ながらみ書房は1985年開業、二千点以上の歌集歌書を出版してきた出版社です

 


News

好評「短歌往来」バックナンバー

 
  1. 石川信雄歌集『cinema』復刻しました!
  2. 島内美代歌集『風の十字路』日本歌人クラブ北関東ブロック優良歌集に選ばれました!
  3. 第21回ながらみ書房出版賞山口明子歌集『さくらあやふく』に決定しました!
  4. 伊志嶺節子歌集『ルルドの光』第17回平良好児賞に選ばれました!
  5. 長嶺元久歌集『カルテ棚』第10回筑紫歌壇賞に決定しました!
  6. 足立晶子歌集『ひよんの実』平成25年度日本歌人クラブ近畿ブロック優良歌集に決定しました!
  7. 冨尾捷二歌集『満州残影』平成25年度日本歌人クラブ東京ブロック優良歌集に選ばれました!
  8. 橋本忠歌集『白き嶺』平成25年度日本歌人クラブ北陸ブロック優良歌集に選ばれました!
  9. 長嶋浩子歌集『遊水池』が埼玉県歌人会新人賞に選ばれました!
 



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編集部日記

短歌往来2016年12月号

◉巻頭作品21首    
水のある風景/都築直子

    

◉特別作品33首    

パンダは白に黒が混じれり/奥村晃作
流れ/ 三井ゆき

    

一ページエッセイ    
落書帖(最終回)ー赤とんぼの歌/大島史洋 
酔風船ーゆっくり急ごう/千々和久幸 
花和尚独語ーさざんくわ/大下一真 

    

■評論 世紀の視座
「聽診器もて父われは聽く」/田中綾

    

[特集]題詠による詩歌句の試み 生老病死    

    

枯葦抄/財部鳥子
まだ生きてたのかい/島田修三
影/宇多喜代子
建武の中興/荒川洋治
沈黙の川/俵万智
真夜/片山由美子
美しい死/正津 勉
爽やかに泣く/石井辰彦
苦楽のこちら側/夏石番矢
祝日/蜂飼耳
外線の声/高島裕
この道へ/大高翔
地上一寸をゆらめく/竹田朔歩
長夜/尾﨑朗子 
小火/閒村俊一  

    

◉作品十三首    
海辺一首また一首/小見山 輝
八雲と韓流タウン/畑 彩子
祖国を愛す/安森敏隆
フェスティバル/おの・こまち
米が好き/下村光男
ジャワ・ジャカルタ行/南 輝子
つるうめもどき/福原美江
九月のポスト/後藤恵市
場外の脳/玉井綾子

    

◉作品八首    
再びの秋/藤本喜久恵
雑 踏/井谷まさみち
橋を落とす/鈴木陽美
大絶減 /陣内直樹

    

リオオリンピック  /長谷川紫穂
リルケ殺せば /泉谷虚舟
かやぶきの里 /芝淵田鶴子
この習性を /岡部修平
雲上への旅/筑波笙子
生きをればなり/椎木英輔
胸裡の花/川上三郎 

    

■歌人回想録ー水町京子    
小歴/間ルリ編
水町京子のうた50首抄/間ルリ選
あかるき憂い/佐久間裕子    

    

追悼ー大滝貞一    
奮迅の歳月/竹安隆代

    

追悼ー津川洋三    
北陸の風土とともに/橋本忠
■連載ー百人一首の歌人たち(最終回)    
淡路島通ふ千鳥/久保田淳
121753655■連載ー浪々残夢録    
戦中の歌人の死/持田鋼一郎
■連載ー時言・茫漠山日誌より    
エロスの日蓮/福島泰樹
■連載
メロディアの笛Ⅱ 白秋の昭和/渡英子
■連載ー短歌の近代(最終回)    
伊藤左千夫と日露戦争/島内景二
■連載ー編集者の短歌史 
異色作家集の企画/及川隆彦
  
■今月の視点    
三十一文字に込められた先人たちの歌/田中章義
■連載  
歌誌漂流/鈴木竹志

    

