宮間ミエ子歌集『ふうかし』

「ふうかし」と呼ぶ古里の浅蜊汁貝殻音たつ母の思い出

難病の夫が殺せと荒む日の黙してわれは米を研ぎおり

取れそうで取れない高さもどかしく夕焼色の烏瓜ゆる

夫看取るための退職明日からの見えぬ不安は神にゆだねる

決めかねる事を思いて乗る電車中吊り広告ゆらりとゆれる

 

「ふうかし」という歌集名。浅蜊汁の味噌汁のことだという。木更津では戦前戦後、いくらでも浅蜊が獲れたとうかがった。語源はよく分からないという。…晋樹隆彦•跋より

 

四六判上製カバー装 2625円•税込