安藤美保歌集『水の粒子』(文庫版)

夭折の歌人、胎動の歌集!

 

長い間、多くの人々に愛され読まれ続けてきた『水の粒子』をこの度、文庫化いたしました。

 

            ドア      ドア

フレンチスリーブの肩見ゆ扉という扉にきびきびと鍵をかけて出る母

 

 

ふいに来た彫像のように妹のからだの線は強くととのう

  

           

寒天質に閉じこめられた吾を包み駅ビル四階喫茶室光る

 

 

風車からから回れ父親が我にはぐれし五月の砂場

 

 

ずいずいと悲しみ来れば一匹のとんぼのように本屋に入る

 

 

緻密に緻密かさねて論はつくられぬ崩されたくなく眼をつむりおり

 

判型:文庫

頁数:150頁

定価:1200円(税別)

ISBN 978-4-86629-125-3