大野利夫歌集『比企の嵐山』

ひとつ神のゆえに戦ふ民ならむわれら千万の神神を持つ

禁圧を受けしたばこの受難史に平成を加ふ路上禁煙

背嚢に紙の碁石をひそませていくさの海を渡りゆきにき

理に叶ふ新語と思へど整はぬリズムに困る「満地球」とは

よき処みせむが悪手間もなくに頭を下ぐる碁石を返して

 

著者の「游」その人は、何を識り何をする人か。

広く、奥深く、とてつもない大きさ。

その存在の凄さと『比企の嵐山』で存分に出会えることだろう。

御供平佶

A5版上製カバー装 2835円•税込