吉藤純子歌集『加賀てまり』

定価:2,750円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:198頁

ISBN978-4-86629-227-4

 

第一歌集。

 

糠床の胡瓜をあげて鯵を焼く

中くらいの幸せ良きかな

 

 

金沢を象徴するような美しい手毬を表題とする歌集『加賀てまり』。

これからもただ過ぎてゆくばかりに見える日常から、

詩のこころをもって歌うべきものを捉え歌い続けてゆくだろう。

坂本朝子「跋」より

 

 

 

転移なしの結果かみしめ絹針で桔梗模様の加賀てまり縫ふ

 

鏡台の底の園児の手のあとの肩もみ券は有効だらうか

 

看護師は純ちやん来たよと遺体撫づいく度吾を呼びゐし母か

 

雪解水でコーヒー入れよう夫婦の日しまひこみゐしペアカップにて

 

尾羽根もてピシャリと尾長は柿の枝と私の愚痴も払ひて去りぬ