橋本千惠子歌集『未完からの出発』

 

 

歌とは永遠に未完の作品である。

未完であるがゆえに言葉としらべのせめぎ合いが続く。

先師千代國一からの厳しいメッセージを反芻しながら、

多くの死と多くの生と向き合ってきた虚心な歌びとの影が揺れる。

 

 

橋本千惠子第二歌集『未完からの出発』より五首

 

芽吹き来し青耀へる生を見すわが身のめぐり黙なすもの等

 

英一を追慕の声のつづく中雪の降りきて心にこもる

 

怒られし記憶なきままもの言ひの静かなりしと父を思へり

 

十二万体刻む希ひに荒彫りのひとつ笑ひの仏をのこす

 

                   身のめぐり幾人逝きぬ白萩のゆれのかそかに風の吹き過ぐ

 

判型:四六判上製カバー装

頁数:222頁

定価:2500円(税別)

ISBN 978-4-86629-102-4

 

 

 

 

 

 

 

判型:四六判上製カバー装

頁数:定価2500円(税別)