藤間操歌集『文箱』

たたずまひ佳き白梅は遠目にも其処のみみぞれ避けて降りをり

たばこ買ひに行くが如くにふらり消えし夫を送りて十三年経たり

もののふの哀れ見て来し大公孫風冷たく未だ芽ぶかず

地震ありて沈黙長き振り子時計なじかは知らじ時告げはじむ

 

対象に一定の距離をおき、観察を楽しみ、

作歌も楽しんでいる。

特徴の一つである序詞や比喩も上手い作者で、その技術をどれくらい駆使しているのかを知るのも本書の魅力と思う。

鶴岡美代子

 

四六判上製カバー装 2625円•税込