山岸洋子歌集『旅はまぼろし』

あめ風に洗はれしさはやかな里山を一人占めする夕べは秋に

冴え冴えと雪のおちれば山寺のかはらに白くうかぶ夕あかね

機窓には雪の日高の見えてきて息の住むまちはもうすぐそこに

 

四六判上製カバー装 2625円•税込

 

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三枝浩樹著『八木重吉 たましひのスケッチ』

=ながらみ書房出版賞最終候補作=

 

偶然、キリスト教会の庭先の掲示板に収められていた一編の詩に目が向いた。

その短い詩に呼び止められた。単純にして原初的で心に深くしみてくる詩。

八木重吉という希有なる詩魂と真摯に向き合い、主観的なはからいを越えたさざ波の音に耳を澄ませ、その清澄な世界を探求し続けた迫真の論考。

 

目次

  〈わたし〉の変容

  二人称の自然

  祈りの生まれる場所

  かなしみの受容力

  自我という執着

  パンテオスの詩

  ノスタルジアのゆくえ

  最後のカルタシス

  聴覚のめざめるとき

  没描写の功罪

  四行詩とは何か

  かなしみ•この透過してゆくもの

 

 

四六判並製カバー装幀 2000円•税込

 

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渡英子著『メロディアの笛』

=第10回日本歌人クラブ出版賞受賞!=

 

白秋が生きた時代とは何だったのか?

豊富な資料を駆使し、その時代を体感しつつ考察した精緻にして創造的な白秋論!

 

「日本語のひびきや、愛唱性に富むリズムに耳を傾け身を任せる愉悦は、白秋の詩章が与えてくれる恩寵である。はなやかな哀韻があってもいい。」(あとがき」より)

 

四六版上製カバー装 2835円•税込

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森内道夫歌集『馬を与へよ』

山脈のあなた夏雲湧くあなた少年の吾に馬を与えよ

浜風に二匹の蝶の天降りてきて日傘の妻を越えて消えたり

馬の来し跡あまたなる水の辺に夕迫り来る阿蘇の山風

 

森内さんの歌は、いつ、どこで、誰が、といった「5W1H」が省略されている。

そのために読み手は想像するしかない。

浅読みや深読みが可能な文体であり、それゆえに面白いとも言える。恒成美代子跋より

 

 

四六版並製カバー装 2000円•税込

 

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寺島博子歌集『王のテラス』

遠景として在るもののやさしさを見せながら夜に明かりがともる

六本のかひなのうちに一本にこの手を添へて阿修羅と歩む

桜桃をひとつぶふくみ種ひとつ吐き出すさい飛ばすあそびす

何ものの命かわれに添ふとさへ思へてならぬ日暮れの風に

沈丁花のかをりいまだし親と子は似てほしくなきところが似ている

 

生きるとは、命とはという問いを自らに投げかけて、渾身の力をこめて詠う。

評論集『額という聖域』で齋藤史の作品と対峙したことかが糧となって、さらに深淵な世界を見せている。 外塚喬

 

四六版上製 2625円•税込

 

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いとう茜歌集『イエローカード』

うすあかき果肉のような月のぼり一本の矢をわれは欲るなり

夢なれどひとを殺めて逃れ来し 群肝を刺す寒の村雨

ふかぶかと吸いこまれゆく雲雀かな空にもあれよ引力の罠

無名にて死にゆくわれか夜もすがら地を穿ちいる直情の雨

 

人間の業と宿命の交叉する日々。ひとくれの土でさえも祖先と呼ぶことをためらわぬ作者の感性は、生きとし生けるものへの挽歌と祈りに満ちている。晋樹隆彦

 

四六版上製カバー装 2625円•税込

 

 

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磯前ヒサ江歌集『雪に冴え』

月は朧雪に冴えいる大樹あり魁夷描きし永遠の無言歌

五線譜を縦に並べるかたちして裸木無言の調べをたもつ

裸木と雪の奏でる無言歌をひとつ聴き覚え里を下りぬ

 

私は、魁夷画伯の絵を好み`冬華`の静寂に魅せられ、歌を詠み親しんでいます。

『雪に冴え』という歌集名は、`無言歌`の中のその歌から名付けました。(あとがきより)

 

A5版上製カバー装 2625円•税込

 

