短歌往来

表紙画/高橋千尋

 

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好評「短歌往来」バックナンバー

 
  1. 石川信雄歌集『cinema』復刻しました!
  2. 島内美代歌集『風の十字路』日本歌人クラブ北関東ブロック優良歌集に選ばれました!
  3. 第21回ながらみ書房出版賞山口明子歌集『さくらあやふく』に決定しました!
  4. 伊志嶺節子歌集『ルルドの光』第17回平良好児賞に選ばれました!
  5. 長嶺元久歌集『カルテ棚』第10回筑紫歌壇賞に決定しました!
  6. 足立晶子歌集『ひよんの実』平成25年度日本歌人クラブ近畿ブロック優良歌集に決定しました!
  7. 冨尾捷二歌集『満州残影』平成25年度日本歌人クラブ東京ブロック優良歌集に選ばれました!
  8. 橋本忠歌集『白き嶺』平成25年度日本歌人クラブ北陸ブロック優良歌集に選ばれました!
  9. 長嶋浩子歌集『遊水池』が埼玉県歌人会新人賞に選ばれました!
 

書籍のご注文や在庫確認は以下にて承っております。

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編集部日記

2016年

4月

23日

鈴木香代子歌集『青衣の星』

おうおうと月に物言う子を背負い銀の霜ふるバス停にたつ

ざりガニのもにょもにょ鋏ふりあげて新三年生なり四月の教室

ほとばしる水の野性を汲みあげて樹はしずかなり豊かに笑う

われを打つ子の()に一点悲のひかり慄然としてその悲を瞠る

海神(わたつみ)にむけて信遠古道あり昏きみどりをくぐりてゆかな

生まれきし者のさみしさ聞こえきて聴き始めたり通奏低音

青衣また雪衣まとえる山神(やまつみ)に花かかげつつ人は舞うなり

 

 「がるるる」と鳴く蛙、「ふさふさ」と牧場に眠る子馬、「がつがつと」とやってくる寒気、「きーんきーん」と冬星を研ぐ信濃の鬼……。私たち現代人が感得できなくなってしまった気配、聞こえない音、見えない動き等々を、オノマトペの向こうにすらりと浮かびあがらせる。青衣の山神の土地・伊那谷に生きて、我が子をうたい、山神の四季をうたい、教え子たちを豊かにうたう一冊。

 

                      佐佐木幸綱

 

 

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2016年

4月

20日

高山邦男歌集『インソムニア』

縁ありて品川駅まで客とゆく第一京浜の夜景となりて

温かい気持ち未来より感じたり今際のわれが過去思ひしか

わが仕事この酔ひし人を安全に送り届けて忘れられること

赤や青繰り返し点る夜の街のどこにもゐない点燈夫たち

赤信号ふと見れば泣いてゐる隣 同じ放送聞いてゐたのか

誰一人渡らぬ深夜の交差点ラジオに流れる「からたち日記」

 東京のタクシー運転手としての仕事の歌を中心に、斬新な着想、自在な用語で、東京という都市の現在をうたい、そこに生きる私たちの心の起伏をていねいにうたう。叙情詩としての短歌の可能性を果敢に追い求める作者の渾身の第一歌集。佐佐木幸綱・帯文より

四六版上製カバー装 2500円・税別

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2016年

4月

15日

短歌往来016年5月号

◉巻頭作品21首
平成挽歌/篠弘

 

◉特別作品33首

春の錯覚/百々登美子
オリンピアド断章/ 秋葉四郎

▪︎一ペジエッセイ
落書帖 土屋文明の歌/大島史洋
酔風船 おろかな夢/千々和久幸
花和尚独語 藤の花・紫の雲/大下一真

■評論 世紀の視座 歌の根柢/清田由井子

[特集]若菜摘む春のうた

 ◉作品八首+エッセイ
 舌を嚙む/安田純生
 花と青空/川野里子
 春の封書/桑原正紀
 三月生まれ/五十嵐順子
 母よ、乳母車押せ/田村広志
 かたかごの花/久々湊盈子
 北帰行/田中拓也
 こんなところで/南 鏡子
 かりんの芽/村松秀代
 薄くれない/嵯峨直樹
 樒の花/熊谷龍子
 ジャンプして 春/仲程喜美枝
 しろき噴泉/森山良太
 物思ひ/廣庭由利子
 たばこ屋橋/今井千草
 母の早蕨/山野吾郎
 一歳間近/鈴木英夫
 小さき水明り/永吉京子
 やちぶきの花/三澤吏佐子
 花はなし/佐久間章孔

