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空翔けるテレビドラマの歌うたい子は大股に角を曲がって
忌のあした天がけるごと霧ながれ歌のことばとならず消えたり
青鷺が静止画像のごとたてり砂嘴のソクラテスとひそかに名付く
水草の根に潜りたる目高たちわが水播けば水の輪にくる
波除け石ひとつひとつに刻まるる名前のありて入江囲める
ひたむきに歌と真向かう。
歌がひそかに息づき始める。こんなにも豊かで、変化してゆく日常世界。
「短歌を創ることは、生きることはを、自分自身に問うこと」という先師・香川進の言葉を反芻しつつ、あるがままの自らの感性に歌を寄り添わせて詠み続ける。
四六版上製カバー装 2600円・税別