中西敏子歌集『天のみづおと』

飛魚は空とぶ形に売られをり夕暮れどきの小さき市場

この春のいのち終へたる花びらを川はやさしく彼岸へ送る

惹かれたる薩摩切子の藍色はたとへば死後に見る空の色

 

中西敏子さんの歌に良質の透明感があるのは、その人生を誠実に懸命に生きてきた証が伝わってくるからである。

歌から現れてくるのは、どこか悠然としたところがあり、作品にも意志の強い自立した女性像がある。

山名康郎 跋より

四六版上製 2625円税込