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戦ふは人に向かふにあらずして挑むごと雪を力込め搔く
吾の巡り和子勝雄の名の多し戦火くぐりし父母らの願ひ
天を射し辛夷のつぼみ鎮魂のらふそくの灯をともし静けき
自らは光り得ぬ月冴え冴えと光りて十夜法要近し
風雪の四日つづきて茜さす夕べオブジェとなりたる冬木
基地の街三沢での独居の日々。
雪に閉じ込められた視界の向こうから
みちのくの春を呼び寄せるように歌を詠む。
「終戦戦後のこと」と題した手記が歌と響き合う。
それは南部びとの強靭でしなやかな意志の輝きだ。
四六版上製カバー装 2500円・税別