◉作品七首
 焚火/岩田 正
 年月の声/大和類子
 すかすかの街/波汐國芳
 ほろびてゆかむ/大竹蓉子
 夜の電車/水野昌雄
 痕跡/香川ヒサ
 老々介護/田野 陽
 人工関節/市川正子
 樹の芽の呟き/山本 司
 袖振草/比嘉美智子
 文旦/野地安伯

◉作品八首
 本埜村の白鳥/東野典子
 冬の歌/西田郁人
 らふそく灯る/中村雅子
 妻/三平忠宏
 かすかに揺れる/冨岡悦子
 地球年代記/前田 宏
 めのう色の/村山千栄子
 去年を思ひ起せば/岩井鑛治郎
 親善/袴田ひとみ
 佐久間にて/鈴木利一
 輪/塚田沙玲
 みはらし/早野英彦
 日月抄/香川テル
 ジュラ紀の雨/武富純一
 夕影/高野しずえ
 呼出し/村山伀

■追悼堀江典子 西欧詩風味の歌/水城春房

 

■連載百人一首の歌人たち 懐旧と述懐と/久保田淳

■連載浪々残夢録 柳田國男と和泉式部/持田鋼一郎
■連載時言・茫漠山日誌より 夢の相続/福島泰樹
■連載メロディアの笛Ⅱ/渡英子

■連載短歌の近代 若山牧水と『伊勢物語』/島内景二

■連載編集者の短歌史 吉本隆明と寺山修司/及川隆彦
◉今月の新人作品5首 春と機序/睦月都

■今月の視点 湧き水/大久保壽美

■連載 歌誌漂流/鈴木竹志

■新刊歌集歌書評
福島泰樹歌集『空襲ノ歌』/三枝浩樹
山村泰彦歌集『六十余年』/小柳素子
花山多佳子著『森岡貞香の秀歌』/森川多佳子
大野道夫歌集『秋意』/松村正直
江戸雪歌集『昼の夢の終わり』/古谷智子
『みやざき百人一首』/大松達知
坪内稔典著『四季の名言』/酒井佐忠
山田航編著『桜前線開架宣言』/岡崎裕美子
寺尾登志子歌集『奥津磐座』/三原由起子
駒田晶子歌集『光のひび』/齋藤芳生
髙山美智子歌集『春を呼ぶ風』/志垣澄幸
岩井幸代歌集『アダムとイヴの手』/大熊敏夫
岡一輻歌集『狂詩曲』/森水晶
髙橋淑子書歌集『うつし世をともに在りたるもろもろへ』/前川斎子

■作品月評三月号より/沢口芙美
■評論月評/田中教子
■全国〝往来〟情報
■編集後記


表紙画/高橋千尋
本文カット/浅川 洋

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2016年

4月

01日

田中徹尾歌集『芒種の地』

仲介の腕まだ錆びつかずあることを両者一歩も譲らざる場に

安全な立場にあればようやくに本音を語る空がおりくる 

腕時計して午睡するふたしかさ秋の気配が全身つつむ

心証はかぎりなくクロ 海の名の酒でも出して自白を待つか

遠つ人先ゆく雁は風をよみいのちをよみて翼ひろげる

帰省する若き部下ありいえづとに長もち持たせ背中をたたく

 

ゆくりなく有明海の舌ビラメくちぞこという幸をいただく

 

 

国家公務員である労働基準監督官として、個人の立場では発言できないシビアな場面、さらに公と私が交錯する微妙な空気を的確に表現、職場の歌に新しい領域を開いて、読者をスリリングな世界にさそってくれる。職場の歌、職業の短歌が激減している現在、果敢に職場をうたった歌集として注目される一冊である。            佐佐木幸綱

 

