石井幸子歌集『挨拶-レヴェランス-』

つま先にわれを立たせて柔らかな地球と引き合ふ真夏の体

樹や示唆は悔しさとして蔵ひおけ石垣被ふ濃緑の苔

天上の深度計かもしれなくて糸まつすぐに蜘蛛おりてきむ

どのやうに生きたかつたか残りたりしやぼん玉液夕日にかざる

竜宮の使ひはいずこへ行きしならむふぢ色に澄むひむがしの空

 

 

こころの内側の小さな窓。

やわらかな風が吹き通い、木の葉が揺れ、親子連れの明るい笑い声。

そんな小窓から、そっと開かれた世界に向って挨拶を交わす。

歌が自ずから応える。

 

四六判上製カバー装 2625円•税込