鵜沢梢、野間和子、森上美恵子、小城小枝子

 

◇評論シリーズ21世紀の視座

石川不二子の農学の歌とその意義についてー森垣岳

 

◇作品7首

藤岡武雄、田宮朋子、藤原龍一郎、黒木三千代、西田政史、中根三枝子、遠山利子、片岡明、石田容子

 

◇作品13首

外塚喬、森川多佳子、鵜飼康東、田中拓也、中西敏子、久葉堯、塚田キヌエ、清水正人、石川幸雄

 

◇作品8首

内藤賢司、長岡弘子、佐藤夏子、柊明日香、安富康男、沢木奈津子、窪川美代子、原田治子、佐々木伸彦

 

◇新・自然を詠む・撮る・描く

鴨川きんぺん/服部崇

 

◇結社の顔

波濤ー中島やよひ

 

◇連載

島田修三、加藤治郎、田中教子、勝又浩、豊島秀範、水城春房、佐佐木朋子、三枝裕樹、恩田英明、持田綱一郎、福島泰樹、丹波真人

 

◇今月の視点

久々湊盈子

 

◇今月の新人

小島涼我

 

その他、書評、月評、全国の短歌イベント情報等


吉藤純子歌集『加賀てまり』

定価:2,750円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:198頁

ISBN978-4-86629-227-4

 

第一歌集。

 

糠床の胡瓜をあげて鯵を焼く

中くらいの幸せ良きかな

 

 

金沢を象徴するような美しい手毬を表題とする歌集『加賀てまり』。

これからもただ過ぎてゆくばかりに見える日常から、

詩のこころをもって歌うべきものを捉え歌い続けてゆくだろう。

坂本朝子「跋」より

 

 

 

転移なしの結果かみしめ絹針で桔梗模様の加賀てまり縫ふ

 

鏡台の底の園児の手のあとの肩もみ券は有効だらうか

 

看護師は純ちやん来たよと遺体撫づいく度吾を呼びゐし母か

 

雪解水でコーヒー入れよう夫婦の日しまひこみゐしペアカップにて

 

尾羽根もてピシャリと尾長は柿の枝と私の愚痴も払ひて去りぬ

 

 


上林節江歌集『花と濡れつつ』

定価:2,860円(税込)

判型:A5判上製カバー装

頁数:204頁

ISBN978-4-86629-225-0

 

第三歌集!

 

歌を詠む。詠み継ぐ日々。

 

それはすべての命を繋ぐ所作だ。

言葉は恩寵、こころは再生のために。

身辺の異界を手探りし、輝くたましいに問う。

 

 

 

寄る辺なく骨鳴るような寂しさは知らずに咲けよ径のべの花

 

見尽くしておらぬこの世の愛しさに光の樹林を往きつ戻りつ

 

傷を舐めひとり静かに治すとか 山の獣の心を思う

 

プラス志向と十回となえ立ち上がるわれの節分まだ間に合うか

 

思い出の静まりおれよ只いまは銀杏しぐれに打たれていたし

 

 

 


短歌往来 2021年7月号

160頁 A5判 850円(税込)

【特集】日本の地域を詠む(後編)

春日いづみ、中根誠、久我田鶴子、島崎榮一、木村雅子、御供平佶、古屋正作、柴田典昭、山村泰彦、高島裕、坂本朝子、清水春美、紺野万里、大塚寅彦、城俊行、小潟水脈、川本千栄、江戸雪、安藤直彦、中井龍彦、井谷まさみち、池本一郎、小寺三喜子、千家統子、檜垣美保子、上村典子、森山良太

 

◎巻頭作品ー永田和宏

◎特別作品ー大辻隆弘+糸川雅子

 

◎作品7首

山野吾郎、沢口芙美、菊池裕、高旨清美、後藤恵市、村島典子、足立晶子、依田仁美、福原美江

 

◎作品8首

梶原房恵、小田倉量平、長谷川紫穂、豊岡裕一郎、桐谷文子、上條素山、鷺沼あかね、田中翠友、髙木絢子、小林靄

 

◎連載

島田修三、加藤治郎、田中教子、勝又浩、豊島秀範、水城春房

 


山本枝里子歌集『無人駅』

定価:2,750円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:196頁

ISBN978-4-86629-213-7

 

汗ばめる首に冷感スカーフを巻いて佇む晴れ女なり

高速バスを待つてゐるまの解放感 雲の図鑑を鞄に入れる

かへる胸なければひとりきて立たむ無人駅こをわれにふさはし

 

海と山の美しい徳島の自然を背景に、社会を、身の回りの日常を、そして何より自分自身を、まっすぐに見、まっすぐに感じ、自在に思い、自在にうたう<われ>の歌集である。旅の歌が多く見られるのは、広く生き、多くを体験したいとのぞむ<われ>の歌集でもあることを示しているだろう。  佐佐木幸綱ー帯文ー

 

 

 

 

深呼吸してゐるやうに降る雨の音に目ざめて鳥の目をせり

 

たかく高く枝張る欅にふれてをりすきとほりゆく悲しみ一つ

 

色づいた順にしづかに離れゆき落ちてゆかない葉ののこる街

 

身の内に深き森あるいちにんの泉をくみにゆきたしわれは

 

白くきれいな指だつたひとその指に描かれ花となりゆきし絵具

 


鈴木恵子歌集『久遠の学舎』

定価:2,750円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:176頁

ISBN978-4-86629-221-2

第一歌集!

 

この生徒(こ)らと過ごしし日日(ひび)も人生(ひとよ)にて

裁断せずに記憶とせむか

 

評論集『平成データ短歌論』を著者にもつ歌人が、教師時代の三十年を振り返って詠んだ第一歌集である。実は、私もある時期まで教師を目指していたのだが、こんな<先生>になりたかったな、と心底思う。  ー帯文 黒岩剛仁ー

 

 

 

 

迸る噴水のごと湧きあがるこころとあひぬ教師となる日

 

少年よまつすぐに立てまがりしはわが支へ棒のみじかきゆゑか

 

「先生も大変だよね」なにげなき言葉にたぢろぎ委員長をみる

 

満開の枝垂桜のかがようてたむくさまなるわが離任式

 

駆けあがるまだ駆けあがる始業ベル鳴りやまぬうちに教室へ 夢

 

 

 


秋山周子歌集『二十三階の窓』

定価:2,500円(税別)

判型:四六判上製カバー装

頁数:192頁

ISBN 978-4-86629-219-9

 

現代女性歌人叢書 25

 

第三歌集!

 

晴れわたった蒼空、

曇る空、雨の空、雪の空、月がかがやく夜の空。

毎日同じようで違っている空。

その下にひろがる街並みに、

人々の暮しがあるのだ。

 

二十三階の窓辺にひとりことばを紡ぐ。

やわらかな詩魂がつつむ。

 

 

 

 

生きてあらば晴耕雨読の耕す日音きしませた芝刈りおらん

 

あの春はさくらばかりを追いしかな 箕面、大仙、長谷寺、吉野

 

シリウスは耀き居待ちの月は照る友はこの世のどこにもおらず

 

超高層の屋上に見る東京はビル、ビル、川、海 人影あらず

 

一年に一度か二度の凪という空はみずいろ海はそらいろ

 

 

 

 


川本千栄歌集『森へ行った日』

定価:2,500円(税別)

判型:四六判上製カバー装

頁数:196ページ

ISBN 978-4-86629-222-9

第四歌集!

 

風景が流れていく。

流れていく日常が堰き止める言葉。

いつしか分け入っていくことだろう。

記憶の向こう側からやって来る森へ。

形象の森へ、ひそかに。

 

 

 

満開のまだ一片も散らぬ花 生きている人は去って行く人

 

気の抜けた青いソーダの薄闇に時間失くして眠っていたか

 

ただ一度咳き込み死にし父ゆへにわれに介護の日々は来たらず

 

みごもらぬまま落ちている赤い蘂ぬれたアスファルトにむすうに

 

毎日の誰のためでも無い時間出勤する前花に水遣る

 

 


佐佐木幸綱歌集『春のテオドール』

定価:2,500円

判型:四六判上製カバー装

頁数:234頁

ISBN 978-4-86629-207-6

おもいつきたることあるらしく

二階からいそぎおりくる

テオとであえり

 

さりげなく。しかし、噛みしめて、じっくりと味わうものだ。

上澄み液の底に沈殿するこの暮らしの時間を。

 

 

 

雪よこい はじめての雪はじめてのテオがむかえる正月のため

 

少女ふたりならんでたてばおてだまのようにまあるい白い雪ふる

 

のぶつなの生家のにわに井戸ありていまもむかしの空をうつせり

 

糸川のみずにネオンのみどりいろくだけて人はさけをのむべし

 

わたりゆく鳥のこころよ こころあれどテオはじぶんの旅にはでない

 

 

 


松森邦昭歌集『脳の海』

定価:2,500円(税別)

判型:四六判上製カバー装

頁数:162頁

ISBN978-4-86629-216-8

 

第二歌集!

 

季節のめぐりとともに在る。

旅とともに心の揺らぎが在る。

自らを語らず、老いを語らず、日常を嘆かずに。

脳外科医であるこの歌人の眼差しは

深い慈愛そのものだ。

 

 

 

転べども慈姑(くわい)の角(つの)には力あり寄るなさわるな一人でたつと

 

夏至の宵遊女すらりと立つごとくあやめは白き化粧うかして

 

皮下注射つまみし皮膚の伝え来るだるさ辛さや心の叫び

 

地球儀に絹のハンカチかけしごと海原おおう秋のたか雲

 

光あび春寒沼に亀ありて首ながながと花ながめおり

 

 


安富康男歌集『叙景歌』

定価:2,750(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:224頁

ISBN978-4-86629-217-5

 

「都会の自然という題材を選んで、心情を伝えられるような短歌を」と述べる著者の住む築地周辺は、かつては外国人の居留地としてにぎわっていた。

四季折々の周辺の情景をひたむきに詠いあげていて、その作品にはまさしく衒いがない。

若き日に藤村を学んだという著者の、ますますの活躍を祈ってやまないものがある。

林田恒浩 帯文

 

 

この部屋に緑を置けば秋は来ぬ汝(な)は逝き去りて独り身の午後

 

武甲山鍾乳洞の石筍はなみだ溜めおりしんしんとして

 

武蔵野に馬頭観音おわしいて真冬に蒼く草はそよげり

 

秋の陽が水面に映える隅田川連なるビルをきらり鼓舞して

 

百年の歴史閉じる日来たりしか築地市場に朝霧は満つ

 

 


「短歌往来」2021年4月号

【特集】日本の地域を詠む(前編)

日本各地の風土が歌人たちの歌にどの様な影響を与え、歌の特色を生んでいるのかを思い企画しました。外出自粛が続きそうですが、短歌経由で日本各地に心を遊ばせていただけたらと思います。(編集後記より)

 

時田則雄、西勝洋一、林昭雄、菅原恵子、山口明子、熊谷龍子、冨樫榮太郎、山田富士郎、高木佳子、佐藤孝子、兵頭なぎさ、竹安隆代、平山繁美、梶田順子、恒成美代子、江副壬曳子、碇博視、伊勢方信、塚本諄、伊藤一彦、川涯利雄、玉城洋子

 

〇巻頭作品21首

雨の再会/谷岡亜紀

 

〇特別作品33首

多く食べものの歌/高橋睦郎

滂沱の春/日高堯子

 

〇評論シリーズ21世紀の視座

創世神話「塚本邦雄」初期歌集の精神風景/江畑實

 

〇作品7首

渡辺松男、松村正直、王紅花、高島裕、小笠原和幸、中野たみ子、魚村晋太郎、久保田壽子、藤田冴

〇作品8首

太田豊、木原美子、前田宏、森川和代、小木宏、島ゆり、紫あかね、花美月、山口美加代、佐竹宏文

 

〇新・自然を詠む・撮る・描く

校庭の樹々/小塩卓哉

 

〇結社の顔/国民文学ー横山岩男

 

〇今月の視点/阪森育代

 

〇今月の新人/加賀塔子

 

〇連載

島田修二、加藤治郎、田中教子、勝又浩、豊島秀範、水城春房、佐佐木朋子、三枝浩樹、恩田英明、持田綱一郎、福島泰樹、丹波真人、大西久美子、萩岡良博

 

その他、新刊歌集歌書の書評を掲載

 

 


「短歌往来」2021年3月号

定価 850円(税込)

 

<目次>

巻頭作品21首

紅梅/馬場あき子

 

特別作品33首

牛背/本田一弘

ザビエルの右腕/渡 英子

 

評論シリーズ21世紀の視座

現代の挽歌考/寺島博子

 

【特集】飛翔する歌人たち

大平千賀、大森静佳、小佐野彈、長屋琴璃、門脇篤史、川口慈子、川島結佳子、川野芽生、木ノ下葉子、工藤吉生、小島なお、佐佐木定綱、田中濯、寺井龍哉、野口あや子、柾木遙一郎、光森裕樹、虫武一俊、睦月都、藪内亮輔、山崎聡子、山下翔、山田航、屋良健一郎

 

作品7首

伊藤一彦、江戸雪、志垣澄幸、阿木津英、松坂弘、井辻朱美、野地安伯、加藤ミユキ、中根誠、糸川雅子、染野太朗

 

作品13首

藤原龍一郎、結城文、萩岡良博、河野小百合、田村広志、小野雅子、苅谷君代、馬場昭徳、岡貴子

 

作品8首

今井はつ子、二方久文、関場瞳、浅岡博司、益田佳枝、宮下俊博、玉井まり衣、経塚朋子、小林喜美子

 

新・自然を詠む・撮る・描く

青木ヶ原樹海/尾﨑朗子

 

今月の新人

吉川美月

 

結社の顔

日本歌人/前川斎子

 

今月の視点

加藤英彦

 

連載

島田修三、加藤治郎、田中教子、豊島秀範、水城春房、佐佐木朋子、三枝浩樹、恩田英明、持田綱一郎、福島泰樹、丹波真人、田中拓也、依田仁美

 

その他、歌集歌書評など掲載

 

 


淺田隆博歌集『四季の輝き』

判型:四六判上製カバー装

頁数:210頁

定価:2,500円(税別)

ISBN978-4-86629-210-6

 

第四歌集!

 

見わたせばとりどりの花咲ききそふ我しらずして歌口ずさむ

 

身めぐりの樹木や花々、鳥や虫たちをじっと観る。聴き耳をたてる。

森羅万象、呼吸している。歌を口ずさむように、呼びかけるように。

四季の移ろいこそが歌の時間、流やまぬ生を受け止める浄福だ。

 

 

 

 

春 かいつぶり三羽のひながかたまりてゆらゆらうかぶ春の日のあくび

 

夏 あめ色のうつせみぐつと樹皮つかむ生をきざみしあかしのごとく

 

秋 金色の銀杏並木をゆく人のほほのほのかに黄に染まりたる

 

冬 雪囲ひのぼたんの側に水仙の小さき花の凛と咲きゐる

 

 

 

 

 


「短歌往来」2021年2月号

定価 850円(税込)

 

〇巻頭作品

非常下茫々/秋葉四郎

 

〇特別作品33首

唯魂史観/大塚寅彦

此処にありて/荻本清子

 

〇評論シリーズ21世紀の視座

再考したい宮沢賢治の短歌/大西久美子

 

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【特集】オメデトウ 丑年生れの歌人

前川斎子、木戸敬、荻原桂子、井谷まさみち、杉山みはる、佐藤成晃、野本研一、白倉一民、小村井敏子、久保田幸枝、波汐國芳、春日いづみ、千々和久幸、平山公一、鹿取未放、村松清風、遠藤由季、三本松幸紀、長谷川と茂古、黒崎由起子、菊川啓子、松井純代、大地たかこ、鈴木陽美、丸山三枝子、黒沢忍、野村二郎、小見山泉、武田ますみ、忍足ユミ、先川咲容、上田美紀子、奥村秀子、宇佐美矢寿子、後藤美佐子

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〇新・自然を詠む・撮る・描く

冬はもうすぐ/武富純一

 

〇結社の顔

ぷりずむ/長澤ちづ

 

〇連載

島田修三、加藤治郎、田中教子、勝又浩、水城春房、佐佐木朋子、恩田英明、持田鋼一郎、福島泰樹、丹波真人、田中拓也、依田仁美

 

表紙作品/美濃和哥

 

その他、作品、書評など充実した内容となっております。

 

 


椎野久枝歌集『街川の四季』

定価:2,300円(税別)

判型:四六判上製カバー装

頁数:144頁

ISBN978-4-86629-208-3

街川の四季いち早く滔々と水の流れて夏の日反す

 

 

著者の住む地域を流れる街川は、信長が弟の信勝と戦った古戦場の名残の名塚取手、庚申塚が川辺にある。その街川の四季折々の情景に癒され励まされ、大切な心のオアシスとなっている。更に短歌のモチーフになり第二歌集になった。帯文(青木陽子)

 

 

 

 