四六版上製カバー装 2500円・税別

 

 

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2016年

3月

25日

小宮山玉江歌集『葡萄棚の下で』

夕立の残しゆきたる大き虹(かひ)の山から山をつなぎぬ

欅の木遠くけぶりて空白しひたすらなりや今日降る雪は

手入れ終へ葡萄畑の棚の下つかれの淀むごとき夕暮れ

一瞬に奪はれし命 延命に生かされし生 思ひみるなり

流れきてここに芽ぶくかくるみの実千曲(ちく)()に春の水の流るる

 

農に生き、農に親しむ。

夫ともに葡萄棚の下で汗を流した日々。

そして、夫の看取りの日々と永久の別れ。

長く辛い時を経て、いのちの輝きを取り戻すまで、歌のしらべはみずみずしい葡萄の果汁そのものである。

四六版上製カバー装 2400円・税別

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2016年

3月

25日

櫛田如堂歌集『ざうのあたま』

原発より同心円で括られし故郷かなしも阿武隈山系

朝霧のコロラド川に太極を舞へば彼方に魚跳ねる音

受話器越しの高揚したる妻の声抗癌剤を受けし月の夜

香りとは最も深き記憶とふ みかん剥きつつ亡き妻思ふ

眸の光追ひて離れぬ虫のあり我が湖の深みを知らず

 

放射線の科学を専門とする著者の視野には何がどのように映りどう捉えられているのだろう。如堂とは禅の師家から贈られた名である。これらの対極にあるような世界観を併せて今日の現実と対面する魅力がここにはある。にもかかわらず、いや、それゆえにこそ圧巻は第三章にある。著者は御母堂と愛妻を同時期になくされ、人生の淵に沈淪する。「ざうのあたま」の真実が酷薄な悲しみを誘う。ここを過ぎて歌はいよいよ深くなるであろう。

馬場あき子

 

四六版上製カバー装 2300円・税別

 

 

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2016年

3月

25日

山本登志枝歌集『水の音する』

翡翠はぬるめる水に零しゆく色といふものはなやかなものを

吹く風はさびしかれども幾つかづつ寄りあひながら柚子みのりゆく

書きながら見知らぬ人に書くごとく水に書きゐるごとく思へり

青き空そよげる若葉したたれる水の音するそれだけなれど

かなかなの声をきかむとだれもみな風見るやうな遠きまなざし

 

水の音が聴こえる。そっと耳を澄ます。

なつかしいその響き、高鳴る鼓動。

太初に言葉があったように、

私の未生以前に歌が息づいていた。

こころを潤し、流れる水のように歌を詠む!

 

四六版上製カバー装 2500円・税別

 

 

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2016年

3月

25日

梅本武義歌集『仮眠室の鳩』

誤爆なぞ当然のこと見つつ注す目薬さえもまともに落ちず

明らかに我も要らざる一人なりリストラ策を練りつつおれば

ひよどりの遠啼く夕べ腕を振り脂肪燃焼志願者歩む

山畑に竹を燃やせば谺して火遊び好きの孫ら駆け来る

洗濯物干す妻どこか若く見ゆ貴重なるかなこの窓の位置

 

梅本さんの歌にはどことなくユーモアがある。客観的に自己をみる姿勢が戯画的な表現につながるのか。この余裕、大人の男を感じさせる。「大人の男歌」である。

久我田鶴子・跋より

 

四六版上製カバー装 2400円・税別

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2016年

3月

25日

今泉潤遺歌集『方翅の蝉』

片翅の失せたるゆえか捨てられて道に身じろぎながら蝉鳴く

拓かれて今は田もなし川俣事件ここにありしかありてかなしむ

脱ぎし服片づけくるるわが妻よありがとう長かりし勤め終えしぞ

秋風にかざして立てば風車のごとくわが五指なびくと思えり

妻問いにゆくか赤げら赤帽をかずきて森に波うちて消ゆ 

麻痺というあわれを知らず疑わず幼とりたりわが左手を

 

生きるということは「光」と「闇」の織りなす世界を走りきることであろう。今泉進の短歌の世界にはまぎれもない「光」と「闇」がある。昭和から平成の時代を誠実に生きた歌人の最後のメッセージ。

