山口明子歌集『さくらあやふく』

■完売御礼!

第二十一回ながらみ書房出版賞受賞!

 

授業中反応せぬ子がわが言ひし本借りに来る つくし芽を出す

稲妻に身を裂かれゆく木の痛み和らせむとして背に爪を立つ

五百人の園児の揃ふ運動会すぐに見つかる踊らぬ我が子

雲脱ぎし岩手山ふとあらはれて夏を待つ蒼あさぞらに満つ

みちのくに太き脈なす北上の川を良夜のひかりがあらふ

北を指す針セシウムに狂ふ春さくらあやふく光りつつ咲く

 

ショッキングな出来事とその現実に向き合う作者の真摯な姿勢は、現代短歌の世界が忘れかけている、全身全力でうたうことの意味を広く問いかけるにちがいない。

佐佐木幸綱•跋より

四六判上製カバー装 2625円•税込