泉田多美子歌集『紫花菜』

危うしと思う高さに吹かれつつ今しほぐれむ夕顔の花

嘘をつく幼と叱りいる吾と淋しき窓に来る雨蛙

すぐそこと教えられたる所まで夕暮れてゆく道の遠さよ

明日の米買えぬ苦労をしてみたい坂田三吉その妻小春

獣らにありて人には無きものか冬の眠りと言うを思えり

 

なんの気負いもなく、

自分の背丈ほどの歌を詠む。

簡単なようでいて、現代においては困難な歌の道かもしれない。

そんな道をゆっくりと歩んできた。

先師•石田比呂志のきびしい指導に応えるべく、より作歌の高みをめざす。

 

四六判上製カバー装 2625円•税込