安井はる歌集『浜昼顔』

九十九里の潮騒の音に揺らぎつつ浜昼顔の淡き花咲く

風に鳴るくぬぎ林の日のぬくむ落葉踏みつつ人思ひをり

おほよそは波の終れる位置にして砂浜の上に海藻乾く

 

ふるさと九十九里の海鳴り。荒ぶる海の声を聴く。

初夏、うす紅の花を咲かせる浜昼顔。

その花に慣れ親しんだ幼年期の記憶が育て続けた歌ごころは、静かで気品ある写生歌のまことを追求してやまない。

四六判上製カバー装 2625円•税込