■新刊歌集歌書評    
久保田淳著『鏡花水月抄』/水原紫苑
岡井隆著『詩の点滅』/佐藤通雅
花山多佳子歌集『晴れ・風あり』/齋藤芳生
吉川宏志歌集『鳥の見しもの』/川野里子 
大下一真著『鎌倉山中小庵日記』/阿木津英
松川洋子著『女神と星雲』/川本千栄   
金子貞雄歌集『はにほへと』/丹波真人
高崎淳子歌集『難波津』/中川佐和子 
鳥山順子歌集『クロスロード』/三井 修
那須愛子歌集『希求はるか』/西勝洋一
小寺豊子歌集『水鳥のごとく』/喜多弘樹
◉今月の新人ー作品5首     
連想/安里琉太 
■作品月評ー十月号より/村島典子
■評論月評/田中教子   
■全国〝往来〟情報  
■編集後記 
表紙画/高橋千尋    
本文カット/浅川 洋
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松村正直著『樺太を訪れた歌人たち』

「なぜ、樺太か」という問いに対する明確な答えはまだ見つからない。しかし、サハリンを訪れてみて一つだけ感じたことがある。

それは「鎮魂」ということだ。鎮魂と言っても亡くなった方々への追悼という意味だけではない。戦前の樺太に暮らし、樺太という土地に様々な夢を描いた人々の思いは、敗戦によって断ち切られてしまった。

それらを何らかの形で受け止めて、鎮めることが必要なのではないかと感じたのである。

 

【目次より】

北見志保子とオタスの社

松村英一と国境線

北原白秋・吉植庄亮と海豹島

橋本徳壽と冬の樺太

生田花世と木材パルプ

石槫千亦と帝国水難救済会

出口王仁三郎と山火事

土岐善麿と樺太文化

下村海南と恵須取

斎藤茂吉と養狐場

 

四六版上製カバー装 2500円・税別

 

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短歌往来20106年11月号

◉巻頭作品21首
風向き/香川ヒサ
◉特別作品33首
石は石なり/恒成美代子
秤持つべき/ 大野道夫
一ページエッセイ
落書帖ー古本の話/大島史洋
酔風船ー無為というニヒリズム/千々和久幸 
花和尚独語ー紅葉が谷の紅葉/大下一真
[特集]飲食と居酒屋
■評論  
酒は天の美禄/加藤英彦
■作品十首+エッセイ
思ひ出のごとし/島田修三
侘助/梛野かおる
バラックの飲み屋/福田龍生
若草の色/三井 修
美舟/光本恵子
夢咲かす/岩崎聰之介
光日和/東直子
やきとん四文屋/大松達知
千九拾八分の一食・一献/藤室苑子
酒も悲哀も/佐佐木定綱
じゅうぼう/三原由起子
 ◉作品七首
祥月に/小林峯夫
風雅巻き/村山美恵子
新秋の湖/小西久二郎
人生の航路/鈴木千代乃
暑気払ひ/御供平佶
秋の塩/佐波洋子
あの面この面に/安藤直彦
湖畔 追想/森 淑子
青鷺二羽/大橋栄一
女川の鳴り砂/内野光子
北海道新幹線/宇都宮とよ
◉作品十三首
ガリレオの素描/松本典子
夏/古屋 清
夕映え/青木陽子
蟋蟀の影のうすさに/桝屋善成
西瓜を抱ふ/三輪良子
風の限り/城俊行
白日夢/南條暁美
◉作品八首
夏の日々/坂本朝子
悲しみは真っ赫なリボン/飛髙敬
積乱雲/武藤敏春
合歓の咲く里 /前田芳子
マイブーム /米山髙仁
ふるさとの花 /島 晃子
折 鶴 /池田美恵子
結束バンド(二)/柏原宗一
琴/乾 醇子
アンダンテの歩み/飛鳥游美
二百十日/池田裕美子
逃げ水/野々村學
追悼
永平利夫氏の逝去を悼む/波汐國芳
◉シリーズ歌人回想録 川島喜代詩
小歴/山中律雄 編
川島喜代詩のうた 首抄/塚本瑠子選
「上品なこころ」/山中律雄
■連載ー百人一首の歌人たち させもが露を命にて/久保田淳
■連載ー浪々残夢録
ある浪漫主義者の生と死/持田鋼一郎
■連載ー時言・茫漠山日誌より
杉よ! 眼の男よ!/福島泰樹
■連載
メロディアの笛Ⅱ 白秋の昭和/渡英子
■連載ー短歌の近代
島木赤彦『切火』と近代文語/島内景二
■連載ー編集者の短歌史
結婚七年目の会/及川隆彦
■今月の視点
「じっくり」と「たくさん」/遠藤由季
■連載
歌誌漂流/鈴木竹志
■新刊歌集歌書評
馬場あき子著『寂しさが歌の源だから』/栗木京子
石井辰彦歌集『逸げて來る羔羊』/佐藤紘彰
小紋 潤歌集『蜜の大地』/吉川宏志
岡嶋憲治著『評伝春日井建』/彦坂美喜子
時田則雄著『陽を翔るトラクター』/酒井佐忠
大井 学歌集『サンクチュアリ』/長谷川と茂古
今井正和著『無明からの礫』/柴田典昭
玉井綾子歌集『発酵』/大森静佳
古谷 円歌集『百の手』/長澤ちづ
福原美江歌集『夕雨の盆/上村典子
逸見悦子歌集『野あざみ』/押切寛子
田土才惠歌集『風のことづて』/來田康男
赤松佳惠子歌集『いとほしき命』/平林静代
◉今月の新人ー作品5首 
休み明けのハイヒール/加藤みづ紀
■作品月評ー九月号より/村島典子
■評論月評/田中教子
■全国〝往来〟情報
■編集後記
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短歌往来2016年10月号