田中拓也帯文より

 

 A5版上製カバー装 2600円・税別

 

 

 

 

 

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2016年

3月

23日

経塚朋子歌集『カミツレを摘め』

暗きアトリエにて生み出されし人体が水平線の窓辺に置かる

工房の倉庫に眠る粘土塊(つちくれ)を朝の光のもとに運び出す

 

 

アジアンタムに秋の日は射しかの人の()()()の戦ぎゐしこと

 

 

わたくしは雨であり車輪であり轢かれた肉だ カミツレを摘め

 

 


 ジャコメッティの塑像も倉庫に眠っていた粘土の塊も、置かれる場所が変わればまったく違う表情を見せる。そのように、家族の一人一人が、そして自分自身が、置かれた時代や場所によって、今いる場面や状況によって、多様な表情を見せ、ときに予想外の一面をあらわしたりもする。
 この歌集は、家族の一人一人の、あるいは自分自身の、多彩かつ多面的な表情を浮かび上がらせることで、この世の不思議を、さらには生きることの思いがけない起伏を、ダイナミックにうたっている。ぜひ、多くのいい読者とめぐりあってほしいと願う。

佐佐木幸綱・序文より

 

四六版上製カバー装 2500円・税別

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2016年

3月

15日

短歌往来2016年4月号

◉巻頭作品21首

一番深い/今野寿美

 

一ページエッセイ

落書帖ー幸田露伴の通夜/大島史洋

酔風船ー三日会わなかった友/千々和久幸

花和尚独語ー段葛の桜/大下一真

 

◉特別作品33首

星屑の町/島田修三

日本を思ふ/ 渡辺幸一

 

■評論 世紀の視座

東北という空間が容れるもの/高木佳子

 

[特集]父のうた  母のうた

   ◉作品八首+エッセイ

 反面教師/奥村晃作

 がき大将/磯田ひさ子

 リラの花の下/大島史洋

 舟はゆりかご/小黒世茂

 母の十七回忌に/三枝浩樹

 /福井和子

 その人/藤島秀憲

 下駄の歯/桜川冴子

 清滝/川田茂

 二匹の龍/間ルリ

 ゆめのあとさき/森本平

 冬のこゑ/草柳依子

 父母のこゑ/後藤恵市

 広き背/小林敬枝

 

 ◉作品七首

 新しき朝/山本かね子

 重力波/杜澤光一郎

 継ぐ/影山美智子

 ジャグリング/三井修

 歳月のむべ/鎌田弘子

 光るもの/石井利明

 一歩一歩/中根三枝子

 ルーペ/山谷英雄

 笛吹きケトル/桂保子

 冬の海深く/梓志乃

 

◉作品十三首

 佐夜の鄙歌/安藤直彦

 楽器/永守恭子

 Gogh/兵頭なぎさ

 女神/福島久男

 有磯の海/佐藤千代子

 学級閉鎖/斎藤千代

 

◉作品八首

 冬の果樹園/古屋清

 扇状地/藤川弘子

 農に拘る/水本光

 一寸法師/大塚洋子

 織部の茶碗/福永由香子

 妻/永井秀幸

 失いて知る/身内ゆみ

 祝い箸/小石雅夫

 黒部渓谷/小笠ミエ子

 ふたりの大西/川村杳平

 老人に用心/飯島智恵子

 浅春/芝淵田鶴子

 

■歌人回想録 今井邦子

 小歴/多賀陽美 ー93

 今井邦子のうた50首/池田智恵子

 新しい女性のうたと苦悩/多賀陽美

 

■追悼 小田朝雄

 寡黙にシビアに/田村広志

 

■連載ー浪々残夢録

 宣長論のアポリア/持田鋼一郎

 

■連載ー時言・茫漠山日誌より/福島泰樹

 

■連載メロディアの笛Ⅱ/渡英子

 

■連載ー百人一首の歌人たち

手枕にかひなく立たむ/久保田淳

 

■連載ー短歌の近代

若山牧水のあくがれた城と国/島内景二

 

■連載ー編集者の短歌史

春日井建の復帰と異色対談準備/及川隆彦

 

