奥村秀子歌集『清河原』

定価:2,860円

判型:四六判上製カバー装

頁数:234頁

ISBN978-4-86629-252-6

 

第二歌集!

 

技巧を凝らすでもなく、奇をてらうでもなく、素直でありのままをうたうが、いいたいことをきっちりとまとめて、的確である。十余年の歳月の思いを刻んだ『清河原』からは、香春の風土と歴史の上に築かれていった一人の人間の歩みが、静かに、しかし豊かに立ち上がってくる。

ーーー内藤明「跋」より

 

 

『清河原』より五首

 

いにしえの駅家(うまや)の賑わい再びと今開かるる「香春道の駅」

 

山の道・野の道・畦道すべてよし香れる土の足裏に弾む

 

亡き夫の遺影を縁に持ち出して剪定すみたる庭を見せたり

 

玉葱の程よき抵抗手に受けて引きゆく百本春日にまぶし

 

腰に下ぐる蚊取り線香夕闇に火の赤く見ゆ吾が位置示し