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小黒世茂著『記紀に游ぶ』

記紀歌謡−草木がものを言い、

人と神とが渾然一体としてあった時代。

古代人のこころに寄り添い、

ともに呻き、哄笑し、歌う。

悠久の神話の山河を渉猟する

一人の歌びとに導かれながら。

 

伝承と民俗のはるかな木魂を聴く。

現代と古代とを往還する稀有なる歌の語り部!

 

 目次より

1 須佐之男命 たたら 刀匠 櫛 蚕 粟 竹

2 神武天皇 三輪山 ゆり祭り 美々津 丹敷戸畔 木炭 鯨

3 隼人 鯛 隼人舞神事 隼人と放生会 人形まわし 太安萬侶墓と木炭

4 山の神 焼畑 遊行のひと 山の神 猪 水銀 鬼 桜 富士山

5 神代 酒 勾玉 婚 遊 紅梅染 梅 鰻 柿

6 御代 海女 橘 鮎 琴 地震について 椿 相撲 藻塩

7 祭 花の窟 水の祭祀 蛸舞式神事 亀卜とサンゾーロー祭 水の精 赤米

 

四六版上製カバー装 2500円・税別

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高崎淳子歌集『難波津』

ゲーテ登り茂吉も登りまだらゆきリギの裏山眺めて過ぎる

生は死をそそりムリーニ渓谷にレモン輝き海は誘ふも

国語教師三十六年に魯迅ありヘッセもありて友のごとしも

夏木原松陰の詩にまむかへばさつきつつじがほのかに残る

難波津に百舌鳥の耳原尋ねたり松は緑のときはなる花

 

教師生活を終えた横浜への惜別。

文豪、画工に出会う海外への旅。

研ぎ澄まされた知性と感性の閃き。

 

咲くやこの花――

そう口ずさみつつ人を、歴史を、

風景を、そして世界を凝視する。

 

四六版上製カバー装 二五〇〇円・税別

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小寺豊子歌集『水鳥のごとく』

 

 

水鳥のごとくアイロンすべらせてシーツの小さき波を消したり

 

〈「シーツにアイロンをかける場面と水鳥が水面をすべる光景の連想が見事。比喩が大らかで、のびのびしていて、読者を楽しい気分にみちびいてくれる」。幸綱氏が小寺作品の特質をとらえて高く評価したこの一首から歌集タイトルは採られた。〉   伊藤一彦・跋より