■連載

歌誌漂流/鈴木竹志

 

◉今月の新人ー作品5首 

 ドトールであなたを待てば/越田勇俊

 

■今月の視点

 リアリティー/塚本靑史

 

■新刊歌集歌書評

 米川千嘉子歌集「吹雪の水族館」/玉井清弘

 大河原惇行歌集「鷺の影」/島崎榮一

 吉川宏志著「読みと他者」/田村元

 横山未来子歌集「午後の蝶」/沖ななも

 菊池裕歌集「ユリイカ」/大辻隆弘

 小川佳世子歌集「ゆきふる」/松村由利子

 東野典子歌集「春蘭咲きて」/田野陽

 冨岡悦子歌集「まぼろしに聴く」/松尾祥子

 高野しずえ歌集「花開く」/鶴岡美代子

 藤田絹子歌集「父のコーヒー沸かし」/髙橋みずほ

 

■作品月評ー二月号より/沢口芙美

■評論月評/岩内敏行

■全国〝往来〟情報

■編集後記

 

 

表紙画/高橋千尋

 

本文カット/浅川 洋

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2016年

3月

07日

吉野節子歌集『加良怒』

西行、明恵、登志夫と書きし白紙(しらかみ)を寒満月に差し出だすなり

春寒き磯の口開け、海に入る(をみな)それぞれ化粧(けはひ)してをり

(もも)(なが)に海の(おもて)に寝ねてをり漂ひをればゆふぐれてゆく

人はなぜ舟出するのか、濃き淡き青海原のまひるの平ら

みづうみのけさの水面想ふときわれは微笑みうかべてをらむ

 

まぼろしを見る。まぼろしと向き合う。

日常の隙間を、時として古代を、

自らの歌のしらべの中にそっと喚び込む。

特異な時間意識の深層には産土の地、土佐。

はるか、輝く黒潮のかなたに歌が届く!

 

四六版情勢カバー装 2500円・税別

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2016年

2月

24日

岩井幸代歌集『アダムとイヴの手』


 

 夫逝きて家は四角のただの箱薄羽蜉蝣の持ち去る家庭

 

絡み合う君と我が四肢白亜紀の海に漂うひとすじの藻

 

教会の塔の先より明け始むドナウは黒き眠りのなかに

 

冬の夜のラフマニノフの「ヴォカリーズ」心に積もる雪の眩しさ

 

アルゼンチンタンゴ流れる古きカフェ仄暗き灯に沈むひととき

どうしようもなく悲しくて、悲しい思いを書いているうち短歌になったので、短歌を真剣に勉強しようと決めたのだそうです。まっすぐな人だと私は思いました。切ない感動を与える歌集です。  角宮悦子

 

四六版上製カバー装 2500円・税別

 

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2016年

2月

15日

短歌往来2016年3月号

◉巻頭作品21首

本覚院/朝の池/吉川宏志

 

◉特別作品33首

湯の滾るまで/上村典子

春の存在/ 尾𥔎朗子

 

 

一ページエッセイ

落書帖ー高瀬一誌の歌/大島史洋

酔風船ー香具山とは何か/千々和久幸

花和尚独語ー百花の春/大下一真

 

■評論 世紀の視座

悲傷の橋/生沼義朗

 

[特集]50人に聞く 2015年のベスト歌集  歌書

 

歌集歌書群◉「思川の岸辺」/「土と人と星」/「山鳩」/「虚空の橋」/「記憶の森の時間」/「ふくろう」

「水の夢」/「桜の木にのぼる人」/「みどりの卵」/「吹雪の水族館」集/「モーブ色のあめふる」/「白湯」

「七十年の孤独」/「近代短歌の範型」/「空襲ノ歌」/「兵たりき」/「龍を眠らす」/「暮れてゆくバッハ」

「むかれなかった林檎のために」等

 