淀みなく流るる川の音乱し鳶忙しく舞ふ影長し

 

年頭に夫の書きたる予定表死の翳りなど微塵のあらず

 

前向きの残生是とし声にして誓へば闇の開ける思ひ

 

若き等の声新鮮に受け容れて共にピザ食む異の空間に

 

易々と語れぬ事情幾つ経て劇団はやも二十年迎ふ

 

 


「短歌往来」2021年1月号

定価850円(税込)

 

◎巻頭作品21首

ひとり語りのものがたり/三枝昻之

 

◎特別作品33首

認め印/米川千嘉子

DogYear/千種創一

 

◎評論シリーズ21世紀の視座

The Globalism/鵜飼康東

 

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【特集】現代の自然を詠む

◎小論

秋葉四郎/寺島博子/雁部貞夫

◎作品8首+エッセイ

御供平佶/都築直子/山中律雄/松川洋子/四元仰/結城千賀子/間瀬敬/宮原望子/佐保田芳訓/小橋芙沙世/宮原勉/小柳素子/佐藤晶/楠誓英/白岩裕子/渡辺泰徳

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◎新・自然を詠む・撮る・描く

馬の神社/川本千栄

 

◎結社の顔

中部短歌/大塚寅彦

 

◆好評連載

島田修三、加藤治郎、田中教子、勝又浩、豊島秀範、水城春房、佐佐木朋子、三枝浩樹、恩田英明、持田綱一郎、福島泰樹、丹波真人、田中拓也、依田仁美

 

表紙作品/美濃和哥

本文カット/淺川洋

 

その他、作品、書評など充実した内容となっております。

 


小石雅夫歌集『一期一愛』

判型:四六判上製カバー装

頁数:216頁

定価:2,500円(税別)

ISBN978-4-86629-209-0

これは、格別でもない一組の夫婦が、最後の別れの数年をようやく濃密な時間を過ごし合ったそのほんの一端の記録のようなものに過ぎない。

……その間の、ときどきに関わって捨て難いおもいにまつわるものだけにしたが、それでも六八一首にもなってしまった。

これでも思いの丈には届かない(あとがきに)

 

 

 

 

          せ

少しずつ頭を塞く妻がバス停にわれを見送ると言い張りて来る                            とお

分刻みに寝ては起きする妻とともに寒夜徹して身も冷え果てつ

 

妻の名を毎日かならず一度書く面会票にわが名とならべ

 

言葉無き妻にしあれどわが言える言葉にかえし指つよく締む

 

安置所に会いし帰りに行き処なく入りし書店の書棚もぼやけ

 

千の風になんぞならずにわが胸に妻よいつまでも留まりくれよ

 

おかあさんの「あはははは・・・」という心からの転げ出る笑いもう聞けないのです

 

「一期一愛」と刻みし妻の墓所に来てマスクをはずして”濃密”にいる

 

 


古屋正作歌集『縁』

判型:A5版上製カバー装

頁数:290頁

定価:2,800円(税込)

ISBN978-4-86629-203-8

第四歌集!

 

甲斐に生まれ、風土のなかに出会い、また別れがある。

草木に降れ、山や野や川みるものすべてが時にまばゆく、時に哀しく。

あるはかりがたい、おおいなる力によって結ばれるえにし。

いつか土にかえるその日、その時まで、暮しのかたわらには歌が縁りそう。

 

 

 

 

脂を噴く幹を攀ぢれる蟻の列日暮れてなほも高きを目指す

 

人と犬互に老いて政変の何及ぶなき谷あひの村

 

変はるなきことの床しさ米を磨ぐ米の白さが故郷にある

 

澄みとほる女官の声に応へ立つ吾が誌「樹海」の一語尊く

 

甦る現し身ならね背を伸ばし日に染みて降る花びらを浴ぶ

 

 


島ゆり歌集『ハーブキャンディ』

判型:四六判上製カバー装

頁数:154頁

定価:2,400円

ISBN978-4-86629-202-1

第一歌集!

 

ここちよい相聞のひびきをもって、

こころの襞がくっきりと透けて見えるひととき。

これが愛だ、恋だ、そして言葉たちの自由な饗宴だ。

さあ、わたしの歌世界で存分に憩い、輝いてください!

 

 

 

あかつきの夢の朝顔ぱっくりと我を飲みこみほほえみにけり

 

楡の木のしげみの下にすわっていると恋しいあなたを殺したくなる

 

空に浮かんだ三日月の先が凍てついてコキンと壊れてしまいそうな夜

 

生焼きの肉にレモンをしぼる君わたしもそんな風に愛して

 

物事の始めはすべて子宮からわが身を見つめフラメンコ踊る

 

 


「短歌往来」2020年12月号

定価 850円(税込)

 

◎巻頭作品21首

銃声/藤島秀憲

 

◎特別作品33首

夏の桂馬/坂井修一

モノドラマ/田中 薫

 

◎評論シリーズ21世紀の視座

創世神話「塚本邦男」初期歌集の精神風景⑤/江畑實

 

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【特集】題詠による詩歌句の試み18-新しい生活様式を詠む

荒川洋治、高野公彦、池田澄子、高橋順子、荻原裕幸、片山由美子、中上哲夫、草田照子、仁平勝、八木忠栄、東直子、大井恒行、水橋斉、大崎安代、大高翔

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

◎岡井隆論/持田綱一郎

◎結社の顔

プチ★モンド/松平盟子

◎新・自然を詠む・撮る・描く

星の余韻/石川幸雄

 

その他、好評連載エッセイや、作品、書評など充実した内容となっております。

 

 


梶田順子歌集『雲の海原』

第四歌集!

 

歌集名を『雲の海原』とした。最近、夫と自分の病気に向き合う日日が続いているが、夫と久しぶりに上京した時の一首から採った。雲は宇宙への想像を、海原は生命の源を想起させてくれるとの思いを込めた。

 

一泊の東京わくわく機上より見渡すかぎりの雲の海原

 

(あとがきより)


加藤ミユキ歌集『歳月の庭』

定価:3,000円(税別)

判型:A5判上製カバー装

頁数:204頁

ISBN978-4-88629-197-0

その庭にはおごそかで豊かな時間が流れていた。

梔子、山茶花、季節の花々に人生がかかわっていく不思議。

夫、子供、孫、すべてがいとおしい存在として華やぐ幸せ。

齡九十を過ぎて、なお歌は滋味を深めつつ熟成を続けている。

 

 

中年のグループと席異なれど等しく岡井隆の弟子

 

夕空の下に手をつなぎ交々に泣きしよセーラー服の友とわれとは

 

荷物なきカートは軽し下り坂ゆくときに波にのるごと動く

 

蹲踞の水にくる鳥一羽いつしか友となりて待つわれ

 

美しく夜が明けたりととのへて枕辺に置きし衣に手を通す

 

 


「短歌往来」2020年11月号

定価 850円(税込)

 

◎巻頭作品

駅/楠田立身

 

◎特別作品33首

涅槃坂/久保田登

窓外を/後藤由紀恵

 

◎評論シリーズ21世紀の視座

不在の「短歌」/大井学

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【特集】小社シリーズ歌人競詠

作品11首+エッセイ

上村典子/佐藤惠子/桂保子/小川佳世子/寺尾登志子/吉野節子/山本登志枝/石川浩子/恒成美代子/田土才惠/高崎淳子/菅原恵子/寒野紗也/国吉茂子/藤元靖子/森みずえ/竹内彩子/伊良部喜代子/中西由起子/青木陽子/平石眞理/高旨清美

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◎新・自然を詠む・撮る・描く

道のあかるさー明日へー/伊志嶺節子

 

◎結社の顔

龍/小寺三喜子

 

その他、作品、書評など充実した内容となっております。

 

 

 

 


「短歌往来」2020年10月号

定価 850円(税込)

 

◎巻頭作品21首

この素晴らしき/久我田鶴子

 

◎特別作品33首

マスク/佐藤通雅

ラルゴ/木村雅子

 

◎評論シリーズ21世紀の視座

創世神話「塚本邦雄」④/江畑實

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【特集】介護のうたの現在

◎特集エッセイ

家族の歌としての介護のうた/藤島秀憲

わたしの介護の物語/高山邦男

介護のうたの現在/安森淑子

 

◎作品8首+エッセイ

秋山佐和子、桑原正紀、小潟水脈、今井恵子、生沼義朗、久々湊盈子、青木春枝、志野暁子、森島峰子、櫟原聰、鹿井いつ子、兵頭なぎさ、清水亞彦

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◎新・自然を詠む・撮る・描く

ででむしの殻/中西敏子

◎結社の顔

鼓笛/松田愼也

 

☆新連載

◎菅江真澄の旅と歌/豊島秀範

◎「首」のはなし/水城春房

◎佐佐木信綱歌集『遊清吟藻』鑑賞/佐佐木朋子

 

その他、作品、書評等、充実した内容となっております。

 

 


加藤英彦歌集『プレシピス』

判型:四六判上製カバー装

頁数:196頁

定価:2,500円(税別)

ISBN978-4-86629-195-6

もの悲しい眼差し、やわらかな手触り。

そして、屈強で比類ない洞察力と批評精神。

目を背けず、口をつぐんだまま、

この世界の沈黙の崖を見上げる。

透明な川を流れ、おおらかな海へと向かって、

輝きの帆を立てよ!

 

 

うらぎりをくり返し来し半生か内耳しびるるまで蟬しぐれ

 

白いマスクの百人の児らが帰りくる百年のちの空から村へ

 

生きものはほそき声あげ餌をもとむ寂しいときはさびしいといえ

 

どのように口をつぐめば死者の目とおなじ水位を流れてゆける

 

いくつの遺影にみられて部屋にかさねあう温もりもやがてひとつ潮騒

 

 


清水あかね歌集『白線のカモメ』

定価:2,500円

判型:四六判上製カバー装

頁数:210頁

ISBN978-4-86629-196-3

 

 

 

猿人がくいっくいっと背を伸ばし進化してゆく古代史年表

桜咲く夕べも傘なき雨の夜も小さな橋をわたしは渡る

高く高くエスカレーター天に伸び真冬静かな科学未来館

 

世界を、人生を、歴史を、時代を、柔軟に素直に受け入れつつ、ゆったりと歌うスケールの大きな歌が見どころ。女子高生を教える教員として、夭折した弟を思う姉として、自由に旅をする日本人として、過去を未来をこころに浮かべる表現者として、前向きな感性を自在に解放して見せた歌集である。(帯文:佐佐木幸綱)

 

 

 

この星に私はどこからきたのだろうコンタクト入れ今日が始まる

 

もういない弟おもえば飴色の玉蜀黍茶のほのかな甘み

 

樹もわれも見えない光に照らされて八月のかげ舗道にきざむ

 

逢いたくて逢いたくなかったひとと逢う火星が地球に近づいた夏

 

ちらちらと常葉の揺れて生垣を過る人影 向こうはどの世

 

 

 


小林喜美子歌集『久三郎の笛』

判型:四六判上製カバー装

頁数:172頁

定価:2,400円(税別)

ISBN978-4-86629-189-5

 

葛藤と親愛・・・・

距離を置いてきた命終に向かう父、

生後すぐに別れ既に世にない母、

二人への思いを中心に能登の風土の中で歌われる心の歴史。

自然と風景、生活を清新な言葉で

掬いとる歌群には繊細な心の息つぎがある。

 

 

 

 

ひとふさのあをき胡桃を山苞に夫が採り来ぬあをき胡桃を

 

ときとして貰はれゆきし妹も去りし母らも羨しみたりし

 

降る雪はうちへうちへと降りつもり囲炉裏のそばに祖父母座らす

 

灰色の煙たなびき風上に野焼きの人の動く腕見ゆ

 

負の時に言葉はあふれあふれ来てどうしようなく書き留むるなり

 

 


「短歌往来」2020年9月号

定価:850円(税込)

頁数:144頁

巻頭作品21

 

 紅蜀葵/吉川宏志

 

 

 

巻頭作品33

 

 浅田飴/ 佐波洋子

 

 無限/ 佐藤孝子

 

 

 

一ページエッセイ

 

 遠い人、近い人㊺ーモンチョコ/島田修三

 

 ニューウェーブ歌人メモワール㉜ー『マイ・ロマンサー』を語る会/加藤治郎

 

 うたの小窓から㉝ー前登志夫の「死者」とは何か②/田中教子

 

 

 

■評論シリーズ  世紀の視座

 

教科書で習うことのない歌のたいせつさ/田中章義

 

 

 

[特集]子育て&子供のうた

 

 

 

■特集評論

 

時代の変化とともに/松村由利子

 

 

 

作品5首+エッセイ

 

 心/佐伯裕子

 

 心を映す鏡/渡辺幸一

 

 つめはぎひめ/鈴木英子

 

 望 み/辰巳泰子

 

 声 音/前田康子

 

 いずれ大潮/富田睦子

 

 餃子の時間/俵 万智

 

 オーロラを動かす/大口玲子

 

 ごろごろ/大松達知

 

 鱧の骨/黒瀬珂瀾

 

 本気で/永田 紅

 

 学 校/岩内敏行  

 

 海に行きたい/花山周子

 

 うしろすがた/山本夏子

 

 おそろしの子/星野真里

 

 クロックス/棚木恒寿

 

 四歳の春、そして夏/澤村斉美

 

 ファミリー牧場/山崎聡子

 

 会釈/山木礼子

 

 パーカーのフード/屋良健一郎

 

 夏草に立つ/奥田亡羊

 

 ワンダーランド/石川美南

 

 海苔を食べた日/森垣 岳

 

 

 

作品七首

 

 水無月/安藤直彦

 

 たとへばマーラー/阪森郁代

 

 〝コロナ禍〟に自粛の日々を辿る丘/日野正美

 

 かはらけ/綾部光芳

 

 新型コロナの日々/田野 陽

 

 農園/中村キネ

 

 沈黙は金/大熊俊夫

 

 天空の船/田中伸治

 

 パンダはパンダ/松田恭子

 

 

 

作品十三首

 

 部屋を見まわす/秋山周子

 

 茂吉の酒田河口詠/冨樫榮太郎

 

 まだ大丈夫/丸山三枝子

 

 思ひ出の家/中野たみ子

 

 巣ごもり/大崎瀬都

 

 夏 ― 七十二候/竹内彩子

 

 あ、/西之原一貴

 

 ソフテニボーイの憂鬱/甲村雅俊

 

 

 

■追悼―石川恭子

 

 石川恭子先生を悼む/中村規子

 

 

 

■新・自然を詠む・撮る・描く

 

 いなげの浜/園田昭夫

 

 

 

■連載ー結社の顔㊳ 白南風/白南風編集部

 

■連載ー〈歌・小説・日本語〉㊶作者と主人公/勝又浩

 

■連載ー世界を読み、歌を詠む 最終回流転・昇天/坂井修一

 

■連載|玉城徹を読む⑯「きよし」の外延・モンロー/恩田英明

 

■連載ー再訪八木重吉⑰自己表現の彼方へ⑤/三枝浩樹

 

 

 

作品八首

 

 晴雨さだまらず /遠山景一

 

 蜜柑のにほひ /杉山みはる

 

 自粛の日々に/身内ゆみ

 

 流星雨 /武藤敏春

 

 トロイの木馬 /藤本喜久恵

 

 夜汽車 /村田 馨

 

 若き弓師/小鳥沢雪江

 

 Our Planet/北久保まりこ

 

 佐保川の桜/黒田雅世

 

 

 

■連載ー時言・茫漠山日誌より

 

 冬は疾風吹きました/福島泰樹

 

 

 

■連載ー〈名画と名歌〉㉕都会調喜劇の女王

 

 クローデット コルベール/丹波真人

 

 

 

■連載ー浪々残夢録

 

 戦後という時代/持田鋼一郎

 

 

 

今月の新人ー作品5

 

 ひとつの太陽/坂口大五道

 

 

 

■今月の視点

 

 幻想の危機 /今井正和

 

 

 

■新刊歌集歌書評

 

雁部貞夫著『宮地伸一の秀歌』/外塚 喬

 

荻原裕幸歌集『リリカル・アンドロイド』/林 和清

 

許田 肇歌集『福木の双葉』/屋部公子

 

柳 宣宏歌集『丈六』/大井 学

 

大田美和思考集『世界の果てまでも』/阿木津 英

 

松谷東一郎歌集『平成カプリッチオ』/中川佐和子

 

加藤孝男著『与謝野晶子をつくった男』/松平盟子

 

小林幹也歌集『九十九折』/小塩卓哉

 

梶原さい子歌集『ナラティブ』/高木佳子

 

石川美南歌集『体内飛行』/田口綾子

 

仲西正子歌集『まほら浦添』/名嘉真恵美子

 

松延羽津美歌集『水の神さま』/伊勢方信

 

 

 

■作品月評ー七月号より/田中拓也

 

■評論月評/石川幸雄

 

■全国〝往来〟情報

 

■編集後記

 

 

 

表紙作品/松本秀一「蟷螂」

 

本文カット/浅川 洋

 

 

 


谷岡亜紀歌集『ひどいどしゃぶり』

判型:四六判上製カバー装

頁数:174頁

定価:2,500円(税別)

ISBN978-4-86629-188-8

 

 

 

第五歌集

 

IT RAINS CATS&DOGS

 

酒と薔薇の日々、だとしても泥水に喉まで浸かり雨を見ていき

 

つんのめりガードレールに嘔吐して或る早朝に終わるのだろう

 

噴水が凍っていたな あなたにもおれにも等しく時は過ぎゆく

 

火男ら春昼の火事消してのち鐘鳴らしつつ街流れゆく

 

いま持てる幸福の数かぞえつつ光の国から来る人を待つ

 

 

 

 

 

 


小山田ふみ子歌集『赤いルノー』

判型:四六判上製カバー装

頁数:226頁

定価:2,500円(税別)

ISBN978-4-86629-182-6

 

歌を初めて読んだ時、印象深く思ったのは、そのひたむきな勁い魂であった。詩句に結晶された、小山田さんが懸命に生きた証を前にして改めて感動している。永久に忘れ得ない女流歌人であろう。

                 大熊敏夫「跋」より

 

 

 

 

「赤いルノー」と綽名つけられパンプスで官庁街を駆けし日のあり

 

連翹の黄の花地より吹きあげて何の歓喜ぞ閉塞の世に

 

世界中の花を投げ込めファルージャに無辜数千の屍の上に

 

出かけゆく夫を窓辺に送るとき手を振るならい かかる別れも

          みゆきざか

遠き遠き記憶のかけら行幸坂 さくら吹雪に母がたたずむ

 

 

 

 


藤井千秋歌集『あの日の空』

版型:四六判上製カバー装

頁数:170頁

定価:2,400円(税抜)

ISBN978-4-86629-185-7

 

第一歌集!