 

 

さくら背に母と並びて写真撮る石段ひとつ高さ違えて

掠れゆくこともしないで突然の別れのごとくインクが切るる

五枚目に漸く呼吸(いき)の合いてきて夫と二十枚(にじゅう)の障子張り替う

もう少し雨と呼ばれていたいから川面の水に溶けないわたし

 

五秒後に落としてしまう西瓜抱き写真のなかで微笑む少女

 

四六版上製カバー装 2500円・税別

 

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短歌往来2016年9月号

◉巻頭作品21首

手術室/谷岡亜紀

 

◉特別作品33首

夏の家族/黒瀬珂瀾

梅雨の日々と式/ 小川佳世子

 

 

一ページエッセイ

落書帖ー茂吉の歌/大島史洋

酔風船ー結社は変貌する/千々和久幸

花和尚独語ー方代忌と芙蓉/大下一真

 

[特集]命とことば

宇宙意識への拡がり/小黒世茂

作品と人生のせめぎ合い/吉川宏志

生を描くことば/池田はるみ

いまを生きる声と言葉/十鳥敏夫

新しいいのちの認識と感覚/米川千嘉子

人間のあたたかい息/本田一弘

固有のいのち、固有のことば/桑原正紀

 

 ◉作品七首

夏日小詠/吉村睦人

渓/松永智子

光陰/古屋正作

硝子のうちら/永田典子

秋季短詠/八城水明

新聞ひらく/桜井登世子

臀力/松川洋子

稲妻/伊勢方信

路銀/尾崎まゆみ

水の尾/秋山佐和子

匕首ひとつ/柴田典昭

 

◉作品十三首

余力余命/大熊俊夫 

三月三十日、花巻市街周遊/江田浩司

ピカソの鳩/岩尾淳子 

小高賢の手紙/冨樫榮太郎

器と雨/棚木恒寿

牛蛙のこゑ/山本登志枝

母の質問/高山邦男

年年歳歳/山内嘉江

 

◉作品八首

妻の七回忌/須永秀生

うすずみ/新井瑠美

梅雨の後前/伊藤宏見

六月の丈/小林暁子

くだり坂/平尾眞

掌の卵/小宮山玉江

酒の銘柄/大友道夫

初秋の風に/大芝貫

出原の柱松/阿部尚子

洛陽悠游/今枝敬昌

昭和二十年夏ー在北京ー/笹倉玲子

 

■歌人回想録ー石本隆一

小歴/山本雪子編

石本隆一のうた50首抄/松田愼也選

音感の美しさと愛誦性/武田弘之

 

■連載ー百人一首の歌人たち

「わが身ひとつ」という句/久保田淳

■連載ー浪々残夢録 感傷的回顧/持田鋼一郎

■連載ー時言・茫漠山日誌より 永さん逝く/福島泰樹

■連載 メロディアの笛Ⅱ 白秋の昭和/渡英子

■連載ー短歌の近代 「もののあはれ」と革命……石川啄木/島内景二 

■連載ー編集者の短歌史 「心の花」一千号の準備/及川隆彦

◉今月の新人 軌道の幅/青山仁

■今月の視点 政治の本質を見抜く/井上美地

■連載 歌誌漂流/鈴木竹志

■カルチャーのうた 兵庫勤労市民センター「短歌探求」講座/小林幹也

 

■新刊歌集歌書評

吉村睦人歌集「鉄鉛集」/水野昌雄

米田律子歌集「木のあれば」/香川ヒサ

十鳥敏夫著「古歌の光芒」/今野寿美

山中律雄歌集「仮象」/外塚喬

今川美幸歌集「雁渡りゆき」/江畑實

廣庭由利子歌集「ぬるく匂へる」/藤原龍一郎

おの・こまち歌集「ラビッツ・ムーン」/村島典子

石川浩子歌集「坂の彩」/大辻隆弘

森垣岳歌集「遺伝子の舟」/米田靖子

永谷理一郎歌集「忘れ物を取りに帰ろう」/藤島秀憲

金子愛子歌集「花の記憶」/綾部光芳

 

