![](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/dimension=210x1024:format=jpg/path/sfcb194bbf6a56db8/image/i6f4fc089c454f4ff/version/1342769153/image.jpg)
港より立ちあがる街長崎の五月の空は海照りの光
八日生きし子も一族の紋のうち両手にかこむ壷にねむれる
睫毛まで千涸ぶ泥に固まりて砲を曳く馬立ちつくしおり
八月一日わが撃たれし空襲に崩れし町の写真を見たり
白濁の視界の端にみえてくるわが家の庭の夏葉の椿
生家跡 爆心地にむく石垣が石の鱗を落としはじめぬ
久しぶりに訪ねた生家跡の石垣。原爆の閃光を浴びたその石垣の表面が剥がれ落ちるのを、「石の鱗」とした比喩が巧みであるし、歳月を越えて被爆体験を作者にありありと蘇らせる。馬場昭徳(解説より)
A5判上製 2730円•税込