加藤和子歌集『朝のメール』

黄に圧され黄に放たれて歩みたりひと日曇れる黄葉渓谷

石の家に降りゆく雪の淋しさを思えり朝のメールを閉ざす

イギリスの老女のようにカーテンの間からまた庭を見ている

昔むかし蝉の鳴かない年があり並木は暗渠に変わっていった

怒ったり淋しがったり日常の続きの中に人は亡きかも

 

先師・高安国世の歌ごころを受け止め、身めぐりの風物や人物をつつましく歌い継ぐ。平明なしらべにたしかな言葉の年輪を重ね、いよいよ作歌世界は地味と深まりを見せ始める。

 

四六版上製カバー装 2400円・税別