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まくらがの古河(こが)の庵の栃の木の幹は太かり葉は茂りおり
ひぐらしを耳の奥処に棲まわせてたましいふかくふかく青みゆく
曲名は記憶の果てに漠としてあの日おまえが弾きたるショパン
万物は日暮れてやさし振り向きてただ吹く風を確かめてみる
見はるかす駿河平に金色のきよらを放ち日のくたちゆく
空は空の悲しみを持ち光つつかげりつつ青し今日の明るさ
「群帆」代表を引退された師後藤直二を、幾度か訪問するが、「まくらがの」と枕詞を使う格調高い韻律は、師への限りないオマージュになっていよう。
大原葉子•跋より
四六版上製カバー装•2500円税別