藤元靖子歌集『はらはら零る』

白い花を探して歩く 今朝はすぐ見つかるものをさがして歩く

棒切れで自分の周りに円を描く くるっと一まわり元へ戻れた

悲しみは色なく音なくわたくしを流線形にのこしおく風

夕かげに木の葉一枚かえすように帰されたなら紛れればよい

忽ちというにはあらず十日月の傾きながら西へ巡る間

 

自然にさりげなく寄り添い、

その深い懐にそっと抱かれる。

淡々として、平明に、自在に。

 

そんなふうに歌を詠む

言葉は木の葉、しらべは風