山本枝里子歌集『無人駅』

定価:2,750円(税込)

判型:四六判上製カバー装

頁数:196頁

ISBN978-4-86629-213-7

 

汗ばめる首に冷感スカーフを巻いて佇む晴れ女なり

高速バスを待つてゐるまの解放感 雲の図鑑を鞄に入れる

かへる胸なければひとりきて立たむ無人駅こをわれにふさはし

 

海と山の美しい徳島の自然を背景に、社会を、身の回りの日常を、そして何より自分自身を、まっすぐに見、まっすぐに感じ、自在に思い、自在にうたう<われ>の歌集である。旅の歌が多く見られるのは、広く生き、多くを体験したいとのぞむ<われ>の歌集でもあることを示しているだろう。  佐佐木幸綱ー帯文ー

 

 

 

 

深呼吸してゐるやうに降る雨の音に目ざめて鳥の目をせり

 

たかく高く枝張る欅にふれてをりすきとほりゆく悲しみ一つ

 

色づいた順にしづかに離れゆき落ちてゆかない葉ののこる街

 

身の内に深き森あるいちにんの泉をくみにゆきたしわれは

 

白くきれいな指だつたひとその指に描かれ花となりゆきし絵具