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井野佐登歌集『朝の川』

朝の川渡りつつある五十歳代 思ひもみざりし院長として

笑ひ顔並ぶがごとく富有柿が箱に詰められ友より届く

よれよれの我のこころが見えている袈裟の鏡の顎の淋しさ

この今のこころに渡る風ありて廊下の床をやをら拭き始む

学生の時に書ひたる鳴子こけし愚痴聴き地蔵として卓に置く

こののちの夢の続きを叶へよと献腎献肝運ばれてゆく

 

早朝の川を渡る。

すがすがしい風、まばゆい陽の光。

おおらかに、そしていさぎよく五十代の人生の川を渡る。

歌という言葉としらべの川だ。

いしとして、歌人として、みずからの行く末を静かに問い続ける。

A5判上製カバー装 2800円•税込

 

 

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佐佐木幸綱歌集『ムーンウォーク』

=第63回読売文学賞受賞!!=

 

花束を受け取る人と渡す人いま交差する人生ふたつ

キャンパスに子ども 字が溶け言葉溶けて立つ看板の前に笑えり

しゃべりつつ言葉を選ぶ立ち止まりムーンウォークをする感じにて

 

おおらかに虚空を舞う現代短歌の翼。

切っ先の鋭い言葉の剣。

奔放にして自在なイメージ。

はらわたにしみる「人生」という旨酒。

 

四六版上製カバー装 2600円•税込

 

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中沢明子歌集『花豆のうた』

カナカナの声脳天に落ちてきて生きるというはこんなにひとり

小春日和の縁のすみにはいつの日か選り残したる母のいんげん

鹿島槍登る約束きみはして私は今も待ち続けている

細長き爪は父より受け継ぎぬ押さえきれない感情なども

 

八ヶ岳南麗は豊かな自然

そこに暮らす生活のなかから

うたが生まれた

 

四六版並製カバー装 2010円•税込

 

 

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田中拓也歌集『雲鳥』

=第17回寺山修司短歌賞受賞!=

 

雲鳥のはためく夏の岬より八月の空澄み渡りたり

バスに揺られ緑の山を眺めおり樹々の心は常に遠くて

誰の子の産声だろう 百段の石段のぼり聞く森の声

鉄塔に映える夕陽が美しい百万回生きたねこがほほえむ

未来とはさびしい言葉 古ぼけたテトラポットに腰をおろしぬ

あなたの立つ小高き丘を吹き抜ける風よ八千年の秋を集めよ

 

雲の間を飛ぶ鳥。その孤高にして純粋な霊魂の形象を仰ぎつつ、

流れ行く生の時間と向き合うやさしい眼差し。

澄みきった心には澄みきったしらべが宿り、言葉が青々と繁る。

被災詠をも加え、さらに厚みを増した歌のたしかな飛翔力。

 

四六版上製カバー装 2625円•税込

 

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服部由美歌集『たくぶすま』

水縹の空にただよひ梢たかく辛夷は咲けり疎水堤に

センサーに音頭湿度を管理されベコニア咲けりわが歌ほろぶべし

しらじらと楊絮まひまふ白き道遠よりきたり馬は炎を吐く

麕がきて身をこすり寄る夢さめて清拭されいつ青きタオルに

 

『たくぶすま』は生死を分ける自己に遭遇したあとに編まれた歌集。

情緒に溺れることのない鋭敏な感情で香気ある抒情を掬いとるとともに、農業を取り巻く状況のもつ危うさを農業者としてとらえ、いかりをこめて大胆に詠っている。(仲宗角)

 

 

A5版上製カバー装 3000円•税込

 

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伊藤一彦著『月光の涅槃』

太陽と月と緑と海の風土。

そして、口蹄疫の悲惨をも味わった南国の地、宮崎。

産土の地に根を下ろし、地霊の声に耳を澄ませ、

その始源に輝くさまざまな光を掬い取り、

歌びとのまことの心を今もなお発信し続ける。

 

牧水をこよなく愛で、

酒を、文学を、風土を愛で、

思索の深まりとともに綴る。

 

四六版上製カバー装 二八〇〇円•税込

 

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中嶋ふじえ歌集『白い百合』

あやまたず過たず夫よ生きてほし小暗き垣根まがりてゆきぬ

寝不足の汚れし顔を俯けて庭の雑草むしりつづける

大声をあげて泣きたきに堪えている闇に間近くなにかが迫る

 

四六版上製カバー装 2730円•税込

 

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佐佐木信綱全歌集(再版)

完売につき再版致しました。

 

新派歌人時代から充実期、熱海時代に至る佐佐木信綱全作品を収録!!

