時田則雄 著 『十勝から』

定価:2,530円(税込)

判型:四六判並製カバー装

頁数:262頁

ISBN978-4-86629-370-7

 

公益社団法人全国農業共済協会が発行する月刊誌『NOSAI』に、21年間にわたって連載。その252編を収めた、現代を生きるうた物語。

 

 

場所は十勝。

農に汗を流しての半世紀余り。

この大地に一本の屈強な樹となり、無骨な石となり、トラクター、コンバインの響きとともに、日々が土との格闘だ。怒号も咆哮も悲鳴すら、やわらかく強靭な歌となり、青空を翔ける。

 

 

 

 

このあした堆肥の湯気に励まされ拳に力集まりて来ぬ

 

今日は4月1日、長い冬を雪の下で過ごしていた小麦が、やわらかな風に吹かれて碧を輝かせている。ゆっくりと流れる綿のような雲が目に染みる。土はまだ湿り気を帯びて冷たいが、その上に立っていると心が和んでくる。 

(歌と本文より)