加賀谷実歌集『海の揺籃』

黒々と濡れて競り待つしじみ貝幼きものが手を結びいる

ゆるやかに死後硬直に移りゆく白鱚を青き光が包む

鮟鱇の口中深く絶命の軽鴨汝は何を違えし

月照らす男鹿の断崖手を当てて眼閉ずれば侏羅の海鳴

 

大鱈、間八、白鱚、鮟鱇、鮪、鰤。

港に水揚げされた魚が歌われている。どの歌にも競り場のプロならではの確かな眼と心が働いている。

そして、プロは魚に対すしてかくも愛情を抱いているのだなぁと改めて教えられる。 伊藤一彦•跋文より

 

A5版上製カバー装丁 2,835円•税込