 

収録歌集

『思草』『遊清吟藻』『新月』『銀の鞭』『常盤木』『豊旗雲』『鶯』『椎の木』『瀬の音』『黎明』『山と水と』『秋の声』『老松』

A5版上製カバー装 五〇〇〇円•税込

 

 

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大野利夫歌集『比企の嵐山』

ひとつ神のゆえに戦ふ民ならむわれら千万の神神を持つ

禁圧を受けしたばこの受難史に平成を加ふ路上禁煙

背嚢に紙の碁石をひそませていくさの海を渡りゆきにき

理に叶ふ新語と思へど整はぬリズムに困る「満地球」とは

よき処みせむが悪手間もなくに頭を下ぐる碁石を返して

 

著者の「游」その人は、何を識り何をする人か。

広く、奥深く、とてつもない大きさ。

その存在の凄さと『比企の嵐山』で存分に出会えることだろう。

御供平佶

A5版上製カバー装 2835円•税込

 

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芦田敏子歌集『鈴綱』

さるすべり梢咲き撓む紅や原爆忌すぎ終戦日過ぐ

もみじして雑草も終りをかがやけば瞠るべきこといまだ多かり

朝々をシテを気魄に紐結ぶ白きエプロンぱしりと干しぬ

父母と逅ひ父母と別れしこれの世にふととき満ちて桜咲くなり

 

「鈴綱」とは、日本の神々の社の前にある鈴のついた綱のことである。

著者の住む大和には国の歴史を彩る神社がたくさんある。

これも大和の歌人としてのひとつの寄辺であり、また矜持と言えるかもしれない。 前川佐重郎•序より

 

四六版上製 2730円•税込

 

 

 

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小林三重子歌集『ブーケ』

幼き日母が名付けし「星の花」ゆらりゆらりと群がり咲くよ

目の前に光の武者が迫り来るねぶた祭りに我も跳ねたり

 

ご家族に恵まれた安定した人生の中で、旅とオペラ鑑賞が、歌集『ブーケ』にきらきらとした人生の華やぎをくわえている。

そのことを喜びつつ、この優しい歌の花束が多くの読者に手渡される事を願いたい

谷岡亜紀•解説より

 

A5版上製カバー装 2150円•税込

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金丸玉貴歌集『夜叉神峠』

独りたつ夜叉神峠は深閑と雲海のかなたに浮く富士の嶺

とめどなくふぶき散りいる桜花ひとひらひとひら億の孤独よ

幻聴か今も鳴りいるかざぐるまわれの脳裏に風の父あり

いとまなきこの世の憂さを笑うがに真昼の月が中天にある

 

日常に於けるさまざまな哀歓や自然を詠っても

執拗なまでに自己を凝視しており、作品はそこはかとなく

寂しげな影を湛えながらも読者に迫ってくる。

林田恒浩•跋文より

 

四六版上製カバー装 2625円•税込

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玉城寛子歌集『きりぎしの白百合』

天を突く轟音地響くカデナ基地 祈り裂かれて血を吐く仏桑華

ニッポンにありてあらざる沖縄かシジフォスの石積まれゆく島

首すらももたげ得ず夫の腕の中生の香放つレモンを嗅ぎぬ

失明を告げられ怨嗟の声あげし息子はいま車いすのわれに添う日々
危うきはきりぎしに咲く白百合の九条われら声あげ守らん

 

第一歌集『沖縄の孤独』から九年。抱く内なる沖縄、

そして戦後なき「オキナワ」の現実と対峙し一途に詠い続けて30年。

突如襲った病に長い闘病生活を余儀なくされているが、

その真摯な姿勢は少しも揺らぐ事が無い。

多くの受賞作と共感を呼ぶ作品を精選して収録した第二歌集。   玉城寛子

 

A5版上製カバー装 2730円•税込

 

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森朝男著『古歌に尋ねよ』

=完売しました=(電子書籍化を検討中です、お問い合わせ下さい)

=第20回ながらみ書房出版賞受賞!=

 

和歌は、今日なお生産的な読み物でありうるか?