◉回答者

林田恒浩   御供平佶   松坂 弘   島崎榮一   安田純生   田村広志   松川洋子   宮本永子   古谷智子   春日いづみ    中川佐和子  櫟原 聰   柳 宣宏   五十嵐順子  桑原正紀   黒岩剛仁   高木佳子   髙安 勇   西勝洋一   糸川雅子   森本 平   前田康子   鶴岡美代子  中野昭子   山田吉郎   寺尾登志子  梛野かおる  佐久間裕子  野地安伯   香山静子   小木 宏   利根川 発  磯田ひさ子  玉城洋子   尾崎まゆみ   若菜邦彦   小泉桄代   清水亞彦   小寺三喜子  甲村雅俊   山田悦子   森 水晶   後藤恵市   松田慎也   光本恵子   宮原 勉   草柳依子   中川 昭   加藤英彦   角宮悦子    

 

 ◉作品七首

 老鶯の歌/森比左志

 イヌホオズキ/森岡千賀子

 ライオン/渡辺松男

 秋深し/森淑子

 昭和/志垣澄幸

 〈野生〉をいふ/久我田鶴子

 日の丸の音/佐藤恵子

 九十九里浜/川口城司

 浅き夢より/滝下惠子

 

◉作品十三首

 マイナンバー/小野雅子

 青鷺のうた/久保田登

 光の季節/岡本育与

 一月八日、金沢市街周遊/江田浩司

 時間/今川美幸

 熱海/本阿弥秀雄

 月の舟/松本典子

 蒲の芽/山本登志枝

 現代肥前国風土記/三宅勇介

 されどされど/碇博視

 アマテル/田中内子

 ペプシコーラ/倉石理恵

 利玄の気韻/久留原昌宏

 

◉作品八首

 時雨の過ぎて/髙島壽美江

 冬のタンポポ/片岡明

 招く舌/北神照美

 冬の魚卵/大石直孝

 安撫師/鈴木淑枝

 知覧/阿部真太郎

 見えてくるもの/川瀬千枝

 実家売却/高橋美香子

 はだかの耳/田中あさひ

 目まひ/池原初子

 

■追悼ー住正代

 花の色が、骨にうっすら/小黒世茂

 

■連載ー浪々残夢録

 西行の恋/持田鋼一郎

 

■連載ー時言・茫漠山日誌より

 バリケード・一九六六年二月/福島泰樹

 

■連載③

 メロディアの笛Ⅱ/渡英子

 

■連載ー百人一首の歌人たち

 あらしの庭の雪ならで/久保田淳

 

■連載ー短歌の近代

『まひる野』と、窪田空穂の「神」/島内景二

 

■連載ー編集者の短歌史

 岡井隆・馬場あき子対談/及川隆彦

■連載

歌誌漂流/鈴木竹志

 

◉カルチャーのうた 田園都市会/佐波洋子

 

■新刊歌集歌書句集評

 香川ヒサ歌集「ヤマト・アライバル」/尾崎まゆみ

 雁部貞夫著「『韮菁集』をたどる」/藤岡武雄

 道浦母都子歌集「無援の抒情」/服部真里子

 小池光著「石川啄木の百首」/佐藤通雅

 島田幸典歌集「駅程」/魚村晋太郎

 沖ななも歌集「白湯」/押切寛子

 桂保子歌集「天空の地図」/草田照子

 新城貞夫著「アジアの片隅で」/屋良健一郎

 大辻隆弘著「近代短歌の範型」/阿木津英

 米田靖子歌集「泥つき地蔵」/田中教子

 小笠ミエ子歌集「日月」/遠山利子

 

◉今月の新人ー作品5首 

 ながい動画/工藤玲音

 

■今月の視点

 シンポジウムに参加して/染野太朗

 

■作品月評ー一月号より/沢口芙美

■評論月評/岩内敏行

■全国〝往来〟情報

 

■編集後記

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2016年

2月

15日

寺尾登志子歌集『奥津磐座』

 

変哲のあらぬ五月の空ひろく原発一基も動いてをらぬ

アウシュヴィッツ後に抒情詩を書く野蛮ふと短歌こそ抒情詩なるを

も少しを君のかたへに見る海のなにも応へぬ波音を聞く

山頂はしるく注連立て深々と天に交はる奥津(おきつ)磐座(いはくら)

極東を極楽とわが読み違へ黒霞()る日本かここは

 

日常の些事を詠おうと社会の悲惨を直視しようと、あるいはドイツへ旅し、家族に思いを向けようとも。齢を重ねるにつれ、作者本来の清新にして鋭い批評性が、あたかも聖なる神の依代のように、この短詩型に強く籠る。

 

詠い継ぐことで垣間見せるもうひとつの精神世界の原色の明滅!