 

 

藤井さんはじつに健やかな観察眼の持ち主である。

繊細で柔らかな感受性に目を見張る。

言い過ぎになることなく一首全体をきりりと

まとめ上げることは、とても難しい。

それをごく自然体でこなす力量に感服した。

 

栗木京子「序文」より

 

「回天」の歴史を聞きし少年は海に向かひて仁王立ちせり

  おほ

たんぽぽの絮毛崩れて漂へり大ミキサー車過ぎゆきし時

 

雛すぎて雛仕舞はれし床の間の桃の花びら夜を散りぬるを

 

かかる日のいつか終らむ二人なれ豌豆の苗に支柱たてをり

 

おもかげを偲べば或る日師に代り千手観音佇ちたまふなり

 

 

 

 

 


中平武子歌集『しらべは空に』

版型:四六判上製カバー装

頁数:234頁

定価:2,500円(税別)

ISBN 978-4-86629-180-2

 

第二歌集!

 

中平さんの浪漫的な想像力は、

橅の木に向かえば橅の内なる音とつながり、

日に輝く菜の花の中ではひとひらの菜の花となるというように、

身体変幻のしらべを強く響かせる。

ーーーーーーーーーーーーーーー日高堯子跋より

 

 

ぶなの木のうちなる音を聞かんとし橅は吾とひとつになりぬ

 

菜の花のひとひら一片日を受けて輝く朝はわれも菜の花

 

皆おなじ答を言ふと詰る声 死にたき人は深夜の電話に

 

人との距離保つに雀に似てゐるや ためらひがちに友の手をとる

 

ここに座しともに桜を仰ぎたる時もどしをり夕暮の園

 

 


高旨清美歌集『雀のミサ曲』

版型:四六判上製カバー装

頁数:188頁

定価:2,500円(税別)

ISBN978-4-86629-187-1

 

現代女性歌人叢書24

 

毅然として物憂い表情。

たとえば都市の路地を彷徨う

ゆきずりの猫。

暗くて寂しい眼差しの奥に何があるのだろうか。

 

歌は祈りのかたちを孕みながら、

ゆっくりと静かに天井へと膨らんでいく。

 

 

銀色のキャップを冠せていつぽんの色鉛筆を使ひきりたり

 

帰る家あるのかと問ふゆきずりの猫の左右の瞳濁れば

 

空を見ることのふえをり空を見て旅のこころの湧くにあらねど

 

早世の家系に生れて秋の日を浴めり窓辺に身のゆるぶまで

 

春の芽吹き秋の落葉 忘れられてゆくはもつともさびしかること

 


「短歌往来」2020年7月号

850円(税込)

 

定期購読のおすすめ

1年間 10,200円

半年間   5,100円

 

<目次>

◎巻頭作品21首

『佐新書簡』/佐佐木幸綱

 

◎特別作品33首

ソーシャルディスタンス/菊池裕

春雷/松本典子

 

▼一ページエッセイ

◎遠い人、近い人ー吉田とは何者だ/島田修三

◎ニューウェーブ歌人メモワールーニューウェーブの始動/加藤治郎

◎うたの小窓からー前登志夫合評/田中教子

 

【特集】前川佐美雄 没後30年

・前川佐美雄ミニアルバム/前川佐重郎提供

▼評論・エッセイ

白鬼とことだまー『大和』を中心に/日高堯子

前川佐美雄から斎藤史へ/楠田立身

鬼の継承/萩岡良博

信綱から佐美雄へ/谷岡亜紀

「鬼のよはひ」を共に生きた歌人/江田浩司

毒の行方ー佐美雄から塚本邦雄/魚村晋太郎

 

・佐美雄の100首/前川斎子 選

 

▼佐美雄の一首

水原紫苑、長岡千尋、桑原正紀、横山未来子、睦月都、松谷東一郎、後藤恵市

 

▼佐美雄との出会い

山下百合子、芦田敏子、仲つとむ、真後和子、中井龍彦、吉岡治

 --------------------------

 

◎作品7首

峠の吹雪/雁部貞夫

言霊を狩る/秋元千惠子

石/時田則雄

ゆく春の愁い/菅原恵子

夏のよそほひ/林田恒浩

サッカリンとぬりえ/内野光子

老躯励まして/金子正男

この世の春は/中西洋子

火鉢/下村光男

 

◎作品13首

カモシカ/光本恵子

緑のたぬき/大松達知

アフターコロナバイブレーション/笹公人

浮かれ女のごと/磯田ひさ子

城山盛夏草木抄/岩崎聰之介

薔薇水晶/兵頭なぎさ

赤レンガの道/丸山順司

鳥の巣/由田欣一

クメールの婚/青戸紫枝

もちつこ/浦河奈々

拝啓、フィリップ・K・ディック様/斉藤真伸

 

◎新・自然を詠む・撮る・描く

死の力/黒羽泉

 

◎作品8首

四十雀/土田和子

新型コロナウイルスと私/岩井鑛治郎

幼なのやうに/小林暁子

青葉きらめく/熊田邦子

あたらしき街/阿部真太郎

惜春賦/飛鳥游美

あまびゑ/経塚朋子

テレワーク/山下和代

紀元比国四十五年/野本研一

声/井上美津子

 

▼連載

◎結社の顔ー地中海/久我田鶴子

◎<歌・小説・日本語>

山上憶良あれこれ/勝又浩

◎世界を読み、歌を詠む

サン・ジェルマンのそばで/坂井修一

◎再訪八木重吉

自己表現の彼方へ/三枝浩樹

◎玉城徹を読む

きよきものの追求/恩田英明

◎浪々残夢録

短歌におけるエロティシズム/持田綱一郎

◎時言・茫漠山日誌より

彼方への記憶/福島泰樹

◎<名画と名歌>

天下の二枚目ケーリー・グラントとアラン・ドロン/丹波真人

 

◎今月の視点

緊急事態と日常/高山邦男

 

◎今月の新人/桝田法子

 

▼新刊歌集歌書評

秋葉四郎著『茂吉からの手紙』/結城千賀子

千々和久歌集『生きてはみたが』/池田はるみ

藤原龍一郎歌集『202X』/黒岩剛仁

田中綾著『非国民文学論』/三井修

 

▼作品月評

5月号より/田中拓也

▼評論月評/石川幸雄

▼全国往来情報

▼編集後記

 


笹本碧歌集『ここはたしかに 完全版』

判型:四六判上製カバー装

頁数:212頁

定価:2,500円(税別)

ISBN978-4-86629-171-0

 

進化論は地球でいちばん大きな樹

その枝先にきょうも目覚める

 

人間の生命の向こうには地球があり、その向こうには宇宙が広がっている。

否、向こうにあるのではない。地球上の生命体の細胞から天体の運行まで、それらは互いに関連しつつ不断の運動をつづけているのである。広く深いパースペクティヴに立って自身の生命をい見つめる斬新な歌集

佐佐木幸綱 帯文

 

細胞の一つ一つに約束が組み込まれている 耳をすませる

 

この秋の裏側に春はあるというあらゆる命は天秤の上

 

ほぐれくる樫の枝先いのちとは直線でなくでこぼこなんだ

 

 

『ここはたしかに 臨時版』から1年、『ここはたしかに 完全版』が刊行となりました。

 

栞付き(俵万智、藤原邦義、笹本信夫・笹本惠、佐佐木頼綱)

 

 


「短歌往来」2020年6月号

表紙作品/「李」松本秀一

本文カット/浅川 洋

 

定価:850円(税込)

A5版並製

 

<目次>

◎巻頭作品21首

かぎろひの春/内藤 明

 

◎特別作品33首

フリーランス/春日いづみ

彼方への記憶/恒成美代子

 

◎一ページエッセイ

遠い人、近い人ー篠沢夫人のこと/島田修三

ニューウェーブ歌人メモワールー『マイ・ロンサー』刊行へ/加藤治郎

うたの小窓からー前登志夫合評/田中教子

 

◎評論21世紀の視座

創世神話「塚本邦雄」/江畑 實

 

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〔特集〕

第18回前川佐美雄賞 発表

第28回ながらみ書房出版賞 発表

 

受賞のことば/藤島秀憲

受賞のことば/田中 薫

 

●前川佐美雄賞受賞作

『ミステリー』50首抄/藤島秀憲

 

●ながらみ書房出版賞受賞作

『土星蝕』25首抄/田中 薫

 

<選考を終えて>

佐佐木幸綱、三枝昻之、佐々木幹郎、加藤治郎、俵万智

 

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◎作品7首

ウイルスの乱/大塚寅彦

二〇二〇年春/宮原望子

二〇二〇年四月/水野昌雄

日日是好日/中根三枝子

青春回顧/藤田和平

薄墨桜/筒井紅舟

コロナ/大山敏夫

生きてゆく力/衛藤弘代

濃厚接触者/中根 誠

 

◎作品13首

磯自慢/柴田典昭

社会的距離/中川佐和子

冬麗の空/橋本 忠

ましろき女人/鈴木英子

辺野古再訪/渡辺幸一

オンライン授業/永田 紅

空飛ぶ夢/冨尾捷二

仙果/山科真白

最後の仕事/三平忠宏

合図/筒井幸子

 

◎作品8首

野に咲く花/江副壬曳子

少年のころ/小木 宏

地球馬印/松井純代

春の石蕗/蔵田道子

八手の葉/村田光江

オリーブの葉冠/村山 伀

こんなに生きていいですか/三井豊和

白き小人/岡田令子

呪うように/倉石理恵

 

◎シリーズ 歌人回想録ー柏崎驍二

小歴/田宮朋子

柏崎驍二のうた50首抄/田宮朋子

睦ちゃん/仲 宗角

 

◎新・自然を詠む・撮る・描く

多摩川界隈/美濃和哥

 

◎連載

◇結社の顔ー日月/日月編集部

◇<歌・小説・日本語>-山上憶良のあれこれ/勝又 浩

◇世界を読み、歌を詠むーナショナリズムと大学/坂井修一

◇再訪八木重吉ー自己表現の彼方へ/三枝浩樹

◇玉城徹を読むー草むらの祝祭空間/恩田英明

◇浪々残夢録ー斎藤史『魚歌」と二・二六事件の新資料発見/持田綱一郎

◇時言・茫漠山日誌よりー死後のレンズ/福島泰樹

◇<名画と名歌>ースクリーンのヒーロー 高倉健と小林旭/丹波真人

 

◎今月の視点ー表現の確立/三本松幸紀

 

◎今月の新人ー鳩とWi-Fi/丸山朱梨

 

◎新刊歌集歌書評

谷川健一著『わが沖縄』/渡 英子

熊田邦子歌集『予祝の雪』/日高堯子

丸山順司歌集『チィと鳴きなち』/酒井佐忠

山下和代歌集『風の坂道』/久保美洋子

 

◎作品月評ー四月号より/田中拓也

◎評論月評/石川幸雄

◎全国‘往来‘情報

◎編集後記

 

 

 


松谷東一郎歌集『平成カプリッチオ』

版型:A5判上製カバー装

頁数:206頁

定価:2,500円(税別)

ISBN978-4-86629-184-0

 

 

第四歌集!

 

本音を歌える歌人は案外と少ない。

人間が面白くなければ歌も面白くない。

そんな作者ならではのフモールがキラリと光る。

心のうちなる自分を見事に抜き取り、正直に表現しきった。

かつて、この世に生きて、歌を詠んだ人間がいたことを証明する

圧巻の世界!

 

 

 

全身の水入れ替えて夏木立だんだん影を透明にする

 

高倉健逝きて日本男子のいなくなり体躯のなかの海鳴りやまず

 

湯豆腐はすこし崩れて生きてゐる人も生真面目すぎないのがいい

 

こつこつとわたしを呼びぬ葬儀の日柩のなかの亡骸われが

 

黒髪の白くなるまで妻のこゑ聞きたく思ふわが髪なくも

 

 


仲西正子歌集『まほら浦添』

判型:四六判上製カバー装

頁数:220頁

定価:2,500円(税別)

ISBN978-4-86629-179-6

師・桃原邑子の志を継ぐというよりもっと自然に

沖縄での暮らしに根ざした詠わずにはいられないものが

仲西さんに沖縄や家族をうたわせている。

それは、意外なほどのスケールで、

世界や歴史を俯瞰させる力をもっている。

そのことを私は尊いと思う。

 

帯文ー久我田鶴子

 

 

 

 

                  たま

樹によれば樹、地に臥せば地の命なり 弾はずれて来て我を生みし母

 

ブラジルへ渡れず父はこの島で甘蔗の穂花の煌めきを見て

 

戦さ世に生まれし命も記名され平和の礎かなしき記録

              しーしうがん

十五夜におびき出されし男等が獅子御願の円陣をくむ

                      

産土を踏みし小さき黄の靴を手のひらに置き光に出だす

 

 


許田 肇歌集『福木の双葉』

版型:四六判上製カバー装

頁数:170頁

定価:2,500円(税別)

ISBN978-86629-176-5

 

沖縄在住の97歳、第一歌集!

