荻本清子歌集『夕宴』

ひらひらとひらひら残り葉そよがせて冬木は氷の華になるべし
樹の陰に微睡み樹皮の臭いくる初夏の風に身を預けおり
人も虫も葉裏に翳り生きゆくを愛しきことを思いいずるに
かがやきて言葉が飛翔するときの山なみ夏の雲を追い越す
星空の広がる野面に飼い犬と仰ぎ見し銀河今に澄みおり

  おおらかな心で森羅万象を見つめる眼差し。
  見るものすべてが歌の言葉となり、
  しらべとなる。

ゆっくりと成熟してゆく    
宇宙の果実のように、気高く、清浄に。   
四六版上製カバー装 2500円•税別