■作品月評ー七月号より/沢口芙美

■評論月評/田中教子

■全国〝往来〟情報

 

■編集後記

 

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小紋潤歌集『蜜の大地』

人生の半ばを過ぎてぬばたまのカーマイケルを思ふことあり

われに母在ると思へば夏雲はこの大空に昼をゆたけし

銀河系、その(はじ)まりを思ふときわが十代の孤り(すず)しも

憂ひありて思へばわれに父ありて夕べの祈り捧げゐるらん

顧みてねがふことなきわれになほ盧生の夢のごとき残生

クレヨンに描かれてゆく麒麟なりさうだ象よりずつと喬いぞ

夢ひらく水木の花に沿ひてゆくお前のゐない動物園で

 

ふるさとに帰りて思ふ徴税人マタイが従ひしその人のこと

 

 待望の小紋潤の歌集がついに刊行された。短歌はついに人間なのだ、古くから言われてきたこの言葉がこれほど似合う歌集はめったにない。どの一首をとりあげても、小紋潤の声が聞こえる。小紋潤の息づかいが感じられる。そこに小紋潤その人がいる。

佐佐木幸綱

 

 

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那須愛子歌集『希求はるか』

海は母 地球に生命育みつつ四十億年すべて許し来

一生われを守ると君が約束のふいに聞こえてあとは海鳴り

まだ暗き街へ仕事に行く吾娘へマヤ人も飲みしココアを沸かす

震へながらマイクを握る戦争を厭ひし母の影に押されて

人間は水と恋とで出来てゐるはるか原初の平和希求す

 

 

繰り返し詠われる青の歌、海の歌から、人間の根源に立ち返って思索をしながら生きている那須さんの生き方、歌への姿勢を感じました。         木村雅子・序より

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赤松佳惠子歌集『いとほしき命』

 

幸せにあるやと受話器の兄の声すなはち父母の心と思ふ

この家を仕切れるわれが猫並みに「おい」と呼ばれてゐる不文律

猫二匹人間二人のこころ四つどれかが常にはみ出し加減

ショッピングカート以外に頼るものは無し外出のたび涙にくるる

体調不安・遠出不安に縛られてほんにわたしはあかんたれなる

 

飾ることがなく伸びやか、真摯な詠風のなかに人生のほろ苦さも感じられて、赤松さんのヒューマンな声をどの作品からも聞くことができる。

 

林田恒浩・跋より

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鳥山順子歌集『クロスロード』

「クロスロードみつぎ」起点の遊歩道あるけ歩けと私も歩く

 

みずからの住んでいる土地への深い愛情はよい作品を生み出す。土地の神も応援してくれるからに違いない。広島県の尾道市に住む鳥山順子さんは並々ならぬ愛情を街と自然に対して抱いている。それは本書のどのページを開いても明らかだ。「クロスロードみつぎ」とは町のバス停らしいが、一見ふしぎで何と魅力的な名前だろう。私たちを「クロス」する世界に誘ってくれる楽しい一冊である。                  伊藤一彦

 

愛といふ複雑 庭の冬薔薇のくれなゐの口ほそく()くのみ

並びゐて手をつなぐなき内裏雛こころ濃くなりゆく日におもふ

わが持てるものと気づかず寄りゆけりカーブミラーのなかのひとつ灯

()れし畦道低く咲き初めてなづなよなづな真つ(さら)の白

水雪の融けながら降り現世(うつしよ)と彼の世の境に文旦供ふ

 

四六版上製カバー装 2500円・税別

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福原美江歌集『夕雨の盆』

 

 