 

戦争の嘆きをくぐって、

悲しみとユーモアを、

なつかしげに歌いあげた

97年の生涯を、

私も歌いあげたくなった。

 

帯文:<芥川賞受賞者>大城立裕

 

 

 

大正に昭和平成と永らへて令和に祝ふカジマヤーかな

                    ナンミンサイ

そのかみの那覇つ子だれも楽しみき心躍らす波上祭よ

 

読み止しの本に栞の見当たらず取り敢へず挟む福木の双葉

 

年ごとに八重岳娘らと訪ねては緋寒桜の九十九折りゆく

 

急ぎ行く焦る心よ杖突きて歩度ままならずポストへの坂

 


「短歌往来」2020年5月号

定価 850円(税込)

 

<目次>

▼巻頭作品

鄭州幻想/島崎榮一

 

▼特別作品

三月/河野美砂子

船歌/川野里子

 

◎一ページエッセイ

・遠い人、近い人ー辣韭と金魚/島田修三

・ニューウェーブ歌人メモワールー「かばん」と中山明/加藤治郎

・うたの小窓からー前登志夫合評/田中教子

 

▼評論21世紀の視座

意地の悪い歌、竹山広における/大辻隆弘

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【特集】令和の春のうた

◎作品10首+愛誦歌+エッセイ

白タンポポ/竹安隆代

令和のなづな/金子貞雄

雀の帷子/久我田鶴子

大試験/棚木恒寿

近江早春/遠山利子

「三分の一湧水」/古屋清

置かれた場所で/大崎瀬都

残り火/後藤由紀恵

みやざきの春/長嶺元久

絆創膏/小島なお

黒芽ふきあぐ/森川多佳子

昔ながらの/依田仁美

はるのあめ/富田睦子

蕾ふくらむ/浅田隆博

陽光は砂/生沼義朗

春花/廣庭由利子

家書家伝/竹下洋一

灯下を帰る/屋良健一郎

春の石段に腰かけて/吉田淳美

懈怠/近田順子

甲東海林まで/小林幹也

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

▼作品7首

鈴が鳴る/藤岡武雄

声を掬う/山村泰彦

飛魚出汁/森山晴美

山鳩/仲宗角

あふれる/中津昌子

鬼遣らひ/古屋正作

六連星/平林静代

木肌の熱き/外塚喬

生・病・老の九十年/佐藤和夫

吊橋/斎藤佐知子

春の疾風/小泉桄代

 

▼作品8首

足どり/梶原房恵

越しの寒しぐれ/佐野善雄

砂浜に立つ/大岩洋子

春未だ寒し/伊藤美耶

撫でる/釣美根子

父の時代/さいかち真

四時/鷺沼あかね

ゴーンさん/清水篤

少女よ生きておれば/高橋愁

棋譜を見て/椎木英輔

風/鈴木隆夫

アセンション/金澤憲仁

 

▼新・自然を詠む・撮る・描く

林試の森/間 ルリ

 

▼結社の顔

白路/野地安伯

 

▼連載

◎<歌・小説・日本語>

山上憶良あれこれ/勝又浩

◎世界を読み、歌を詠む

戦争責任(下)/坂井修一

◎再訪八木重吉

自己表現の彼方へ①/三枝浩樹

◎玉城徹を読む

変容する自然/恩田英明

◎浪々残夢録

長塚節の生家訪問/持田綱一郎

◎時言・茫漠山日誌より

死者が裁く/福島泰樹

◎<名画と名歌>

林芙美子の世界/丹波真人

 

▼今月の視点

鮮やかなオノマトペー飛翔ー/大西久美子

 

▼今月の新人

其方の空/木ノ下葉子

 

▼新刊歌集歌書評

佐佐木幸綱歌集『テオが来た日』/黒瀬珂瀾

谷川健一著『小さきものへ』/渡英子

横山岩男著『作歌初心』/鶴岡美代子

雁部貞夫自選歌集『わがヒマラヤ』/加藤英彦

飯沼鮎子歌集『土のいろ草のいろ』/尾崎まゆみ

藤島秀憲歌集『ミステリー』/山田航

佐藤千代子歌集『あれから』/沖ななも

三平忠宏歌集『館山』/田村広志

楠誓英歌集『禽目圖』/大森静佳

筒井幸子歌集『ならやまの月』/一ノ関忠人

 

▼作品月評

三月号より/田中拓也

▼評論月評/石川幸雄

▼全国往来情報

▼編集後記

 

 

 

 

 


秋葉四郎著『茂吉からの手紙』

判型:四六判並製カバー装

頁数:208頁

定価:2,400円(税別)

ISBN978-4-86629-173-4

 

手紙は私信である。本来は世に出るものではない。

だが、直情であり、赤裸々であるがゆえに作歌の本質が覗く。

心のありよう、文学に対峙する真の姿勢が

巨大な火焔となって、メラメラと創造の虚空へ立ち昇る。

茂吉の厖大な手紙の量がそれだ。

斎藤茂吉記念館館長が熱く紐解く、茂吉という歌人の素顔。

 

<八人への手紙>

永井ふさ子への作歌助言

青年・哀草果への直言

才媛・杉浦翠子への場合

助力者・山口茂吉への親書

熱き血の歌人・原阿佐緒への便り

若き編集者・門人・佐藤佐太郎への書簡

最後の女流門人・河野多麻への手紙

次男宗吉・北杜夫への父の書状

 

 


後藤恵市歌集『冬の満月』

判型:四六判上製カバー装

頁数:262頁

定価:2,600円(税別)

ISBN978-4-86629-175-8

 

寒満月の皓々と照る舗道を、

酒臭い初老の男がコートの襟を立て歩いていく。

口ごもりつつ吐き続ける言葉が聖なる韻律を呼び寄せる。

悲哀あり、風刺あり、諧謔あり、そしていくばくかの艶もある。

この表現者の孤独に予祝の盃をかかげるのは果たして誰なのか。

 

第三歌集。

 

 

電車にてをみなごと指触れ合へばその温もりをポッケにしまふ

 

ゆめのなかでかげふんじやつた目覚むれば己の影は絶えて踏まれず

 

夕焼けを小脇にかかへ持ち帰り豆腐に和へて酒のあてとす

 

片恋の砂かむやうに滲み出でとほき思ひの八重桜さく

 

青天を核融合の星ひとつ白く滾りて地上を照らす

 

 


「短歌往来」2020年4月号

850円(税込)

 

半年間 5100円(税込)

1年間 10200円(税込)

 

▼目次▼

 

〇巻頭作品 21首

閑夢/梅内美華子

 

〇特別作品33首

からんどりえ/渡 英子

鬼の去る夜/岩内敏行

 

〇一ページエッセイ

遠い人、近い人ー帰らぬ父親/島田修三

ニューウェーブ歌人メモワールー詩歌のレイアウト/加藤治郎

うたの小窓からー前登志夫合評/田中教子

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【特集】天変地異を詠む

 

◇特集評論

天地の間/真中朋久

災害の影響を受けた和歌/梶間和歌

 

◇作品十首+エッセイ

ひとも街もこゑも/松本典子

また春が来る/生田亜々子

忘れ また刻む/小林優子

やなぎの橋/熊谷龍子

人災の危機/運天政德

熊本地震/大友清子

西日本豪雨/小寺三喜子

歳月のこと/クリシュナ智子

濃くなるばかり/三原由起子

災害 百浦添/許田邦子

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

〇作品7首

泡/蒔田さくら子

もろもろの恩/秋葉四郎

雲のうた/桜井登世子

冬/甲村秀雄

太ももの翼/東 直子

雨/小笠原和幸

目を閉ぢながら/佐藤恵子

夜の断唱/西勝洋一

桃の枝/秋山佐和子

春日回想/柳 宣宏

大山寺/日向海砂

妻のDNA/米山髙仁

遠世のひと/豊岡裕一郎

 

〇新・自然を詠む・撮る・描く

伊根湾の音/高田ほのか

 

〇作品13首

新年/狩野一男

悪の現場さへうつくしく/阪森郁代

アジアでいちばん綺麗なモスク/畑 彩子

ソフトせんべい/天野 匠

一歳上る/小潟水脈

天井を向く/中島裕介

楽園の彼方へ/長谷川と茂古

桜花揺曳/小山常光

夕べの雲/南 鏡子

藍の国から/山本枝里子

呉にて/福島久男

毛茸/清水正人

 

〇作品8首

石垣島にて/木村よし子

歳旦祭/白倉一民

ひゃく/片山 紫

さび色のひまはり/滝沢 章

一歳児/金澤和剛

微積分少年/佐藤成晃

地下道/佐藤邦子

横須賀・横浜/斎藤和子

墨との日日/丸山正文

母は際まで/秋葉静枝

 

 

 

〇結社の顔

醍醐/山田悦子

 

〇今月の視点

教室カースト/上村典子

 

〇今月の新人

袖/小早川 翠

 

 

▼連載

〇<歌・小説・日本語>

山上憶良あれこれ/勝又 浩

 

〇世界を読み、歌を詠む

戦争責任(上)/坂井修一

 

〇再訪八木重吉

初期詩稿の森を歩く/三枝浩樹

 

〇玉城徹を読む

麤皮/恩田英明

 

〇浪々残夢録

政治家の短歌/持田綱一郎

 

〇時言・茫漠山日誌より

没後十年の歌/福島泰樹

 

〇<名画と名歌>

日本人の好きなオードリー・ヘプバーン/丹波真人

 

▼新刊歌集歌書評

山村泰彦歌集『三余荘の歌』/内藤 明

島崎榮一歌集『小雅』/玉井清弘

坪内稔典歌集『雲の寄る日』/藤原龍一郎

沢口芙美歌集『秋の一日』/小黒世茂

齋藤芳生歌集『花の渦』/駒田晶子

村田光江歌集『記憶の風景』/押切寛子

 

〇作品月評ー二月号より/田中拓也

 

〇評論月評/石川幸雄

 

〇全国往来情報

〇編集後記

 

表紙作品/「キッチンの魚」松木秀一

本文カット/浅川 洋

 

 

 

 

 


園田昭夫歌集『少しだけ苦い』

判型:四六判上製カバー装

頁数:188頁

定型:2,500円(税別)

ISBN978-486629-162-8

 

十七歳の神無月こそわすれまじわが生き方を決めし浅沼さん

 

比例選挙名簿にわれの名載りて人の妬みの深さ知りぬ

 

ふたつみつ疫病かかえ古稀となる明日は明日同行二人

 

悪性の腫瘍と告げる意志の顔励ます声は翳りをもちて

 

先生ほど九条を愛した人はいない九条歌人岩田正罷る

 

 

 

歌集『少しだけ苦い』には、苦労を重ねた父母、伯母の被爆による隠れるような暮らしなど、戦後の暮しの位相、若く経験した魑魅魍魎の政治の世界、そして知った啄木の短歌。一度は「政治」と手を切り、それらを振り切るために出た遍路。これらはこの歌集の根幹にかかわっている。短歌への出発時からの歌のモチーフ、社会との関連性、幻滅して政治を離れてなお社会矛盾の多さに再度運動へ戻ってゆく日々を通し太らせた軌跡が色濃く歌われる。それは戦後を生きた園田昭夫の内面を語っている。                    ー田村広志 帯文ー

 

 

 


「短歌往来」2020年3月号

1冊850円

1年間10,200円

半年間5,100円

 

<目次>

〇巻頭作品21首

祈り/香川ヒサ

 

〇特別作品33首

移動祝祭日/谷岡亜紀

母に還る/高島裕

 

〇連載 一ページエッセイ

遠い人、近い人ー二人はいる/島田修三

ニューウェーブ歌人メモワールー喩の旅/加藤治郎

うたの小窓からー前登志夫合評/田中教子

 

◇評論21世紀の視座

『水葬物語』の生成②/江畑實

 

【特集】アンケート2019年のベスト歌集・ベスト歌書

 

①2019年に刊行された優れた歌集歌書を3冊あげ、それぞれの歌集から秀歌をひいてください。

②歌集歌書、あるいは2019年の収穫について自由にコメントしてください。

 

▼回答者

糸川雅子、今井千草、大崎安代、川田茂、河野小百合、後藤恵市、小林敦子、小林幹也、笹公人、田宮朋子、田村広志、永井正子、中野昭子、平山公一、本田一弘、三井修、森藍火、盛岡千賀子、山田吉郎、加藤英彦、千々和久幸、綾部光芳、大熊俊夫、貝沼正子、塚本諄、今井恵子、富田睦子、宇田川寛之、藤野早苗

 

〇作品7首

音/松永智子

九十歳の記憶/川口城司

抱擁/都築直子

電話詐欺/田野陽

太き虹顕つ/浜田康敬

風呂敷/小野雅子

白鳳の仏/久保田登

雑司ヶ谷歳晩/釜田初音

生き継ぐ日々/大橋栄一

家じまい/吉村明美

ひとりぐらし/宇都宮とよ

 

〇新・自然を詠む・撮る・描く

風待ちの翼/宮原勉

 

〇追悼ー清田由井子

清田由井子さんを追悼して/高嶋和惠

 

〇作品13首

傘/伊勢方信

中央線沿線/押切寛子

二月の入り江/岩尾淳子

日々移ろいゆく/小熊正明

お節介/松谷東一郎

空の雫/滝下惠子

幻の門/島 晃子

美術館/比留間澄子

三文安い/田中薫

 

〇作品8首

みどりの画帖/田中伸治

シマネトリネコ/中沢玉恵

遥かなり/前田宏

母は/山下敬子

たかが雨/楜澤丈二

百年/池田裕美子

夢のあとさき/松本高直

また会いましょう/藤森あゆ美

麦踏み/柳蒼柳

 

〇今月の視点

短歌と共に生きる/下村すみよ

 

〇今月の新人

配役:娘A/桜望子

 

〇新刊歌集歌書評

福島泰樹歌集『亡友』/田中綾

香山静子歌集『銀の莟』/小島熱子

桑原正紀歌集『秋夜吟』/上條雅通

熊谷龍子歌集『葉脈の森』/清水亞彦

佐佐木定綱歌集『月を食う』/水原紫苑

由田欣一歌集『酔生夢死』/武田弘之

井野佐登歌集『自由な朝を』/彦坂美喜子

佐藤邦子歌集『鈴鹿嶺』/喜多弘樹

 

 

▼連載

〇結社の顔

覇王樹/佐田公子

 

〇<歌・小説・日本語>

現代の歌物語/勝又浩

 

〇世界を読み、歌を詠む

イサクの燔祭/坂井修一

 

〇再訪八木重吉

初期詩稿の森を歩く/三枝浩樹

 

〇玉城徹を読む

白秋・牧水・徹の富士/恩田英明

 

〇浪々残夢録

源氏物語とオカルト/持田綱一郎

 

〇時言・茫漠山日誌より

無頼の墓/福島泰樹

 

〇名画と名歌

絢爛たる美貌<月丘夢路>/丹波真人

 

〇作品月評

一月号より/大松達知

 

〇評論月評/石川幸雄

 

〇全国往来情報

 

〇編集後記

 

 

 

 

 

 


熊田邦子歌集『予祝の雪』

判型:四六判上製カバー装

頁数:266頁

定価:2600円(税別)

ISBN978-4-86629-172-7

 

互いを思いやりながらの穏やかな日常生活が、しだいに壊されてゆく。

まだまだ遠い先のことと思っていた<その時>…。

事実を事実として受け止め、静かに立ち向かって行く作者の凛とした姿勢故に、一首一首の内包する悲しみは深く、読者の胸に響く。

 

平林静代「序」より

 

 

 

十月のジグソーパズルの終片を収むるごとくコスモス咲きぬ

 

老職人はわが足の甲をひと撫でし草履鼻緒の長さを決めぬ

 

葦焼けてかぐろき原を覆ふまで予祝の雪よこんこんと降れ

 

癒ゆるなき夫につけつけもの言ひてあかるき秋のひと日うしなふ

 

若き日に君と通ひし古書店の前で待ちなむ先に逝きなば

 

 

 


筒井幸子歌集『ならやまの月』

定価:2500円(税別)

判型:四六判上製カバー装

頁数:182頁

ISBN 978-4-86629-166-6

ふるさとと呼ぶにはあはき東京をすぎてゆくとき橋のきらめく

 

晩年、先師前登志夫はよく言っていた。

「詠み人知らずの趣がいい」とー。

折々は古典の世界や師の言葉に立ち返り、

これからも筒井幸子さんの詠み続けるであろう。

自然との言問いを通して言葉を紡ぐこと、

それは自らの帰る場所を知ることに他ならない。

           /遠山利子「解説」より

 

 

 

春日野に群れゐる濡れし眼のうなゐ乙女が秋をつれきぬ

 

青草の宮址の空にひばりあがり歩いても歩いてもたどり着けない

 

塩壺にしほが減りゆく毎日を塩を充たしてまた最初から

 

木枯しの夕べ空ゆく黄の蝶を見たといふ子の手をひき帰る

 

とろとろと小豆煮てゐるいちにちの箸でつまめばくづるるわたし

 

 

 

 


三平忠宏歌集『館山』

判型:四六判並製カバー装

頁数:170頁

定価:2,000円(税別)

ISBN978-4-86629-170-3

 

房総の館山生れ。ひとたびは故郷を出て、

職を終えて帰郷。

海山のまばゆい陽光。一揆もあった。

終戦間際の緊迫感も体験した。

歌を詠むことで手繰り寄せられる

忘却の時間は、かなしみの形象だ。

安房びとの心は、敬虔な伝承者のように

歴史と社会と風景に向き合う。

 

 

明治より首都防衛の要塞を築きゐしとぞ東京湾の口

 

ひとつづつ枇杷に袋を被するは百年前の安房にて始めぬ

 

雲間より抜けし冬陽は大島に溶接アークを浴びせるごとし

 

燃え尽きし柴燈の燠を丸太にて叩きならせり火渡りの道

 

海に臨み空気の澄める館山は結核患者の療養地なりき

 

 


短歌往来2020年2月号

850円(税込)

 

<目次>

 

〇巻頭作品21首

諏訪湖畔また諏訪大社/奥村晃作

 

〇特別作品33首

三月生まれの鼠/花山多佳子

初の子年を/池田はるみ

 

〇一ページエッセイ

遠い人、近い人ー先生様/島田修三

ニューウェーブ歌人メモワールーいつも四人で/加藤治郎

歌の小窓からー短歌の翻訳について/田中教子

 

■評論21世紀の視座

今どきのおもしろい歌/藤島秀憲

 

【特集】

オメデトウ子年生まれの歌人

〇作品6首+エッセイ

波の音/石田照子

ひかり集めて/木原美子

獲物を探しに/冨岡悦子

暦日/城俊行

ねむの木/袴田ひとみ

土へ還す/原田治子

深呼吸せよ/本渡真木子

ねずみの狂奔/伊波瞳

三角公園/小黒世茂

第一の幸/碇博視

昨日のフリッツ・クライスラー/峰尾碧

護り神/前田えみ子

 

