小野雅子歌集『白梅』

きさらぎのあしたの光さすなかに一輪の白梅(うめ)ほころび初めぬ

一瞬 さかさに振れば雪のごとく過ぎし日の愛ふりしきらぬか

挫折の過去あるゆゑ人はやさしくて春の終りの花をながむる

 

茫漠とした詩歌の時空に咲く花。

そこには一輪の白梅が似つかわしい。

過ぎてゆく歳月をいとおしみ、時おり見上げる空には憂愁をおびたひかりがあふれている。

その光りを静かにすくいとるようにひっそりと歌う。

 

四六判上製カバー装 2625円•税込