井上美知子歌集『甘樫丘より』

亡母の家も見ばやと登る甘樫丘に踏む土匂はむばかり

 

生駒市に住む作者の産土は明日香である。その産土の臍のような甘樫丘より、作者は世界を眺め、その眺めの奥に匂いたつ亡き父母や妹がいた風景を遠望する。達観した境地から、自らの老いを、そして生々流転する世を、ときにユーモアをまじえつつ詠む。

帯文・萩岡 良博

 

四六判上製カバー装 2500円・税別