鬱蒼とした、その森へ

我々の現在をひき抱えつつ、呼びかける。

 

歌誌「心の花」十年間の連載をもとにした本書は、

古事記、万葉集から近代和歌に至るまで、古歌を広く猟し、

文芸的に、人生的に、自然観的に言問うた一冊である。

 

46版上製カバー装 2000円•税込

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池田はるみ著『あほかいな、そうかいな』

ほんま、あほかいな。あほやなあ……

心の底の「大阪人」が、やんわりとつぶやく。

日常の時間をスイスイと漕いでいく

清新なユーモアと発送の中で生まれ出たエッセー集!

 

四六版並製カバー装 2300円•税込

 

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渡辺松男歌集『蝶』

電子書籍版も販売しております=

 

わが感覚すすき野のへにありしかどこのかろさ死後のごとく気づけり

吾ゆ耳の離れてぞあるそのなかにこほろぎの鳴く必死のみゆる

うつうつとせるなかにある華やぎは地中の蛇のうへ歩くかも

ひまはりの種テーブルにあふれさせまぶしいぢやないかきみは癌なのに

 

 

孤独なけものどもが跳梁跋扈する

異界の住民どもが拍手喝采する

 

詩歌の時空を自在に遡行し、飛翔し続ける感性の冴え

それが「松男うたワールド」!

 

四六版上製カバー装 二七三〇円•税込

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齊藤左知子歌集『帰雲』

いもうとを忘れてしまつた兄の空むかしの青いあさがほのあを

標高差四百メートル上下して風に冷えたる竜胆を見き

散る花と明日はひらかむふくらみと白骨のいろのつづく梅林

昼ふかく肉厚となる日のひかり世長人はうとうととせり

 

猫好きで有名な著者である。

猫以外でも小さな虫から獣たちまで、たくさんの動物たちが登場する。

見どころは、動物たちを素材にした何気ない叙景歌のような歌でも、

読者にふと人生を思わせるような歌が多い点である。——-佐佐木幸綱•序より

 

四六版上製カバー装 2625円•税込

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海沼志那子歌集『雪を踏む』

踏む雪はヒールの足を滑らせてひとりを想ふ心ゆるがす

風と雪身をさいなみて旅心はかなくなりぬ大石田の町

苗木より育てし白樺この夏はうす紫の蝶まとはせる

まなこ閉じ思ひ出せぬをくやしがる母よ母よ波打ち寄せる

 

亡き母への追慕、先立っていた同胞への敬虔な祈り。

旅の歌、人間の歌、草花の歌、すべてが作者の生のあかしだ。

老いは歌の世界に滋味と深みとをおのずから孕ませる!

 

46版上製カバー装 2100円•税込

 

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島晃子歌集『月光丘』

悲しみが新たになりて暗みゆく海の白波夜叉のごと立つ

飲みさしの夫の焼酎「百年の孤独」胃に沁む夜半の厨に

射して来る春陽に光る蒐集品いづれもはかな割れ易きもの

君は数十億年の愛を語り吾は白馬の王子失う

 

「六条御息所」は言うまでもなく『源氏物語』の一節である。

『源氏物語』の優れた文学性が読む者を引き込み、

歌わせる力となっていると思うが、背景に長年の研究があるから作品が強い。  鶴岡美代子•跋より

 

 

A5版上製カバー装 2730円•税込

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小田倉玲子歌集『夕凪の時』

吾を呼ぶ姑が振りいる鈴の音がきこえるような夕凪の時

血縁の中にひとすじの道ありて焼香の順しづかに移る

 

静かな夕凪の時間は他界を垣間見せてくれる。

姑が鈴を振り私を呼ぶ。

もうこの世にいないはずの姑の鈴音が。

病い、老い、看取り、別れ。さまざまな日常の事柄も作者の心の浄化によって豊かな美の形象へと帰られてゆく。

 

四六版上製カバー装 2625円•税込

 

 

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泉谷虚舟歌集『虹のメルヘン』

十二センチのピンクの靴が玄関より消えてふたたび二人の暮らし

寒空に虹かかりたり、修羅われに、光見よとて虹かかりたり

月の地平を昇る遊星瑞瑞し、秋田の雪も銀に光るか

ホスピスの患者のことを老医師は語らんとして、ふいに泣きたり

 