久びさに歩き詣でる人麻呂神社父をおくりしのちの初春

白緑のいただき見する高千穂峰(たかちほ)の鳥すむ森のふところに入る

新入生迎へむ机にひらがなの名札貼りをりまつすぐまつすぐ

鹿野遊(かなすび)(いし)河内(かはち)小も閉校す()しき名前の消えゆく平成

濃き淡きあまたの地層かさね来し老いの人生(ひとよ)をうたに教はる

ひともとの極楽鳥花ふるへをり夜半のテレビの銃のひびきに

六十句選び遺句集『花菖蒲』編みて供ふる(ゆふ)(さめ)の盆

 

 

福原美江さんは歴史豊かで思い出深い故郷の石見にしばしば帰っている。抑制のきいた清々しい文体の故郷の歌が『夕雨の盆』のまず印象である。そして、前歌集『雁皮紙』に続く十年間の彼女の宮崎での生活がいかに充実し多忙であったかを証す一冊でもある。大学教授を辞したあとのボランティア活動、最愛の家族の看取り。『夕雨の盆』という優しく寂しいような書名に著者の祈りがある。

伊藤一彦

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田土才惠歌集『風のことづて』

なにがなし時計いくつもならべいていずこにあらんわれのみの時

湯たんぽに湯の音とぷとぷ階上る今日の終わりの足音立てて

もの書けばたちまちペンを貸せといい意志見せはじむ一歳の春

ケアハウスの窓ひそやかに開けられて春愁ひとつ今とき放つ

風となり水とはなりてめぐりつついのちのほむら若葉縫いゆく

 

人から人へ、親から子へ、孫へ

風がささやきかけるように

伝えたい思いがある、伝えたい歌がある。

 

 

そっと耳をすませば

言葉はいのちあふれる湧井のようだ。

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短歌往来2016年8月号

◉巻頭作品21首

 晩年の美観/岡井隆

 

◉特別作品33首

 飛鳥/坂井修一

 歳月をまわす力/ 冬道麻子

 

一ページエッセイ

 落書帖ー近藤芳美の歌/大島史洋

 酔風船ー窮鼠5分を噛む/千々和久幸

 花和尚独語ー白き桔梗に/大下一真

 

[特集]オリンピックの思い出 スポーツの歌

 鬣犬「樺」の死/岡野弘彦

 さらば東京オリンピック/水原紫苑

 1964年の青春/三枝昻之

 十歳の誕生日/栗木京子

 あの時のメダル/永田和宏

 聴かな神の声/平山良明

 はざまの橋/松平盟子

 漆黒の夜闇のなかに/林田恒浩

 東洋の魔女/今井恵子

 バロン西と乗馬ウラヌス/岡崎洋次郎

 オリンピア2016 1936/加古陽

 山中毅/中村規子

 美しき悲壮感/石川幸雄

 

◉作品七首

 こどもの声/橋本喜典

 塔の窓/結城文

 無音に生きる/藤岡武雄

 リンゴの樹/深井美奈子

 南原繁歌碑を訪ふ/水落博

 六月/花山多佳子

 山女魚/結城千賀子

 笛吹きケトル/金子貞雄

 犬駆けて来る/長澤ちづ

 その人は/王紅花

 

◉作品十三首

 成田空港第一ターミナル/山本雪子

 変身/冨尾捷二

 動植綵絵(若冲展)/秋山周子

 銀行/桜井健司 

 路傍の花束/浜谷久子

 東北行/田中徹尾

 光のいたずら/佐藤晶

 

◉作品八首

 恐竜博にて/安宅夏夫

 観天望気/小見山泉

 人の心/梅本武義

 牧水の盃/倉沢寿子

 灯して眠る/長嶺元久

 雉鳩の棲む街/久保とし子

 麦秋の道/小原文子

 のこる/楜澤丈二 

 余生を生きる/水谷和枝

 百年/清水亞彦

 昭和の音/鈴木りえ

 

■歌人回想録ー橋田東聲

 小歴/佐田公子編

 橋田東聲のうた50首抄/佐田毅選

 穏やかな自然観照そして寂寥/佐田公子

 

■連載ー百人一首の歌人たち 多才な女歌よみの恋/久保田淳

 

■連載ー浪々残夢録 鷗外にとって詩歌とは何だったのか/持田鋼一郎

 