めでたく終はれど/亞川マス子

最後の子年/青木信

志野の湯飲み/伊野佐登

鼠草紙/寒野紗也

西空/若松喜子

短日/鷲尾三枝子

宇宙の一等地/福留サク子

子年万感/滝口節子

冬菫/松田久惠

りんご届く日/森藍火

銀鼠色の冬/岡田悠束

 

〇作品12首+エッセイ

人みな走る/松村由利子

化学を支ふ/真鍋正男

童話/横山未来子

白頭ねずみ/桑原正紀

天敵/髙島壽美江

観覧車/馬場昭徳

キャンディポケット/石川浩子

そんなもんじゃ/小塩卓哉

猫に用心/竹内由枝

川の汀/大辻隆弘

子年の歩み/村山美恵子

細き指/三井修

藪椿の赤/影山美智子

見つめゐたりき/岡崎洋次郎

あか/小川佳世子

モンタナ松/押山千恵子

後斎所街道/高木佳子

夢の台湾/福島久男

 

■新・自然を詠む・撮る・描く

過ぎゆく刻/王紅花

 

■連載ー<名画と名歌>

黄金のコンビ ソフィアローレンとマルチェロ・マストロヤンニ/丹波真人

 

■連載ー<歌・小説・日本語>

浅沼璞『途中録』の不意打ち 勝又浩

 

■連載ー世界を読み、歌を詠む

時空の旅を超えて/坂井修一

 

■連載ー再訪八木重吉

初期詩稿の森を歩く/三枝浩樹

 

■連載ー玉城徹を読む

富士と愛鷹と/恩田英明

 

■連載ー浪々残夢録

BC級戦犯の歌/持田鋼一郎

 

■連載ー時言・茫漠山日誌より

歳晩の歌/福島泰樹

 

■今月の視点

新人賞への期待/君山宇多子

 

■今月の新人ー作品5首

サプライズケーキ/山田恵子

 

■新刊歌集歌書評

篠弘歌集『司会者』/来嶋靖生

波汐國芳歌集『鳴砂の歌』/中根誠

加藤治郎歌集『混乱のひかり』/魚村晋太郎

田中拓也歌集『東京』/生沼義朗

尾崎まゆみ著『レダの靴を履いて』/加藤英彦

久々湊盈子歌集『麻裳よし』/春日いづみ

衛藤弘代歌集『窓辺の時間』/長澤ちづ

小島熱子歌集『時時淡譚』/真中朋久

田中薫歌集『土星蝕』/小島ゆかり

山下敬子歌集『星の天蓋』/森本平

小熊正明歌集『石を蹴りつつ』/山中律雄

 

■作品月評ー12月号より/大松達知

■評論月評/石川幸雄

■全国往来情報

■編集後記

 

表紙作品/「雪の日」松本秀一

本文カット/浅川洋

 

 

 

 

 


丸山順司歌集『チィと鳴きたり』

判型:四六判上製カバー装

頁数:170頁

定価:2,500円(税別)

ISBN978-4-86629-168-0

 

 

ものを見るとは自らのこころを見ること。

そんなつぶやきが風景の向こうから聴こえる。

悠々として自在。日常が詩となる瞬間に、

歌人はいくつものまぼろしに遭遇し言葉を吐き続ける。

 

第一歌集。

 

 

 

 

かなしきは夢に来る母 痛む膝おして夜道を帰りゆきたり

 

蜘蛛の巣にかかれる蟬のもがきつつ飛び去りしときチィと鳴きたり

 

つぶやきのごとくさざなみ光りをり夜の漁港に人影もなく

 

言ふなればちりめんじやこの一匹の気概といつたものかも知れぬ

 

午睡より醒めて抹茶を啜りをり曇れる空に虹見るごとし

 


佐佐木幸綱歌集『テオが来た日』

定価:2500円(税別)

判型:四六判上製カバー装

頁数:200頁

ISBN 978-4-86629-169-7

 

タイトルは、わが家にいる雄犬・テオに由来する。家の中で飼っていて、寝室も一緒なので、まあ家族の一員のような感じである。息子たち二人が独立して行ったので、この家にはいま人間が二人しかいない。言ってみれば、三人家族のような暮らしをしている。                                              --あとがきより

 

 

 

ウイスキーに氷を入れて振る音におやっと見上げ再びねむる

 

全力で走りきてターンするときに腰がよろめく幼きゆえに

 

今年生まれのテオが今年の百合に逢う安保法制に人さわぐ日を

 

大ぶりの百合咲きたれば花の揺れにじゃれながら雄蘂の黄に染まるなり

 

白い頭の毛が黄に染まり黄の頭ふりながらわが膝に乗り来る

 

 


「短歌往来」2020年1月号

表紙作品/「南天の実」松本秀一

本文カット/浅川 洋

定価 850円(税込)

 

<目次>

▼巻頭作品21首

餅と池/日高堯子

 

▼特別作品33首

じねぇんと/本田一弘

静かな空洞/佐伯裕子

 

▼一ページエッセイ

遠い人、近い人ースケルトンとブロンド/島田修三

ニューウェーブ歌人メモワールー前衛短歌の継承/加藤治郎

うたの小窓からー短歌の翻訳について/田中教子

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【特集】現代うた枕 海外篇

▼特集評論

ダブルイメージとしての歌枕/小塩卓哉

フランスの地はどう短歌に詠まれてきたか/服部崇

オーストリアー鎮魂と歌枕ー/田中教子

 

▼作品+エッセイ

アリゾナへ一路/青木泰子

コチェラバレー/中條喜美子

メトロポリタン美術館/悦子ダンバー

スカイトレイン/鵜沢 梢

ロンドン塔/渡辺幸一

Winchester Cathedral/野間和子

古都タブリーズ/爲永憲司

茜雲/西田リーバウ望東子

ヴェルコール/石田郁男

舗石の坂/工藤貴響

12月のソウル/カン・ハンナ

門/小佐野 弾

里瓏の山/イスタダ・アリーマン

王宮の雨/森上美恵子

キャンベラ/小城小枝子

ボスプラス・ダーダネルス/千種創一

時空の旅BULGARIA/北久保まりこ

西貢/梅原ひろみ

マリーナ湾/大森悦子

インダス川/クリシュナ智子

tsunami/本多 稜

ウズベキスタン/栗明純生

ナーガ(蛇神)/牧 雄彦

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

▼作品7首

古墳の白鷺/前川佐重郎

二つの神/米川千嘉子

沈黙/真鍋正男

家康と塩瀬/池田はるみ

災害塵/志垣澄幸

水を飲む/木村雅子

玉の井の/藤島秀憲

ステンドグラス/中川佐和子

歌集/五十嵐順子

 

▼作品13首

街道沿い/荻本清子

現世の父/田中拓也

啄木の父/梶田順子

おもしろい/山下 翔

すずめ食堂/久保美洋子

舞い果せしか/いずみ司

姥少女/大友清子

雲の蛇口/柿本希久

ロトの妻/平石眞理

父倒る/荒井直子

 

▼作品8首

忘れ物を/永谷理一郎

辻褄/小原文子

夕暮れの香り/武田素晴

けふの一分/三輪良子

金色の鳩/北岡 晃

猫、別れ/多賀陽美

限界集落/江川孝雄

ゆめの酔ひ/宮下俊博

 

▼特別寄稿

「令和」と万葉集の時代/辰巳正明

 

▼連載

結社の顔

星雲/村松秀代

 

<歌・小説・日本語>

寺山修司と伊藤裕作/勝又 浩

 

世界を読み、歌を詠む

ハムレット/坂井修一

 

再訪八木重吉

初期詩稿の森を歩く/三枝浩樹

 

玉城徹を読む

沼津窮港/恩田英明

 

浪々残夢録

ドナルド・キーンの戦後短歌観/持田綱一郎

 

時言・茫漠山日誌より

第32歌集『亡友』出版記念コンサート/福島泰樹

 

<名画と名歌>

フランスの名花 カトリーヌ・ドヌーブ/丹波真人

 

▼今月の新人

軌道/貝澤俊一

 

▼今月の視点

何をどう詠むか/仲程喜美枝

 

▼新刊歌集歌書評

小池光歌集『梨の花』/鵜飼康東

花山多佳子歌集『鳥影』/松本典子

松村正直歌集『紫の人』/高島 裕

伊藤一彦著『歌が照らす』/吉川宏志

水原紫苑著『春日井建』/大辻隆弘

十鳥敏夫歌集『晨光』/村島典子

三井 修歌集『海抱石』/齋藤芳生

島 晃子歌集『天上の森』/永井正子

桜川冴子歌集『さくらカフェ本日開店』/川本千栄

中沢玉恵歌集『ゆずり葉』/秋山佐和子

比留間澄子歌集『家族』/岡崎洋次郎

江國 梓歌集『桜の庭に猫を集めて』/上村典子

 

▼作品月評

11月号より/大松達知

 

▼評論月評

石川幸雄

 

▼全国往来情報

 

▼編集後記

 

 

 

 

 


坪内稔典歌集『雲の寄る日』

判型:A5判変型上製カバー装

頁数:146頁

定価:2400円(税別)

ISBN978-4-86629-165-9

 

 

いつも傍らに誰かいる。河馬が、女性が、自分という他者が。そっと、やさしく、ささやきかけるように歌を詠む。真剣に。寂しくはない。底抜けに明るく楽しい、謎めいた世界の住人へ。

さあ、ひととき言葉すら忘れて、風の吹くままにまかせて歌おう。

 

 

 

ねんてんという俳人がころがってあの冬瓜になった、おそらく

 

河馬だっておしゃれなんだよころがって秋の日差しのかたまりになる

 

応仁の乱のさなかの三月の桜のつぼみ、みたいだ、あなた

 

水張ると田んぼに空がすぐ戻るそんな感じだあいつのキスは

 

草を引く老後を夢にしていたがむしろだんだん草になりたい

 

 


島崎榮一歌集『小雅』

版型:A5版上製箱入り

頁数:176頁

定価:2,500円(税別)

ISBN978-4-86629-164-2

 

 

円熟の第14歌集!

A5版の箱入り、タイトルが空押し加工で、とても品のあるデザインです。

 

すべてはおのずから……そうつぶやく。

身めぐりの草や花や木々を、そして鳥たちを愛でる。

はや八十代に入ったこの老いの人生に、

さまざまな生の陰影や色彩を持ち来るものたちよ。

わたしの命とは朽ちた木の葉の一枚、寒がりの尺取虫だ。

 

 

風の日のかれあしむらの中心に石ありいしは馬頭観音

 

黒ぐろと内臓透きて蝌蚪およぐ朝の水田に手を清めたり

 

戦争の日の寂しさをつれてくる夕日の赤をけふは憎みぬ

 

葉おもてにのりて暫くゆれゐしがわが感情は夕べ波打つ

 

柿落葉つもれる上に風が来て家族だんらんのごときその声

 

 

 


山村泰彦歌集『三余荘の歌』

定価:2700円(税別)

判型:A5判上製カバー装

頁数:194頁

ISBN978-4-86629-163-5

 

 

 

メモをとっても歌になる。人と会っても歌になる。

感情を抑えて淡々と自らの人生の見聞を歌に詠む。

小児科医として長く小さい命と向き合ってきた。

いま、老いと向き合う。そして老いの華やぎの中に在る。

 

 

 

残雪を踏みて幼き子と母が医院目指して歩み来る見ゆ

 

あるがままに唯あるままに歌ふべく清水房雄はつとめ来しとぞ

 

理由などなけれどアオウキクサの浮く池に飛びこまむかと一瞬気負ふ

 

いづこから来しや小さきむささびが池の端にて水飲みてをり

 

終戦の翌年なりき離ればなれの家族揃ひて樺焚きけり

 

 

 

 

 


村田光江歌集『記憶の風景』

定価:2500円(税別)

判型:四六判上製カバー装

頁数:240頁

ISBN978-4-86629-155-0

作品はみな現実を直視し説得力がある。

歌集には忘れ得ぬ記憶のさまざまが濃密に刻記され、語り継ぐべき風景や人との関係や少女期に体験した戦争の苦しみ等が確実に残されている。影山美智子「跋」より

 

 

 モ デ ラ ―

模型製作者を名のるわが子は異星人屋根裏に棲み日暮れまで寝る

 

息子三人兵に征かせし母の肩玉音に哭きてふるえやまざり

 

少年のごとき声して征きし兄野太き声となりて帰還せし

            なりわい

いだかれて撮らるることが生業のコアラ無表情にわれを見返す

 

梅並木は桜並木に負けず美し力みなぎる枝天をつく

 

 


「短歌往来」2019年12月号

定価850円(税込)

 

<目次>

▼巻頭作品21首

流星の文字/小島ゆかり

 

▼特別作品33首

イヤーワーム/鈴木陽美

はらからの貝/田中教子

 

▼一ページエッセイ

遠い人、近い人ーひばりちゃん/島田修三

ニューウエーブ歌人メモワール㉓-前衛短歌に口語を/加藤治郎

うたの小窓からー短歌の翻訳について①/田中教子

 

▼評論21世紀の視座

「父の娘」たちへ/藤野早苗

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【特集】題詠による詩歌句の試み 17 -街ー

▼作品+小歴

主題の中で/貞久秀紀

街の灯/小池 光

生地東京都本郷疎 疎開地栃木県黒羽町 現在地東京都本郷/黒田杏子

哀鳥記/井坂洋子

電話ボックス/俵 万智

にほひ/櫂 未知子

さまよひの街のわたくしは……/野村喜和夫

鎌倉という街/大下一真

駅前広場/山西雅子

一つの街に/中本道代

坂の下、坂の上/花山多佳子

待つわ/坪内稔典

クロスワードの都市/竹田朔歩

過剰な街/松岡秀明

街/大井恒行

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▼新・自然を詠む・撮る・描く

久比岐秋景/松田愼也

 

▼作品13首

厨に想う/下村道子

径/江田浩司

風のままに/飯沼鮎子

呪文はアンパンマン/谺 佳久

針葉樹/河野小百合

影を売らうぞ/水城春房

半島の日々/植岡康子

小年/原 佳子

天国的に白いてぬぐひ/上條素山

 

▼作品8首

かすかに揺れる/冨岡悦子

そのままのうち/小石雅夫

まちゆぴちゆ/松田一美

例大祭/村田 馨

木曾路のほうば餅/関アツ子

嵐が過ぎて/関谷啓子

卒哭忌/久保庭紀恵子

マイツリー/内田いく子

ぐうぜんの花/塩川郁子

 

▼シリーズ歌人回想録ー稲葉京子

小歴/大塚寅彦

稲葉京子のうた50首抄/菊池 裕

不可思議との回路/大塚寅彦

 

▼連載

結社の顔ー未来山脈/中西まさこ

 

<歌・小説・日本語>ソープ百人一首/勝又 浩

 

世界を読み、歌を詠む

ホロメス/坂井修一

 

再訪八木重吉

沼津窮港へ/恩田英明

 

浪々残夢録

宣長理解の新境地/持田綱一郎

 

時言・茫漠山日誌より

バリケード・一九六六年二月/福島泰樹

 

<名画と名歌>

天国に結ぶ恋/丹波真人

 

▼今月の新人 新作5首

しあわせを食べた/太田 蘭

 

▼今月の視点

八年のいう時間/後藤由紀恵

 

▼新刊歌集歌書評

藤岡武雄歌集『人生の川』/冨樫榮太郎

坂井修一歌集『古酒騒乱』/山田富士郎

川野里子著『葛原妙子』/寺尾登志子

いずみ司歌集『もう一杯のスープ』/奥村晃作

福田淑子著『文学は教育を変えられるか』/依田仁美

永田 淳著『河野裕子』/恒成美代子

生沼義朗歌集『空間』/大井 学

大友清子歌集『すゑひろがり』/楠田立身

 

▼作品月評ー十月号より/大松達知

 

▼評論月評/石川幸雄

 

▼全国「往来」情報

 

▼編集後記

 

 

表紙作品/『桝』松本秀一

本文カット/浅川 洋

 

 

 

 

 


由田欣一歌集『酔生無死』

定価:2500円(税別)

判型:四六判上製カバー装

頁数:220頁

ISBN978-4-86629-160-4

 

                     お     い   ど

御居処とふ古びし言葉思ひ出す

ふつくらどしり鏡餅坐す

 

御居処とは尻のことで、女性が用いた用語という。

「おんいどころ」とも言うらしい。

老境に達した方の経験から生まれたユーモアであろうか。

 

晋樹隆彦 跋より

 

 

 

春愁のあつまり易きゐさらひの鞣してをりぬ春のふらここ

 

啓蟄の土の中より這ひ出でて出たとこ勝負の百万の虫

 

家持の国府に生れしひばりの子 弥生の空はお前のものだ

 

草まるめ鍬を洗へば遠くより馬の匂ひのたすがれが来る

 

流れくる桃を百年待つやうに酔生無死と生きてゆきたし

 

 

 

 

 

 


「短歌往来」2019年11月号

定価:850円(税込)

<目次>

 

◎巻頭作品21首

故もなく/来嶋靖生

 

◎特別作品33首

一直線に酔ふ/萩岡良博

光背/小林幸子

 

