小鳥沢雪江歌集『雨水は過ぎた』

 

転勤ぐらしの途上で出逢った地、盛岡を、生きる場として積極的に選んだのだ。

人を愛するように土地を愛する。

深く継続する愛は感情の醍醐味と言えるだろう。

そして、詠まれる盛岡は、喜びの呼吸のように眩しい。

 

                     鈴木英子 帯文より

 

 

『雨水は過ぎた』より5首

  あのひと

「啄木は多情家なれば」と渋民の男は語る旧知の如く

 

詠えども何も解決せぬ日々のうたは悲しくうたは重たい

 

春立てば天も大地もゆるみゆきわたしもほのかにゆるみゆくかな

                        ひとよ

                   ひぐらしはかなかなかなと疑いてそその日暮らしの一生を送る

 

                   こもかぶり雪の庭先春を待つ梅よ牡丹よ雨水は過ぎた

 

四六判上製カバー装 2500円(税別)