■連載ー時言・茫漠山日誌より 大正行進曲/福島泰樹 ー114

 

■連載 メロディアの笛Ⅱ 白秋の昭和/渡英子

 

■連載ー短歌の近代白秋『桐の花』と「もののつれづれ」/島内景二

 

■連載ー編集者の短歌史 宮崎・熊本への旅/及川隆彦

 

◉今月の新人ー作品5首 花が増えた日/正田彩乃

 

■今月の視点 歌会の魅力/和田沙都子

 

■連載 歌誌漂流/鈴木竹志

 

■カルチャーのうた NHK文化センター横浜ランドマーク教室/三井修ー

 

■新刊歌集歌書評

 『石本隆一全歌集』/藤原龍一郎

 三枝昻之歌集「それぞれの桜」/楠田立身

 大口玲子著「神のパズル」/梶原さい子

 橋本喜典著「続短歌憧憬」/横山岩男

 櫟原聰歌集「華厳集」/柳宣宏

 高山邦男歌集「インソムニア」/和嶋勝利

 加古陽治著「一首のものがたり」/島田修三

 山内嘉江歌集「ガラスのはこ」/阪森郁代

 経塚朋子歌集「カミツレを摘め」/今野寿美

 山谷英雄歌集「寒流」/鶴岡美代子

 鈴木香代子歌集「青衣の山神」/米川千嘉子

 

■作品月評ー六月号より/沢口芙美

■評論月評/田中教子

■全国〝往来〟情報

■編集後記

表紙画/高橋千尋

 

本文カット/浅川洋

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玉井綾子歌集『発酵』

ビニールの中の塩麹 発酵を促してもむもまれる母性

「地図読めぬ女性」の一人であるわれの方向音痴は父親譲り

エレベーター降りて歩める方向は確かなり母と二人の旅は

四十三年間眠れるDNAわれにもつけよそれからの筋

わが爪と同じく丸い吾子の爪明らかに茂樹の孫たる証 

出社してはずすショールにいつの間につぶれて乾いたごはん数粒

重そうに何度も揺する抱っこひも子を持つ母が示しいる旗

泣きわめく声にかぶせる大声は金切り声と戦争を生む 

 

 

 発酵をうながして塩麹を揉むように、母性もまた揉まれることで発酵していく――そのように捉える知性。変化や成長と言わずに、発酵と言うところにも、この人の柔軟性と賢明さがうかがえる。                      久我田鶴子・跋より

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短歌往来2016年7月号

◉巻頭作品21首

 残春雑記/尾崎左永子

 

◉特別作品33首

 火襷と利久梅/小林幸子

 いのちの樹/ 一ノ関忠人

 

一ページエッセイ

 落書帖ー茂吉の歌など/大島史洋

 酔風船ー先生という罪/千々和久幸

 花和尚独語ー秘めたる奥ゆかしさ/大下一真

 

[特集] 『土と人と星』&『思川の岸辺』

 

 『土と人と星』 31首抄/ 小池光 選

 肯定的抒情/ 小池光

 

 『思川の岸辺』 31首抄/伊藤一彦

 小池マゼラン/伊藤一彦

 

 銀河と自転車/栗木京子

 〈われ〉の現在/奥田亡羊

  原像と模像のドラマを読む/日高堯子

  伊藤と小池の「読み」から考える/染野太朗

  厳しい現実を受け止める姿勢/小林幹也

 

◉作品七首

 振り返る/前川佐重郎

 前線/森山晴美

 ほととぎす啼く/大滝貞一

 四月憂鬱/松坂弘

 五月の海風/木村雅子

  『家庭の医学』/浜田康敬

 ひと年過ぎて/大朝暁子

 時を積む/梅内美華子

 トンボ/沖ななも

 境界線/河野小百合

 花の歌/大崎瀬都

 

◉作品十三首

 特急あずさ/中地俊夫

 うみ/佐藤よしみ

 狂科学/江畑實

 カルダモンいろ/三枝むつみ

 残月/森本平

 つくば/梶原さい子

 心の帆/山口明子

 八重桜/上條雅通

 土/吉野節子

 手を振る少女/岩井幸代

 垂直に重なる人生/櫛田如堂

 パンにジャム/小林さやか

 