□一ページエッセイ

遠い人、近い人ー間抜けの実在/島田修三

ニューウェーブ歌人メモワールー出版記念会という出発/加藤治郎

うたの小窓からー短歌と修辞の本来の関係/田中教子

 

◎評論シリーズ 21世紀の視座

『水葬物語』の生成/江畑 實

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【特集】ふるさとを詠う

 

◎評論

「ふるさと」の歌/田中章義

 

◎作品10首+エッセイ

益城/楠田立身

父島/井口世津子

長崎・佐世保を詠う/島内景二

残響/鶴田伊津

サラマンダー/三井 修

まひまふつぶろ/中川 昭

アカシアの岡/香山静子

茨城筑波/五所美子

わが母語琉球語/伊良部喜代子

吹田市麦酒町/黒岩剛仁歌集

春来れば行く/五十嵐順子

蜘蛛合戦/石田照子

群馬県藤岡市浄法寺/御供平佶

相馬野馬追ひ/君山宇多子

おらほの自慢/吉宗紀子

ふるさと島根をうたう/福原美江

モーリオ/大西久美子

なんのよ/久保とし子

とっぱずれ/田村広志

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

□新・自然を詠む・撮る・描く

産土の杜/藤室苑子

 

◎作品7首

揺れ/久泉迪雄

吉/宮原望子

銀の言葉/永平 緑

鴉/石井利明

ガラスペン/松本典子

雉鳩いない/木下孝一

杖と傘/小石 薫

プロントザウルス/後藤恵市

飛ぶ/有沢 螢

遠き夏の日/加藤和子

 

◎作品8首

母の車イス/水門房子

退職前夜/宮尻 修

朝がゆ葛あん/岩井幸代

トロントからモントリロールへ/秋葉雄愛

フラメンコ初ライブ/鈴木恒子

ゲルニカ/三宅徹夫

とこしへの川/髙木絢子

平和であれかし/沢木奈津子

ドア閉めて/中村雅子

秋立つ頃/大久保暁枝

 

□追悼ー橋本喜典

老いの深淵/今井恵子

 

□連載ー結社の顔

音/造酒廣秋

 

□連載ー<歌・小説・日本語>

実朝(三)/勝又 浩

 

□連載ー世界を読み、歌を詠む

選択/坂井修一

 

□連載ー玉城徹を読む

沼津移住をおもう/恩田英明

 

□連載ー再訪八木重吉

初期の詩稿の森を歩く/三枝浩樹

 

□連鎖ー浪々残夢録

本居宣長と日本近代/持田綱一郎

 

□連載ー時言・茫漠山日誌より

黄金の秋/福島泰樹

 

□連載ー<名画と名歌>

ふたりの歌人のサッチャー像/丹波真人

 

◎今月の新人ー作品5首

アイ・アム・ア・カメラ/福田真郷

 

□今月の視点

書物としての歌集について/柾木遙一郎

 

□新刊歌集歌書評

下村道子歌集『海山に聴く』/糸川雅子

古谷智子歌集『デルタ・シティー』/黒木三千代

田中教子著『斎藤茂吉』/秋葉四郎

今野寿美著『森鴎外』/丸井重孝

佐佐木頼綱著『佐佐木信綱』/加藤英彦

平石眞理歌集『ラクリモーサ』/木村雅子

原 佳子歌集『空ふたたび』/高木佳子

笹本 碧歌集『ここはたしかに』/清水あかね

知花くらら歌集『はじまりは、恋』/野口あや子

佐竹キヌ子歌集『盆地霧』/森川多佳子

 

□作品月評ー9月号より/大松達知

□評論月評/石川幸雄

□全国❛往来❜情報

□編集後記

 

 


小潟水脈歌集『時時淡譚』

定価:2500円(税抜)

判型:四六判上製カバー装

頁数:172頁

ISBN978-86629-154-3

日常は雫。滴る時間の一滴一滴。

意匠をこらさず、衒わず、事物の実相に迫る。

この歌びとがシニカルに見つめるさまざまな日常、社会。

時には歌を詠み棄てるように、あるいは歌を抱きかかえるように。

 

対岸の炎は川原に棲む人の焚く火と知りぬ橋を渡りて

 

兎ひとつ座れる形にレジ袋ベンチにありて夕暮れてゆく

 

ホール出口に向かふ横顔靴脱いで会ふことはなき人と思へり

 

酒の空き缶ゴミ出し一回分たまる実質これは恋ではないな

 

「くれなゐ」は旧仮名が好し春寒の固き口紅筆先に取る

 

 


衛藤弘代歌集『窓辺の時間』

定価:2200円(税抜)

判型:四六判並製カバー装

頁数:162頁

ISBN978-4-86629157-4

父が逝き、母が逝き、たいせつな友人たちを失った歳月。

そして、最愛の夫の昇天。子どものいない衛藤弘代さんにとって過酷な日々の連続であった。うたうことによってかろうじて自らを支えていた魂の記録の第三歌集。―恒成美代子 帯文

 

浅野川女なる川その川辺歩み行きしか泉鏡花は

 

夏の力残す西日に射抜かれて茶房セピアの窓辺の時間

 

野沢菜の花咲く畑を漕ぐように歩きてゆきけり夫よ夫よ

 

木曽奈良井鳥居峠の栃の実を並ぶる窓辺に秋の日は澄む

 

思い出づるみな青春につながるをなかんずく金沢の雪の片町

 

 

 


山下敬子歌集『星の天蓋』

判型:四六判上製カバー装

頁数:184頁

定価:2500円(税別)

ISBN978-4-86629-156-7

 

 

第二歌集!

 

わたくしが生まれてわたくしが母となる星の天蓋若草の原

 

青森の地霊が騒ぐ。歴史の時間が堰を切って流れる。

ひそやかな相聞のひびきに雪が舞い、樹木が揺らぐ。

こころを生きる、そう、歌に寄り添いながら星々の樹海へと。

 

 

 

 

クレヨンの左右に揺れて広がれる海のあをいろ子のいのち透く

 

ペンの先より水色のことばあふるるを嘘は美しくあらねばならぬ

 

辛抱づよき愛の花とふ先生の文月二十三日わがあぢさゐの忌

 

雪国の女はくらき恋をする雪女の裔のあかき唇もて

 

いのち繋ぐをとこを繋ぐ黒髪の挿頭の花となれや夕焼け

 

 


「短歌往来」2019年10月号

定価 694円(税抜)

<目次>

◎巻頭作品21首

令和元年口語諷詠/鵜飼康東

 

◎特別作品33首

寄り合いて/糸川雅子

月出帯蝕/尾崎まゆみ

 

□連載 一ページエッセイ

遠い人、近い人ー「想い出」やら「かがやき」やら/島田修三

ニューウェーブ歌人メモワールー「フォルテ」創刊と批評会/加藤治郎

うたの小窓からー短歌と修辞の本来の関係/田中教子

 

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【特集】現代うた枕(続)

◎評論ー椿の地名と猿田彦をさるぐ/小黒世茂

 

◎作品5首+エッセイ

近江大橋/小潟水脈

宇治川/安森淑子

住吉大社/熊岡悠子

六甲山/中野昭子

明日香路あゆめば/萩岡良博

熊野古道と藤白神社/𦚰中範生

山上憶良歌碑/池本一郎

大蛇の川/千家統子

倉敷美観地区/小寺三喜子

似島/檜垣美保子

其中庵~洞/上村典子

眉山/山本枝里子

地中美術館/兵頭なぎさ

宇和島城/生田よしえ

櫓時計/中西敏子

英彦山/奥村秀子

吉野ヶ里歴史公園/山野吾郎

眼鏡橋/碇 博視

天草下島西海岸/塚本 諄

守江湾/阿部尚子

青島/堀越照代

桜島/森山良太

「平和の礎」/當間實光

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

□新・自然を詠む・撮る・描く

リアスの海/山口明子

 

◎作品7首

初夏の休み/篠 弘

すでに遥けく/竹村紀年子

希望/伊藤一彦

黄金日車/齋藤芳生

われが眼に/林田恒浩

コンバイン(劇場)/時田則雄

どんぶらどんぶら/中西由起子

祈り/川田由布子

泡/丹治久惠

ヒンドゥー・クシュ/鶴見輝子

 

◎作品13首

杉原一司に逢ひにゆく/林 和清

まま/小川佳世子

赤きハンカチ/久山倫代

七人の侍/桑田靖之

一番札所/久保富紀子

等々力逍遥/岡崎洋次郎

ムンク断章/青戸紫枝

 

◎作品8首

縄文のをみな/小川恵子

切株/甲野順子

和飲/小笠原信之

生き伸びむ/森川和代

清明に/八城スナホ

まじっスか/角 明

空色の爪/畑谷隆子

神住む島と日系人/刀根卓代

 

□歌人回想録ー大滝貞一

小歴/竹安隆代

大滝貞一のうた50首抄/中村キネ 選

「奮迅」を貫いた人/竹安隆代

 

□連載ー結社の顔

表現/結城千賀子

 

□連載ー<歌・小説・日本語>

実朝断想(二)/勝又 浩

 

□連載ー世界を読み、歌を詠む

人類滅亡/坂井修一

 

□連載ー再訪八木重吉

初期詩稿の森を歩く/三枝浩樹

 

□連載ー浪々残夢録

短歌と神学/持田綱一郎

 

□連載ー時言・茫漠山日誌より

さらば、日東拳の灯よ!/福島泰樹

 

□連載ー<名画と名歌>

若く散った二輪の花/丹波真人

 

◎今月の新人ー作品5首

響きなれた喉

 

□今月の視点

外国人の短歌から/間瀬 敬

 

□新刊歌集歌書評

逸見久美著『与謝野鉄幹・晶子研究にかけた人生』/米川千嘉子

尾崎左永子著『自伝的短歌論』/木村雅子

雁部貞夫歌集『子規の旅行鞄』/千々和久幸

永田和宏著『象徴のうた』/内藤 明

黒岩剛仁歌集『野球小僧』/田村 元

江田浩司歌集『重吉』/藤原龍一郎

大口玲子歌集『ザベリオ』/梅内美華子

山口明子歌集『みちのくの空』/後藤由紀恵

高旨清美著『雨宮雅子作品鑑賞 昼顔讃歌』/久我田鶴子

松木 秀歌集『色の濃い川』/嵯峨直樹

 

□作品月評ー8月号より/大松達知

□評論月評/石川幸雄

□全国❛❛往来❜❜情報

□編集後記

 

 

 


中沢玉恵歌集『ゆずり葉』

定価:2500円(税抜)

判型:四六判上製カバー装

頁数:222頁

ISBN978-4-86659-153-6

 

歌がその本来のいのちを輝かせるのは、

さりげない日常の表層に浮かびあがってくる詩的光芒。

そのかすかな息遣いをこころに掬い取った時、

深い憂いを帯びながら、

風景の内側へと分け入っていく。

 

 

しなやかに猫またがせて塀の上のペットボトルは夕かげのなか

 

稜線のやさしくなりて裏八ヶ岳はふところに昼の雲を抱くなり

 

もうわれを呼びすてにする人なくて日本海側師走大雪

 

花を抱き降りたちしところを空広く田を焼くけむり流れていたり

 

 

 

 


小熊正明歌集『石を蹴りつつ』

定価:2500円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:176頁

ISBN978-4-86629-150-5

著者の作品は、おしなべて格調が高く、毅然としてつねに屹立している。ローマン性に富んでひろがりのある作品は、深みゆく老いをしかと見つめて揺らぐことがなく、多くの人を包み込んでくれるような温かさがある。―林田恒浩 帯文

 

雛菊はわが誕生花 ほのぼのと小さき炎のごとく生きむか

 

抱負とはなつかしき言葉を聞くものか答えんとして齡さびしむ

 

人待てばいつも降りくるさらさらとさらさらとアダモの雪が

 

国滅ぶ嘆きをうたふ杜甫の詩 覚えあり八月の炎天の夏

 

ゲルニカはピカソの怒り馬の目に大き涙を流させてなほ

 

友逝きて師もまた逝きて荒涼の野に晩秋の鵙高鳴けり

 


「短歌往来」2019年9月号

9月号 750円(税込)

 

【特集】現代うた枕

短歌が持つ土地に捧げるという役割、限られた地名を詠むという制限の奥にあった平等性など、短歌の大事な部分であらうと思いこの特集を組みました。

 

特集評論は森朝男氏と松村正直氏。そもそもうた枕とは何か、どう発生し古典の中でどう変遷をしたかを森氏に記してもらい、各地を旅されている松村氏には近現代のうた枕の特徴や詠まれ方を記していただいた。寄物陳思の一つであったとは。虚と実の部分など両氏からわかりやすく提示していただいた。

(編集後記より)

 

<目次>

■巻頭作品21首

雨がからむ/黒瀬珂瀾

 

■特別作品33首

のどぼとけ/松川洋子

ヘルンの石狐/長澤ちづ

 

■1ページエッセイ

・遠い人、近い人ー八巻先生のスーツ姿/島田修三

・ニューウェーブ歌人メモワールー銀座のソニービルにて/加藤治郎

・うたの小窓からー短歌と修辞の本来の関係/田中教子

 

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【特集】現代うた枕

■評論

和歌と歌枕/森朝男

現代に生きる歌枕/松村正直

 

■作品6首エッセイ

支笏湖/今川美幸

岩木山/中村キネ

跑を踏む/清水亞彦

交叉する場所/熊谷龍子

歌人の足跡・点描/菅原恵子

小平集落跡/小関祐子

鶴ケ城/米山髙仁

エキスポセンター/浦河奈々

日光東照宮/寺島博子

繭と黒煙/清水篤

荒川/金子正男

青稲穂/田村広志

隅田川/磯田ひさ子

塔と半島/川田茂

萬代橋/田宮朋子

記憶に雨の/平岡和代

白山/橋本忠

恐竜博物館/紺野万里

ジラゴンノ/反田たか子

小諸城址懐古園/永井秀幸

古今伝授の里/清水春美

浜松駅のピアノ/清水正人

恋路ヶ浜/岡本育与

高石垣/城俊行

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■新・自然を詠む・撮る・描く

永遠/森水晶

 

■作品7首

骨/春日真木子

虎落笛/波汐國芳

リテラシー/楠田立身

六本木けやき坂夕景/結城文

芍薬/安藤直彦

無花果/久々湊盈子

淋しくはないか/高山邦男

心象風景/冬道麻子

尊き犠牲/藤田和平

 

■連載ー結社の顔

徳島短歌/日向海砂

 

■連載ー<歌・小説・日本語>

実朝断想/勝又浩

 

■連載ー世界を読み、歌を詠む

昨日の世界/坂井修一

 

■連載ー再訪八木重吉

初めに短歌があった/三枝浩樹

 

■連載ー玉城徹を読む

一寸の思想 一寸の灰/持田綱一郎

 

■連載ー時言・茫漠山日誌より

桶本欣吾死す/福島泰樹

 

■連載ー<名画と名歌>

映画の中の戦争/丹波真人

 

■作品13首

饒舌/山中律雄

新子/矢澤靖江

沖縄/渡辺幸一

やがてどこかで/佐藤よしみ

藍染め銀河/櫟原聰

吉野山/園部みつ江

「黒猫」「ア、秋」/林あまり

大東京/上條雅通

また来ます/梅原ひろみ

梅雨冷えの/京紀子

近所の雀鷹/渡辺泰徳

序曲第3番「夏」変ニ長調/大津仁昭

後楽園/大崎安代

 

■今月の新人ー作品5首

五十二年プラン/小坂井大輔

 

■今月の視点

天狗や神婆に会えなくて/熊岡悠子

 

■新刊歌集歌書評

佐佐木幸綱著『心の花の歌人たち』/島内景ニ

三枝昻之歌集『遅速あり』/佐藤通雅

大野とくよ歌集『あしたに向きて』/白倉一民

川野里子歌集『歓待』/香川ヒサ

温井松代評論集『大岡博の人と愛』/柴田典昭

松村由利子歌集『光のアラベスク』/前田康子

金子貞雄歌集『而今の森』/三井修

中西由起子歌集『夏燕』/渡英子

山野吾郎歌集『百四本の蝋燭』/伊勢方信

久保富紀子歌集『旅行鞄』/松村由利子

 

■作品月評ー七月号より/糸川雅子

■評論月評/江田浩司

■全国‘往来‘情報

■表紙画/高山ケンタ、本文カット/浅川洋

 

 

 


いずみ司歌集『もう一杯のスープ』

判型:四六判上製カバー装

頁数:188頁 

定価:2500円(税別)

ISBN978-4-86629-148-2

短歌の世界へ出立した十八歳の少年は、すでに対象を見据える確かな目と、それを支える柔らかな感情の働きとを兼ね備えていた。

第一歌集『いちょう樹』上梓以来五十余年、ひたすら詠み継いできた日常生活の哀歓が、奥行きのある作品となって、ここにある。

                    野地安伯 帯文

 

 

蟻地獄の底へ底へと滑りつつひたすら探る上向きの岩

 

怖ず怖ずともう一杯のスープ乞うなじむ間もなき職場の昼餉

 

根府川の駅を過ぐれば静かなる夏の光に海広がれり

 

午後の陽を顔いっぱいに受けながら妻か買物下げて上り来

 

乳足りて笑まう赤子は囲まれぬ母とその母そのまた母に

 

 

 

 


田中薫歌集『土星蝕』

定価:2500円(税別)

判型:四六判上製カバー装

頁数:234頁

ISBN978-4-86629-143-7

 

画帖には二十歳の君が描きたる二十歳の私パステル褪せて

 

新木場の荒き潮を眺めをり三十年ともに生き来し人と

 

トマト赫く熟れゐる畑の道をゆく君知らざりし日には戻れず

 

 「人生」は長い時間の橋をわたって見なければ見えない。

「人生」は立ち止まることもできないし、後戻りもできない。

そんな当たり前のことを、この歌集はあらためて実感させてくれる。

「人生」を真面目に生き、「人生」を正面からうたいつづけてきた作者の歌集だからこそと納得させられる。ー佐佐木幸綱

 

 

 

永遠の動体として静止するドガの踊子にも世紀明く

 

昏い空の底なき邃さ見えてくる打上花火の華ひらくとき

 

会ひみてののちの心はいつしんに三十余年恋ひつつ憎む

 

ヘッセの指が殺めしパルテベニヒカゲ 愛執は標本の姿して

 

断捨離の初めの贄としてピアノ我が家を二百キロ軽くせり

 

 

 


島晃子歌集『天上の森』

判型:A5判上製カバー装

頁数:216頁

定価:2600円(税別)

ISBN978-4-86629-146-8

 

第二歌集!

