來田康男歌集『法螺吹きの末裔』

ある朝に起きると体表と体内がひつくり返つてゐたらどうしよう

警官の人形にぶつけてしまつたが怒鳴られないからそのまま逃げた

茹で栗も中を蝕みし虫共も消化してゆくゆゑにわれあり

親のカネで暮らせる癖にブログには国を憂ふと法螺吹くニート

<ワシが居なくなればどうする>と言ふ上司に心で答へる<皆が喜ぶ>

 

『法螺吹きの末裔』 來田康男歌集

人に構ってもらいたくて嘘をつく児童。

名詞で時代にさわる試みを楽しむゲーム男。

直感的に選んだ言葉を意味で洗う洗濯女。

わいわいがやがや、大騒ぎの絵本の中に入ったような一冊。佐佐木幸綱

 

四六判上製カバー装 2625円•税込