正井姈歌集『ちりちりや』

ちりちりやちりちり生きて何せむにわが数ならぬ歌を作るや

黄の花の小さく咲ける芥子菜の種も淋しきみよしのの秋

み吉野の隅の血のごと噴きあぐる紅葉ひともと峪を染めゐき

 

オペラに酔い、能に癒され、そして、先師•前登志夫との出会いが作者に短歌というおぎろなき霊異を垣間見せた。その憑き物はもう落ちることはないだろう。

母へ師へ、おの鎮魂の一巻を捧げる。

 

四六判上製カバー装 2625円•税込