三輪良子『木綿の時間』

 

子を三人(みたり)生みて育てし歳月はたとへば木綿のやうなる時間

要介護5の<5>は鍵のやうな文字 春のとびらをこじ開けてくる

向きあひて(いん)(げん)のすぢ母とひく つういつういと日のあるうちに

虹のまた向かうに虹の立つ夕べ過ぎし人らの影を照らせり

崇福寺 正覚寺下 思案橋 サ行の(おん)の響きあふ町

 

家族をテーマにした一冊と言っていい。三人の子を育てた時間を「木綿のやうなる時間」と歌っている。木綿といえば、肌ざわりがよく、じょうぶ。通気性がよく涼しい、また厚手にすれば温かい。三輪さんはきっと「木綿のやうな」母親だったのだろう。

 

伊藤一彦・跋より

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コメント: 1
  • #1

    木村 美枝子 (火曜日, 20 9月 2016 10:36)

    三輪さんは、心が美しく、自分より、他者を大事になさる方で、木綿の時間 はその内面性が溢れでています。何度読んでも涙がでます。