
定価:2,530円(税込)
判型:A5判上製カバー装
頁数:180頁
ISBN978-4-86629-369-1
本書は、滝沢章さんの第二歌集。神奈川の海老名に住み、農業に親しみながら、活動的な日常のなかで見て、聞いたことが、生き生きと、みずみずしく表現されている。滝沢さんはよく聞く人でもある。ときには、じっと音に耳を傾け、鋭い感性で一首にまとめている。そこから詩の世界が広がる。
ー 島崎榮一氏 帯文 ー
<引用5首>
染み渡る水を合図に春の田に叫びのごときかはづ鳴き初む
鳴きゐるは垣の向かうの柿の木か寒さとともにひたきの声す
磨り減らし回廊ゆけば足裏を突き上げて鳴く年輪のこゑ
朝露の滴る壬生菜ビニールに鮮度とぢこめ旬を手渡す
手袋を突き抜く刺もかはしつつ柚子もぐ袖に移り香あふる