 

社会事情や歴史的背景を踏まえつつ、そこに住む人に寄り添って

自らの肌で感じたことを自分の言葉で表現して詠う。

これからも濃やかな感受性を大切に思索しつつ行動し、

歌をふかめてゆかれるに違いない。

ー長澤ちづ「跋」より

 

 

鍾乳石のような柱が立ち並ぶ天才ガウディの天上の森

 

波荒き三月の海母の眼を背に受けつつ故郷を出づ

 

故郷の春の祭を伝へゐる画面の奥に広がる少女朝

 

みどりごの絶えずうごかすこの柔き手に握らすな銃といふもの

 

往来の音が潮騒に変はるところ此処より吾の海が始まる

 

 


大友清子歌集『すゑひろがり』

判型:四六判上製カバー装

頁数:164頁

定価:2500円(税別)

ISBN 978-4-86629-147-5

異界の夜の眠りにつく。

若葉の揺らぎ、あるいは天地のおだやかな揺りかご。

だが、火の国の風景を人を震撼激変させた隈元自身。

毀れた、こころが砕けた。絶望、悲哀、無念、諦念。さあ、もうここから先は万象吉事、楽しいことばかり。つたない一生を、歌の力を藉りて予祝の志へ。

 

 

 

はじまりの神話のごとしこの村にテレビ来る前ありし青空

 

    おに

鬼は隠と佳き声のして亡き人の空にかけたる神の梯子は

 

 

唐突に醒めし大地掌の上の万物揺すり毀たむとする

 

 

阿蘇の上にすゑひろがりの鰯雲これよりはあれよ楽しきことの

 

                            そら

地震後の夜はたづきなく暗黒の宙の道行く地球を感ず

 

 


「短歌往来」2019年8月号

定価 750円(税込)

 

◎巻頭作品21首

日限りの紺/清田由井子

 

◎特別作品33首

椅子の上の嘴/松平盟子

神に視、点(1)/斉藤斎藤

 

■1ページエッセイ

・遠い人、近い人―訛る人々/島田修三

・ニューウェーブ歌人メモワールー『サニー・サイド・アップ』の出発ー加藤治郎

・うたの小窓からー短歌と修辞の本来の関係/田中教子

 

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【特集】再び沖縄の現在

 

◎評論

歌誌『梯梧の花』の復刊前後のこと/名嘉真恵美子

若手歌人たちの沖縄詠/伊波瞳

「沖縄」の前で立ち止まること/安里琉太

沖縄の女性歌人たち/永吉京子

 

◎作品6首+エッセイ

寄り添うという言葉の内実/平山良明

きみ知るや/新里スエ

神の眦/玉城寛子

無表情の横顔/仲程喜美枝

那覇の街/運天政德

変わりゆく故郷/伊良部喜代子

鉄砲ゆり/国吉茂子

バブルの島といわれ/伊志嶺節子

五月雨雲/伊波瞳

占領下/池原初子

一炊の夢/楚南弘子

今日の沖縄/儀間安子

今のつづき/知念さゆり

稲穂/名嘉真恵美子

タッチ・アンドゥ・ゴウ/照屋敏子

明るさが行く/屋良健一郎

四本の三つ又フォーク/當山壮大

波音/浜﨑結花

移動と卵生/安里琉太

軍用地改め那覇ジャスコ改めイオン那覇/髙良真実

夏の沖縄なんて嫌いだ/霧島絢

五月、波照間/波照間千夏

トウキョウの風/渡部敦則

 

■新・自然を詠む・撮る・描く①

辺野古叙事詩/玉城洋子

 

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◎作品13首

上階のボタン/松坂弘

神持たぬ身に/青木陽子

五月の空に/千々和久幸

呼び声/足立晶子

DNA/山科真白

虹の断片/冨樫榮太郎

蝉丸神社/鹿取未放

昼の星/竹重百合枝

左右見て/鶴岡美代子

虹/清水正人

改元の日/秋山周子

 

◎作品8首

榛名湖の初夏/武藤敏春

佐倉小車花/川上三郎

梅雨の頃/立松滋子

新疆綿/大地たかこ

はまなすの道/大滝志津江

水の輪廻/岡貴子

知るために、なお/中津正雄

高齢者運転免許返上/市川正子

変遷/重田美代子

夏の風/木原美子

時間を越えて/白川朝子

笹百合讃歌/隂山毅

 

◎今月の新人

レモン切る/伴野奈央

 

■連載ー結社の顔

響/綾部光芳

 

■連載ー<歌・小説・日本語>

小田切秀雄「『みだれ髪』論」/勝又浩

 

■連載ー世界を読み、歌を詠む

車輪の下/坂井修一

 

■連載ー再訪八木重吉

初めに短歌があった⑤/三枝浩樹

 

■連載ー玉城徹を読む

美を深く追求する/恩田英明

 

■連載ー浪々残夢録

ベトナム・仕事・恋・日本/持田綱一郎

 

■連載ー時言・茫漠山日誌より

六月の雨/福島泰樹

 

■連載ー<名画と名歌>

フランス映画の哀歓/丹波真人

 

■今月の視点

外部評価のすすめ/鵜飼康東

 

■新刊歌集歌書評

齋藤愼爾著『逸脱する批評』/加藤英彦

園部みつ江歌集『さらぬ別れ』/中根誠

梅原ひろみ歌集『開けば入る』/江戸雪

島内裕子著『樋口一葉』/佐伯裕子著光本恵子著『口語自由律短歌の人々』/遠山利子

押切寛子著『石川信夫の中国詠』/梓志乃

馬場昭徳歌集『夏の水脈』/喜多弘樹

谺佳久歌集『夢幻歌伝』/山田航

千葉聡著『90秒の別世界 短歌のとなりの物語』/大井学

吉田恭大歌集『光と私語』/大井学

 

■作品月評ー6月号より/糸川雅子

■評論月評/江田浩司

■全国‘往来‘情報

■編集後記

 

 

 


佐竹キヌ子歌集『盆地霧』

定価:2500円(税別)

判型:四六判上製カバー装

頁数:188頁

ISBN 978-4-86629-145-1

ぽつねんと置き去りにされし芋の子が秋の畑にため息を吐く

 

秋の畑に置き去りにされた<芋の子>は、すなわち作者の自画像であり、根雪の塊なのであろう。この根雪を融かし、著者を閉ざされた雪国から陽光の満ちる日向に連れ出したのは、転居した相模原での暮らしとお孫さんの存在であろう。  佐藤孝子『盆地霧』に寄せてーより

 

三人の孫の二人と駆け抜けしドラえもんに会ふ春の映画館

 

私にも甘えし親がゐたやうな前の世はただ吹雪きて見えず

 

花輪線の大館駅はつひの駅すでに行きずりの旅のさびしさ

 

誕生日に欲しいものはと子に問はれ 自由があるから歌があるから

 

公園に曲がる路肩の小さなるくぼみに昨夜の雨水ひかる

 


原佳子歌集『空ふたたび』

定価 2400円(税別)

頁数 168頁

判型 四六判上製カバー装

ISBN 978-4-86629-149-9

 

閉ざさずに言葉にのせるそれだけでわたしの空は晴れてゆくなり

 

心を閉ざすことなく言葉にしてしまうという意味でしょう。「わたしの空」というのも比喩的に使われています。あっさりと言っていますが、歌われていることはなかなか深いと思います。     帯文 岡井隆

 

 

ビル街のゼブラゾーンを渡るとき見上ぐる空は碧き十字架

 

五回に一つ止まる呼吸を呼び戻さむ子の枕辺に名を呼びつづく

 

「細胞のひとつひとつが聞いてるよ目を閉じてても声でなくても」

 

吾子が渡りきること叶わざりし道きょうもわたしは歩むほかなし

 

大き空にビードロほっぺん響かせる生まれておいでもういちど君

 


黒岩剛仁歌集『野球小僧』

定価:2500円(税別)

判型:A5判上製カバー装

頁数:166頁

ISBN 978-4-86629-142-0

第24回若山牧水賞受賞!!

 

 

野球が好きだ。ジャイアンツの長嶋が好きだ。そんな少年もいつしか還暦へとさしかかった。果敢に大組織の中で仕事に立ち向かい、仕事に暮れ、時にはやりきれない愚痴や憂さを酒に慰藉する。

だが、この歌びとは永遠に少年のままである。

 

 

語るほどに曖昧模糊となるが哀し広告志望の我の原点

 

野球小僧なりたる吾は童心に返り早めに入場したり

 

出勤の途次にイヤリング落ちており思い遂げしか昨夜の形

 

空地にて父と交ししキャッチボール何故か心に浮かび来る朝

 

悔いるべきはただ一つのみ子なきこと酒酌み交わす息子ありせば

 


「短歌往来」2019年7月号

定価 750円(税込)

 

<目次>

◎巻頭21首

浅篠原/玉井清弘

◎特別作品33首

わが町/山田富士郎

嬰児のごとし/古谷智子

1ページエッセイ

遠い人、近い人ーゴリラ話/島田修三

ニューウェーブ歌人メモワールー第一歌集出版まで/加藤治郎

うたの小窓からー短歌と修辞の本来の関係/田中教子

 

〔特集〕菱川善夫の批評と精神(生誕90年)

◎評論

<美と思想>の文学史家・菱川善夫/田中 綾

<美と思想>という剣/藤原龍一郎

これからの「前衛」/森井マスミ

抵抗の方位/加藤英彦

批評家菱川善夫の死角/阿木津英

求心と遠心の反作用の磁場/武藤雅治

現代短歌研究会のこと/中西亮太

本物の批評家/加古 陽

天才/高橋 愁

後期・菱川批評からの問ひ/黒岩 康

あの懐かしい日々/西勝洋一

◎回想歌十首

極北の人/福島泰樹

 

■作品7首

胡桃の実/吉村睦人

日溜り/森山晴美

迷ふ内のもの/大河原惇行

クロールしながら/小林峯夫

どくだみ/河野美砂子

雪の音/飛髙 敬

ああ皐月/中地俊夫

歌集/安藤菫

まごうた/平山公一

一枚の絵/山本雪子

木の椅子/小橋芙沙世

 

■作品13首

春は来たれど/山本司

白牡丹/影山美智子

緑夜/魚村晋太郎

甘くなる春/貝沼正子

過ぎ去りし日々/三本松幸紀

ローズ・ガーデン/間佐紀子

夕日図書館/桜井健司

夏の砂/水井万里子

風吹く/岩井久美子

残日/水本光

 

■作品8首

総攬候え/依田仁美

欅の下/乾 醇子

八年目のフクシマ/那須愛子

雪は降りつぐ/柏原宗一

春闌く/三橋たまき

旅行時計/豊岡裕一郎

真っ直ぐに/藤田絹子

みどりの裸身/角 広子

スクーリング/村山 伀

掌を繋ぐ/富澤文子

宿命/岡田真明

花冷え/大関法子

 

■連載ー世界を読み、歌を詠む

松山/坂井修一

■連載ー時言・茫漠山日誌より

荒野の歌/福島泰樹

■連載ー<名画と名歌>

黒澤明の映画

■今月の視点

空中競詠への視点/山田吉郎

■今月の新人

夕焼けの香り/菅野晴彦

■新刊歌集歌書

馬場あき子著『与謝野晶子論』/沢口芙美

吉川宏志歌集『石蓮花』/今井恵子

今野寿美著『森鴎外』/松平盟子

青木陽子歌集『結界いづこ』/春日いづみ

山科真白歌集『鏡像』/尾崎まゆみ

山﨑暁子歌集『画布』/甲地玄英

竹重百合枝歌集『こぼれまゆ』/牛山ゆう子

『木俣修読本』/酒井佐忠

■作品月評ー5月号より/糸川雅子

■評論月評/江田浩司

■全国「往来」情報

■編集後記

 

 

 

■連載ー結社の顔

草笛/桑田靖之

■連載ー<歌・小説・日本語>

『万葉の伝統』をめぐって/勝又浩

■連載ー再訪八木重吉

初めに短歌があった/三枝浩樹

■連載ー玉城徹を読む

ドン・キホーテ型/恩田英明

■連載ー浪々残夢録

女流歌人の歌集五冊を読む/持田綱一郎

 

 


笹本碧歌集『ここはたしかに』

定価:1800円(税別)

版型:四六判並製カバー装

頁数:114頁

ISBN 978-4-86629-151-2

 

進化論は地球でいちばん大きな樹その枝先に今日も目覚める

 

人間の生命の向こうには地球があり、その向こうには宇宙が広がっている。否、向こうにあるのではない。地球上の生命体の細胞から天体の運行まで、それらは互いに関連しつつ不断の運動をつづけているのである。広く深いパースフェクティヴに立って自身の生命を見つめる斬新な歌集。     

 

細胞の一つ一つに約束が組み込まれている 耳をすませる

 

この秋の裏側に春あるというあらゆる命は天秤の上

 

ほぐれくる樫の枝先いのちとは直線でなくでこぼこなのだ

 

                     佐佐木幸綱

 


山口明子歌集『みちのくの空』

判型:四六判上製カバー装

頁数:200頁

定価:2500円(税別)

ISBN 978-4-86629-138-3

 

 

 

『みちのくの空』より5首

 

岩手山は白を激しき色としてみちのくの空占めてかがよふ

 

野生化せし浪江の牛ら飼ひ主を待つごと待たぬごとくさまよふ

 

をりをりに我にさからふ少年の面の確かさ速さ鋭さ

 

月一輪凍湖一輪響き合ひましづかに鳴る冬の音楽

 

スポットライト当てる君にも隙間より夕べのほそき光来てをり

 

 

 


「短歌往来」2019年6月号

6月号 750円(税込)

ご注文は電話、FAX、メールで承っております。

 

<目次>

□今月の視点 

時代の危機的状況の中で/ 玉城洋子
□巻頭21首  

蜘蛛/坂井修一

□1ページエッセイ  

◎遠い人、近い人ー正しいおばあちゃん/島田修三
◎ニューウェーブ歌人メモワール―俵万智との出会い/加藤治郎
◎うたの小窓から/田中教子

□今月の新人

春のプール/中武萌


□特別33首

如何なる花束にも無き花を/ 水原紫苑

朝のシロサイ/坪内稔典


□評論21世紀への視座  

前川佐美雄「きらきら光る山から飛べり」/中井龍彦
 

 

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<特集>
第17回 前川佐美雄賞発表
第27回 ながらみ書房出版賞発表


 〇受賞の言葉 
 〇前川佐美雄賞受賞作

『六六魚』50首抄/小島ゆかり
〇ながらみ書房出版賞受賞作

『スピーチ・バルーン』 25首抄/ 鈴木陽美

『覚醒の暗指』抄出/田中教子
 
 〇選考を終えて

 佐佐木幸綱
 三枝たかゆき  
 佐々木幹郎
 加藤治郎
 俵万智

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□作品7首  

さざなみ/時田則雄

雲/香川ヒサ
夜の薔薇/温井松代
桜と憶良/武田弘之

くれなゐ/松永智子

嚔/田野陽
失ふ/黒木三千代
兄妹/大辻隆弘
アカミチ/大松達知
木々の花/大橋栄一

歳月/大和田孝子
  
□作品13首  

仕事ぢやない/岩崎聰之介

むかしのこえに/桂塁
花束/永守恭子
ブラウン管のディスプレイ/ 吉田淳美
雲を見たんだ/吉野裕之
街路樹/細溝洋子  
長歌行/大井学

つばき苑/高旨清美
故郷/ 丸山三枝子
〇へ近づく/大谷ゆかり

パレード/ 千葉聡

春風の舞ふ/京紀子

夢あはせ/田中律子
  
□作品8首 

落花繚乱/ 内野潤子
今日の春風/井谷まさみち
渋谷川/内田いく子
屋敷林/池田晴子
江田島にて/西田郁人
とおき夏/村山千栄子
津軽天皇山/山下敬子
春の華やぎ/小熊正明
幽明/平井さなえ
瘡蓋/佐藤成晃
「向日葵図」/石井幸子
人倫を敦くし、宴に和す/寺井淳
連載 結社の顔 からたち
  
