児島昌恵歌集『空の鈴』

定価:2,500円(税抜)

判型:四六判上製カバー装

頁数:184頁

ISBN978-4-86629-240-3

第一歌集!

 

にはとりも犬もうさぎも猫もゐてねずみ奔りき八人の家

 

雪の朝クアラルンプールの子へ向けてふはりふはりとメール打ちたり

 

大鷹が振る鈍いろの空の鈴 バードサンクチュアリの夜明けに

 

遠い昔の家族がうたわれていたり、外国に住む子の家族が登場したり、時間的にも空間的にも豊かな広がりが読めるのが、この歌集の大きな特色だろう。表現とは、つまり、いま自分が立つここの歴史や背景、深さや厚みをイメージする行いなのだということを、あらためて思い出させてくれる。

<佐佐木幸綱 帯文>

 

 

 

 

コーランの祷り流るる朝まだき私の知らない小鳥がうたふ

 

置き去りの心ふくらむ花の季裁縫箱をしづかに開く

 

母からの便り途絶えてまたの夏雑木林に針ゑんじゆ降る

 

月見草ゆふべの白はすでに紅けふは帰らむわたしの家へ

 

かたらちを初めて知つた通学路の坂にアンジェラスの鐘を聴きにき