小紋潤歌集『蜜の大地』

人生の半ばを過ぎてぬばたまのカーマイケルを思ふことあり

われに母在ると思へば夏雲はこの大空に昼をゆたけし

銀河系、その(はじ)まりを思ふときわが十代の孤り(すず)しも

憂ひありて思へばわれに父ありて夕べの祈り捧げゐるらん

顧みてねがふことなきわれになほ盧生の夢のごとき残生

クレヨンに描かれてゆく麒麟なりさうだ象よりずつと喬いぞ

夢ひらく水木の花に沿ひてゆくお前のゐない動物園で

 

ふるさとに帰りて思ふ徴税人マタイが従ひしその人のこと

 

 待望の小紋潤の歌集がついに刊行された。短歌はついに人間なのだ、古くから言われてきたこの言葉がこれほど似合う歌集はめったにない。どの一首をとりあげても、小紋潤の声が聞こえる。小紋潤の息づかいが感じられる。そこに小紋潤その人がいる。

佐佐木幸綱

 

 

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コメント: 1
  • #1

    岡田欣也 (日曜日, 09 10月 2016 07:02)

    初めまして。コメントではなくて、申し訳ないのですが、小紋潤歌集『蜜の大地』の入手方法をご教示いただけないでしょうか。いろいろと検索したのですが、いづれもヒットせず、困惑しておりました。
    メールアドレスを記しておきますので、よろしくお願い致します。
     kinnkinn22kis@gmail.comです。
    もし、入手がむつかしい場合もその旨ご連絡をいただければ幸いです。
    2016/10/09 ながらみ書房御中                              岡田欣也