王紅花歌集『星か雲か』

池のほとりに椅子を運びて座りしが何を見てゐむ 星か雲か

その時の気分に過ぎず 流れ来しかなぶんを溝川より掬ひて放つ

飼猫を探しゐるとふ貼り紙のその猫はきのふわが庭に寄りき

ゆうぐれの庭にコスモス揺れてゐて何故だかものすごく寂しい

カー•ナビに誘導されて広き墓地の迷路を進む 亡母に会ふため

 

植物を愛で、昆虫の生命に細やかな目をそそぐ。

視線は時に、蜉蝣や蛾の腹にまで至り、ふしぎな感性と美によって研ぎすまされている。

 

四六判上製カバー装 2625円•税込