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伯母ケ峰の一本だたらも杖をつき天上の紅葉見上げてをらむ
美容室の大き鏡の中にゐる二上山雄岳の前にすわれり
水色の空は螺旋に高くなり夏も終わりへと動いてをりぬ
開け放つ三階の窓に入り来たる蜻蛉ありわれは嬰児を抱く
背景宮沢賢治殿、二万数千の星を運びし銀河鉄道
見上げれば月と星ありはろばろと大歳の闇に包まれてゐる
山深く分け入って出会う紅葉はこの上なく美しい。あたかも天上からの賜り物のように。かつて作者の作歌世界を「しらべがふくよかで美しく、一人の純真で、感じやすく傷つきやすい女性の修羅」と先師•前登志夫は評した。詩歌の時空にひびく清新な抒情。
四六判上製カバー装 2500円•税別