 

四六版上製カバー装 2500円・税別

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2016年

2月

15日

岩井幸代歌集『アダムとイヴの手』

 

夫逝きて家は四角のただの箱薄羽蜉蝣の持ち去る家庭

絡み合う君と我が四肢白亜紀の海に漂うひとすじの藻

教会の塔の先より明け始むドナウは黒き眠りのなかに

冬の夜のラフマニノフの「ヴォカリーズ」心に積もる雪の眩しさ

アルゼンチンタンゴ流れる古きカフェ仄暗き灯に沈むひととき

どうしようもなく悲しくて、悲しい思いを書いているうち短歌になったので、短歌を真剣に勉強しようと決めたのだそうです。まっすぐな人だと私は思いました。切ない感動を与える歌集です。

 

角宮悦子

 

四六版上製カバー装 2500円・税別

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2016年

2月

01日

岡一輻歌集『狂詩曲-rhapsody-』

花手折り供へむ仏もあらずけり 身裡に餓鬼を養ひいるに

多宝塔にのぼりしままの鼠なり 揺れに怖づつつ逃げるのならず

大型の業務用の冷蔵庫 かなしきものや値段の五円

八熱のうらに八寒地獄ある 後の世しらずわれら踊りき

痩せ猫を紙の嚢に入れ閉ぢる 泯びの唄と海に棄てたり

腹中にたゆたふ菩薩ひきあげり 切り刻みたり溜池に棄つ

 

遠い日の時間〈全共闘騒動の時代〉に若きらが漂流していた。地獄極楽を行き来し血糊が付いた時間のなかで変質し石化。そんなものに囚われ、ひたに吁鳴き続けてきた男が、今その暮らしの断片を掬いあげ短歌と映した。作品に見える著者の自己打擲、粘着質な文体は強烈で衝撃的だ。その質感は戦後青春のひとつの淡い模様であり、それへの遅れた〈三下半〉だろう。また豊穣の今生にあって人が忘れようとしている深層からの声文だとも云える。  帯文より

 

 

四六版並製カバー装 1000円・税別

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2016年

1月

15日

短歌往来2016年2月号

◉巻頭作品21首

 猿と蓑虫と手袋/小島ゆかり

 

◉特別作品33首

 猿田彦/御供平佶

 天の尾/ 古谷智子

 

一ページエッセイ

 落書帖ー旅行の話/大島史洋

 酔風船ーForever駿台論調」/千々和久幸

 花和尚独語②ー花より梅干し/大下一真

 

■評論   世紀の視座

 言葉を共有するということ/森井マスミ

 

[特集]オメデトウ 申年生れの歌人たち

 

◉作品六首

「間」の呼吸/浜本芙美

ブレンド/武田弘之

あをばとなきて/仲宗角

笑いヨガ/木島泉

三猿/小林峯夫

国会に行く/小木宏

猿麻峠/小柳素子

申年の友/冨樫榮太郎

冬の翳/小泉桄代

子猿/石田容子

まんだらげ/玉城洋子

椎の実ひろふ/小橋芙沙世

 

◉作品十二首

産土/佐藤孝子

窓にきてゐる月/中野昭子

フラヌール/丹波真人

何のことはなし/草田照子

時間/久保美洋子

花紺青/斎藤佐知子

ともに桜を/林田恒浩

朝の満月/足立晶子

六連島/五所美子

猫のゐる家/竹安隆代

物真似/小笠原和幸

 

◉作品六首

真っ赤なブリーフ/松谷東一郎

重ねて思ふ/青木春枝

罅/武藤敏春

正規兵/内藤三郎

八猿/島晃子

譲葉/小林芳枝

七度目のさるどし/沢木奈津子

ミステーク/吉宗紀子

小春日/竹下成子

ゆすらうめ/南輝子

しぐれてをらむ/内野信子

師走たまゆら/和田沙都子

 

