丸山律子歌集『シャウカステン』

砂利を踏む軍靴乱るる音のごとし葉月の朝の心の鼓動は

背を丸め草引く母の姿なる庭石ありて青き苔生す

今日からは姉さま女房なるを告げ写真の夫と酌む誕生日

山里を墨絵に鎮めふり続く雨の信濃は冷えまさりゆく

湖わたる風温もりて穏やかに芽吹き柳をなびかせて吹く

 

丸山さんの歌の特色は、観察眼の鋭どさと冷静さ、そしてその表現のきめ細かさや明晰さにある。

内藤明・跋より

 

四六版上製カバー装2500円・税抜