斎藤美江子歌集『銀の笛』

ひそ夜ひそかに銀の笛吹く少女子にさざめきを止む星も夜風も

はつ夏の緑まぶしきその奥にひと筋魚の涙を見たり

時経ればかなしみはとほく去りゆきて時は優しく人を起たしむ

 

出会いはよろこびとともにかなしみも孕む。

そう、世界をさまよう純なるたましいの悲傷の声。

先師 島田修二の詩ごころを歌い継いでゆく作者のまなざしはかぎりなく透明にしてもの憂い。

 

 

A5版上製 2730円税込