ながらみ書房は1985年開業、二千点以上の歌集歌書を出版してきた出版社です
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月
28
5月
2012
つま先にわれを立たせて柔らかな地球と引き合ふ真夏の体
樹や示唆は悔しさとして蔵ひおけ石垣被ふ濃緑の苔
天上の深度計かもしれなくて糸まつすぐに蜘蛛おりてきむ
どのやうに生きたかつたか残りたりしやぼん玉液夕日にかざる
竜宮の使ひはいずこへ行きしならむふぢ色に澄むひむがしの空
こころの内側の小さな窓。
やわらかな風が吹き通い、木の葉が揺れ、親子連れの明るい笑い声。
そんな小窓から、そっと開かれた世界に向って挨拶を交わす。
歌が自ずから応える。
四六判上製カバー装 2625円•税込
木
17
5月
2012
冬眠の蛙をめさます程に降れ二月の雨を湯船に聞くも
雪除けて切りいる杉の株の面(おも)湯気立ち匂う生木と匂う
霞こめる葦原なめてみどり立つ雨蕭々(しょうしょう)と降りつづくなか
車止め秋田杉林見ておれば羚羊尾を振り笹むらに入る
『二月の雨』に詠われている作品は、生きとし生けるものたちを、あたたかく見つめている作者の世界観をひそやかに顕たしめている一冊である。
四六判並製カバー装 1800円•税込
火
15
5月
2012
表紙画:天西舞香
木
26
4月
2012
=第46回迢空賞受賞=
=電子書籍版も販売しております=
わが感覚すすき野のへにありしかどこのかろさ死後のごとく気づけり
吾ゆ耳の離れてぞあるそのなかにこほろぎの鳴く必死のみゆる
うつうつとせるなかにある華やぎは地中の蛇のうへ歩くかも
ひまはりの種テーブルにあふれさせまぶしいぢやないかきみは癌なのに
孤独なけものどもが跳梁跋扈する
異界の住民どもが拍手喝采する
詩歌の時空を自在に遡行し、飛翔し続ける感性の冴え
それが「松男うたワールド」!
四六版上製カバー装 二七三〇円•税込
月
23
4月
2012
こころなら聞こえているというように向きあったまま海鳥たちは
あたたかいコンクリートに自転車を寄せておく海の眠りのそばに
陽のあたるながい廊下をゆくようにさみしさがきて抱擁終えぬ
鳥たちがようやく騒ぎ始めてもあなたはいつも眠らない島
逆光にしずくしている海鳥をかつて入り江に見たことがある
こころが聞こえるとは、なんと美しい言葉だろう。
海鳥たちのこころと作者の心が響き合っている。
内海の穏やかな風景は、読者の喜びとして
胸に広がるのである。 加藤治郎•跋より
46判上製カバー装 2625円•税込
日
22
4月
2012
現世に縁の糸でむすばれて綾なる彩で織りたし家族
紫野しぶきをあげて走り去る藤の穂波よ何処にゆくか
君と並み紫けむる夜半の庭一千条の藤と語りぬ
七十五歳の終りも近し赤き靴履きて歩めば女童のごとし
藤の花房が風に揺れ靡くように
帰らぬ時間と帰らぬ大切な人。
あるいはまた、これからの未来を受け継ごうとする
若い家族やガールスカウトの少女らや友人知人達。
佐藤さんが歌に詠み込んだものは佐藤さんに愛される。
短歌にはそんな役割もあって、それはとっても重要なのだとあらてめて思い知らされる。
川野里子 帯文
四六判上製カバー装 2625円•税込
木
19
4月
2012
沖縄を供物となして見捨ている大和(やまと)を吾は祖国と呼ばず
摩文仁野のいずちに果てしや義父よ父よ五月を待ちて咲ける月桃
妻と子と血で繋がれて囲みいる普天間基地に仏桑華咲く
ふるさとは基地となりにし大嶺崎フェンスが分かつ海と陸とに
辺野古崎基地建設のきざしあらば老寝
當間さんの短歌は、沖縄をテーマとする社会的視点を持つ歌から、亡き祖父、父、母親を歌った作、故郷の自然や妻への思いを託した歌など、多岐に渡る。(道浦母都子)
A5判上製カバー装 2835円•税込
火
17
4月
2012
顔のなき白衣の群れに囲まれて無影灯下の執刀はじまる
井の底ひひかり溜めをりおとうとの駈けてまろびし杳き日のまま
春の野のほのかに紅きほとけのざ摘みて帰らな子の坐りゐむ
底紅の宗旦木槿はや咲けばひと日ひと日を虔しみて生きむ
『星は和みて』は著者の住む大和の河合町星和台に基づく。
この地で詠んだなかでとりわけ生老病死に伴う歌に感動を覚える。
畢竟、短歌は晩歌と相聞歌につきるかも知れない。
-前川佐重郎「序」より-
A5判上製カバー装 2800円•税込
月
16
4月
2012
日
15
4月
2012
生きて再び誰にか逢わんほんのりと夕闇匂う木蓮の花
さまよえるここと一途に何を欲す天上界に咲く桃の花
夏の日にゆらり輝く芙蓉の花うす紅にこころ盗られておりぬ
あと幾年生きなんとする空のなか笑顔に向きて口ごもりたり
真実なるこころのひだをときあかす歌ノート風が剥がしてゆきぬ
生へのかぎりない慈しみ。
桃の歌人の心はおおらかに、静かに成熟を続けている。
みずみずしい言葉の果実をもぎ取る器となって。
「大自然の畏怖より逃れ難い現実、それを心に病めるからこそ、
その大自然界に向って生きる叫びを、私は自らの短歌に
なしとげたいと思ったのである。」(あとがきより)
A5判上製カバー装 3000円•税込