池原初子歌集『七歳の夏』

民謡の安波の真はんたは山深き絶壁にして海を見下ろす

ちちははよ御祖先(みおや)も出でませ陽の下に遊ばむ今日の清明祭(シーミー)一日

教科書より集団自決の軍命を削除せよとふ歴史危ふし

舞台に座し糸車(ヤーマ)廻せばいにしへの女の生業(なりはひ)胸に迫り来

焼け出され着の身着のまま逃げ惑ひ捕虜となりしは七歳の夏

 

戦後七十年という大きな節目に、池原初子は歌集を上梓した。唯一地上戦となった沖縄で生れ育ち戦禍を潜り抜け、その歳月を振り返る。

玉城洋子・跋より

 

四六版上製カバー装 2500円・税別