◉作品十二首

親猿子猿/井口世津子

願ひ猿/鶴岡美代子

横浜に住む/中村節子

猿×猿合戦/大野道夫

草莽崛起/一ノ関忠人

十三回忌/清水正人

金星探査機/河野美砂子

ヒトならば/細溝洋子

『博物誌 1956 』/梛野かおる

 

◉作品六首

ゴリラ/坪内稔典

小野川町にて/宮禮子

万感のこゑ/橋本千惠子

さとしまふ/滝沢章

あしたの黒髪ゆふべ白髪/平田恵美

申御柱/今井紀子

芋焼酎を/西野國陽

この指止まれ/高橋豊子

島/伊志嶺節子

猿の惑星/宮尻修

帰還/甲村雅俊

 

連載

浪々残夢録 短歌のレトリック/持田鋼一郎

時言・茫漠山日誌より 空襲ノ歌/福島泰樹

メロディアの笛Ⅱ/渡英子

百人一首の歌人たち 明けぬれば暮るるものとは/久保田淳

短歌の近代 佐佐木信綱と古典文学/島内景二

編集者の短歌史 九十九里浜の三歌人/及川隆彦

歌誌漂流/鈴木竹志

 

■今月の視点

ド演歌は飽きられたか?/柴田典昭

 

■新刊歌集歌書句集評

尾崎左永子歌集「薔薇断章」/清田由井子

伊藤一彦歌集「土と人と星」/加藤治郎

小池 光歌集「思川の岸辺」/今野寿美

大口玲子歌集「桜の木にのぼる人」/日高堯子

日置俊次歌集「落ち葉の墓」/栗明純生

久留原昌宏歌集「ナロー・ゲージ」/來田康男

碇 博視歌集「ざぼん坂」/森山良太

高橋美香子歌集「ぶどうの杖」/結城文

鈴木竹志歌集「游渉」/田中槐

 

◉今月の新人ー作品5首  素知らぬ顔で/笹本碧

 

 

■作品月評ー十二月号より/沢口芙美

■評論月評/岩内敏行

■全国〝往来〟情報

 

■編集後記

 

表紙画/高橋千尋

 

本文カット/浅川 洋

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2016年

1月

05日

高山美智子歌集『春を呼ぶ風』

わが庭の地下に地獄のあるならば今宵満月鬼よ出でこよ

春を呼ぶ風にちぎれし雲ひとつ天頂ちかき満月に輝る

満月を見上げてゐれば伸びて来る白うて細い一条の道

風のなき庭にちひさき風おこしるりしじみ飛ぶ菜の花の上

雷神はわれを見離し行きたらむ光りてしばし後をとどろく

一人居の心地する夜半隣室の夫はしづかに眠りてゐたる

仏桑華の花びらに雨のひとつぶが光りて朝の宇宙を映す

 

地獄の鬼たちよ満月の下に出てくるなら出ておいで。風にちぎれた雲だからこそ天頂で輝いている。満月が白い光の道を伸ばしてくる。髙山美智子さんはこの十年の間に夫が病気に倒れるという最大の悲痛を体験した。その夫を介護する日々のなかで深められた想いはたとえば満月のこの三首にはっきり読みとることが出来る。伊藤一彦

四六版上製カバー装 2500円・税別

 

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2015年

12月

25日

小川佳世子『ゆきふる』

▪︎第34回ながらみ書房出版賞受賞!

 

ゆきふるという名前持つ男の子わたしの奥のお座敷にいる

なかぞらはいずこですかとぜひ聞いてくださいそこにわたしはいます

カザフスタン生まれの米国人夫妻庭を非常にゆっくり歩く

はらわたをいくど断ちてもまだなにか切れないものはそのままにして

お葉書の数行の字の「大きさ」の中に棲みたく思ってしまう

 

ゆきふる・・・・その名前を私が呼べば、

永遠にきよらかな生を私に歌えとこたえる。

ただ一つ確実なことは、

今なお私も歌の天空を飛翔し続けているという事実。

世界はあまりにもまぶしすぎるから。

 

 

現代女性歌人叢書④ 2500円・税別

 

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