柾木遙一郎歌集『炭化結晶』

定価:2,750円(税込)

判型:四六判並製カバー装

頁数:198頁

ISBN978-4-86629-275-5

第一歌集!

 

失われ、変わってしまった自らの「少年」を著者は探そうとしているのだろう。だがそれを直接追い求めたら、結果的にはそれを失うこととなってしまう。だから他者の中の「少年」を追う。そしてそれは常に、その時その時の具体的な少年の顔で現れる。

 ―森本平  「解説」より

 

 

 

 

『炭化結晶』より五首

 

空っぽな人間だから真っ白なページばかりの本になりたい

 

少年を轢いた列車のブレーキが人間らしき言葉を放つ

 

窓際で頬杖をつき、群れずとも生きられそうな君を見ていた

 

死んでゆく少年たちの微笑みを透かして淡く夏の銀河は

 

六月の無風の午後の曇り空、季節はこんな日に死んでいく