◉作品八首

 湧き水/石田照子

 花咲かぬ春/島内美代

 異人館街宵闇/藤井幸子

 青田を渡る/伊田登美子

 意味なき存在/綾部剛

 水素スタンド/反田たか子

 角宮悦子さん/原昌子

 をさなき緑/兼平一子

 雲に乗る/服部貞行

 老眼鏡/岡本智子

 せん妄/片岡なおこ

 

 三月うさぎ/宮野克行

 

■連載ー百人一首の歌人たち

 憂かりける人を初瀬の/久保田淳 

 

■カルチャーのうた

 姫路KCC短歌教室/小畑庸子

 

■追悼ー角宮悦子

 あたたかい心のふれ合い/木原美子

 

■連載ー浪々残夢録

 貧しさの中の真・善・美ー良寛と現代/持田鋼一郎

 

■連載ー時言・茫漠山日誌より

 懐かしのコロンビア!/福島泰樹

 

■連載 メロディアの笛Ⅱ 白秋の昭和/渡英子

 

■連載ー短歌の近代 原阿佐緒の『涙痕』を読む/島内景二

 

■連載ー編集者の短歌史 七〇年代半ばの動向/及川隆彦

 

◉今月の新人ー作品5首 かなしみ、一滴/大石真由香

 

■今月の視点 情報を食う/宮原勉

 

■連載 歌誌漂流/鈴木竹志

 

■新刊歌集歌書評

 松永智子歌集「川の音」/古谷智子

 渡辺松男歌集「雨る」/柳宣宏

 「モンキートレインに乗って 」/内藤明

 山本登志枝歌集「水の音する」/滝下恵子

 山田航歌集「水の羊」/岩内敏行

 田中徹尾歌集「芒種の地」/江戸/雪

 梅本武義歌集「仮眠室の鳩」/藤島秀憲

 小宮山玉江歌集「葡萄棚の下で」/秋山周子

 

 浜谷久子歌集「風笛」/五十嵐順子

 

■作品月評ー五月号より/沢口芙美

■評論月評/田中教子

■全国〝往来〟情報

■編集後記

 

表紙画/高橋千尋

 

本文カット/浅川 洋

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逸見悦子『野あざみ』

 

 

荷を送り発ちし子の部屋広々と三月のカレンダー風にゆれおり

 

すべてキャド駆使する職場になりし今われと製図台細々残る

 

花蜘蛛のいつしか傘の内側に止まりて共に参道下る

 

菜の花の黄色封じて送りくれし母よ彼の日よ今に抱きしむ

 

リズム良き足音駆けゆく窓の下あれは五分刈り青年の音

 

 

明け番の夫の挿したる野あざみの位置整える夜の食卓

 

 

逸見さんは平成三年に「歌と観照」に入会し、平成七年に新人賞にあたる、「歌と観照社賞」を受賞した。「野あざみ」は、おそらく作者の好きな花。山野にも郊外にも見られるが、紫の花の色はさえざえとして、野の花の強い生命力を感じさせる。

五十嵐順子・跋より

 

四六版上製カバー装 2500円・税別

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南條暁美『往き帰る』

坂道の角を曲がれば弟の生れし家なり馬酔木が匂ふ

ページ繰る記憶残して返り来ず亡き弟に貸したる詩集

六歳のわが目に被爆の天主堂煉瓦の浮遊してゆくごとし

梯子のびて若き男が赤き玉を拭きはじめたり風の交差点

好きな場所選んで人は皆ゴビに葬られるとふ広大な墓所

終電の遠く過ぎゆく音のして生きる日々とは往き帰ること

 

「旅が私の人生そのもの」と南條さんはいう。その旅とは、自らの来歴をたどる旅であり、歴史を遡る旅である。さらには人間の生死が見えわたるような場所への旅であろう。                 

 

小林幸子・解説より

 四六版上製カバー装 2500円・税別

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