□連載  

<歌・小説・日本語>

小田切秀男の「歌の条件」/勝又浩

<再訪八木重吉>

初めに短歌があった/ 三枝浩樹
 <玉城徹を読む>

火をおぶる唇/ 恩田英明

<浪々残夢録>新元号「令和」をめぐって/持田綱一郎

<時言・茫漠山日誌より>

草露の歌/福島泰樹
<名画と名歌>

寅さんの映画/丹波真人

 

□新刊歌集歌書評
奥村晃作歌集「ハナーの春」/沖ななも
 中根誠歌集「秋のモテット」/桑原正紀
 村尾誠一著「會津八一」/山田富士郎
 湯沢千代歌集「晴農」/中西洋子
 一ノ関忠人歌集「木ノ葉揺落」/ 佐々木六戈
 間佐紀子歌集「海の見える家」/長澤ちづ
 岩井久美子歌集「峠の歌」/上村典子
 東直子・穂村弘著「しびれる短歌」/富田睦子
 松澤俊二著「プロレタリア短歌」/小石雅夫
利根川発歌集「冬の蒼穹」/久保田登 
 吉岡太朗歌集「世界樹の素描」/佐佐木定綱
 井上さな江遺歌集「風なきに」/中山洋佑

 

□作品月評 「4月号より」/糸川雅子

□評論月評/江田浩司

□全国「往来」情報

□編集後記

 

表紙画/高山ケンタ 本文カット/浅川洋


中西由起子歌集『夏燕』

判型:四六判上製カバー装

頁数:180頁

定価:2500円(税別)

ISBN 978-4-86629-140-6

《現代女性歌人叢書 21》

 

光まばゆい海の砂浜。

やわらかく起伏した土手道。

都市の喧騒のなかのしじま。

そんな場所にひっそりと置き忘れた歌があった。

 

さびしい心に似つかわしいのは

透明な響きだ。

 

『夏燕』より5首

やわらかな曙やさしき夕茜 天は静かな姉妹を生みぬ

 

枝の間に青き空見えさびしさの芯となりゆく花の老木

 

夏燕ひとたび行けばもう来ずと思う駅舎を低く飛びおり

 

たぶんどこかで繋がりおらん心臓とトマト畑の鋏

の音と

 

落武者のわれかもしれず遠望の城が小さな鳥影となる

 

 


谺 佳久歌集『夢幻歌伝』

判型:A5判変型上製カバー装

頁数:166頁

定価:2300円(税別

ISBN 978-4-86629-137-6

 

第一印象は、やはり処女歌集の「全力投球」「啄木調」が貫かれているということだ。

狂気の「赤」、赤貧の「赤」。

その「赤」の世界から、どん底から再び這い上がって、次のステップを踏み出そうとしている。

 

村田道夫「解説」より

 

 

 

『夢幻歌伝』より3首

 

たまらなく君に逢いたきこの夕べ激しき色のネクタイ結ぶ

 

月曜の朝はキキキキ泣く子なり センセイがやだ! ピーマンがやだ!

 

曼殊沙華燃ゆる野広し気がつけば失職の身を染められていた

 

 

 

 

 

 


佐佐木幸綱論集『心の花の歌人たち』

判型:四六判並製カバー装

頁数:276頁

定価:2300円(税別)

ISBN 978-4-86629-136-9

 

竹柏会「心の花」

創刊百二十周年記念事業

佐佐木幸綱序文・跋文・解説

 

八〇年代から四十年近く、多くの歌集の解説を書いてきた。

「心の花」という結社の仲間がすぐれた歌集を多く世に問い、その現場に私がいあわせたことの幸せを改めて感じる。(あとがき より)

 

広く深く おのがじしに 詠う!

 

石川一成・竹山広・築地正子・保坂耕人・晋樹隆彦・俵万智・宇都宮とよ・谷岡亜紀・大野道夫・大口玲子・横山未来子・田中拓也・鶴見和子・黒岩剛仁・小川真理子・矢部雅之・奥田亡羊・坂口弘・藤島秀憲・駒田晶子・齋藤佐知子・山口明子・片山廣子・橘糸重・佐佐木信綱

 


「短歌往来」2019年5月号

定価750円(税込)

ご注文は、メール、お電話などで承っております。

03-3234-2926

info@nagaramishobou.co.jp

 

 

<目次>

 

◎巻頭作品21首

仰光の土/高島裕

 

◎特別作品33首

しょっぱいわたし/駒田晶子

春の呪文/後藤由紀恵

 

◎1ページエッセイ

遠い人、近い人―ショーケン/島田修三

ニューウェーブ歌人メモワール―もっとポピュラーに/加藤治郎

うたの小窓から―短歌と修辞の本来の関係/田中教子

 

◎評論21世紀の視座

「解釈」に求められる(べき)一貫性/中島裕介

 

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【特集】命みなぎる春のうた

◎新作10首+エッセイ

鯱になりしや/伊勢方信

スプリング・エフェメラル/田宮朋子

山は雪/真中朋久

スタッカート/小塩卓哉

桜と風/佐藤恵子

惜しみなく咲く/村松清風

春夜/平林静代

サバイバー/川本千栄

「旅立ちの日に」を歌はう/丸井重孝

蚤の市/服部崇

モロッコ豆/中西敏子

速度を落とす/田中徹尾

春の夜の/柳澤美晴

白木綿の母/久葉堯

春いくたび/和田沙都子

就活と卒論/森尻理恵

早春の風/野田恵美子

春菜/藤田冴

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◎作品7首

春の翼/前川佐重郎

西方浄土のありや/結城文

貴志子先生の生家/山村泰彦

朝月/荻本清子

陪聴/古屋正作

朝日子/春日いづみ

凡骨な人/外塚喬

五十年/小野雅子

キッチュ/藤原龍一郎

遠山は雪/今川美幸

琥珀/近藤順子

 

◎作品8首

ボヘミアン・ラプソディー/米山髙仁

開府五百年/中沢玉恵

時間の帯/北岡晃

波照間島/高橋美香子

Mさんの旅の写真展/諏訪兼位

墓参り/山田悦子

腕/天野匠

憤りかなしむ/大建雄志郎

緑/小野澤繁雄

絶筆/兼平一子

合評会/河村沓平

 

◎シリーズ歌人回送録―宮地伸一

小歴/雁部貞夫

宮地伸一のうた60首抄/實藤恒子

心わき立つ/雁部貞夫

 

◎追悼―小紋潤

小紋よ―永田和宏

 

◎連載―結社の顔

作風/金子貞雄

 

◎連載―<歌・小説・日本語>

第二芸術論時代/勝又浩

 

◎連載―世界をお読み、歌を読む 

ノルマントの死者/坂井修一

 

◎連載-再訪八木重吉

始めに短歌があった②/三枝浩浩樹

 

◎連載ー玉城徹を読む

フィクション/恩田英明

 

◎連載ー浪々残夢録

良寛と永安寺過去帳/持田綱一郎

 

◎連載ー<名画と名歌>

映画のワキ役/丹波真人

 

◎今月の視点

高校「国語」の科目再編/さいかち真

 

◎今月の新人ー作品5首

内緒で君と/原ナオ

 

◎新刊歌集歌書評

永田和宏歌集『某月某日』/恒成美代子

楠見朋彦著『前川佐美雄』/後藤恵市

村松正直著『戦争の歌』/大井学

大辻隆弘著『佐藤佐太郎』/鵜飼康東

薮内亮輔『海蛇と珊瑚』/本田一弘

北神照美歌集『ひかる水』/遠藤由季

小林さやか歌集『ここらかの水平線』/生沼義朗

山内頌子歌集『シロツメクサを探すだろうに』/田村元

 

◎作品月評ー三月号より/糸川雅子

◎評論月評ー江田浩司

◎全国‘‘往来‘‘情報

◎編集後記

 

表紙画:高山ケンタ

本文カット:浅川洋

 


梅原ひろみ歌集『開けば入る』

判型:四六判上製カバー装

頁数:232頁

定価:2500円(税別)

ISBN 978-4-86629-113-0

梅原ひろみ第一歌集。

 

バイクの海泳ぐがごとし午後五時の車のなかに眼つむれば

 

見渡せばとほく雨呼ぶ雲のありドンコイ通りを吹き上がる風

 

出張の上司と新人タム君とわれはダナンに蟹を割りをり

 

ベトナム戦争後三十余年を経たサイゴンに日本の工具販売会社の駐在員として赴任、八年を過ごした作者の自在な現地詠が新鮮である。

ベトナムの太陽、風邪そしてスコール、さらにはバイクに埋まる街の喧騒。そんな中で、精力的に仕事をこなしながら、自分を励ましつつ研ぎあげてゆく旺盛な好奇心が見どころである。

帯文ー佐佐木幸綱

 

 

 『開けば入る』より5首

誇り高き男が茶店に切り出せる三月の返済繰り延べ依頼

 

この人の行き詰まりたる一因の我が怠慢が点滅しをり

 

激しつつ我に説かむと産卵する海亀のやうな顔となりたり

 

「信じる」といふ語を最近よく使ふ金勘定にもつとも似合ふ

 

始末書など何枚でも書くと思ひおをり本気で生きてをらぬ証拠か

 

 


久保富紀子歌集『旅行鞄』

判型:四六判上製カバー装

頁数:188頁

定価:2500円(税別)

ISBN 978-4-86629-130-7

土産わたして軽くなりたる旅行鞄に見えざるものを詰めて帰りぬ

 

久保富紀子さんは秋田県の出身で、今は宮崎に住む。秋田と宮崎の間をよく往復されるが、国内はもとより海外への旅の経験も豊富である。

その旅のまなざしを日常生活にも鋭くむけているところがさすが「旅行鞄」の歌人である。

 

時刻表通りに電車の来ることに慣れすぎて駅よ淋しくないか

 

 伊藤一彦 帯文

 

 

 

 

『旅行鞄』より5首

 

旅行とは鞄に夢を詰めること温めていた「いつか」を孵し

 

青空にどの子の夢も押し上げて冬のブランコ錆びた呼吸す

 

冷蔵庫を開ける一瞬ぴたり止む庫内の会話 われは拒まれて

 

カシオペアと名づけてヒトが繋ぐ星五つは永遠になかまと知らず

 

死を悟るこころ置く夜の長からむピーターパンのもう来ない窓

 

 

 

 

 


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「短歌往来」2019年4月号

定価750円(税込)

ご注文は、メール、お電話などで承っております。

03-3234-2926

info@nagaramishobou.co.jp

 

<目次>

◎巻頭作品21首
残 日/秋葉四郎

◎特別作品33首
天 敵/今野寿美
ジューシーおにぎり/ 渡 英子

■一ページエッセイ
遠い人、近い人㉘―などてすめろぎは/島田修三
ニューウェーブ歌人メモワール⑮―マガジンをまるめて歩く/加藤治郎
うたの小窓から⑯―短歌と修辞の本来の関係 /田中教子

■評論 世紀の視座170  
 学生アルバイト短歌二〇一八/田中 綾

 

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[特集]ハード・ワーキングをうたう Ⅷ

◎作品8首+エッセイ
紅葉の盛り/林 宏匡
雪解けを待つ/月丘ナイル
キャップ/岩内敏行
俳優といういきもの/矢代朝子
シャボン玉/立花正人
農業高校/森垣 岳
眠る嬰児/島本太香子
風船バレー/中山洋祐
扉/伊藤美知子
おっかなびっくり/重吉知美
牛飼いの性/斎藤和子

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◎作品7首
午後の時間帯/百々登美子
負け残り/千々和久幸
半顔の月/清田由井子
無縁馬鹿/佐藤通雅
現世の家/王 紅花
わが椅子/足立敏彦
平成の歳暮/新里スエ
人は冷ややか/髙安 勇
相撲取草/小島熱子
美の姿と/間瀬 敬

◎作品13首
眼 圧/御供平佶
白 砂/三井 修
脳性まひの還暦/森川多佳子
歳晩雑歌/柳 宣宏
艶 陽/廣庭由利子
アウグストゥス/佐々木六戈
父への手紙/長谷川と茂古
よみがへり来よ/小潟水脈
昭和を抱く/塚田キヌエ
鳴動のとき/城 俊行
友を偲ぶ/岡部修平
真正面/大森静佳
春のレプリカ/大西久美子

◎作品8首
網掛橋/石田照子
こゑ眩し/本渡真木子
わが愛すべき小歌誌よ/佐藤和夫
はるうらら/安森淑子
蒼を深めて/秋葉静枝
里の児/梅本武義
冬の星/下村すみよ
祈り/島内美代
ウォーキング・フォーラム/今枝敬昌
アイスタイム/上條素山
梅と海/石原美智子
椋鳥のノイズ/松岡拓司
またも夜想曲/岡本瑤子
まぼろしの塔/飛鳥游美

■連載―〈歌・小説・日本語〉㉔
久保田正文の短歌/勝又浩

■連載―世界を読み、歌を詠む㉒
魔 術/坂井修一

■新連載―再訪八木重吉①
初めに短歌があった/三枝浩樹

■新連載―玉城徹を読む①
チャップリン/恩田英明

■連載―浪々残夢録
アシジの聖フランシスコと良寛/持田鋼一郎

■連載―時言・茫漠山日誌より
高森文夫「友情の歌」/福島泰樹

■今月の視点
開かれた短歌の世界を/渡辺泰徳

■連載―〈名画と名歌〉⑧
ちゃんばら映画の世界/丹波真人

■今月の新人―作品5首 
修学旅行/中屋朝陽

■新刊歌集歌書評
高野公彦著『明月記を読む 上・下』/日高堯子
福島泰樹歌集『うたで描くエポック 大正行進曲』/東 直子
上野 誠著『折口信夫的思考』/一ノ関忠人
吉村睦人歌集『?梅の花』/大河原惇行
井上美地歌集『残照』/楠田立身
三井ゆき歌集『池にある石』/永井正子
上村典子著『うた読む窓辺、うた待つ海辺』/藤島秀憲
川﨑勝信歌集『天人』/秋山佐和子
佐古良男歌集『念彼猫力』/村島典子
花山周子歌集『林立』/奥田亡羊

■作品月評ー二月号より/糸川雅子
■評論月評/江田浩司
■全国〝往来〟情報
■編集後記


表紙画/高山ケンタ
本文カット/浅川 洋


山﨑暁子歌集『画布』

判型:46判上製カバー装

頁数:192頁

定価:2500円(税別)

ISBN 978-4-86629-135-2


 著者は書家としてその半生を歩まれ、また短歌へのあこがれをも捨てることなく現在に至っている。

 特に書の世界では仮名文字と歌の作品が互いに融合し、その優麗さを保ち芸術作品として完成される。

 歌集の内容は静かで自己を見詰める歌と、旅への想いが綴られている。              帯文 三本松幸紀 氏

 

 

 

『画布』より5首

 

夜毎いでて遊びたまふかみ仏のみ足に沙のうすく置きゐる

 

秋となり日のやはらかさみづからのわが影ふみて坂道くだる

 

雨ののち遍路の列ゆれゆけば水かげろふのごときはかなさ

 

紫のおのれの影のつめたさをいだけるままにゆるるかたかご

 

帰り来て月夜なれば思ふなり窟の飛天のいでて舞ふころ


竹重百合枝歌集『こぼれまゆ』

判型:四六判上製カバー装

頁数:226頁

定価:2,500円(税別)

ISBN978-4-86629-136-8

上州富岡の地。

養蚕と紬織りの伝統美をひそやかに守りぬいてきた人生。

こぼれまゆ──形状や色で出荷されない繭をそう名付けた。

この世から落ちこぼれ、はぐれていくものにこそ

本物のいのちの聖性を見る。

 

『こぼれまゆ』より5首

創ありてかがやくいのちこぼれまゆこの星須臾のひかりつむがむ

 

浅間嶺の火山灰地に桑植ゑて蚕(こ)飼ひ生ききぬかみつけ人は

 

桜染め重ね染め昏れ夜の胸にさくら匂ふ手抱きて眠る

 

子午線ゆ注がるる乳を享くるごと空仰ぐとき人は口開く

 

織り終へてまた絲紬ぐ繰りごとの果てに透きゆくいのちなるべし