短歌の師木俣修先生や荒谷皓先生、それに仲間からは動植物や大自然の現象、たとえば花の名や季節の微妙な変化のことなどをどんなに教えてもらった事でしょう。

まとめて言えば皆様の繊細な感受性や知性が私のような者の心を培って下さったのです。ー著者あとがきより

46版上製カバー装 2300円•税込

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造酒廣秋歌集『秋花冬月』

夕つ日にすくはれてとぶ鳥のむれ時雨すぎたる空があかるし

くちづけのあつきひとときわが視野のけぶるがごとくあをあをとせり

秋ははや釣鐘人参咲きにけりふるさととよぶうすきくらがり

背びらきのさかなのやうに扁平になりて眠れるゆふぐれの父

たかむらをなぎゆく夜の秋の風ひとにかへせば手はあたたかし

薄紙につつんで桃をつめあはすやうに心を並べてみたい

 

歳月は人を孤独にする。

出会い、別れのくりかえし。

ひときわ人を恋しいと思う時、なつかしいと思う時

歌は密かに三界を語り始める!

 

四六版上製カバー装 三〇〇〇円•税込

 

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久我田鶴子歌集『雨を見上げる』

降り出した雨を見上げる。

薄暗い空の向こうには、きっと美しい虹。

老いた父を通して一世界まで看取った純なる嬰児の眼差しをもって、おおいなる先師•香川進の詩歌のまことをここに歌い継ぐ!

 

たまたまのめぐりあはせもえにしにて地中海わが漕ぎわたる海

草いきれ海鳴り稲田を渡る風かなたにありてわれを呼ばへる

樹のもとに斧置き去られ こともなく春の日はゆく午後の二時すぎ

かるがると抱きあげられたるちちのみの父に青葉のほととぎす啼く

もう父はひかりを食べているのだろう仰向けるまま口を動かし

 

四六版上製カバー装 2730円•税込


 

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鈴木紀子歌集『万の指』

花冷えを素早く知れり瓶に残るバージン•オイルの白きくもりよ

きはまりて一気に散りたり羽二重の衣脱ぐごとし白き牡丹は

寂しさに堪へかねふたつ合はさりし形なるらむ黄は降り止まず

万の指天に昇れりひろしまの夏の電車に揺られていたり

 

作者の世界の多様さ、あるいは表現の技巧の多彩さに、

先ず目を惹かれるに違いない。いわば知の峰と情けの峰、

心と志の海のふたつを、あるときはまさぐりながら、また

あるときは眉を挙げて言葉にする。そこに、この歌集の

大きな魅力のひとつがある。 光田和伸 跋文より

 

A5版上製カバー装 2625円•税込

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木村文子歌集『予祝』

やがてくる冬への予祝身をもって地をきんいろに染めゆく公孫樹

うつ伏して眠る身近く置きし手はかすかに放つ鉛筆の香を

異形なる子ら抱きしめて木のごとく我はありたし幾百年も

シャツのすそ出ている君の肩越しに今年最初の入道雲みる

雪の日は毛糸の帽子に守られて少し小さな母が歩み来

 

A5半上製カバー装•2625円税込

 

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高橋和代歌集『時間』

たかはらの空澄みわたりちぎれ雲ひとつゆるらに花の梢過ぐ

看取るとは見ているのみや手出しならぬ領域へ奪はること近からむ

 

ゆっくりと、あるいは速く、滔々と流れゆく記憶の河。

河とともに在るかけがえのないいのちの時間。

まばゆい世界に向かって呼びかけながら

言葉を紡ぎ続ける時間の旅人。

 

 

四六版上製カバー装 2,625円•税込

 

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森口和歌子歌集『潮騒』

陽に叩く炬燵蒲団よりぽろと落つ貼りつきし餡は母の好物

薔薇のとげに刺され指より吹き出づるこの鮮血はわたくしのもの

 

四六版上製カバー装 2,625円•税込

 

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石栗徳子歌集『白蕾ふふむ』

  はつ夏の風に清まり入る茶室小暗き床に白蕾ふふむ

 

白い花を愛するという石栗さんの好みは彼女を知っている人には十分に納得がいく。清廉な人だからである。(伊藤一彦 跋文より)

四六版上製カバー装 2520円・税込

 

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