平尾眞歌集『とらんじつと』

薔薇の芽のやはらかき針をゆびに触れ少年はつと顔をあげたり

走水神社に出会ひ辞儀をする彼我をつなげる白き息かな

朝なさな風にみどりの濃くなりて柿の老い木の嵩もりあがる

関東のをちこちに住む同窓の落ちあふ場所を「神谷バー」とす

 

『とらんじつと』は、仕事の現場を離れ、短歌の世界に身を置いた時の違和感を多少の遊び心をこめて歌集の題名としたところに様々な物や現象への立ち位置が窺われる。 

前川佐重郎

 

 

四六判上製カバー装 2625円•税込